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6 主人公は、あっさりワナにはまる
(11)仲間を訪ねて
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パリスは故郷を師匠に託し、旅仲間のマッチョ女子、ナウシカの故郷を訪ねた。パリスの田舎からはそう遠くない。話の都合と突っ込まれそうだが、そういうことなのでご了承いただきたい。
パリスがナウシカの暮らす館に足を踏み入れた途端、王と王妃が出迎えた。
「あら~パリスさん、いらっしゃい~。娘から聞きましたわ。あなた、ヘクトルさんの弟さんなんですってね。うちの娘が、トロイア王子二人と知り合いなんて、すごいわあ」
ナウシカの母がはしゃいでいる。
「ますます婿に欲しくなったなあ。いやいや、あんな大国の王子様は、この小さな島の婿にはもったいないか」
父王は、パリスの背中をポンポンと叩く。
若者が二人から歓待を受けていると、ひと際大きな声が広間に響いた。
「父上も母上も止めてくれないか!」
「ナウシカ! 会いたかったよ!」
マッチョな王女は、旅の時となにも変わらなかった。
「では、二人でゆっくりしていってね」
「ナウシカ、がんばるんだぞ」
王と王妃は、含みを持たせた笑いを残して去っていった。
広間のテーブルには、島で採れた果物が並んでいる。パリスとナウシカは隣り合い椅子に腰かけた。
「すまん、パリス。父と母の言うことは、気にするな」
「あははは、お父さんとお母さんは、ナウシカが大好きなんだよ」
「気持ちはありがたいが、見合いしろとうるさくて叶わない」
「わかるなあ。結婚を押し付けられるのって、嫌だよね」
トロイアの体験から、パリスはナウシカに深く共感した。
「お前みたいな男は、結婚しない方が世の中のためだな」
「えー、そうでもないよ。最近は、結婚っていいかもって思ってるよ」
パリスは口を尖らせた。侍女オイノネを思い出す。彼女との結婚が嫌でトロイアを飛び出したのに、離れると恋しくて仕方ない。
「パリス、なぜこんな遠い島に来たんだ? お前はヘクトルの弟としてトロイアに行ったんだろ?」
「弟はやめたよ」
「ヘクトルにしごかれて逃げ出したんだろ」
真実を言い当てられたパリスは、ケホケホとむせる。
「ち、違うよ。僕はね、ナウシカに会いにきたんだ」
若者は、目を潤ませてマッチョな王女を見つめた。
「そういう態度をするから、女が勘違いするんだぞ」
「本当だって! 僕、ナウシカに大切なことを伝えたいんだ」
パリスは本来の目的を実行する。未来人トリファントスの警告を伝えた。
ナウシカがオデュッセウスという男に恋をする……それは、彼女も知っている予言だ。
予言には続きがあった。そのオデュッセウスが木馬に何かをして、トロイアが滅びるのだ。
「……そんな……まさか、あの男か……」
わなわなとナウシカが震え、顔を覆う。途端、ガバっと立ち上がって床に座込み、パリスを見上げた。
「ちょ、ちょっとどうしたの? 大丈夫?」
若者も王女に合わせて座込む。
「すまない、パリス! 私は大変なことをした」
パリスはナウシカを椅子に座らせ「怒らないから教えて?」と促す。
島の王女はポツポツと、「その男」との出会いを語り始めた。
パリスがナウシカの暮らす館に足を踏み入れた途端、王と王妃が出迎えた。
「あら~パリスさん、いらっしゃい~。娘から聞きましたわ。あなた、ヘクトルさんの弟さんなんですってね。うちの娘が、トロイア王子二人と知り合いなんて、すごいわあ」
ナウシカの母がはしゃいでいる。
「ますます婿に欲しくなったなあ。いやいや、あんな大国の王子様は、この小さな島の婿にはもったいないか」
父王は、パリスの背中をポンポンと叩く。
若者が二人から歓待を受けていると、ひと際大きな声が広間に響いた。
「父上も母上も止めてくれないか!」
「ナウシカ! 会いたかったよ!」
マッチョな王女は、旅の時となにも変わらなかった。
「では、二人でゆっくりしていってね」
「ナウシカ、がんばるんだぞ」
王と王妃は、含みを持たせた笑いを残して去っていった。
広間のテーブルには、島で採れた果物が並んでいる。パリスとナウシカは隣り合い椅子に腰かけた。
「すまん、パリス。父と母の言うことは、気にするな」
「あははは、お父さんとお母さんは、ナウシカが大好きなんだよ」
「気持ちはありがたいが、見合いしろとうるさくて叶わない」
「わかるなあ。結婚を押し付けられるのって、嫌だよね」
トロイアの体験から、パリスはナウシカに深く共感した。
「お前みたいな男は、結婚しない方が世の中のためだな」
「えー、そうでもないよ。最近は、結婚っていいかもって思ってるよ」
パリスは口を尖らせた。侍女オイノネを思い出す。彼女との結婚が嫌でトロイアを飛び出したのに、離れると恋しくて仕方ない。
「パリス、なぜこんな遠い島に来たんだ? お前はヘクトルの弟としてトロイアに行ったんだろ?」
「弟はやめたよ」
「ヘクトルにしごかれて逃げ出したんだろ」
真実を言い当てられたパリスは、ケホケホとむせる。
「ち、違うよ。僕はね、ナウシカに会いにきたんだ」
若者は、目を潤ませてマッチョな王女を見つめた。
「そういう態度をするから、女が勘違いするんだぞ」
「本当だって! 僕、ナウシカに大切なことを伝えたいんだ」
パリスは本来の目的を実行する。未来人トリファントスの警告を伝えた。
ナウシカがオデュッセウスという男に恋をする……それは、彼女も知っている予言だ。
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わなわなとナウシカが震え、顔を覆う。途端、ガバっと立ち上がって床に座込み、パリスを見上げた。
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