異最強騎士

野うさぎ

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第1章 幼少期

第6話 早すぎた恋愛

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 私は、まだ真君が好きなんだと実感させられた。
 まだ、彼を、幼馴染の恋を諦めきれないでいる。

 真君は、私を恋愛対象として見てないけど、私はずっと一緒にいていいのだろうか?
 男女の友情は続かないと言うし、どこかで壊れてしまいそうな気がする。

「真君」

「赤音?」

「モーション先輩ともし、付き合うことができたら、どうするつもり?」

「そんなことは、決まっている。

彼氏彼女らしいことをするんだよ」

「それって、どういう意味?」

「そのままの意味だよ」

「真君は彼女できたら、私との関係はどうなるの?」

「どうなるって、変わらないよ。

俺にとって、赤音は大切な幼馴染だし」

「彼女できたら、彼女優先の生活になるんだよ。

真君は、私がいなくても大丈夫なの?」

「赤音は、何を質問しているの?

彼女優先の生活になるわけなくて、赤音との付き合いも大切にしていくよ。

大事な幼馴染だし、どんな時も俺のそばにいてくれたんだし、俺が赤音を見捨てるわけないじゃん」

「そうなんだ・・・・」

 そしたら、どうして、真君は私のことを好きにならないの?
 そして、真君に彼女ができた場合って、私が邪魔者になるはずだけど、彼はそのことすらもわかれないんだね。

「私、真君に彼女できるのいやかも」

 私は、なんてことを言葉にしているのだろう?

 私の心はきれいじゃない。
 いつでも、嫉妬心がある。

 これで、真君は私が好きだってことに気づいてくれるかな?

 面と向かって告白すればいいはずなのに、私はその勇気すら持てない。

「どうして?」

「嫉妬しているから・・・・」

「赤音・・・・」

 真君は、そこで立ち止まって、後ろにいる私の方に振り向く。

「俺が、赤音を見捨ててしまうことがこわいのか?」

「うん。

こわい、すっごくこわい」

「大丈夫だって。

俺は、言葉だけじゃない。

今までだって、そうだったろ?

何を急に不安になることなんて、何もない。

だから、俺は彼女ができても、できなくても、赤音との付き合い方を変えたりなんてしない」

 真君は笑顔で答えた。

 そうか、真君は鈍感すぎる。
 ここまで来ても、恋愛って意味にはとらないんだ。

 真君は、行ってしまう・・・!
 だけど、私は何をしている?
 何がしたいの?

 真君に伝わるようにわかるように、告白しなくてはいけないはずなのに、どうしてだか口が動かない。
 振られることがこわい。
 真君ともっと良好になりたいけれど、今の関係を崩すことがこんなにもこわい。

 真君は、曖昧にしてはだめなのに。
 私は真君を取られてしまいそうで、胸が苦しくなる。

 廊下で、すれ違った女性がいると、真君が「モーション先輩!」と叫んで、駆けつけた。

 この人が、真君のいうモーション先輩?
 髪は腰まで長くて、綺麗だった。
 
「モーション先輩、久しぶりです」

「君は、誰なの?

この学校の生徒みたいだけど」

 知り合いじゃないんだ・・・・。

「俺ですよ。

俺。

後輩の井藤真ですって」

「ごめん、誰なのかわからない。

君と私は、どこかで話したりしたことある?」

「あるわけないじゃないですか?

今日が初めてですよ」

 初対面なのに、なれなれしくしすぎじゃない?

「あ、そうなんだ。

君は、確か井藤真君だっけ?

私がモーションというあだ名だということも含めて、いつ私のことを知ったの?」

「あはは、遠くからみれば誰でも知っている人になれますよ」

「つまり、君は私のストーカーをしていたということでいいの?」

「はい。

それと近いです」

 真君、何を言っているの?
 これ、完全なる天然じゃない?

 モーション先輩は、顔が青ざめていた。

「君は、罪悪感とかないの?」

「え?

何が?」

「私のストーカーとかして」

「あるわけないじゃないですか!

モーション先輩が好きなんですよ。

そのまま連れて帰りたいくらいに。

ですから、モーション先輩、俺と付き合ってくれませんか?」

「無理です!

こんなストーカーじみた人は、こちらからお断りです」

「そんなあ」

 ショックを受ける真君をおいて、モーション先輩はそのまま去っていった。

「振られちゃったよ・・・・。

どうして?

赤音、俺のどこか悪いんだと思う?」

「それは、誰でも振ると思うよ。

まず、自分がされたら、言われたらどう思うかを先に考えるべきだと思う。

でないと、真君は一生彼女なんてできないと思う」

「そんなあ。

俺の運命の人は、本命として、両思いになれる人は、どこにいるんだろう・・・・?」

「真君、そんなに落ち込まないでよ。

第一、私がいるじゃない。

それじゃあ、満足できないの?」

「赤音の存在には、感謝している。

感謝しても、しきれないくらい。

この先も、何年先もずっと一緒にいてほしい。

いてほしいの。

だけど、だけどね、それくらい俺には特別な存在がもう一人ほしいんだよ」

 どうしてなの?
 ここまで言っても、気づかないものなの?

 なら、今度こそ、告白しないと。

「真君に伝えたいことがあるの」

「伝えたいこと?」

「私、真君が好きなの」

「好きだよ。

俺も友達として、幼馴染として」

「違うの」

「違うって、何が?」
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