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The 33rd episode

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「なんつーか、お宅の部署って相当密接っすよね」

 辻井があの意味わからん細ぇタバコを咥えながら言う。俺のパンドラは本日は次元。

「まぁマトリから見たらそうだよなぁ」

 と政宗が染々言う。流星がタバコを出して「うわっ、てめぇ潤…」と咥えたのはどう見ても俺のキャスターだった。

 「あーあ外れだね流星」と和やかに言った祥ちゃんは笑顔ながら、やはり左手でもだついていたので、俺がライターで火をつけてやる。

「ありがと潤。俺も潤のやつだったよ」

 慣れた政宗はぼんやりと「本気で妻感しかねぇな」と苦言。流星は不機嫌そうに眉間をしかめる。

 で、一人慣れない辻井が俺たち全体を眺めるのはわかるが、祥ちゃんが「ん?」と辻井を見て少し鼻を利かせたのは見て取れた。怖い、犬以上の嗅覚。

 不機嫌そうに「なんすか」と返す辻井と、俺を見つめる祥ちゃんに、正直他二人助けてくれよと視線をやるも政宗はそっぽ向く、童貞ワーカホリック流星は「で、」と全く違う雰囲気。

 免職なのに何でこんな気まずいんだよ、マジで。免職だから?

「んーとどーよホテルと大使館」
「あー、鑑識面でも大方方がつきそうだぞどっちも。會澤組と鮫島もお前ら上がってくんならなんとなく繋がりそうだが、潤はどーよ?」
「政宗鑑識は正しいかもな。
 こっちはうーん…なんせホテルも大使館も大体は警視庁に持っていかれたからな。
 江島が逃げおおせたあたりと大学の谷栄一郎の獄中死が納得いかないかな。まだ江島は検察官だった白澤の所業だとわかるが。
 この辺流星に営業頼みたいかな」

 流星が少し俯きながらも自分のタバコを探しあて、二本目にして火をつける。そんなに俺のタバコは森林浴か。しかし祥ちゃんもタイミングが被っていた。

 二度目は最早ライター擦るのがめんどくさいなと思えば、祥ちゃんからシガー直接が来たので火種はOK。あとは俺が色んな視線から耐えるだけだ。

「やっぱそうだよな~…、これはしかし俺が行けたものかなぁ~…、」
「え、てかトクホンアットホーム過ぎて俺ついていけないんすけど」
「マトリはな。だが俺も変態三人を前にしても無なくらいは慣れたぞ辻井」
「俺的に星川さんとこの人どうしたの的な」
「辻井、」
「え、はぁなんですか部長さん」

 タバコで辻井を指すくらいに流星は末期だぞ辻井、私語厳禁だぜ(俺のメンタル的にも)。

「で、會澤組関連からも、俺は帝都の谷栄一郎獄中死に関し営業に出ようと思うが大学方面でのマトリ資料が欲しい」
「ん?」
「あー、うん、俺らが帝都に目をつけた要因なんだよ、それ。マトリが帝都に目をつけた要因って、マトリなんだから麻薬だよな。ちなみに営業って多分、直接赴いて情報かっぱらってくるやつな」
「うーん、まぁ、はい。荒川さん凄いっすねマジで」
「なんだお前も平成か、その返事じゃわからんわおっさんには」

いや言うてお前以外全員平成なんだよ政宗。

「なんなら俺がモグリやるかい流星。警視庁でしょ?俺管轄じゃないからその資料俺も欲しい」
「バカ言え、お前も一般市民だし片手目立つだろ」
「いや、この人って国政の」
「ほら流星、このクソ前髪マジでなんもしらんのだって」
「えー、そんな言い方します?独自のほら、ホスト跡地と會澤の資料持ってきたでしょ俺」
「ヘマしたやつが言うなし」
「いやそれお前も言えなくねぇか潤。
 まーいーわ経理誰かなんとかして。俺やっぱ営業行くわ」
「うわっ、フクブに投げた」
「…もう慣れたよ正直。はいはい。
 潤、お前もうなんかその間こいつのとこ補助ってマジ」
「うっわ~フクブは一般市民に投げた~っ」
「ホントに君らグレーってかもう警察じゃないね。流石高田傘下だよ、俺もう使えなすぎていらなくないかな。俺の国勢調査の意味」
「ゲロ甘だったよな。お前俺のこと嫌いなクセによく首飛ばさなかったよな」

 少し祥ちゃんと流星は、含みある感じで見つめ合っては「まぁね」と祥ちゃんが笑った。
 それに流星は「まぁいいや行くか」とタバコを消した。
 政宗も流星のあとをついて火を消す間、仕方なしとこっちも火を消すが

「まぁ悪かねぇが良くはねぇってことで」

と政宗も祥ちゃんには冷たく言った。
 火を消しながら「嫌われてるなぁ、俺」と軽く言う祥ちゃんは苦笑いだった。

「なんかあんたら、仲良いんだか悪いんだか、微妙っすね」
「まぁね。そんだけまぁ、仕方ないけどね」
「潤ちゃんはその点中立だよなぁ。ま、俺らも行こうか」

 と言いつつ辻井が先に行くのよりも少し遅れてから「ねぇ潤」と、祥ちゃんは俺の右肩を引いた。
 多分、右、わざとだ。

 右耳を貸せば小さな声で「長官暗殺と谷の獄中死、言わなくていいの?」と聞いてきた。

 …谷の、獄中死?
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