5 / 12
二人組の男
しおりを挟む
アルカディアとは、僕たちが住んでいるケルト王国に隣接するアルカディア王国のことだ。
もともと太古の昔からアルカディアの民が住んでいた土地を、100年前の世界統一大戦の際、ケルト王国が侵攻し、一部をケルトの領土にした地域、通称ブラッドエリア(血塗られた土地)があり、国境付近では紛争が絶えず起こっていた。
投獄されている人民解放軍の即時釈放を求め、テロ組織「アルカディアの夜明け」による事件が町中で度々起こっていた。
「アルカディアの夜明けって、ヤバいんじゃない?」
モモが男たちに気づかれないように小声で言う。幸いにも僕らの席はレジから遠く、気づかれていないようだった。
「どうしてヤバいの?」
「リコはそうゆうことにホント疎いよね。レンジャーになりたいんだったらちゃんと勉強しなきゃダメよ。」
「はい。勉強します。」
「アルカディアの夜明けは、元ケルトの特殊部隊だった軍人が率いているの。」
「裏切り者ってこと?」
「そうよ。」
「なるほどね。なんかその話、昔父さんがしていたような気がする。」
「リコのお父さんが?」
「うん。僕の父さんはケルトの軍人だったんだ。今はもう死んじゃっていないけどね。」
「お父さんの名前は?」
「リオ・バルト」
「えっ!もしかして、あの狙撃手リオ・バルト?」
「そうだけど、ちょっとモモ、声が大きいよ。」
モモが思わず大声を出したせいで、男が一人、こちらに向かってきた。
「お嬢さん、おしゃべりは禁止だと言っているのが分からないのか。こちらへ来て頂こう。」
モモがレジのほうへゆっくりと歩かされた。背中には銃が突きつけられている。
どうすればいいんだ。
リコがモモを見ると、何やら目で合図をしているように見える。
モモは何かやるつもりなのか。モモが動き出す瞬間に、もう一人を食い止めなければ。
もう一人の男は、リコに背中を向けていた。
やれるかもしれない。
その瞬間、モモがレジの男の腕を掴み、後ろ手に取ったかと思うと男の銃を叩き落した。
あいつやるな。
リコも負けずと背中を向けている男の銃を奪い取り、床に伏せさせた。
鮮やかに連携が決まった。と思ったその時、レジの男は再びモモに銃口を向けていた。
「なにっ!」
左足首のホルスターに、もう一丁銃を隠し持っていたのだ。
「銃を捨てろ。この女を撃つぞ。」
リコは言われたとおりに銃を捨て、床に伏せた。
やっちまった。
「店長はいるか。」
レジの男が言い、店長らしき人物が怯えながら出てきた。
「我らはアルカディアの夜明け、投獄されている仲間の全員解放を要求する。要求が聞き入れられない場合、この店にいる人間を1人ずつ殺す。この電話を使い、ケルト政府に伝えろ。返事は30分以内だとな。」
状況は最悪だ。
もともと太古の昔からアルカディアの民が住んでいた土地を、100年前の世界統一大戦の際、ケルト王国が侵攻し、一部をケルトの領土にした地域、通称ブラッドエリア(血塗られた土地)があり、国境付近では紛争が絶えず起こっていた。
投獄されている人民解放軍の即時釈放を求め、テロ組織「アルカディアの夜明け」による事件が町中で度々起こっていた。
「アルカディアの夜明けって、ヤバいんじゃない?」
モモが男たちに気づかれないように小声で言う。幸いにも僕らの席はレジから遠く、気づかれていないようだった。
「どうしてヤバいの?」
「リコはそうゆうことにホント疎いよね。レンジャーになりたいんだったらちゃんと勉強しなきゃダメよ。」
「はい。勉強します。」
「アルカディアの夜明けは、元ケルトの特殊部隊だった軍人が率いているの。」
「裏切り者ってこと?」
「そうよ。」
「なるほどね。なんかその話、昔父さんがしていたような気がする。」
「リコのお父さんが?」
「うん。僕の父さんはケルトの軍人だったんだ。今はもう死んじゃっていないけどね。」
「お父さんの名前は?」
「リオ・バルト」
「えっ!もしかして、あの狙撃手リオ・バルト?」
「そうだけど、ちょっとモモ、声が大きいよ。」
モモが思わず大声を出したせいで、男が一人、こちらに向かってきた。
「お嬢さん、おしゃべりは禁止だと言っているのが分からないのか。こちらへ来て頂こう。」
モモがレジのほうへゆっくりと歩かされた。背中には銃が突きつけられている。
どうすればいいんだ。
リコがモモを見ると、何やら目で合図をしているように見える。
モモは何かやるつもりなのか。モモが動き出す瞬間に、もう一人を食い止めなければ。
もう一人の男は、リコに背中を向けていた。
やれるかもしれない。
その瞬間、モモがレジの男の腕を掴み、後ろ手に取ったかと思うと男の銃を叩き落した。
あいつやるな。
リコも負けずと背中を向けている男の銃を奪い取り、床に伏せさせた。
鮮やかに連携が決まった。と思ったその時、レジの男は再びモモに銃口を向けていた。
「なにっ!」
左足首のホルスターに、もう一丁銃を隠し持っていたのだ。
「銃を捨てろ。この女を撃つぞ。」
リコは言われたとおりに銃を捨て、床に伏せた。
やっちまった。
「店長はいるか。」
レジの男が言い、店長らしき人物が怯えながら出てきた。
「我らはアルカディアの夜明け、投獄されている仲間の全員解放を要求する。要求が聞き入れられない場合、この店にいる人間を1人ずつ殺す。この電話を使い、ケルト政府に伝えろ。返事は30分以内だとな。」
状況は最悪だ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
リ・ボール
よもや
青春
自身の夢『サッカーワールドカップ』の舞台についに…監督として、その足を踏み入れた『仁界 巡』。遅くして芽生えたサッカーへの熱い思いを遂げるため、常に全力で試合に臨んでいた。
しかしその最中、彼はトラックに跳ねられ命を落としてしまう。彼の人生は、サッカーに対する知識と情熱を完全燃焼させられないままその人生に幕を閉じてしまった。
しかし、目を覚ますと自分の記憶を保ったまま0歳の赤ん坊に戻っているではないか。
記憶と情熱はそのまんま『リ・ボーン』。ワールドカップの舞台を踏むという人生の目標を成し遂げるために、今度は『選手』として…再びボールを蹴りだす。
徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……
紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz
徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ!
望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。
刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。
視界を染める景色
hamapito
青春
高校初日。いつも通りの朝を迎えながら、千映(ちえ)はしまわれたままの椅子に寂しさを感じてしまう。
二年前、大学進学を機に家を出た兄とはそれ以来会っていない。
兄が家に帰って来ない原因をつくってしまった自分。
過去にも向き合えなければ、中学からの親友である美晴(みはる)の気持ちにも気づかないフリをしている。
眼鏡に映る世界だけを、フレームの中だけの狭い視界を「正しい」と思うことで自分を、自分だけを守ってきたけれど――。
*
眼鏡を新調した。
きゅっと目を凝らさなくても文字が読める。ぼやけていた輪郭が鮮明になる。初めてかけたときの新鮮な気持ちを思い出させてくれる。だけど、それが苦しくもあった。
まるで「あなたの正しい世界はこれですよ」と言われている気がして。眼鏡をかけて見える世界こそが正解で、それ以外は違うのだと。
どうしてこんなことを思うようになってしまったのか。
それはきっと――兄が家を出ていったからだ。
*
フォロワー様にいただいたイラストから着想させていただきました。
素敵なイラストありがとうございます。
(イラストの掲載許可はいただいておりますが、ご希望によりお名前は掲載しておりません)
打ち抜きレッドライン〜平々凡々な僕と噂のビッチゲーマーが大会Lv.99へ挑戦する〜
どっぽは苦手なんだ
青春
近未来、没入型VRゲームが流行する時代。主人公、山田健一は平々凡々な大学生。その日常は活気もなく、バイトと学業が中心だった。そんな彼の生活は、喫煙所で出会った後輩に話しかけられたことで一変する。
学年を飛び越え、様々な男を連れ込むビッチと噂のある女。周囲は冷ややかな視線を向けていたが、実際にはゲームに情熱を注ぐ繊細な少女であることを誰も知らなかった。彼女の願いは名が残る大会で「実績」を残すこと。
この物語は、愛と友情、挫折と成功、努力の結果を描いた青春の物語。彼女の思惑に健一は揺れ動く。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる