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黒の帳 『一つ目の帳』
ごめんなさい
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クリミツの隣に座らされ、
私は龍牙から詰問されていた。
「まず、いつ出来た」
「今日の朝だよ…」
「誰にやられた?」
「ううん、転んだの」
「へえ、そうか」
龍牙は私の怪我をしていない方の頬に手を伸ばした。その手の形は…これから抓ろうとしている!?
咄嗟に龍牙の手首を掴んで止め、私は白状した。
「あーっ、あのね、天野君!」
「…は?」
うう、龍牙が怒っている。でも龍牙が一緒に居てくれたら殴られなかったかもなー、なんて。だって、いつもは龍牙たちと一緒に登校しているんだ。
…ん?
そういえば、喧嘩のことは?
いつもと同じような雰囲気に飲まれて忘れていたが、私、龍牙と喧嘩したんだよね。でも、もう流してもいいのかな。何であんな悪口を言ったのか、それを知るのが怖い。
龍牙は眉間にシワを寄せ、黙ってしまった。そんな龍牙に代わり、今度はクリミツが話しかけてきた。
「鈴、俺も聞いていいか。朝って教室だよな?」
「ううん、天野君と一緒に登校したよ」
「えっ」
「…あ、あのさ、鈴」
「何?」
「……お、一昨日、の、ことなんだけどさ…」
龍牙も丁度思い出したみたいだ。私たちそろって忘れっぽいな。そのまま二人とも忘れていたら幸せだったのかも?
一昨日のことはあまり思い出したくないが、きちんと話し合っておくのは大事なことだろう。意を決して、私も話を切り出した。
「うん、喧嘩したよね」
「……俺、酷いこと言ったよな。鈴からしたら、真反対のことばっかり言った」
「合ってるのも、あったと思うよ」
「そんなことねぇよ!!」
龍牙の急な大声に驚いた。龍牙はハッとして口を抑えると、気まずそうにまた話し始める。龍牙は何を言い出すんだろうか。予想がつかない。
「…俺、考えてたんだ。鈴ってこんなこと言われたら嫌だろうな、こんな悪口言う奴が居たらどうぶっ飛ばそうかなって感じでさ。だから、俺が鈴に思ってる事じゃなくて、他の奴から見たらこんな悪口出てくるかなーって考えてたことなんだよ」
「…」
「そ、そんで、俺、……紅陵先輩のこと、あんまり好きじゃなくてさ。だって、急にキスするし、下半身緩いし、どっからどう見てもチャラ男じゃんか。なのに、鈴はそんな奴と楽しそうに喋るし、なんか、めっちゃ、仲いい、みたいな、だからおれ、嫌で、ついかっとなって、おれ、すずのこと、きらいじゃないのに、だいすきなのに、ひどいこといっぱいいって、それで」
「分かった、分かったから」
「でも、でも」
「分かったから、泣かないで」
切れ長の三白眼から、ぽろぽろと大粒の雫が流れ落ちていく。
見ていられなくて、龍牙を抱き寄せた。
背中を優しくさすり、ついでに頭も撫でた。髪がサラサラで心地よく、いつまでも触っていたいと思ってしまう。彼の三年間で変わったところは、外見だけだ。
龍牙の、上手く話せず纏まらない癖が出ているのは分かっていた。でも、ありのままの龍牙の言葉を聞いてみたかった。不器用で少し分かりづらいけど、沢山考えてくれたことが充分伝わってくる。
…どこかのいじめっ子とは大違いだ。
龍牙の言うことは合っていた。あの言葉は、私が言われて嫌なところを的確に突いていた。でも逆に言えば、龍牙は私が嫌がることを分かってくれているんだ。友人として、それ程ありがたいことは無いのではないだろうか。
それに、紅陵さんが嫌いな理由も、友人として私を心配してくれているのだと分かる。確かに紅陵さんは危険かもしれない。でも、まだキスだけだし、そこまで手を出されていない。
それに、もし手を出されても、嫌じゃないかも、なんて思う自分もいる。恋愛感情らしきものを向けられて、私は舞い上がってしまったから。
…私チョロいって思われてるんだろうな~。
龍牙のためにも、紅陵さんとはきちんとした関係を築いていこう。龍牙から見た私と紅陵さんの関係って、どういうものなんだろう。
私の立場でなら、龍牙と渡来さんが仲良くしているのを見るようなものなのかもしれない。
…嫌だ、絶対嫌だ。確かに怒っても仕方ないな。
「ごめん、ごめんすず」
「大丈夫」
「おれ、なくとか、だっせーし、ずるい」
龍牙はやはり心優しい。今の言葉で胸がきゅんとなった。悪口を言ったことだけでなく、この場で泣き出してしまったことについても謝っている。確かに、自分が怒っているのに相手に泣き出されてしまったら、それ以上責められなくて感情のやり場がなくなってしまう。
まあ、相手の涙で止まる程度の感情であれば、問題無いと私は思うけれど。
それに、私に龍牙を責める気など一切無い。
「本当に怒ってたら、私だってちゃんと怒るよ…ズルくないよ、だから泣かないで」
「……ごめんなさい。酷いこと言って、ごめん」
「私もごめんね。もっと落ち着いて話せばよかったんだよ。…じゃあこれでおあいこにしよっか」
「…おあいこ?」
「うん」
龍牙の涙は止まったらしい。それを確認し、私は龍牙から離れ、自分の頬を指さした。
龍牙はこの頬の傷に酷く憤慨していた。一昨日の話といえど、私も悪口を言われて憤りを感じた。
私は悪口のことを許して、龍牙はこの傷についてこれ以上責めない。どうだろうか。
それに、天野君とは段々仲良くなっているような気がする。私の気のせいかもしれないが、今までにないタイプの友人が出来るかもしれない。龍牙やクリミツとぶつかり合いそうな性格だから、この二人には少しでいいから大人しくして欲しい。
だから私はこう言った。
「…天野君に、あんまり怒らないであげて?」
「……はぁ?」
「天野君の照れ顔を私が見ちゃったからなんだ。恥ずかしかったみたいで、照れ隠しにビンタされちゃった」
「照れ隠しでビンタ!?」
「何だそれ有り得ねぇだろ!」
「まあまあ、私は」
「天野とも仲良くなりてぇのか!?」
ずっと黙っていたクリミツにまで怒られてしまった。この反応は仕方ないだろうな。
「うん」
「…鈴、酷いことじゃなくて、失礼なこと言うぞ?」
「どうぞ?」
「…マゾかお前」
「はははっ、そんなわけないじゃん!なるべく天野君の攻撃は避けてるよ」
「やっぱりアイツお前のこと殴るじゃねぇか!」
「……あのね、龍牙。ちょっと長い話したいんだけど、いい?」
「おう」
天野君についての二人の印象は最悪だ。だから、その印象を変えてもらうため、この二日間の天野君について話した。
龍牙に冷たい態度をとられて泣き出した私を、不器用ながらも慰めてくれたこと。パシリという名目だが、俺が代わりに守ると言ってくれたこと。
よし、この話で伝わったはず!
だけど、話し終えた後の二人は、しっくりきていない様子だった。
「…俺が考えてること、分かるよな、クリミツ」
「ああ、任せろ」
二人は意気投合して何かを約束している。クリミツが任せろなんて言うなんて、天野をぶちのめすぜ!みたいなことしか考えられない。違う、違うよ。
伝えたいことが全く伝わってないじゃないか。
「ちがっ、違うんだって!天野君は助けてくれたの」
「いや、殴るわけじゃない。警戒しようなって話だ」
「そうそう。鈴は知らなくていいからな、な~龍牙!」
「おう!」
何か、納得いかない。二人だけの秘密みたいだ。
何で私には隠すの。
怪我をしていない方の頬を膨らまして拗ねてみせると、クリミツが笑いながら突いてきた。
「膨れんなよ鈴~、龍牙何か言ってやれって」
「一つ言っとくぞ、鈴」
「……何」
「天野と二人きりになるなよ、いいな?絶対だぞ」
「………? 分かった」
殴られるから、みたいな意味だろうか。確かにビンタで思い知ったので言う通りにしよう。もう殴られるのはごめんだ。
その時、今日何度目かのチャイムが鳴った。
…何のチャイムか分からない。時間感覚が狂っているせいもあるが、授業をサボっているのだから当然だろう。
だけど龍牙はハッと何かに気づいた顔をして、スマホを素早く確認した。
「…あ、俺部活見学あるんだよ!」
初耳だ。それと、失礼だが、不良校で真面に機能する部活動があるとは思えない。一体どんな部活だろう、気になる。龍牙は急いでいるようだから、また明日にでも聞かせてもらおう。
「鈴は一緒に行くか?」
「私、部活には入らないでおこうと思ってるんだ。バイトしたいから」
「そうか…、じゃあクリミツ、行こうぜ。鈴、俺ら遅くなるから先に帰っといてくれ」
「おう。じゃあな鈴、昼飯忘れずに食えよ」
そこまで言われて、初めてお昼ご飯のことを思い出した。いつもはお腹が空くと我慢できないのに…。今日はいつもより緊張していたのかもしれないな。
二人に手を振り、保健室を出て行くのを見送った。保健室に一人、何だか気が抜けて安心する。そういえば、先生、保健室に誰か残っていてくれ、と言っていたな。
ならここでお弁当を食べよう。
紅陵さんは今日も屋上で食べているのかな。そういえば朝は雨が降っていた。紅陵さん、雨が降ったらどこで食べるんだろう。そういえば、雨はもう止んだかな。そう思い、外を見てみれば、
天野君と、目が合った。
あっ。
明るい視界、鼻に前髪がかからず快適な状態。
紛れもなく今の私は『りん』だった。
私は龍牙から詰問されていた。
「まず、いつ出来た」
「今日の朝だよ…」
「誰にやられた?」
「ううん、転んだの」
「へえ、そうか」
龍牙は私の怪我をしていない方の頬に手を伸ばした。その手の形は…これから抓ろうとしている!?
咄嗟に龍牙の手首を掴んで止め、私は白状した。
「あーっ、あのね、天野君!」
「…は?」
うう、龍牙が怒っている。でも龍牙が一緒に居てくれたら殴られなかったかもなー、なんて。だって、いつもは龍牙たちと一緒に登校しているんだ。
…ん?
そういえば、喧嘩のことは?
いつもと同じような雰囲気に飲まれて忘れていたが、私、龍牙と喧嘩したんだよね。でも、もう流してもいいのかな。何であんな悪口を言ったのか、それを知るのが怖い。
龍牙は眉間にシワを寄せ、黙ってしまった。そんな龍牙に代わり、今度はクリミツが話しかけてきた。
「鈴、俺も聞いていいか。朝って教室だよな?」
「ううん、天野君と一緒に登校したよ」
「えっ」
「…あ、あのさ、鈴」
「何?」
「……お、一昨日、の、ことなんだけどさ…」
龍牙も丁度思い出したみたいだ。私たちそろって忘れっぽいな。そのまま二人とも忘れていたら幸せだったのかも?
一昨日のことはあまり思い出したくないが、きちんと話し合っておくのは大事なことだろう。意を決して、私も話を切り出した。
「うん、喧嘩したよね」
「……俺、酷いこと言ったよな。鈴からしたら、真反対のことばっかり言った」
「合ってるのも、あったと思うよ」
「そんなことねぇよ!!」
龍牙の急な大声に驚いた。龍牙はハッとして口を抑えると、気まずそうにまた話し始める。龍牙は何を言い出すんだろうか。予想がつかない。
「…俺、考えてたんだ。鈴ってこんなこと言われたら嫌だろうな、こんな悪口言う奴が居たらどうぶっ飛ばそうかなって感じでさ。だから、俺が鈴に思ってる事じゃなくて、他の奴から見たらこんな悪口出てくるかなーって考えてたことなんだよ」
「…」
「そ、そんで、俺、……紅陵先輩のこと、あんまり好きじゃなくてさ。だって、急にキスするし、下半身緩いし、どっからどう見てもチャラ男じゃんか。なのに、鈴はそんな奴と楽しそうに喋るし、なんか、めっちゃ、仲いい、みたいな、だからおれ、嫌で、ついかっとなって、おれ、すずのこと、きらいじゃないのに、だいすきなのに、ひどいこといっぱいいって、それで」
「分かった、分かったから」
「でも、でも」
「分かったから、泣かないで」
切れ長の三白眼から、ぽろぽろと大粒の雫が流れ落ちていく。
見ていられなくて、龍牙を抱き寄せた。
背中を優しくさすり、ついでに頭も撫でた。髪がサラサラで心地よく、いつまでも触っていたいと思ってしまう。彼の三年間で変わったところは、外見だけだ。
龍牙の、上手く話せず纏まらない癖が出ているのは分かっていた。でも、ありのままの龍牙の言葉を聞いてみたかった。不器用で少し分かりづらいけど、沢山考えてくれたことが充分伝わってくる。
…どこかのいじめっ子とは大違いだ。
龍牙の言うことは合っていた。あの言葉は、私が言われて嫌なところを的確に突いていた。でも逆に言えば、龍牙は私が嫌がることを分かってくれているんだ。友人として、それ程ありがたいことは無いのではないだろうか。
それに、紅陵さんが嫌いな理由も、友人として私を心配してくれているのだと分かる。確かに紅陵さんは危険かもしれない。でも、まだキスだけだし、そこまで手を出されていない。
それに、もし手を出されても、嫌じゃないかも、なんて思う自分もいる。恋愛感情らしきものを向けられて、私は舞い上がってしまったから。
…私チョロいって思われてるんだろうな~。
龍牙のためにも、紅陵さんとはきちんとした関係を築いていこう。龍牙から見た私と紅陵さんの関係って、どういうものなんだろう。
私の立場でなら、龍牙と渡来さんが仲良くしているのを見るようなものなのかもしれない。
…嫌だ、絶対嫌だ。確かに怒っても仕方ないな。
「ごめん、ごめんすず」
「大丈夫」
「おれ、なくとか、だっせーし、ずるい」
龍牙はやはり心優しい。今の言葉で胸がきゅんとなった。悪口を言ったことだけでなく、この場で泣き出してしまったことについても謝っている。確かに、自分が怒っているのに相手に泣き出されてしまったら、それ以上責められなくて感情のやり場がなくなってしまう。
まあ、相手の涙で止まる程度の感情であれば、問題無いと私は思うけれど。
それに、私に龍牙を責める気など一切無い。
「本当に怒ってたら、私だってちゃんと怒るよ…ズルくないよ、だから泣かないで」
「……ごめんなさい。酷いこと言って、ごめん」
「私もごめんね。もっと落ち着いて話せばよかったんだよ。…じゃあこれでおあいこにしよっか」
「…おあいこ?」
「うん」
龍牙の涙は止まったらしい。それを確認し、私は龍牙から離れ、自分の頬を指さした。
龍牙はこの頬の傷に酷く憤慨していた。一昨日の話といえど、私も悪口を言われて憤りを感じた。
私は悪口のことを許して、龍牙はこの傷についてこれ以上責めない。どうだろうか。
それに、天野君とは段々仲良くなっているような気がする。私の気のせいかもしれないが、今までにないタイプの友人が出来るかもしれない。龍牙やクリミツとぶつかり合いそうな性格だから、この二人には少しでいいから大人しくして欲しい。
だから私はこう言った。
「…天野君に、あんまり怒らないであげて?」
「……はぁ?」
「天野君の照れ顔を私が見ちゃったからなんだ。恥ずかしかったみたいで、照れ隠しにビンタされちゃった」
「照れ隠しでビンタ!?」
「何だそれ有り得ねぇだろ!」
「まあまあ、私は」
「天野とも仲良くなりてぇのか!?」
ずっと黙っていたクリミツにまで怒られてしまった。この反応は仕方ないだろうな。
「うん」
「…鈴、酷いことじゃなくて、失礼なこと言うぞ?」
「どうぞ?」
「…マゾかお前」
「はははっ、そんなわけないじゃん!なるべく天野君の攻撃は避けてるよ」
「やっぱりアイツお前のこと殴るじゃねぇか!」
「……あのね、龍牙。ちょっと長い話したいんだけど、いい?」
「おう」
天野君についての二人の印象は最悪だ。だから、その印象を変えてもらうため、この二日間の天野君について話した。
龍牙に冷たい態度をとられて泣き出した私を、不器用ながらも慰めてくれたこと。パシリという名目だが、俺が代わりに守ると言ってくれたこと。
よし、この話で伝わったはず!
だけど、話し終えた後の二人は、しっくりきていない様子だった。
「…俺が考えてること、分かるよな、クリミツ」
「ああ、任せろ」
二人は意気投合して何かを約束している。クリミツが任せろなんて言うなんて、天野をぶちのめすぜ!みたいなことしか考えられない。違う、違うよ。
伝えたいことが全く伝わってないじゃないか。
「ちがっ、違うんだって!天野君は助けてくれたの」
「いや、殴るわけじゃない。警戒しようなって話だ」
「そうそう。鈴は知らなくていいからな、な~龍牙!」
「おう!」
何か、納得いかない。二人だけの秘密みたいだ。
何で私には隠すの。
怪我をしていない方の頬を膨らまして拗ねてみせると、クリミツが笑いながら突いてきた。
「膨れんなよ鈴~、龍牙何か言ってやれって」
「一つ言っとくぞ、鈴」
「……何」
「天野と二人きりになるなよ、いいな?絶対だぞ」
「………? 分かった」
殴られるから、みたいな意味だろうか。確かにビンタで思い知ったので言う通りにしよう。もう殴られるのはごめんだ。
その時、今日何度目かのチャイムが鳴った。
…何のチャイムか分からない。時間感覚が狂っているせいもあるが、授業をサボっているのだから当然だろう。
だけど龍牙はハッと何かに気づいた顔をして、スマホを素早く確認した。
「…あ、俺部活見学あるんだよ!」
初耳だ。それと、失礼だが、不良校で真面に機能する部活動があるとは思えない。一体どんな部活だろう、気になる。龍牙は急いでいるようだから、また明日にでも聞かせてもらおう。
「鈴は一緒に行くか?」
「私、部活には入らないでおこうと思ってるんだ。バイトしたいから」
「そうか…、じゃあクリミツ、行こうぜ。鈴、俺ら遅くなるから先に帰っといてくれ」
「おう。じゃあな鈴、昼飯忘れずに食えよ」
そこまで言われて、初めてお昼ご飯のことを思い出した。いつもはお腹が空くと我慢できないのに…。今日はいつもより緊張していたのかもしれないな。
二人に手を振り、保健室を出て行くのを見送った。保健室に一人、何だか気が抜けて安心する。そういえば、先生、保健室に誰か残っていてくれ、と言っていたな。
ならここでお弁当を食べよう。
紅陵さんは今日も屋上で食べているのかな。そういえば朝は雨が降っていた。紅陵さん、雨が降ったらどこで食べるんだろう。そういえば、雨はもう止んだかな。そう思い、外を見てみれば、
天野君と、目が合った。
あっ。
明るい視界、鼻に前髪がかからず快適な状態。
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