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小鳥網
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そのまま修業式も過ぎ、いつの間にか夏休みも過ぎていた。
今年は去年よりも勉強に追われることもなく宿題をたんまり残し、本を読んだりしながら過ごした。
夏休みの間に隆平はアイルランドに一度旅立った。隆平が帰ってくるとき、歩と一緒に隆平を迎えに行った。
一ヶ月と言うのはもの凄く長かった。あの交換日記は、理穂が退院まで持っていて、やっぱり溜めてしまい、それから隆平に渡そうにも、日本に隆平がいないので飛ばして歩に渡り、なんだかんだで二週目を迎えた。
大体は進路の話や将来の話が書かれていた。
夏休みの一ヶ月はとにかく長かったけど、その間、昔みたいに歩と深景と花火に行ったり、紫陽花祭りに小夜と二人で行ってみたり、長かったわりには充実した夏休みだった。
高校生最期の夏休みが、多分一番充実していた。
俺の交換日記は大体、観た映画や読んだ本、行った場所のことを書いておく。昔やっていたやつを読み返してみてもそんな感じで。
昔から家は、夏休みといったら旅行だったが去年と今年は行かなかった。
あれからとくに家庭に変化はない。徐々に理穂が、打ち解け始めてくれている訳でもなく。
退院してから理穂は、前よりも家に寄り付かなくなった。
いい加減どうにかしなければと思い、夏休みの終盤、玄関の前で理穂を捕まえた。
「理穂!」
「なに、」
「お前、今からどこに行く気だよ」
「あぁ?いいでしょ別に」
「よくねぇよ。一回来いや」
無理矢理理穂の腕を引っ張って部屋まで連れていく。「痛い、離して!」と言ってるのも無視。
「なんなのよ!」
「いつもさ、夜に出てって何してんの?」
「あ?これだよこれ!」
そう言って理穂に、ケータイ画面を突きつけられた。
出会い系サイトだった。
「なんだこれ」
「嘘はいけないんでしょ?これで金もらってんの。わかる?」
「いつから?」
「だいぶ前」
「へぇ…」
そこで、俺の何かがキレた気がした。
気が付いたら理穂の顔をぶっ叩いていて。頬を抑えて、しかも鼻血まで出てしまったようで、カーペットに血が飛んだ。
「えっ…」
多分、理穂を殴ったのは人生で初めてだった。
「てめぇ、甘やかしてりゃぁ調子に乗りやがって。いい加減にしろ」
少しして我に返ったのか、唖然としていた理穂の目から涙が溢れた。
「痛い、」
その姿は、弱々しくて。
だけど、手は貸さない。
「俺だって、どんだけ痛いと思ってんだよこのバカ!」
「違う!お兄ちゃんのバカ!なんもわかってない!
行かなきゃいけないの!行かなきゃ…」
ケータイが鳴った。理穂のだ。
理穂がビクッとして恐る恐るケータイ画面を見て、電話を取った。
「もしもし…。はい、ごめんなさい、今日は、怪我しちゃって…ちょっ、待ってください明日、明日行きま…」
理穂は力なくケータイを耳から離し、脱力したようにその場に転がした。
なんだ?
「何?誰?」
「もう終わりだ…」
「なんだよ、何があったんだよ」
理穂は泣いていて答えない。
「お兄ちゃん」
「何?」
「お兄ちゃんが言ってるのなんて全部、理想なんだよ」
「は?」
訳がわからない。
理穂のケータイを拾って履歴を見てみた。
漸く自分の大きな間違いに気が付いた。
「お前…なんで…なんで黙ってたんだよ…」
「…さぁ。嘘吐きだから」
全てが、繋がりつつある。
それから俺はゆっくりと、時間をかけて理穂から真相を聞かされることになった。
最早、嘘吐きは、一人ではないことが明白だった。
このままではまた。
またすべてが崩れてしまう。
今年は去年よりも勉強に追われることもなく宿題をたんまり残し、本を読んだりしながら過ごした。
夏休みの間に隆平はアイルランドに一度旅立った。隆平が帰ってくるとき、歩と一緒に隆平を迎えに行った。
一ヶ月と言うのはもの凄く長かった。あの交換日記は、理穂が退院まで持っていて、やっぱり溜めてしまい、それから隆平に渡そうにも、日本に隆平がいないので飛ばして歩に渡り、なんだかんだで二週目を迎えた。
大体は進路の話や将来の話が書かれていた。
夏休みの一ヶ月はとにかく長かったけど、その間、昔みたいに歩と深景と花火に行ったり、紫陽花祭りに小夜と二人で行ってみたり、長かったわりには充実した夏休みだった。
高校生最期の夏休みが、多分一番充実していた。
俺の交換日記は大体、観た映画や読んだ本、行った場所のことを書いておく。昔やっていたやつを読み返してみてもそんな感じで。
昔から家は、夏休みといったら旅行だったが去年と今年は行かなかった。
あれからとくに家庭に変化はない。徐々に理穂が、打ち解け始めてくれている訳でもなく。
退院してから理穂は、前よりも家に寄り付かなくなった。
いい加減どうにかしなければと思い、夏休みの終盤、玄関の前で理穂を捕まえた。
「理穂!」
「なに、」
「お前、今からどこに行く気だよ」
「あぁ?いいでしょ別に」
「よくねぇよ。一回来いや」
無理矢理理穂の腕を引っ張って部屋まで連れていく。「痛い、離して!」と言ってるのも無視。
「なんなのよ!」
「いつもさ、夜に出てって何してんの?」
「あ?これだよこれ!」
そう言って理穂に、ケータイ画面を突きつけられた。
出会い系サイトだった。
「なんだこれ」
「嘘はいけないんでしょ?これで金もらってんの。わかる?」
「いつから?」
「だいぶ前」
「へぇ…」
そこで、俺の何かがキレた気がした。
気が付いたら理穂の顔をぶっ叩いていて。頬を抑えて、しかも鼻血まで出てしまったようで、カーペットに血が飛んだ。
「えっ…」
多分、理穂を殴ったのは人生で初めてだった。
「てめぇ、甘やかしてりゃぁ調子に乗りやがって。いい加減にしろ」
少しして我に返ったのか、唖然としていた理穂の目から涙が溢れた。
「痛い、」
その姿は、弱々しくて。
だけど、手は貸さない。
「俺だって、どんだけ痛いと思ってんだよこのバカ!」
「違う!お兄ちゃんのバカ!なんもわかってない!
行かなきゃいけないの!行かなきゃ…」
ケータイが鳴った。理穂のだ。
理穂がビクッとして恐る恐るケータイ画面を見て、電話を取った。
「もしもし…。はい、ごめんなさい、今日は、怪我しちゃって…ちょっ、待ってください明日、明日行きま…」
理穂は力なくケータイを耳から離し、脱力したようにその場に転がした。
なんだ?
「何?誰?」
「もう終わりだ…」
「なんだよ、何があったんだよ」
理穂は泣いていて答えない。
「お兄ちゃん」
「何?」
「お兄ちゃんが言ってるのなんて全部、理想なんだよ」
「は?」
訳がわからない。
理穂のケータイを拾って履歴を見てみた。
漸く自分の大きな間違いに気が付いた。
「お前…なんで…なんで黙ってたんだよ…」
「…さぁ。嘘吐きだから」
全てが、繋がりつつある。
それから俺はゆっくりと、時間をかけて理穂から真相を聞かされることになった。
最早、嘘吐きは、一人ではないことが明白だった。
このままではまた。
またすべてが崩れてしまう。
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