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司馬遷の史記 三国志ほどじゃないけど、やっぱり読むの大変

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 大変ご無沙汰しています。名前は知られているけれど、あまり読まれていない本を取り上げるシリーズ。
 昔作っていたホームページからコピペするだけなのに、更新をサボっていました。

 今回は、司馬遷の史記。古代中国の歴史書です。紀元前92~89年に書き上げられました。前漢の武帝の時代です。
 史記は、中国の公式歴史書、正史の筆頭です。この書で取り扱っている時代は、中国の始まりから前漢の武帝までです。


 私は、ゲームがきっかけで三国志に興味を持ち、前の感想文に書いたように『正史 三国志』を読みました。
 なかなか難しい本でした。
 特に『正史 三国志』を読んでひっかかったのは、古代中国の官僚は、なにかと過去を持ちだすことです。新しい政策を立ち上げるにしても、昔の偉人はあーしてた、こーしてたと、前置きが長いんです。故事成語のオンパレードです。

 ということで、『正史 三国志』には、三国志の時代よりさらに昔の人名がズラズラ出てきます。
 が、ゲームから三国志に入った自分、三国志の武将の名前はわかりますが、それ以前の時代はなにも知りません。私にとって『正史 三国志』がメチャクチャ難しかった理由のひとつに、三国志以前の歴史をまーったく知らなかったことにあります。

 『正史 三国志』を読み、知らない人名に出会ううちに、徐々に私は、三国志よりもっと前の中国に関心が傾いていきました。
 そこで、もっと前の時代が書かれた歴史書、司馬遷の『史記』に挑戦したわけです。


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史記 司馬遷 全8巻

 本紀
 書・表
 世家 上・下
 列伝1-4

小竹文夫 小竹武夫 訳

ちくま学芸文庫 1995年発行

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文庫版の古典につくづく弱いんだね。

はーい、その通り。だって電車の中で読めるし、狭い部屋も嵩張らない。地図や表が小さくなるけれど、そんなの大した障害じゃない。
三国志を読み始めた頃、この本が出版されちゃって。
今の本を読んでから新しい本を買うべきだけど、のんびりしているといつ絶版にならないとも限らないよね?


史記は面白いといわれるから、読みやすいんじゃない?

それでも小説じゃないもん。かなり小説に近いけど現代小説とは違うから、すらすらとは読めないよ。
三国志に比べると読みやすいが、苦労しました。3年ばかり、棚に積もっていました。
列伝が面白いといわれますが、確かにその通りです。歴史小説集に近いなあ。


三国志と比べると楽にみえるけどね

密度が濃いんだよ。
伝説の皇帝の時代から現代(漢の武帝)まで扱っている。2000年ぐらいじゃないのかな。
三国志のほうがページ数は多いよ。でも、三国志で扱っている時代は100年程度。長さにして20倍違う。
するとどうしても密度が濃くなる。
エピソードひとつで長編小説1冊分必要じゃないかな。現代の歴史小説家ならそうするでしょう。それが、1-2行で片づけられちゃう。
さっき裏切った悪いやつが、1行後に別のやつに殺されている。怒涛のような展開についていけない!


歴史って難しいんだね

さらにややこしいのは、春秋戦国。春秋五覇だの戦国の七雄だの、たくさんの国が出てくるんだよ。王様があちこちにたくさんいるんだけど、困ったことに違う国で同じ謚(死後つけられる名前)を使ってくれるから、わけわからなくなる。同じ襄王でもいろんな国に登場する。
列伝に出てくる人々はいろんな国の王に仕えるから、おまえのポリシーはどこにあるんだといいたくなる。どの国の味方なんだよ、はっきりしてくれよ、読むの大変じゃないか!
やはり、電車の中であっさり読む本じゃないなあ。


苦労して読んで報われた?

充分!! もう報われた。
だって、おかげで君王后様(戦国時代の斉の后)に会えたんだよ!
私のみた感じ、史記に出てくる女性の中で一番好意的に描かれている。話もドラマティック。
だれか、この女性を主人公にした小説書いてくれないかなあ。

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2024.2 付記


『司馬遷 史記』も『正史 三国志』と同様、がんばって読んだけど難しかったというだけの話です。
 感想文の最後、唐突に「君王后」という人物が登場します。元のホームページでは、このテキストにリンクを張って、君王后の解説ページにジャンプする仕様になっています。

 この君王后という女性は、中国の戦国時代(紀元前403年~前221年)の終わりに登場します。中国の戦国時代は濃いキャラで満載ですが、この人はマイナー枠です。私は、史記を読むまで知りませんでした。
 生年は不明ですが、紀元前310~300年ごろでしょうか。没年は紀元前249年と思われます。
 マイナーですが、なかなかドラマ的においしい人物です。彼女の素晴らしさを広めたく、ついに私は、この方のホームページを作ってしまいました。
 次回のエッセイでは、そのホームページをコピー&ペーストするので、ぜひご覧ください。
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