10 / 30
冒険者ギルド編
10話 クエスト開始
しおりを挟む「じゃあ、始めるか。俺達は離れた所から見ているからお前の好きなように動いていいぞ。」
ファーガスはテストを始める合図を出した。が、俺は山へ入る前にまずはアイテムボックスからモンスター図鑑を取り出した。この図鑑は必要になるだろうと王宮の図書館から持ってきた物だ。モンスターの特徴や生息地、弱点などが事細かく書かれている。
スライムの項目を探して読み始めた。
「……なるほど。これなら効率よくドロップアイテムを回収できそうだ。」
図鑑をアイテムボックスに収めて山の地図を見ながらスライムが発生する沼地へと向かった。
「あの、ファーガス様。あれってカンニングになりませんか?」
そこから少し離れた木の枝に立ちアーノルドの行動を見ていたウィルが隣に立っているファーガスに話しかけた。
「ああ、まあいいんじゃねえの?俺は禁止とは言わなかったし、それに敵の情報を調べるのは冒険者にとっては大事だからな。それを実践で活かせるかどうかだが、まあこのまま見ていようぜ。」
ファーガスは面白そうに目を細めてアーノルドが歩いていくのを見ていた。
“ぽよ~ん、ぽよよよ~~~ん”
沼地を目指して歩いているとスライムが現れた。
「ファイア。」
“ポンッ”
スライムは水系のモンスターで火属性の攻撃に弱いと書かれていたので試しにファイアをぶつけたら簡単に倒すことができた。ドロップアイテムを回収して判定すると【スライムの核 2グラム】と表示されている。
「倒すのか簡単だけどこんな事を、チマチマしていたら日没までに1000グラムなんて集められないな。やはりあの方法を試すしかないか。」
“ぽよ~ん、ぽよよよ~~~ん”
そのまま沼地へと向かっていると再びスライムが現れた。今度は一気に3体出てきた。
一斉に飛びかかって来たスライムを躱してその内の1体を剣で斬りつけた。斬られたスライムが慌てて他のスライムと合体した。3体が合体し1つの大きなスライムとなった。
「これを待っていたぜ。ファイア!!」
“ボンッ!!!”
ファイアをぶつけると弾けるように消えた。アイテムを拾い判定をすると【スライムの核 18グラム】と表示されていた。
「やはりスライム同士で合体すると核の質量が倍になるのだな。これなら日没までに間に合いそうだ!」
俺は意気揚々と沼地へと向かった。
“ぽよ~ん、ぽよよよ~ん、ぼよよ~ん”
沼地に着くとそこには沼が覆いつくされそうなくらいのたくさんのスライムたちが飛び跳ねていた。
「さて、やりますか。」
ある程度、大きくさせてから狩る。この量なら1000グラムは行けそうだ。
まずは個体のスライムを倒さないように剣で弱攻撃を加えた。そしたら面白いようにスライムがどんどんと合体し始めた。
「やば、これやりすぎたか?」
もう少し大きくなってから倒そうとスライムの合体を眺めていたらかなりの大きさになってしまった。高さは既に5メートルくらいにまでになっていた。
踏みつぶされたら確実にただのケガでは済まされないだろうな。だが、俺はこの状況でも何故か胸がワクワクしていた。
“ボヨ~ン、ボヨヨ~ン”
スライムの大きな体が跳ねて俺を踏みつぶそうとしてきた。俺はそれを素早くよける。
「ファイア!!」
“シュンッ”
「何っ?」
ファイアを放ったがスライムはビクともせず火はそのままスライムの体の中で消えた。
「もしかして、まずったか?」
このままではまずいな。何か方法があるはずだ……。
手に持っていた剣に目を向ける。
「一か八かやってみるか。ファイアソード!!」
剣に魔力を注ぎ込んだ。魔鉱石作られた剣なら属性の魔力を込めたら変化できると本で読んだことがあった。試したことはなかったけど意外と簡単にできたことに安心する。
「そんじゃ、行きますか!!」
俺は風魔法を使い高く飛翔してスライムの真上からファイアソードを叩き込んだ。
“ボンッ!!!”
真っ二つになったスライムが大きな音と共に爆散した。
辺りにはたくさんのドロップアイテムが落ちていた。その中で一番大きかったのがスライムの核だった。ドロップアイテムをすべて回収し判定すると。【スライムの核 1100グラム、魔石、ポーション、ハイポーション】などが表示されていた。
「よっしゃ!!これでテストはクリアだな。…ん?」
近くで物音がした気がして目を向けると、草むらのなかに白い塊が見えた。近づくと子犬が血まみれで倒れていた。
「犬というより、オオカミか?しかし、酷い怪我だな……。」
抱えあげるとどうやら息はまだしている。
「アーノルド!!逃げろっ!!!!」
何故かファーガスの切羽詰まった声が聞こえて顔を上げると、そこには巨大な狼が怒りの表情で俺を睨みつけていた。
0
お気に入りに追加
281
あなたにおすすめの小説
召還社畜と魔法の豪邸
紫 十的
ファンタジー
魔法仕掛けの古い豪邸に残された6歳の少女「ノア」
そこに次々と召喚される男の人、女の人。ところが、誰もかれもがノアをそっちのけで言い争うばかり。
もしかしたら怒られるかもと、絶望するノア。
でも、最後に喚ばれた人は、他の人たちとはちょっぴり違う人でした。
魔法も知らず、力もちでもない、シャチクとかいう人。
その人は、言い争いをたったの一言で鎮めたり、いじわるな領主から沢山のお土産をもらってきたりと大活躍。
どうしてそうなるのかノアには不思議でたまりません。
でも、それは、次々起こる不思議で幸せな出来事の始まりに過ぎなかったのでした。
※ プロローグの女の子が幸せになる話です
※ 『小説家になろう』様にも「召還社畜と魔法の豪邸 ~召喚されたおかげでデスマーチから逃れたので家主の少女とのんびり暮らす予定です~」というタイトルで投稿しています。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
精霊に転生した少女は周りに溺愛される
紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。
それを見た神様は新たな人生を与える
親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。
果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️
初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!
スキル『日常動作』は最強です ゴミスキルとバカにされましたが、実は超万能でした
メイ(旧名:Mei)
ファンタジー
この度、書籍化が決定しました!
1巻 2020年9月20日〜
2巻 2021年10月20日〜
3巻 2022年6月22日〜
これもご愛読くださっている皆様のお蔭です! ありがとうございます!
発売日に関しましては9月下旬頃になります。
題名も多少変わりましたのでここに旧題を書いておきます。
旧題:スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~
なお、書籍の方ではweb版の設定を変更したところもありますので詳しくは設定資料の章をご覧ください(※こちらについては、まだあげていませんので、のちほどあげます)。
────────────────────────────
主人公レクスは、12歳の誕生日を迎えた。12歳の誕生日を迎えた子供は適正検査を受けることになっていた。ステータスとは、自分の一生を左右するほど大切であり、それによって将来がほとんど決められてしまうのだ。
とうとうレクスの順番が来て、適正検査を受けたが、ステータスは子供の中で一番最弱、職業は無職、スキルは『日常動作』たった一つのみ。挙げ句、レクスははした金を持たされ、村から追放されてしまう。
これは、貧弱と蔑まれた少年が最強へと成り上がる物語。
※カクヨム、なろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる