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穢してやろう
しおりを挟むドサッと冷たく硬い床に転がされ、更に脇腹に蹴りを入れられてクローヴェルの意識は覚醒する。
「ぐっ……ごほっ……かはっっ」
苦しげに咳き込みながら目を開いたクローヴェルは、そこに教会の女神の像をみとめて息を呑んだ。思わず片膝をつき、手を組み合わせる祈りの姿。
「嗚呼……清く尊き我らが母よ、主よ……」「くっく……この期に及んでお祈りかァ……? 聖職者ってのはどうしようもねぇ。聖なるママの足下に縋り付いて救いを求めるだけなんざァ、情けねえことこの上ねえなァ」
そこに割り込むように、嘲弄する悪魔の声。
クローヴェルはハッとして顔を上げた。瞬間、散らかり混乱していた記憶が繋がっていく。
「……貴様。……なぜ、ひと思いに私を殺さん」
クローヴェルの険しい眉がきりきりと寄っていき、眉間の皺を濃く深くした。
元々青白い顔は、力の消耗のためか一層白く、既に死人めいた色をしている。
バサ、と翼をはためかせ、黒い悪魔はクローヴェルの眼前に浮かび上がった。
長く尖った爪を持つ手が、クローヴェルのやつれがちの頬をするりと撫でる。
「……!?」
ぞわ、とクローヴェルの体に奇妙な怖気が走った。本能だったろうか。パンッとその手を払いのけ、睨み付ける強い眼差し。
「答えよ。……わ、私の最期の願いを叶えるはずではないのか」
悪魔が、ククッと喉の奥を震わせて笑った。
「あぁ、そうだぜ。……言ったからにはたがえる訳にゃいかねぇ。それが俺たちの決まり。……命でも魂でも、おまえはそう言ったなァ司祭。……俺は約束を守るぜ。おまえが約束をたがえん限りはな」
悪魔の物言いに、クローヴェルの表情は曇った。理解がいまひとつ及びきらない、そういう顔だった。
「俺たちはな、おまえのような高潔でございって顔した聖職者どもの、信仰と魂を穢せば穢すほど力が増すのさ。良い魂ほど堕とした時のご褒美もでかい。……なァ、司祭。あぁ、こいつはいささか他人行儀だな。名前は?」
悪魔の言葉は、クローヴェルの警戒を強めるのには十分なものだった。
「名乗るわけなかろう……! この流れでッ」
実に尤もなクローヴェルの回答に、悪魔はまたおかしげに笑った。
「それもそうかァ。はっは! なら、あとで名乗りたくなるようにしてやろう。……あとで、な」
悪魔の手が、クローヴェルの薄い胸板に触れる。今はもう神の聖印も消えていた。
「……。そうか、わざわざ教会で、主の元で私の心臓を握りつぶそうとでも? ……せめて汚してくれるなよ、掃除が……大変だから」
クローヴェルの脳裏に、ふいに浮かぶのは最近通って来るようになった掃除婦の娘のことだった。記憶を失い、名すら覚えていなかった彼女に、名前と住むところと職を与えた。
(あぁ……セレミア、すまない。あの子が今頼れるのは、私だけだろうに……こんなことになって)
クローヴェルの胸の内に、無力感が広がっていく。悪魔とは言え自分を守ろうとして消え去ったミーアのことが、更に胸を突くようで。
或いは、ここで与えられる死は救済ですらあるのではないか、とそんな埒もないことを考えた。
しかし。
「……? ……!? あっ……っ」
そこに覚悟した痛みはなかった。代わりに、きゅうっと胸の先の小さな突起を悪魔の鋭い爪が抓む、ゾワッとした奇妙な感覚にクローヴェルは目を見開いた。
「思い込みが激しいなァ、司祭……それは現実逃避なのか? ……誰が、すぐに楽にしてやるって言ったよ」
悪魔の揶揄する声がクローヴェルのすぐ耳元でした。
クローヴェルの首に絡みつくように回された腕と、はだけられたシャツの隙間から入り込んだ手と。その指先がくにくにと弄り回す胸の先と。
「!? ……な、なに、を!?」
未だ理解が追いつかずに狼狽えるクローヴェルに、悪魔はどこか憐れむような顔で笑った。
「高潔な魂は、穢してから喰らう。……ほら、楽しもうぜぇ、司祭様ァ?」
クローヴェルが何かを言うより先に、悪魔の長く蠢く舌がその口の中に割り込んでいった。
「んッ……ぅうッ!?」
ぬる、と口の中に入り込む肉厚の舌が、クローヴェルの言葉と呼吸を奪っていく。長い舌先は喉の方まで伸びてコツコツとそこをつつき、逃げようとする舌を絡め取って、くちゅり、くちゅ、と唾液にまみれさせていく。
「ふっ、う……んぅ……っ、う!」
尚も逃れようと頭を振り、体をよじるクローヴェルに、悪魔の強い力はしかしそれを許しはしなかった。
胸元に入り込んだ手が、くにくにくりくりと突起を捏ねて抓んで潰す。
息もできないおぞましい口付けのせいか、それとも胸の先に与えられるその刺激のせいか、はたまた両方か。
クローヴェルの体がビリッと微かに痺れたように小刻みに震え、抵抗する力が弱まっていった。
◆
ぢゅ、ぐちゅ、と静謐な教会には不似合いな音が響く。
ぬる、と銀の糸を引きながらようやく舌が抜かれる頃には、クローヴェルの体はすっかり力が抜けて、悪魔の腕の中にくたりと抱き留められていた。
青白い顔に微かに赤味が差し、夜明けの空のような色の瞳はぼんやりと夢見心地に潤む。
「は……ぁ、……ん、ひッ……ぁン!?」
そうしてぐったりと力の抜けた体に、ビリッと駆け抜ける痺れるような感覚に、ぼんやりしていた目が大きく見開かれる。
悪魔の指の先が、キュッと胸の先を抓んで刺激した。すでにそこはぷっくりと膨らみ、芯を持って熱く疼きすらして。
「っ、あ、ふ……ぅ、な、なん、……よ、よせ……!」
漸く、自分が何をされているのか、されようとしているのかに思い至ったクローヴェルは、ともすれば奇妙な刺激に呑まれそうになる意識を強く持ち堪えその手を振り払った。
今度こそ悪魔の腕から逃れようとして、しかし足にも腰にも力が入りきらずに床にへたり込むことになった。
「う、ぁ……」
その様子を、ただニヤニヤと笑いながら見下ろしていた悪魔は。
「どうしたァ、淫魔とは懇ろの仲って訳じゃなかったかァ? ……それとも、だからこそか? 操でも立てようって? ……無駄だぜ、あいつはとっくに俺の力の糧になって消えた。毎晩淫魔に遊んでもらってたなら、慣れたもんだろう?」
「な……ッ……」
クローヴェルの表情が強張り、激昂しかけて、だが勢いを失っていく。
ミーアに対してはずっとすげなくしてきた。淫魔に身も心も許すつもりはなかったからだ。だが、にも関わらず、彼女は身を挺してクローヴェルを守った。その為にこの悪魔に喰われた。その事実がことさらにクローヴェルの心を抉った。
よろよろと蹲り、手を組み合わせ。
「嗚呼……」
しかし、悪魔のために神に祈ることはできない。ミーアへの罪悪感と神を裏切ったかのような罪悪感とが同時に心を苛み、何に祈り縋れば良いのかもわからずただ呻くことしかできなかった。
その姿を、しばらく黙って見下ろしていた悪魔は。
長い爪の先でクローヴェルの顎をつまみ、ぐいと上向かせる。心許なげに揺れる夜明け色の瞳。
「すっかり意気消沈てとこか? ……可哀想になァ、あの淫魔。まだ生まれたてだろうに。だがなァ……悪魔の世界は弱肉強食さ。喰うか、喰われるか。……くくっ、だが心配するな。おまえも、すっかりどうしようもなくなったら、俺が綺麗に喰ってやるから。……今は、……些細なことだ、忘れちまいな」
ざらりと鼓膜を直接震わすような優しげな声で悪魔が言う。
その長い爪は、クローヴェルの顎をすりすりと撫でると、こけた頬を辿り、耳を撫で、きっちりと撫で付けた髪の生え際を撫でていく。
その手もまた、やけに優しく、自然とクローヴェルの身の強張りを解きほぐすようでもあった。
「わ、忘れる……ことなどっ……」
それでも、震える声で絞り出された声は、まだ確かな意思を持つ。
悪魔は笑った。
「そうかァ……妬けるねぇ。なら……力尽くで忘れさせてやろうか」
ドッ、とクローヴェルの体が床に倒れ込む。抵抗しようにも不意を打たれて、そもそもそうするだけの余力ももはや残ってはいないというように、実に呆気なく。
「っう……、……! あ、ま、待て……待て、何を、何をする気だ!?」
既におおよその予想はついているのだろう、だが同時にそれを認めたくない心も働き、クローヴェルは必死な声で問う。
その様が面白かったのか、悪魔はまたもや笑う。
「何って……ナニだよ……。俺の燃えたぎるイチモツを、おまえのここにぶち込んで、身も心も俺のモノにするのさ」
悪魔の腕が、クローヴェルの足を掴んで大きく割り開かせた。ズボン越しに、ぐりぐりと爪先がそこを躙る。
ゾッ、とクローヴェルの腰を貫いていく怖気にも似た感覚。
「っ、ば、ばかな……ことを……ぁ、い、いやだ……! そんなこと……不浄だ、不潔だ、許されん!」
「莫迦かァ? だからやるんだろうが。身も心も犯して、穢して、魂を喰らう。そう言ったはずだぜ」
必死に言い募るクローヴェルに、悪魔は愉快そうな、しかし呆れも混じる声で返した。「そ、……そのような、こと……」
なおもいやいやと駄々をこねるように首を振るクローヴェルの様子に、悪魔はニヤァと口角を吊り上げる。
手を引いて上半身を引き起こさせ、言った。
「なら……コッチで、俺を気持ち良くさせてみろ。できたら、……考えてやるよ」
ぐに、と指がクローヴェルの下唇を抓んで引っ張る。
「っ、な……で、できるわけ……そんなこと……む、無理だ、できない!」
「……いやだ無理だできないってなァ、それじゃ……ははぁ? 約束は反故か? 命も魂も引き換えに街を害するなって話は……」
クローヴェルの顔色が変わる。ぐっと喉を引き攣らせ、息を呑み、震えた。
ここで約束をたがえれば、この強力無比の悪魔は街を蹂躙し尽くすだろう。
そうして更に力を得て、聖都にまで行くかもしれない。そうすれば被害は一層増える。それは、それだけは許してはならないことだった。
クローヴェルはぐ、と唇を噛み、拳を握りしめる。
「……。く、……う、わ、わかった。しかし、な、なにを……どう、どのように、すれば……」
いいのか。わからない。というのもまた本音だ。
三十になるこの歳まで、実に清らかに生きてきたクローヴェルである。そういうことを知識として知らない訳ではないが、経験などあろうはずもなかった。
「はっ……うぶな生娘かよ。いい歳してなァ……? いいぜ、口開けな。ちゃんと、教えてやるからよぉ」
トントン、と促すように悪魔の指がクローヴェルの唇を叩く。
クローヴェルは、ひどく気の進まない、苦痛を堪えるような顔で、そっとその口を開いた。
◆
ずるり、と。引き出された悪魔のソレは、太く大きく、黒々として、既に十分に芯を得てそそり立っていた。
目の前に翳されたそれが、一般的な人間のモノとは比べるべくもなく大きいことはクローヴェルにもわかる。わかるゆえに引けた。身も心も後じさる。
「い、いくらなんでも……」
大きい。こんなものをどうすれば良いのか?
クローヴェルにはもはや恐怖と困惑しかなかった。
(こ、こんなものを私に突っ込もうとしていたのか……!? 悪魔めッ……)
罵倒にもならない罵倒を心の内で吐きながら、床に跪いたまま、自分を見下ろす悪魔をクローヴェルはちらりと窺うように見上げた。
「くくっ……こういうのもな、そのうちすっかり慣れて……これでなきゃ物足りなくなってくのさ、人間は。……ほら、まずは舌だ、棒付きキャンディでも舐めるみたいにしゃぶるんだよ。おまえだって、どこをどうされたら気持ちいいかくらい、わかるだろ? ついてんだから」
「っな、……!」
悪魔の物言いは、クローヴェルの潔癖な羞恥心を煽る。しかし、ぐっと呻いて反論には至らなかった。
言われた通り、おそるおそると舌を出し、そそりたつ黒々とした逸物にそうっと触れる。
チロ、と舌先で確かめるように、太く張り出す雁首を舐めた。
「そうそう、やればできるじゃねえか。じっくり、ねっとり、良い感じに、ねぶってしゃぶってくれよなァ」
「そ、……そう、は、言っても……くっ、ぅう、主よ……」
恐るべき屈辱に震え、救いを求めて思わずといった風にクローヴェルの口からは祈りの言葉が漏れる。
しかしそれは空虚だ。
悪魔の、小馬鹿にしたような笑い声が頭上から降る。
更なる屈辱に晒されることになりながら、クローヴェルは悪魔のそそり立つモノに舌を這わせていった。
最初は先端を、チロチロと遠慮がちに。舌先が切れ込みに触れると、
「ぅ……はぁ、ぁ、いいぞ」
ひくり、と震えて、いかにも気持ちよさそうな声がクローヴェルの頭上から降ってくる。
その反応を見て、チロチロと舐める舌は重点的に先を責めていく。赤い舌が、黒い逸物の先端を這い回り、ペロペロと必死に。
「は……まさか、本気でガキがあめ玉しゃぶる真似をしろとは言ってねぇんだが。おい、もっと、咥え込んだり啜ったり、手も使って全体を扱くんだよ」
単調な舌使いに焦れたのか、呆れたように悪魔の指示が降る。クローヴェルはうっと呻いて、顰めた顔で見上げた。
「なんだ、不満か……? 上の口で満足にご奉仕できないなら、下を使うだけだぜ」
「……! く、いや、いやだ、それは本当に無理だ! 絶対!」
物理的にも無理だと思えてならない。取り返しのつかないことになる。恐ろしい未来視に震え、クローヴェルは言われた通りにするしか選択肢はないことを悟った。
顔を顰め、ぎゅっと目を瞑って、微かに汁を滲ませる先端にチュウっと吸い付き、啜る。
「う゛っ……に、にが」
じゅわっと溢れ出た先走りが舌の上に広がり、漏れるのは泣き言めいた声だった。
それでも、それを絡め取るように舌を動かし、這わせながら、両手で太い竿部分を掴む。
大きなソーセージにかぶりつくように口を開け、咥え込んだ。
「んっ……ふ、はぁ……いいぞ、やればできる、な。……口と、舌全部で、気持ち良くするんだ」
「んぐッ……ふう゛……ぅ」
口の中に銜え込んだ瞬間、どくりと脈打ちただでさえ大きなソレが更に膨れ上がったようだった。
クローヴェルは苦しげに呻く。
ちゅ、ちゅく、手で包んだ竿を根元から扱き上げるように擦りながら、口の中一杯に頬張ったモノを舌でねぶり、絡め、ちゅうちゅうと啜る。
舌が引き攣れ、顎が痺れてくる苦しさがクローヴェルを苛む。
一生懸命といえばその通りだが、やはりその舌使いは稚拙で単調でもあった。
ふぅ、ふぅ、と苦しげに呼吸しながら、跪き、女神像の前で悪魔に奉仕する司祭……そういう情景だけでも、悪魔の心はほどよく満たされはしていたが。
「ぁあ、もどかしい……下手クソめ……もういい」
元来短気なたちの悪魔である。
がッとクローヴェルの髪を掴んで引っ張り、ずるりと口から引き抜く。
「んぅ……ぐ、いたっ……! なにす……んぐっっ!」
髪を掴まれた痛みに顔を顰め、抗議するように開いた口の中に。悪魔はズンッと逸物を突き込んだ。
がしりとその頭を掴んで固定しながら、深く喉の奥まで突っ込んだモノを前後に揺する。
そうして激しく腰を動かし、律動した。
「んぐッ、ふっ……う゛っ、ぅあ……!」
逃れようにも強い力で頭を固定され、太く熱いモノが口の中を蹂躙しては閉じることすらままならない。
クローヴェルは苦悶の声を上げながらされるがままになった。
ぐちゅ、ぐちゅ、ごりっ……溢れ出る唾液が悪魔の逸物をぬらぬらと濡らし、滑りをよくさせる。
舌の上を繰り返し通り過ぎる独特の弾力と、口の中に広がっていく苦みのある先走りの汁。呼吸もままならず、意識が白く靄がかる。
縋るように悪魔の両足に手をかけ、クローヴェルは見開いた目で救いを求めるように悪魔を見上げた。
「んぅ……! ぐっ、うっ……!」
「はっ、ぁあ、もう……出るぞ!」
「……!?」
口の中で太く逞しいソレが一層大きく膨張したかと思うと、ぶるんと震えて熱いものを吐き出す。それは直接喉の奥に注がれて、クローヴェルの息を更に苦しくさせた。
「がっ、がはっ……ごほっ……ぅぐっ」
ずる、と引き抜かれていく熱い楔がなくなれば、激しく咳き込みながら口を押さえクローヴェルは床に蹲った。
その顔は涙と鼻水と唾液、そして悪魔の吐き出した白濁で汚れていた。
しばらく、はぁはぁ、と息を整えるのに時間を要して。それからおもむろにクローヴェルは顔を上げた。
「こ、これで……満足か」
口調こそ居丈高に強気ではあったが、その言葉の裏に潜むものに悪魔も気付いたようだった。ニヤニヤと笑う顔。
「下手クソめ。……これでは全然、足りんなァ」
クローヴェルの顔色が変わる。
「な、なんだと……話がちが……うっ!?」
言葉の途中で、クローヴェルはまた蹲った。自らの体を抱くようにぎゅうっと縮こまる。
「どうした……? ん? ……司祭。おい。……くく、まさかとは思うが……」
悪魔の手が、クローヴェルの髪を掴んで再び顔をあげさせる。
「口の中犯されて、感じちまったのか?」
悪魔の足の爪先が、すり、とクローヴェルの足の間に入り込み、股ぐらをぐりりと踏みにじった。
「っ……ぁあ! ッッ」
切羽詰まったような、上擦った声と共にクローヴェルの体がびくりと震える。
悪魔の爪先に、確かにそれを押し返すように反り返る感触があった。
ニタリ、と愉悦の笑みが悪魔の顔を彩る。「くっく……とんだ変態司祭様じゃねえか。えぇ? 無理矢理口の中を犯されておっ勃てるとはなァ!」
「っあ、ち、違う……違う、これは、……な、なにかの……まちが……」
クローヴェルは酷く動揺し、恥辱と屈辱とに混乱していた。その様子を見てニタニタと悪魔は笑う。
「違わない。……おまえは、敬愛する女神様の御許で、憎むべき悪魔の逸物を舐めてしゃぶって喉まで突っ込まれて、感じて勃ててる変態野郎なのさ」
噛んで含めるように、諭すような悪魔の言葉に。クローヴェルの瞳が揺れる。否定しようにも、その身の中心に集う確かな熱は隠しようもない。
ドクドクと鼓動は早まり、血が沸騰するように熱い。
どうにもならない欲が身を焦がす。
「ぁ……そ、そんな、はず……」
ない、と繋ぐ声はか細く消える。
「司祭……もう認めちまえよ……その方が、楽になる。それに……気持ち良くなれるぜ」
ぐに、と悪魔の爪先がクローヴェルの股ぐらをまた踏みにじる。ズボンの下から突き上げるようにそそり立つそれが、爪先を押し返して一層歓喜するようにびくりと震えた。
「ぁッ……!」
クローヴェルの口から戸惑いと共に漏れる声はどうにも甘い。
ふるふると震えるように顔を左右に振るその様子は、叱られるのを恐れる子どものようでもあった。
悪魔の爪先が、すりり、と内腿をなぞってはい上り、ズボンの縁にかかる。
器用に留め具を外して寛げたそこから、張り詰めたクローヴェル自身が元気よく反り返って溢れた。じわじわと既に下着には染みが浮かぶ。
「……ほら、おまえのここは、ぐりぐり踏みつけて、もっと酷くしてくれっておねだりしてるぜ」
下着も爪先でずり下げて、曝け出させたその先端に、爪先をぐりぐりと押しつけて悪魔は囁く。
「んぁっ……ぁあ! ぁ、あ、い、いやだ、いやだ……違う、ぁ……な、なにか、し、したろう!? わ、私を、辱める、ために……」
ビクビクと腰が浮き、耐え難い刺激に震えながら、クローヴェルはキッと眦を吊り上げ悪魔を睨み付けた。その瞳は熱に浮かされたように揺れ、潤んでいたが。
「なにか……って? ……たとえば……ぁ、あぁ、こういう、の?」
面白がるように笑ったまま、悪魔はパチンと指を鳴らした。
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