25 / 73
White Dust
2
しおりを挟む
「楓ちゃんっ?」
苦いもんだ。
「え、ウェットティッシュあるからあの…」
反応が面白いもんだな。少し微笑ましい気がして腕まで舐めてみればマーサが生唾を飲んだのが見て取れる。
頭を撫でようとしたのか、離そうとしたのか定かになる前に「よい、しょっ、」離れてマーサの性器を抜いたのも少し、痺れる、声が出そうになった。
「…半勃ちでも相当あたるね、」
「おぉお、え?」
「んー、」
驚いたままだったのでそこから押し倒すのは楽だった。
「あ、マジ?もういっ…」と言っている間にマーサのゴムを外すのも楽だった。「え?ちょっ、なに?」と萎えつつある性器を口に含んだらゴムの味、だけど少し苦いような、まだ甘いような。
「ふっ…、」と成り行きを見守っている怯えたような、期待のようなマーサの眼差しに、笑いかけてみたかったが、出来ない。
「楓くん、」とあの男の優しい声が脳に絡み付く気がして妙に傷心していく。それと合わさるように口の中がキツくなるのだから、思考は少し、残虐だなと先を舌で押したり開いたりと味わっていく。
「…っ、」
何も言えずに眺めている彼は皮肉そうな顔をしている気がして仕方ないから、自分の性器に手を掛けるのだけど、「大丈夫だよ、楓、」と悲しそうな気がしたその声は記憶の中でどれとも被らなかった。
そこから眺めてみた彼の、どこか心配そうな宇宙の広さがある瞳に、俺は何に感傷的になっているんだろうか、と少し緊張は解れた。その配慮が時に、呼吸不全になりそうなほど甘く切ないのだから、性器に伸ばした手は行き先を変え、口も離してまずは恋人を上から眺めてみる。
事の成り行きを見つめることにしたらしい恋人に漸く傷心出来たから、上書きして塗りたくりたいな、と自棄になり枕元のローションとゴムを手に取った。
「あ、マジで?そのパターン?」
手に取ったローションの冷たさに「ひや~」と声が出た。これは暫く暖めなければならないと掌で遊んでみる。
「なにが?」
「…いやぁなんと言うか、予想外と言うか…」
「うんまぁ、わくわくする?」
「確かにどっちかなってのは…」
ちょっと遊んでやろうかなと、少し暖まったローションでマーサの性器を握り遊び始めれば「そっちかー!」と言うのには「あはは」と笑ってしまい、ゆったりマーサの穴に指を入れた。
「…たまにあんた、雄スイッチが、ありますよねっ、」
「まぁねぇ」
「…たまには、言ってほし、欲しいもんです、」
「健気に毎回洗ってるの知ってるもん」
「…ヒドイ大人、」
ねちゃねちゃ。
しばらくは無言。久しぶりだなぁ、なんか、わくわくしてきた気がする。
ヒドイ、大人、か。
生でいい?とも聞けなくなったな、ちゃんと、して。
『楓、これはなに?』
母親の困惑した顔がふいに浮かんだ。信じられないだとか、嘘でしょ?だとか、恐怖に近いものだったそれに、あぁ悪いことだったんだと、確信したんだ。
「…まぁさ、」
充分かな、と足を持ち上げて、マーサが力を抜いたのがわかったから、ゴムして場所を確認して、けど。
「ぃっ…!」
息が止まりそうなマーサの息と「うぅっ、」が一気に重なった。
はぁ、と漸く息を一息吐いたマーサの目は、びっくりか痛かったのかまぁ一気に進んでしまったし、涙を浮かべて睨み付けるのが、やっぱり、母親のそれだけど。
自分の汗ばんだ髪が視界に入って、息をしようかと思えば「…ごめんねぇ、マーサ」と、痺れるような、歯が鳴りそうな、なんだか弱い声が出てしまった。
「…楓?」
最悪だろうな。萎えるかもと思ったが、慈悲深い目に変わったマーサが髪を耳に掛けてくれて「…いいよ」と、そのまま手を腰辺りに回す。
熱い。
「頑張って下さいな、楓さん」
「…ははっ、」
笑いと共になぜ泣きそうになるのか。
ギシギシいうベットに「これはお馬さんごっこだよ楓くん」と、先生の膝に乗って、あれは素股だよなとか、はぁはぁいう年下のマーサだとか、ぐちゃぐちゃになる。俺は母の帰りを待っていただけで、先生は優しい先生だったのに、どうして浮上してくるのかな。
「足を閉じておいて」と、言われて、マーサのように、いまのように裸じゃなかったけど、やっぱりおかしかったな、これは、なんなんだろう。
「イくから、」で、最終的にはマーサの方がやはり力持ちだった。軽々半身を起き上がらせてキツくなり「あっ、」と言う間にキスをされて、崩れ落ちるような景色に、二人で駆け抜け、終わってしまった。
力はなくなったが抱き締めてくれたマーサはとても幸せそうに笑ったのだった。
頭が、真っ白になった。じわりと、広がっていく、けど何が混ざる?
誰もいない、空、誰もいない宇宙は。
灰色か。
苦いもんだ。
「え、ウェットティッシュあるからあの…」
反応が面白いもんだな。少し微笑ましい気がして腕まで舐めてみればマーサが生唾を飲んだのが見て取れる。
頭を撫でようとしたのか、離そうとしたのか定かになる前に「よい、しょっ、」離れてマーサの性器を抜いたのも少し、痺れる、声が出そうになった。
「…半勃ちでも相当あたるね、」
「おぉお、え?」
「んー、」
驚いたままだったのでそこから押し倒すのは楽だった。
「あ、マジ?もういっ…」と言っている間にマーサのゴムを外すのも楽だった。「え?ちょっ、なに?」と萎えつつある性器を口に含んだらゴムの味、だけど少し苦いような、まだ甘いような。
「ふっ…、」と成り行きを見守っている怯えたような、期待のようなマーサの眼差しに、笑いかけてみたかったが、出来ない。
「楓くん、」とあの男の優しい声が脳に絡み付く気がして妙に傷心していく。それと合わさるように口の中がキツくなるのだから、思考は少し、残虐だなと先を舌で押したり開いたりと味わっていく。
「…っ、」
何も言えずに眺めている彼は皮肉そうな顔をしている気がして仕方ないから、自分の性器に手を掛けるのだけど、「大丈夫だよ、楓、」と悲しそうな気がしたその声は記憶の中でどれとも被らなかった。
そこから眺めてみた彼の、どこか心配そうな宇宙の広さがある瞳に、俺は何に感傷的になっているんだろうか、と少し緊張は解れた。その配慮が時に、呼吸不全になりそうなほど甘く切ないのだから、性器に伸ばした手は行き先を変え、口も離してまずは恋人を上から眺めてみる。
事の成り行きを見つめることにしたらしい恋人に漸く傷心出来たから、上書きして塗りたくりたいな、と自棄になり枕元のローションとゴムを手に取った。
「あ、マジで?そのパターン?」
手に取ったローションの冷たさに「ひや~」と声が出た。これは暫く暖めなければならないと掌で遊んでみる。
「なにが?」
「…いやぁなんと言うか、予想外と言うか…」
「うんまぁ、わくわくする?」
「確かにどっちかなってのは…」
ちょっと遊んでやろうかなと、少し暖まったローションでマーサの性器を握り遊び始めれば「そっちかー!」と言うのには「あはは」と笑ってしまい、ゆったりマーサの穴に指を入れた。
「…たまにあんた、雄スイッチが、ありますよねっ、」
「まぁねぇ」
「…たまには、言ってほし、欲しいもんです、」
「健気に毎回洗ってるの知ってるもん」
「…ヒドイ大人、」
ねちゃねちゃ。
しばらくは無言。久しぶりだなぁ、なんか、わくわくしてきた気がする。
ヒドイ、大人、か。
生でいい?とも聞けなくなったな、ちゃんと、して。
『楓、これはなに?』
母親の困惑した顔がふいに浮かんだ。信じられないだとか、嘘でしょ?だとか、恐怖に近いものだったそれに、あぁ悪いことだったんだと、確信したんだ。
「…まぁさ、」
充分かな、と足を持ち上げて、マーサが力を抜いたのがわかったから、ゴムして場所を確認して、けど。
「ぃっ…!」
息が止まりそうなマーサの息と「うぅっ、」が一気に重なった。
はぁ、と漸く息を一息吐いたマーサの目は、びっくりか痛かったのかまぁ一気に進んでしまったし、涙を浮かべて睨み付けるのが、やっぱり、母親のそれだけど。
自分の汗ばんだ髪が視界に入って、息をしようかと思えば「…ごめんねぇ、マーサ」と、痺れるような、歯が鳴りそうな、なんだか弱い声が出てしまった。
「…楓?」
最悪だろうな。萎えるかもと思ったが、慈悲深い目に変わったマーサが髪を耳に掛けてくれて「…いいよ」と、そのまま手を腰辺りに回す。
熱い。
「頑張って下さいな、楓さん」
「…ははっ、」
笑いと共になぜ泣きそうになるのか。
ギシギシいうベットに「これはお馬さんごっこだよ楓くん」と、先生の膝に乗って、あれは素股だよなとか、はぁはぁいう年下のマーサだとか、ぐちゃぐちゃになる。俺は母の帰りを待っていただけで、先生は優しい先生だったのに、どうして浮上してくるのかな。
「足を閉じておいて」と、言われて、マーサのように、いまのように裸じゃなかったけど、やっぱりおかしかったな、これは、なんなんだろう。
「イくから、」で、最終的にはマーサの方がやはり力持ちだった。軽々半身を起き上がらせてキツくなり「あっ、」と言う間にキスをされて、崩れ落ちるような景色に、二人で駆け抜け、終わってしまった。
力はなくなったが抱き締めてくれたマーサはとても幸せそうに笑ったのだった。
頭が、真っ白になった。じわりと、広がっていく、けど何が混ざる?
誰もいない、空、誰もいない宇宙は。
灰色か。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる