二色短編集 2019~2020

二色燕𠀋

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夢遊病

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 地球の裏側見てみようか、つま先立ちのその純粋で。
 雨が降った日光浴に、浮遊物質が流れ出すなら、君が排水溝に捨てたものなんて泥水よりも不純な純水。

 明日の外堀閉じてみようか、方足立ちのこの貪欲で。
 光が点った鍾乳洞が、腐乱死体に語り掛けるとき、僕が灰皿で消したタバコなんて導火線と透過に陶酔。

 一枚越しでそれを見ている。

 吐き散らかした平和に受粉する意味を子供達は知っている。猫の声も花粉症も、骨の軋みまでばら蒔かれている。

 路上で死んでいる野良に聞いた。
「君に生きている価値があったか」と。何もかもが泥と雨で酔狂で日も射さないけど、誰もそれを見てはいないから。

 口上で生きている塵は答えた、
「誰に訊く意味があったのか」と。遥か彼方が光に満ちて国境を理解しないけど、本当はみんな分かっているから。

 その手を切ったら生か死か。

 息の根くらい自由に張れよと過呼吸になる夜、僕はいつでも眠れない。夜が怖いと誰かは泣いて、朝が来ないと誰かが笑う。

 そう、いま何時?と目覚まし時計が鳴っている。
 どんな音がするんだろうと耳を澄ましても頭が痛い。
 ああ、いま惨事。とブラウン管が破裂し始めた。
 こんな物がなんなんだろうと目を瞑って視界が悪い。

 自分が知っている言葉など紙一枚。紙一重で平和と戦争。誰の涙と変わらないこと。路上にばら蒔き流してしまえ。さようならとありがとうは言った犯罪。

急速に静脈が溺れてしまった。
ざまあみろと溢れ出してゆく。
紙一枚を剥いて白昼夢。

 自分の裏側の友達を、殺してしまいましたとさ、めでたしめでたし。
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