【完結R18】君を待つ宇宙 アラサー乙女、年下理系男子に溺れる

さんかく ひかる

文字の大きさ
上 下
76 / 77
4章 アラサー女子、年下宇宙男子に祈る

4-20 あなたを思う私、私を思うあなた ※R

しおりを挟む
 月のない夜空は、星見には都合がいい。
 赤や青に輝く光の点が夜の天空に散りばめられている。
 その中、うっすらと光る雲のような帯。天の川。私たちの住む銀河系の中心に密集する星々。

 かつて素芦もとあしのものだった別荘のウッドデッキに、二人並んで座りこんだ。一つの毛布にくるまって暖め合う。
 流斗君は、スマホを使って天上の星空について解説してくれる。
 星座や星の名前だけでない。
 超巨大ブラックホールのある場所。私が知っている千年前のだけでなく、いくつもの超新星爆発。

 そんな話に夢中になっていると、大切なことを忘れてしまう。
 腕時計の秒針をじっと見つめる。
 もうすぐ明日になる。明日は、とっても大切な日。

 時刻が十二時をまわった。
 隠し持ってた小さな包みを出して彼に手渡した。
「流斗君、誕生日おめでとう」
 たった今、彼は二十三歳になった。
 今日から私と彼の年の差はまた七歳差に戻る……わかっている、そういう問題じゃない。彼と私の年の差は、いつだって変わらないのだ。

「ありがとう。開けるね」
 小さな紙袋から現れたのは、宇宙研究センターで買った星空をプリントしたハンカチだ。
「へー、刺繍してもらったんだ」
 ハンカチの隅に、ちいさく、R.A.と刺繍がされている。
「私がやってみたの」

 恥ずかしい。あまり手先が器用でない自分の刺繍。
 もう一つのちゃんとしたプレゼントは、中に入ってから渡す。
 それは、高級へアドライアー。
 宇宙物理で知らない人はいないすごい研究者だし、可愛い顔をしているんだから、そのボサボサ頭、何とかしてほしい。もったいない。

 彼は星座がプリントされたハンカチをじっと眺め、不揃いの刺繍に指をあてている。それを折りたたんでスウェットのポケットに入れた。
「じゃ、こっちは、研究室の机にしまっておくよ」
 流斗君は、もう一つのポケットから白いハンカチを取り出した。
 え? それは、随分前、私たちの飲み残しの空き缶を持っているぐらいなら、と渡したハンカチだ。
 あれをまだ持ってたのね。恥ずかしいんですが。

 念のため、確認する。
「紅茶と梅ジュースの空き缶は、ちゃんと捨てたよね?」
 彼はにっこり笑って答えない……わかった、それは追求しない。
「へへ、これでますます、僕はがんばれる」
 少しだけ伸びた私の髪に彼が指を滑らす。

 彼は、いつもがんばっている。私も、宇宙の謎を解くことには及ばないけど、少しがんばろう。
 歌の練習を始めた。かつての我が家だった古民家は、今、交流サロンになっている。そこの合唱サークルに通い始めた。
 疎遠にした友人たちに、久しぶりに会った。またつながりを戻したい。
 そして。

「私、まだ素芦もとあしさんのままでいたい」

 宇関最後の素芦として、図書館にある素芦家の古文書、あれを調べる。今は、図書館に通って、古文書解読を独学で復習中だ。
 解読したら成果を形にしたい。荒本さんのアイデアに乗るわけではないが、できることなら観光資源に活用したい。

 それは、素芦家を残すことに無関心で何もしなかった私が、先祖に対してできる贖罪。
 荒本さんを恨み、父の無能さを嘆いてばかりだった。不動産業を学び、自分が父の跡を継ぐなど、考えたこともなかった。
 家を残せない替わりに、歴史を伝えたい。
 その仕事が終わるまで、私は素芦でありたい。

 流斗君がきょとんとしている。
「うっかりしてたな。那津美さんは姫様の子孫だから名前変えられないか。じゃ、僕が素芦さんになるよ」
 え? 彼にとってそんな簡単なことなの?
 だって、朝河流斗の名は、物理の世界ではすでに知られている。
「ダメよ。研究者にとって名前は大事なんでしょ?」
「研究者としては今の名前で、法律の名前を変えるだけだ」
 
 彼が素芦もとあしさんになるなんて、なんて幸せなんだろう!

 でも、それは不都合があるのだ。私は、結婚で名前を変えた尾谷先生からいろいろ聞かされていた。
「そんなことしてほしくない。あなたには朝河先生のままでいてほしい」
「そうか」
 どこか寂しそうに見える流斗君。

「僕らの銀河はね、やがて別の銀河と衝突するんだよ。今の季節、その銀河は見えないけどね」
「怖いこと、また言うんだから!」
「四十億年後だから大丈夫。銀河の密度は薄いから、星が直接ぶつかることはないよ。まあ、そのころは地球の生命は絶滅してるから気にしなくていいよ」

「全滅なんてやだ! 流斗君、天才博士なんだから何とかして!」
「うーん『余とて時を戻すことは叶わぬ。滅びは宇宙の宿命さだめゆえ』だっけ?」
「なっ、何いってんのかな~」

 暗黒皇帝陛下の決め台詞だ。
 さらっと台詞が出てくるあたり、やっぱり流斗君、ゲーム制作、エッチなリクエストだけじゃなく、かなり関わってるとみた。
 でも、爽やかハイテノールボイスの流斗君には、陛下の台詞、合わないよ。

 だから、ずっと疑問に思ってたことを聞いてみる。
「あのゲームのタイトルってどういう意味なの?」
 ここで聞くことじゃないかもしれないが、知りたい。
 タイトルにも彼の思いが込められてる気がして。

「コギタス・エルゴ・スム? コギト・エルゴ・スムから取ったんだけど、そっちはわかる?」
 私は何とか学生時代の授業を思い出した。
「四百年前の外国の哲学者のことばだよね。我思う、ゆえに我あり」
 今ではあまり使われなくなった、古い外国語だ。
「うん。ゲームの方は、我、じゃなくて、君。『君思う、ゆえに我あり』ってこと」

 君思う、ゆえに我あり。

 なかなか、ロマンティックね。
「流斗君が考えたの?」
「……科学の法則って、観測結果に対する人間の解釈なんだ。人間が見つけて考えて、初めて法則は認められる。人間にとっては、その時から法則が存在する」
 科学の法則? 全然ロマンティックじゃないなあ。

「えーと、つまり、あなたが人間で、私が法則ってこと?」
「宇宙が人間のために存在しているという、上から目線じゃなくて……人間が生まれる前から宇宙には法則があった。そういう法則があるってことを、知性体として生まれたからには、見つけるのが使命じゃないかって思うんだ」
 満天の星空の中、流れ星が落ちる。音もなく、輝く糸が闇に描かれる。

 顔が近づいてきた。そっと唇を触れ合わせる。
 優しいキスを繰り返す。が、徐々に、それは激しくなり、彼の舌が歯頚をなめとり腔内で暴れまわる。
「あ……ねえ、中に入ろうか」
 が、彼は私の言葉に応えることなく、ウッドデッキの床に、私の身体を押し倒した。

「だ、ダメだって」
 首筋を舐められると同時に、セーター越しに胸をまさぐられる。
「あ……や、う……人が、来ちゃったら……」
「こんな真夜中の別荘地、誰も来ないって」
 彼の攻撃はますます激しくなる。背中に手を差し入れられ、あっという間にブラジャーのホックが外された。
 胸の先端を指で執拗に摘ままれる。
「え、こんなところで……や、あ、く、うう」
「でも静かにしないと、誰か来ちゃうよ」
 口をはっと押え、こみ上げる甘いうずきをこらえる。

 涙目になって彼の背中越しに見えたのは、漆黒を輝かせる無数の星々のきらめき。現れては消える儚い流れ星の軌跡。
 遥か彼方、数十億年もの過去から届く静かな光。静かな光の真の姿は、激しい核融合反応。

 核反応エネルギーは様々なものを生み出す……中には生命があるかもしれない……生命のうちいくつかは、私たちと同じように、自分たちを存在させている法則を解明しようとしているのだろうか。

 そして、この宇宙の他にも存在する別の宇宙。
 かつて、その宇宙は私たちと同じものだった。
 その宇宙と私たちが交わることは、決してない。
 多くの宇宙は何もなくただエネルギーがあるだけだという。

 でも、ごくまれに。
 私たちのような生命が生まれる宇宙がある。
 決して会うことのない別宇宙の人々。

 暗黒皇帝と太陽の乙女が愛し合う宇宙。
 勇者と森の女王が冒険する宇宙。

 別の選択をした宇宙。
 私と両親が今でも三人、仲良く暮らしている宇宙。
 私と流斗君が出会わなかった宇宙。

 少しだけ私たちとずれている宇宙。
 たくさんの物語とそっくりな宇宙。
 そして。

 私たちも、別の宇宙では誰かの物語になっているのかもしれない……


 コギタス・エルゴ・スム。
 君、思う、ゆえに、我、あり。


「那津美さん、どこを見てるの?」
 視界を遮られ、唇を奪われ、顔中を食まれる。
 私のスエットの中に彼の手が滑り込み、私の核を覆う肉を刺激し始めた。
「や、うう、だ、ダメだって……こんな……」
 星空の下の思いは、彼の指先と舌がもたらす快楽の波に呑まれ、消されてしまう。
 清らかで美しい静かな星空の下、私たちはつながった。



 夜が明け、星見の里を観光してから、宇関の流斗君のマンションに戻った。あたりはすっかり暗くなっている。
 彼の荷物を一旦降ろしてから、私のアパートに送ってもらうことにする。

 入り口のロータリーに植えられた桜の木。蕾が膨らんできた。開花の日が近づいている。
 飲料の自動販売機が辺りを照らしている。懐かしい気持ちになり、自販機に近寄った。

「流斗君、梅ジュースも紅茶もあるよ」
 が、振り返ると、彼はロータリーの桜の下に立っている。
 私は彼の元に駆け寄った。
「どうしたの?」
「一年経ったね」

 一年。私が彼と塾で出会ってこのマンションに送ってから一年。
 そうか。あの日は、彼の誕生日だったんだ。
 あの時も桜が蕾をつけていた。一年前より木が成長した気もするがよくわからない。
「那津美さん、もう一度、聞くよ。結婚しようよ」

「嬉しい。でも……」
 流斗君には朝河さんのままでいてほしい。そして私はまだ、素芦もとあしでありたい。
「名前は変えなくていいよ。僕も変えない。でもあなたが僕の特別な人だって、みんなに紹介したいんだ」
「私、あなたに何もできないよ」
「時々でいいから、この髪、何とかして」
 私はそっと手を伸ばし、彼のくせ毛に触れた。
 誕生日プレゼントに渡した高級ドライヤー。私が使うことになりそうだ。

 名前を変えない結婚。
 かつてはこの地を支配していた一族の末裔として、あまりに無力な自分。
 だから最後の素芦さんとして、ここで独りで生きるつもりだった。
 でも、一番したいことは決まっていた。

「はい。私は、朝河流斗さんのそばにずっといます」
「よかった!」
 ぎゅっと彼の腕に包まれる。

 彼のそばにいることは、いずれこの町を離れるということ。
 そうなったら最後の素芦さんとして、どうすればいい? いや、それは時が来たら考えよう。


「僕はずっと那津美さんのこと考えるよ」
「そうしないと私は存在できないから?」
 流斗君が笑った。
「僕の肉体が限界を迎えたら、脳をアップロードするんだ。そしたら、那津美さんが望むまでずっと僕も存在できる」
 以前、私が「バーチャルでは子どもはできない」と言ったときの流斗君の答え。

 脳をコンピューターにすれば人は不死になれる。
 何十年か経ち、コンピューターとなった彼とすごす日々……それもひどく魅力的に思える。でも。
「そんなことのために脳を保存なんてもったいないよ」

 私と彼、どちらが先に肉体が限界を迎えるか、わからない。
 だけど、考え続ければ存在できるとするなら。
 彼の肉体が消滅したって、私が考え続ければ、彼は存在できる。コンピューターにアップロードしなくたって。
 私が先に限界を迎えたら……その先は、彼の自由。何を考えたっていい。別の誰かがそばにいて彼を幸せにしてくれるなら、それも素敵なこと。

「コンピューター流斗君は宇宙論の統一に使おうよ。その方が人類に貢献できるって」
「あはははは! 僕の脳をどうするかは、未来に任せるか」

 小さな蕾をつけたばかりの桜の木の下、私たちは笑いながらキスをした。

 こうしている間も宇宙はどんどん広がり、彼を待っている。
 私も彼のいる宇宙に行こう。
 生まれ育ったこの町を思い続けながら、外国だって、宇宙ステーションだって、火星だって、どこにだって行ける。
 月が、地球の裏側から私たちを祝福してくれた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた――― ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。 それは同棲の話が出ていた矢先だった。 凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。 ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。 実は彼、厄介な事に大の女嫌いで―― 元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――

処理中です...