皆と仲良くしたい美青年の話

ねこりんご

文字の大きさ
上 下
113 / 153
黒の帳 『一つ目の帳』

+ 天野視点『三人で下校!』

しおりを挟む
 歩き始めてまだ1時間と少し。景色はガラリグラリと変わり、今はマグマが煮えたぎる火山の中。
 見上げれば火山口で、空も少しだが見える。だが、さっきまでは青空だったのが、今では藍色の夜空になっていた。

「おいおい、どうなってやがんだ?」
「なぜか、この空間の時間の流れは長いようっすね」
「で、これは幻だから暑くないんだよね。助かる~」
「そういうわけじゃなく、ここは塔の中だ。温度も塔と同じってだけだ」

 俺はこういう暑苦しいものは、見るだけでも汗が出てくるぜ…。そうだ、試しに触ってみるか。

「よっと…」
『ジュワァ!』
「ドワっ⁉︎ なんだこりゃ、生きてんのか⁉︎」

 マグマに俺の指を近づけた途端、その指をマグマが飲み込もうとした。偶然かと思われそうだが、今のマグマの流れから、微かに脅威のような感覚がした。
 てことは、「俺たちにとって有害な物質=脅威」と考えて良さそうだな。

「おいオメェら! 危険なものに触るんじゃねぇぜ! このマグマみてぇに、俺たちを喰らおうとしてくるぜ!」
「スッゲェ! 体張って実験するなんて、流石父ちゃんだぜ!」
「ニャハハ! やっぱ俺ってスゲェだろ!」
「ただ単に、危機管理能力が低いだけだろ。で、課長。ノールさんは見つかりそうですか?」
「いや…何も感じられない。まだ遠いのかも知れねぇな」

 おいおい、まだ遠いのか? いや待てよ、このドロドロとした流動性のないマグマが脅威ってことは、コイツらはもう死にかけている…っていうことになるよな。
 ニャルほど、面白そうなことができそうだな。

「分かったぜ、この偶像がどういう場所か」
「本当⁉︎」
「分からねぇか?」
「あぁ…ハッキリ言おう、分からない」
「へっ。なら、そのまま分からねぇままで良いぜ。知るだけ無駄だ」

 俺は、分かっちまった。この世界を形成するものが何かを、な。それは、なんとも言えねぇくらい俺には似合わねqqけ結末が起こった証だ。
 なによりコイツらの前では絶対口外できねぇ。こればかりは、何が何でも秘密だ。

「あの…もしかしてっすけど、ノールって-」
「よし、行くぞ! こんな場所、早く抜けてぇしな」
「ドンボ…。そうだな、早く抜けるぞ。キールも、早く会いたいだろ?」
「もちろん! ねっ、早く行こうよ!」

 フォールの一言で、キールは調子に乗って目を閉じて駆け出した。しかし、キールの前にはエルゴがいたためにぶつかった。もちろん、俺の教育で育ったエルゴだ、そう簡単に許すわけはないぜ。

「ちょ、テメェ! 前見て走れや!」
「ご、ごめんね。でも、エルゴのウロコって案外柔らかいんだね。ほら、プニプニ~」
「ちょ、やめ! ダッハハ、くすぐってぇよ!」
「おいキール、はしゃぐのは良いけどよ…その、エルゴが困ってるからその辺にしておいてくれ」
「それもそうだね。アハハ、蛙の子は蛙だね。ホントにそっくり」

 当たり前だろ、そんなことに今更気づくなんて、理解力なさすぎだろ。そう言う俺は、状況把握だけは誰よりも早い自信あるしな。理解力とは、ちっと違うが。
 それはさておき、ズンズン進ませてもらうか。俺の口から語るよりも、そっちのほうが断然マシになるだろ。それに、ただでさえこの空間は時の流れが早い。そうなると、頼りになるのは空だけだ。満月のときまで、残り14日。つまり14時間か。
 辿り着くかが不安だが、辿り着かなきゃなんねぇんだ。やるっきゃねぇ、ってのは楽しみだぜ。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

俺の愉しい学園生活

yumemidori
BL
ある学園の出来事を腐男子くん目線で覗いてみませんか?? #人間メーカー仮 使用しています

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

目の前に色男が!早速ケツを狙ったら蹴られました。イイ……♡

ミクリ21
BL
色男に迫ったら蹴られた話。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

処理中です...