読書感想文

二色燕𠀋

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三浦しをん『光』

感想-2

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これは読んでるときにエッセイ?インタビュー?を読んだんですが、
「暴力は返ってくる」というテーマらしいんですが、それ、読み途中段階だったんで、じゃぁ暴力ってなんだろう、と輪郭がはっきりして読み進め、数年後に読み返して「あぁなるほど」になりました。

ただの不倫話じゃねぇのかと。私はどうしても主人公の「信之」の気持ちがわからなかった。

ネタバレかもですが、
信之が美花に300万を突き付けて「これで死んでくれる?お願いよ、 、 、 、」と言ったシーン。

三浦さん的に「ざまぁみろ勘違い野郎!と思って書いてました」とかインタビューで言ってて、
私笑っちゃったんすよね(笑)ごもっともだわと。

始終なんとなく。
口が悪い印象。しかしどうも信之がなんだろな、淡々としている、いわゆる「鉄面皮」なんすよね。
そんな口が悪い感じで進んでいく中のこの文。


 ふと、輔を愛せればよかったと思った。父親に殴られて涙をこらえる小さな輔を、再び現れた父親におびえてすがってきた輔を、「大丈夫だ」と安心させてやれたならよかった。


これで一回ふと現実に、こちらまで戻ってくる。しかし文から目を離すことがなかなか出来ないように少し続くんですよね。そこから信之が輔を殺すのかと、内容をわかっていてもこの辺りの文(p242)は、読み進めるしかない。

そうか、信之も人間かと思わされた文はここだけだなと感じるわけですね。242まで、全然人間味なくて、こいつはなんなんだろ、なんですよ。

最後、故郷を訪問して終わるんですが、全てを読み終えて「なるほど、暴力は返ってくるんだ」漣のようにと、三浦さんのセンスに感服です。

はい、抜粋さよならです。

p261より


 さて、これからどうしよう。地下へつうじる階段の脇に立ち、信之は空を見上げた。
 どうしようもない。死ぬように生きる毎日へ帰るしかない。いつか終わる日まで。
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