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第1章 水属性の聖女は、鈴木氷雨なのでござる!

過去編~鈴木氷雨のヤンキー幼馴染~第4話

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「佐藤君、これって・・・・?」

 おそるおそる聞いてみた。

「警察たちは、永遠の眠りについたでござるよ」

「そうじゃなくて、今のは魔法?」

「それ以外に、何があるでござるか?」

「魔法なんて、本当にあるの?」

「魔法の存在を信じていないとか、氷雨は大人に影響されたのでござるな。

あるでござるよ。

なければ、世の中はほとんどで成立してないでござる。

魔法が存在しないって言うのなら、その根拠を示してほしいくらいでござるよ」

 そうか。
 あたしは、やっと理解した。
 佐藤君は魔法で、人を・・・・。
 これ以上のことは、言いたくない。


 こんな小さな体で、どうやって大人たちに勝てるのかと疑問に思っていたけれど、信じられないけど、魔法を使っていたのかもしれない。

「さ、ここにはいられないから、異世界へ行くでござるよ」

 あたしは、佐藤君についていった。

 ここで、あたしは異世界の存在のことも知っていくことになる。
 絵本で読んだこともある異世界や、魔法も、あれは誰かの作り話とくらいしか思っていなかったけれど、本当にあったんだ。

 異世界にはたくさん怪物がいて、その度に、佐藤君の「アグアシャワー」とか「水鉄砲」に守られてばかりいた。

「氷雨、やっぱり、今の君には異世界は危険でござる」

「うん」

 あたしは、否定しきれなかった。
 異世界で、足手まといになっていることは事実だから。

「わたくしは、氷雨をいつまでも、待っているでござるよ。

だから、氷雨も強くなれたら、また会いに行くでござる」

「いつか、また会おうね」

「あと、小さい頃の記憶のことは忘れちゃいそうだから、これをあげるでござる」

 あたしは、佐藤君から鮫のパーカーをもらった。

「嬉しい、ありがとう。

いつまでも、大切にするね」


 こうして、あたしは元の世界に帰ってきた。

 両親からは「どこに行っていたの?」と怒られた。

「あたしは、近所の佐藤君のところに遊びに行っていたんだよ」

 あたしは、親に嘘がつけなくて、本当のことを言ってしまった。
 殺人鬼の佐藤君のことを言ったら、もっと怒られるような気もしていたけど・・・・。

「佐藤君?」

 母が、首をかしげた。

「そんな子、近所にいたか?」

 父も、首をかしげた。

 聞く話によると、なぜか佐藤君の存在は、最初からいないことになっていた。

 これは夢なのかと、その事実を知ってからそう思っていたけれど、あたしは鮫のパーカーを持っている。

 夢じゃない。
 あたしは、鮫のパーカーを着た。

「こんな、パーカー、どこで拾ってきたの?

今すぐ、捨てなさい」

 母親から、脱がされそうになったけれど、

「いやでござるよ」

 あたしは、母親の手を振り払った。
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