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ホワイトチョコレート
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開店してから小夜は元気そうにホワイトチョコのガトーショコラをお客さんに配っていた。
「お友達に大絶賛されました」
とか言ってバリバリの営業をしている。一応いつもより少し安めにデザート代を取ったが、売り上げは良好、流石看板娘だ。
今日はいつもより少し忙しかった。やはりバレンタイン、カップル共が比較的多い。
バレンタインとは無縁そうなおっさん客でも、小夜とおっさんの合作をわりと頼んでいた。
やっと落ち着き始めたのが22時頃だ。小夜が上がるとき、何人かのお客さんが小夜に、「美味しかったです」と言っていた。
小夜は完全に吹っ切れたのか、最後は自然な笑顔で「ありがとうございます」と返事をそれぞれに返していた。
そんなときだった。雪子さんが、なにやら紙袋を持って来店した。
「いらっしゃいませ」
「お世話になります。
小夜ちゃん、上がっちゃった?」
「いえ…」
と会話していると、「雪子さん!」と、着替えを済ませた小夜が客席に現れた。
「こんばんは!雪子さんお花ありがとう!あれから家でも育ててますよー」
「いえいえ。
来月辺りには綺麗に咲くよ。
今日はね、この前のガトーショコラのお返しにと思って」
そう言って紙袋から、雪子さんは小夜に、包装された高級チョコの箱を渡した。
「え、いいんですか!?」
「もちろん。美味しかったわ。私はちょっと作るの苦手だったから…」
「わーい!やったー!友チョコ!」
「あはは、そうね。
小夜ちゃん、どうだったの?」
「あー、ダメでしたよ!」
あまりにも明るく言うから、雪子さんも座るのを忘れて立ち尽くした。
「…そう」
「でも、なんだか元気。みんな励ましてくれたから!」
「あ、雪子さん。いらっしゃーい」
そんな中おっさんがキッチンから顔を覗かせた。
「今日はお返しに来ました。よかったらみなさんで」
そう言って紙袋をおっさんに渡した。
「うわぁ、すげぇ…こんな高いのいいんですか!?」
「ええ。ちょっとお返しが思い付かなくて…出来合いの物で申し訳ないけど」
「全然!てか気を遣わせちゃってすんません!」
ふとおっさんは俺を見て、雪子さんを見た。あ、そっか。お礼言わなきゃ。
「ありがとうございます」
「小夜ちゃん、ちょっとおいでよ!食べよう!
真里!雪子さんからチョコ!」
そう言っておっさんは小夜を手招きし、キッチンに戻った。小夜も雪子さんに軽く会釈をしてキッチンに入って行った。
雪子さんをカウンターに促すと、「この前のハイボールをください」と言った。白州ハイボールを作って出す。
なんだかキッチンが賑やかだ。チョコなんて…って昼間は言っていたのにな。
「小夜ちゃん、なんだかいい女になった感じね」
「うん…そうだといいなぁ」
「光也さん、」
「はい?」
呼ばれて、キッチンの3人から、雪子さんに視線をずらす。雪子さんは何だか少し俯いて、「はい、これ」と言って箱を渡してきた。
「ん?」
「あのね、私ね…唯一作れるお菓子があって…」
「はい」
「バレンタインだし、久しぶりに作ってみようかなって…思ったんだけど、」
え、え?マジか、動揺。
「アップルパイ。ちょっとバレンタインとは関係なくなっちゃったけど…」
「は、はい…」
「色々とお礼。せっかく作ったから、よかったら、貴方に」
え、嘘。
何これ、嬉しい。
「俺、実は」
「ん?」
「林檎、めっちゃ好きなん…です」
危ねぇ、動揺して京都弁が出そうになった。
そんな俺を見て雪子さんは静かに笑った。
「小夜ちゃんもこの前言ってた。みっちゃん林檎好きだから、リンゴジュース私も好きなんですって」
「あぁ、そう言えば」
リンゴジュース、昔からよく家にあったなぁ。
「ありがとうございます…」
「光也ー!これ美味いよ!」
おっさんがテンション高めに現れたので棚にしまった。
「あれ?いい感じだった?」
まったく。
「喜んでくれてよかったわ」
でもそんな笑顔も綺麗だ。
「お友達に大絶賛されました」
とか言ってバリバリの営業をしている。一応いつもより少し安めにデザート代を取ったが、売り上げは良好、流石看板娘だ。
今日はいつもより少し忙しかった。やはりバレンタイン、カップル共が比較的多い。
バレンタインとは無縁そうなおっさん客でも、小夜とおっさんの合作をわりと頼んでいた。
やっと落ち着き始めたのが22時頃だ。小夜が上がるとき、何人かのお客さんが小夜に、「美味しかったです」と言っていた。
小夜は完全に吹っ切れたのか、最後は自然な笑顔で「ありがとうございます」と返事をそれぞれに返していた。
そんなときだった。雪子さんが、なにやら紙袋を持って来店した。
「いらっしゃいませ」
「お世話になります。
小夜ちゃん、上がっちゃった?」
「いえ…」
と会話していると、「雪子さん!」と、着替えを済ませた小夜が客席に現れた。
「こんばんは!雪子さんお花ありがとう!あれから家でも育ててますよー」
「いえいえ。
来月辺りには綺麗に咲くよ。
今日はね、この前のガトーショコラのお返しにと思って」
そう言って紙袋から、雪子さんは小夜に、包装された高級チョコの箱を渡した。
「え、いいんですか!?」
「もちろん。美味しかったわ。私はちょっと作るの苦手だったから…」
「わーい!やったー!友チョコ!」
「あはは、そうね。
小夜ちゃん、どうだったの?」
「あー、ダメでしたよ!」
あまりにも明るく言うから、雪子さんも座るのを忘れて立ち尽くした。
「…そう」
「でも、なんだか元気。みんな励ましてくれたから!」
「あ、雪子さん。いらっしゃーい」
そんな中おっさんがキッチンから顔を覗かせた。
「今日はお返しに来ました。よかったらみなさんで」
そう言って紙袋をおっさんに渡した。
「うわぁ、すげぇ…こんな高いのいいんですか!?」
「ええ。ちょっとお返しが思い付かなくて…出来合いの物で申し訳ないけど」
「全然!てか気を遣わせちゃってすんません!」
ふとおっさんは俺を見て、雪子さんを見た。あ、そっか。お礼言わなきゃ。
「ありがとうございます」
「小夜ちゃん、ちょっとおいでよ!食べよう!
真里!雪子さんからチョコ!」
そう言っておっさんは小夜を手招きし、キッチンに戻った。小夜も雪子さんに軽く会釈をしてキッチンに入って行った。
雪子さんをカウンターに促すと、「この前のハイボールをください」と言った。白州ハイボールを作って出す。
なんだかキッチンが賑やかだ。チョコなんて…って昼間は言っていたのにな。
「小夜ちゃん、なんだかいい女になった感じね」
「うん…そうだといいなぁ」
「光也さん、」
「はい?」
呼ばれて、キッチンの3人から、雪子さんに視線をずらす。雪子さんは何だか少し俯いて、「はい、これ」と言って箱を渡してきた。
「ん?」
「あのね、私ね…唯一作れるお菓子があって…」
「はい」
「バレンタインだし、久しぶりに作ってみようかなって…思ったんだけど、」
え、え?マジか、動揺。
「アップルパイ。ちょっとバレンタインとは関係なくなっちゃったけど…」
「は、はい…」
「色々とお礼。せっかく作ったから、よかったら、貴方に」
え、嘘。
何これ、嬉しい。
「俺、実は」
「ん?」
「林檎、めっちゃ好きなん…です」
危ねぇ、動揺して京都弁が出そうになった。
そんな俺を見て雪子さんは静かに笑った。
「小夜ちゃんもこの前言ってた。みっちゃん林檎好きだから、リンゴジュース私も好きなんですって」
「あぁ、そう言えば」
リンゴジュース、昔からよく家にあったなぁ。
「ありがとうございます…」
「光也ー!これ美味いよ!」
おっさんがテンション高めに現れたので棚にしまった。
「あれ?いい感じだった?」
まったく。
「喜んでくれてよかったわ」
でもそんな笑顔も綺麗だ。
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