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3 旅の仲間と出会ったが……
(5)困った時のクロノス頼み
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ここは遥か彼方の天空。造物主──作者──の住むところ。
時の神、クロノスがまた出張してきた。
「えー、またクロノスさん、怒ってる? 古代ギリシャの宿について調べてないだろ、とか? 酒杯の形ぐらいチェックしろ、とか? でもうっかりワインボトル出しそうになったの、気をつけたのに~」
造物主は、オドオドと確認を求める。
「ああ、その辺はもう諦めた。おぬしには期待しとらん」
「それも寂しいなあ。そりゃ真面目にやるならチョコチョコ検索したぐらいじゃ書けないジャンルだけど、ちゃんと『なんちゃってファンタジー』って断ってるじゃん」
「それじゃ!」
クロノスが思いっきり指を突き出す。
「ガチのファンタジーなんて書けないから、予防線張ってるんだけど~、ダメ?」
「そうではない。お前もともと、ヒーローはハーレムするつもりだったよな?」
「あ、うん、まあねえ……」
「ハーレムなのに、女子力低い女勇者出して、しかも途中退場。その後は何じゃ!」
「え? ……だって、イケメンとマッチョの二人ったら……やること決まってんじゃん!」
「馬鹿もん!」
「ちょっとちょっとクロノスさん、差別はいけないって。異性愛も同性愛も、愛の価値は変わらないよ。それに古代ギリシャなんて、みーんなボーイズラブだよね?」
「お前のBLジャンルをなめた態度、怪しからん!」
「え、え~、なめてないって。ただ筆が滑っちゃったってーか……」
「あのなあ、どんなジャンルを書くかは、最初に宣言するんじゃ。途中から『こっから先はBLで~す』っていうのは、読者さんに失礼じゃろ」
「でも、書いてて途中で気分変わることってあるし~」
「それ、BLだけではなく小説そのものをなめとるぞ! いいか? ミステリーの密室トリックの種明かしで『犯人は幽霊でした』では読者は怒ると思わないか?」
「う、うーん……でも、どーしてもトリック思いつかなかったら……だめ?」
「ダメじゃ! 死体に細工して死亡時刻をずらす、謎の仕掛けで鍵を操作する、防犯カメラの映像を加工する、と誰もが苦労してミステリーに仕立てるんじゃ」
「い、いや、これは何でもありの『なんちゃってファンタジー』だし……」
「そもそもお前はどっちを書きたい? BL? ファンタジー?」
「それ、どっちか決めなきゃダメ?」
「投稿サイトによっては、はっきりジャンル区分されとるし、本屋に行けばBLコーナーにBL専用レーベルあるぞよ」
「うーん……でもマッチョとイケメン出たら、イチャイチャさせたくなるなあ」
「それが浅い! 今どき、マッチョとイケメンなんて普通すぎる! もっと修業しろ!」
「えー、異性愛だって、姫と騎士とか、社長と秘書とか、先生と生徒とか、萌えパターンって決まってるけど」
「いかんな、そっちもありきたりじゃ。どっちも修業せい! さあ、この先、どうする?」
造物主は、時の神クロノスに重要な決断を迫られる。
「うーん、BLはまだ自信ないなあ、カップリング、マッチョとイケメン以外思いつかないし……となると、やっぱり『なんちゃってファンタジー』かなあ……」
「どうにも頼りないが、そういうことなら、後はわしに任せろ!」
ということで、時の神クロノスは造物主の住処を離れ、またまた、なんちゃって古代ギリシャに降臨したのである。
ここは遥か彼方の天空。造物主──作者──の住むところ。
時の神、クロノスがまた出張してきた。
「えー、またクロノスさん、怒ってる? 古代ギリシャの宿について調べてないだろ、とか? 酒杯の形ぐらいチェックしろ、とか? でもうっかりワインボトル出しそうになったの、気をつけたのに~」
造物主は、オドオドと確認を求める。
「ああ、その辺はもう諦めた。おぬしには期待しとらん」
「それも寂しいなあ。そりゃ真面目にやるならチョコチョコ検索したぐらいじゃ書けないジャンルだけど、ちゃんと『なんちゃってファンタジー』って断ってるじゃん」
「それじゃ!」
クロノスが思いっきり指を突き出す。
「ガチのファンタジーなんて書けないから、予防線張ってるんだけど~、ダメ?」
「そうではない。お前もともと、ヒーローはハーレムするつもりだったよな?」
「あ、うん、まあねえ……」
「ハーレムなのに、女子力低い女勇者出して、しかも途中退場。その後は何じゃ!」
「え? ……だって、イケメンとマッチョの二人ったら……やること決まってんじゃん!」
「馬鹿もん!」
「ちょっとちょっとクロノスさん、差別はいけないって。異性愛も同性愛も、愛の価値は変わらないよ。それに古代ギリシャなんて、みーんなボーイズラブだよね?」
「お前のBLジャンルをなめた態度、怪しからん!」
「え、え~、なめてないって。ただ筆が滑っちゃったってーか……」
「あのなあ、どんなジャンルを書くかは、最初に宣言するんじゃ。途中から『こっから先はBLで~す』っていうのは、読者さんに失礼じゃろ」
「でも、書いてて途中で気分変わることってあるし~」
「それ、BLだけではなく小説そのものをなめとるぞ! いいか? ミステリーの密室トリックの種明かしで『犯人は幽霊でした』では読者は怒ると思わないか?」
「う、うーん……でも、どーしてもトリック思いつかなかったら……だめ?」
「ダメじゃ! 死体に細工して死亡時刻をずらす、謎の仕掛けで鍵を操作する、防犯カメラの映像を加工する、と誰もが苦労してミステリーに仕立てるんじゃ」
「い、いや、これは何でもありの『なんちゃってファンタジー』だし……」
「そもそもお前はどっちを書きたい? BL? ファンタジー?」
「それ、どっちか決めなきゃダメ?」
「投稿サイトによっては、はっきりジャンル区分されとるし、本屋に行けばBLコーナーにBL専用レーベルあるぞよ」
「うーん……でもマッチョとイケメン出たら、イチャイチャさせたくなるなあ」
「それが浅い! 今どき、マッチョとイケメンなんて普通すぎる! もっと修業しろ!」
「えー、異性愛だって、姫と騎士とか、社長と秘書とか、先生と生徒とか、萌えパターンって決まってるけど」
「いかんな、そっちもありきたりじゃ。どっちも修業せい! さあ、この先、どうする?」
造物主は、時の神クロノスに重要な決断を迫られる。
「うーん、BLはまだ自信ないなあ、カップリング、マッチョとイケメン以外思いつかないし……となると、やっぱり『なんちゃってファンタジー』かなあ……」
「どうにも頼りないが、そういうことなら、後はわしに任せろ!」
ということで、時の神クロノスは造物主の住処を離れ、またまた、なんちゃって古代ギリシャに降臨したのである。
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