3 / 77
一章 僕は彼女を忘れない
3 ZOOMで女子と盛り上がる
しおりを挟む
整理しよう。彼女はネットで小説を書いている。で、エッチシーンを書きたいが経験がないから困っている。彼女の友人も同じように経験がなく、大学で唯一話せる男の知り合いである僕に相談した。
なるほど。
が、僕にもどうしようもない。僕も知らないのだ。元カノの星佳とはそれなりに付き合ったが、そこまで進まず終わった。
「他の小説を参考にしたら?」
「それはやっちゃいけないの! レポートだってコピーペーストはダメでしょ?」
実験レポートでそれは許されない。が、趣味で書いてる小説で、そんなうるさいこと言わなくてもいい気がするが……いや、確かにそれは良くない。
「写すんじゃなくて雰囲気を参考にすれば? エッチなんて同じだろ?」
「そうなの? 三好君、みんな同じなの?」
ときどきお世話になっている二次元コンテンツによると、うーん、違うような同じような……そうだ!
シンプルな解決方法を思いついた。
「その手の動画、見れば? ネットにゴロゴロ転がってるよ」
「やだ! うち自宅だよ! 親にバレたら恥ずかしいよ!」
彼女は実家から通っているんだ。スッピンで、いつも地味なシャツとジーンズを履いているから、田舎からの上京組だと思い込んでいた。ひとつ彼女のことを知った。
「うち貧乏なのに、無理して浪人したから、これ以上、親に変に思われたくない」
あいらは浪人……つまり僕より年上だ。全然、年上に見えないけど。
「三好君は現役で推薦なんだよね。すごいなあ」
そうか? 一般入試だろうが推薦入試だろうが、大事なのは入学してからでは?
「そうだ、高校の時、情報オリンピックに出たんでしょ?」
どこでどう話が伝わったのか知らないが、宗太にも他の友人にも、何度も質問された。悪い気はしないが嘘はよくない。僕はそのたびに訂正する。
「世界のオリンピックじゃないよ。国内のオリンピックだって。残念ながら、代表には選ばれなかったんだ」
「充分すごいって! 一年生なのに、もう研究室に通ってるんでしょ?」
「どこの研究室にするかは決めてないよ。気になる先生の部屋を訪ねて話を聞いてるだけ」
「うわあ、私なんか、レポート出すので精一杯。研究室なんて考えたこともないや」
四年になったら研究室で卒研が始まるんだけど、彼女は知らないのか?
「僕もまだ勉強中だよ。ディープラーニングとか、センシングとか……今、気になるのはBMIかな」
「BMI? うわ! 私、デブだからやばいな」
BMIと言うと、そういう反応になるのか。まあ、あいらは痩せてはいないがデブでもない。標準に収まるだろう。
「篠崎さんが言ってるのは、Body Mass Indexでしょ。僕が気になるのは、Brain Machine Interface。脳と機械を繋げるってこと」
こういう話をするのは楽しい。
「脳と機械を繋げるの? なんか怖いよ」
「怖くないよ。病気や障害で動けず意思表示できない人がいるだろ? そういう人が、トイレに行きたいとか、機械を通して希望を伝えられたら、いいと思わない?」
「ごめんね、怖いなんて言って。三好君、すごい研究目指してるんだ」
反射的に僕は、手を振った。
「いやいやいやいや、目指すって程じゃないよ。そういう研究をしている先生の話を聞いてるだけで」
彼女と物理実験以外の話で盛り上がれるなんて。
「三好君、すごい研究なのはわかったけど……私、どうしたらいいかな?」
せっかく盛り上がってきたのに、話はそっちに戻るんだ。
仕方ない。僕は、第二案を持ちかけた。
「……じゃあ、僕のうちで動画、見る? 一人暮らしだから気にしなくていいよ」
あいらは口を開けてポカンと固まっている。大きな口だ。
やばい。変に思われただろうか。僕は下心ではなく、実験パートナーの悩みを解決したいという、親切心から提案をしただけなのに。
「ありがとう! 三好君!」
大きな目の中、星がキラキラと揺れていた。
なるほど。
が、僕にもどうしようもない。僕も知らないのだ。元カノの星佳とはそれなりに付き合ったが、そこまで進まず終わった。
「他の小説を参考にしたら?」
「それはやっちゃいけないの! レポートだってコピーペーストはダメでしょ?」
実験レポートでそれは許されない。が、趣味で書いてる小説で、そんなうるさいこと言わなくてもいい気がするが……いや、確かにそれは良くない。
「写すんじゃなくて雰囲気を参考にすれば? エッチなんて同じだろ?」
「そうなの? 三好君、みんな同じなの?」
ときどきお世話になっている二次元コンテンツによると、うーん、違うような同じような……そうだ!
シンプルな解決方法を思いついた。
「その手の動画、見れば? ネットにゴロゴロ転がってるよ」
「やだ! うち自宅だよ! 親にバレたら恥ずかしいよ!」
彼女は実家から通っているんだ。スッピンで、いつも地味なシャツとジーンズを履いているから、田舎からの上京組だと思い込んでいた。ひとつ彼女のことを知った。
「うち貧乏なのに、無理して浪人したから、これ以上、親に変に思われたくない」
あいらは浪人……つまり僕より年上だ。全然、年上に見えないけど。
「三好君は現役で推薦なんだよね。すごいなあ」
そうか? 一般入試だろうが推薦入試だろうが、大事なのは入学してからでは?
「そうだ、高校の時、情報オリンピックに出たんでしょ?」
どこでどう話が伝わったのか知らないが、宗太にも他の友人にも、何度も質問された。悪い気はしないが嘘はよくない。僕はそのたびに訂正する。
「世界のオリンピックじゃないよ。国内のオリンピックだって。残念ながら、代表には選ばれなかったんだ」
「充分すごいって! 一年生なのに、もう研究室に通ってるんでしょ?」
「どこの研究室にするかは決めてないよ。気になる先生の部屋を訪ねて話を聞いてるだけ」
「うわあ、私なんか、レポート出すので精一杯。研究室なんて考えたこともないや」
四年になったら研究室で卒研が始まるんだけど、彼女は知らないのか?
「僕もまだ勉強中だよ。ディープラーニングとか、センシングとか……今、気になるのはBMIかな」
「BMI? うわ! 私、デブだからやばいな」
BMIと言うと、そういう反応になるのか。まあ、あいらは痩せてはいないがデブでもない。標準に収まるだろう。
「篠崎さんが言ってるのは、Body Mass Indexでしょ。僕が気になるのは、Brain Machine Interface。脳と機械を繋げるってこと」
こういう話をするのは楽しい。
「脳と機械を繋げるの? なんか怖いよ」
「怖くないよ。病気や障害で動けず意思表示できない人がいるだろ? そういう人が、トイレに行きたいとか、機械を通して希望を伝えられたら、いいと思わない?」
「ごめんね、怖いなんて言って。三好君、すごい研究目指してるんだ」
反射的に僕は、手を振った。
「いやいやいやいや、目指すって程じゃないよ。そういう研究をしている先生の話を聞いてるだけで」
彼女と物理実験以外の話で盛り上がれるなんて。
「三好君、すごい研究なのはわかったけど……私、どうしたらいいかな?」
せっかく盛り上がってきたのに、話はそっちに戻るんだ。
仕方ない。僕は、第二案を持ちかけた。
「……じゃあ、僕のうちで動画、見る? 一人暮らしだから気にしなくていいよ」
あいらは口を開けてポカンと固まっている。大きな口だ。
やばい。変に思われただろうか。僕は下心ではなく、実験パートナーの悩みを解決したいという、親切心から提案をしただけなのに。
「ありがとう! 三好君!」
大きな目の中、星がキラキラと揺れていた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
ミックスド★バス~湯けむりマッサージは至福のとき
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
温子の疲れを癒そうと、水川が温泉旅行を提案。温泉地での水川からのマッサージに、温子は身も心も蕩けて……❤︎
ミックスド★バスの第4弾です。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
【R18】まさか私が? 三人で! ~社内のイケメンが変態だった件について~
成子
恋愛
長身でスタイル抜群の倉田 涼音(くらた すずね)は今年で三十一歳。下着会社の企画部に勤めていて今は一番仕事が楽しい時期だった。仕事一辺倒の毎日で、彼氏といった男性の姿は特になく過ごす毎日。しかし、涼音が慰安旅行で社内の一位、二位を争う男性と関係を持ってしまう。しかも二人と同時に。そして、この二人の正体はとんでもない男だった。
※複数で絡む話です。ご注意ください。
※ムーンライトノベルズに掲載しているものの転載です
おっぱい、触らせてください
スケキヨ
恋愛
社畜生活に疲れきった弟の友達を励ますべく、自宅へと連れて帰った七海。転職祝いに「何が欲しい?」と聞くと、彼の口から出てきたのは――
「……っぱい」
「え?」
「……おっぱい、触らせてください」
いやいや、なに言ってるの!? 冗談だよねー……と言いながらも、なんだかんだで年下の彼に絆されてイチャイチャする(だけ)のお話。
【完結】【R18短編】その腕の中でいっそ窒息したい
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
私立大学の三年生である辻 朱夏《つじ あやか》は大層な美女である。
しかし、彼女はどんな美形に言い寄られてもなびかない。そんなこともあり、男子学生たちは朱夏のことを『難攻不落』と呼んだ。
だけど、朱夏は実は――ただの初恋拗らせ女子だったのだ。
体育会系ストーカー予備軍男子×筋肉フェチの絶世の美女。両片想いなのにモダモダする二人が成り行きで結ばれるお話。
◇hotランキング入りありがとうございます……!
――
◇初の現代作品です。お手柔らかにお願いします。
◇5~10話で完結する短いお話。
◇掲載先→ムーンライトノベルズ、アルファポリス、エブリスタ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる