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※The 26th episode
7
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「あんたわりと寂しがり屋なんだろ」
「…はぁ?」
「自覚なしか~、萌えるねぇ。
はい、あんたのせいなんでもう今日は終わり。けど予定なくなった。はい行くよー」
「なっ、」
「なに、別にヤらんでも良いし。素面だから。けどあんたが悪い」
「なんで、ふざけてんの撃つぞマジ」
「怖っ。ホントにやりそう。
まぁいいよじゃぁ撃って殺して。それでいーよ」
「は?」
「ま、そんくらい好きになった、ちゅーことで、どう?
いいじゃん一回ヤっちゃったんだし、ちゅーしたし。なに?再選不可?」
「うん、普通に不可」
「じゃぁいいや。また後で再選する」
「えっ」
「諦めないよってこと。つか、同姓なんてめんどくさいもん、それ意味わかるよね?俺わりとマジかもなって」
「…ん?」
「ヤりもくじゃねぇって感じ?それも含めて征服してやる」
こいつ。
「…マジなる変態かよ」
「まぁ、それでいーや」
うーん。
「つか、マジで?」
「だからそうだって」
「なんで俺?」
「知りたかったらはい、行こう」
「ヤりもくにしか思えないけど」
「じゃそれでもいいけど。拒否らないんだ」
「いや…」
拒否る。か?
「わりと相性は良かっ」
「一回だったからね」
して、然り気無く俺のケツを鷲掴みしてくるのとかマジで死んどけバカ野郎。
「でもよか」
「わかった、わかった」
ホントに人目が気になるけど、マジで。
でも拒否ったらここでされそうで嫌だわ。
辻井の背中を叩けば離され、にやり。また手を引っ張り「VIP開いてるかな~」と気色悪い。
「そここだわるの!?」
「当たり前じゃん美人連れ込むのにブタ小屋みたいなとことか萌えない」
「ホントに変態」
「まぁね、よく言われる」
とんでもないのに捕まっちまった。
多分日頃の不摂生の賜物だ。笑えるぜバカ俺。祥ちゃんにメールはした。
けど、まぁ。
結局スイート宿泊で息を切らしたわけだけど。この前と違ってヤケに情緒的でもどかしく求められた気がする。
いちいちする辻井の気遣いを感じてもまぁ、鬱陶しいが悪い気はしない。鬱陶しいけど。
ただ、
そうか、こいつも俺もここに存在するんだったな。
と感じたような気がした。
「この前より断然イイし綺麗だねあんた」
とか平気で言いながらがつがつ攻められるのが凄く羞恥。
てか
羞恥と感じた自分にも驚きで。
「も…少し、」とかねだる自分が別人のようでどこか頭は冴えてるが、本能が麻痺していた。
「なぁに?もう少し、なに?」
すげえ互いに息切れして「手前!手前!」とか。
思い出さない日その①認定した。多分思い出したら俺は後で、燃やされて死にたくなる。
最後は互いに寝落ち。何回だったかわからんくらいにヤってしまった。
一人起きて、まだ寝ている辻井を見ては、
まぁ死なねぇけどマジで辛いわ身体。
そう考えてタバコを吸い、それでも辻井は起きないから部屋代一人分を置いて帰ることにした。
丁度休日。
仕方ないから家に帰れば祥ちゃんが朝飯を作っていて。
「ただいま」
と、掠れた声で俺が言えば心配そうな表情で「おかえり…」とだけ祥ちゃんは言ってくれた。
半ば開き直って堂々と紅茶を入れてからリビングのソファに座る。
少ししてから祥ちゃんが何事もない対応で、スクランブルエッグと焼いたパンとサラダを置いた。
「いただきます」
と手を合わせて食べれば「どうぞ」と優しく言ってくれて。
俺なにしてんだろ、と漸く虚しさが現れた。
「旨い、」
「腹減ってた?」
「んー、多分」
「そう。昨日は食べた?」
「うん。飲んだ」
「なるほどね」
少し溜め息を殺すように息を吐いた祥ちゃんは、だけどすぐに「ふっふっふ」と笑う。
「旨そうに食うなぁ潤」
「おいひい」
「そう。よかった」
コーヒーを優雅に飲んで祥ちゃんは言った。
「意外と元気そうだね」
「まぁ…」
「寝れそうかな、最近の忙しさだと」
「んー…」
まぁ。
「素直だなぁ、潤」
「…うん」
「じゃ、まぁ寝れたら寝な。眠ることは大切だ」
「…祥ちゃんさぁ」
祥ちゃんは俺の問いを待った。
暫く言えない俺にも、待ってくれて。
だからより、言葉が詰まる。
「…祥ちゃんは、どうして、俺といるの?」
「…そうだなぁ」
考えた。
それを待ってみる。
「…隠し事なくエゴをぶちまけると、俺が生きていると、感じるからかもしれない」
「…うん」
「生き方とか、…そもそもは、俺を助けようとした君が、理解出来なかったんだけど」
「祥ちゃん…?」
「いまなら少し、まぁ…」
それから祥ちゃんは黙って朝食を口つけた。
少し寂しそうにも見えて。
ダメかもなぁ、俺はもしかすると。
そう考えていれば見透かしたように「そんな目をしないでよ」と言って祥ちゃんは薄く笑って。
「でも…凄く人らしいよね、潤は」
「祥ちゃんだって…」
「いや、」
どうして?
だってあんただって。
こんな俺をほっとけなくて、自分の死とか訴えとか、捨てたんじゃん。
「…祥ちゃんは、多分、ちょっと不器用だ」
「…そうかも」
「俺は多分、ヘタクソだから」
「…うん」
「なに言いたいかわかんないや」
出てこない。
人ってこれが凄くめんどくさい。
祥ちゃんはいつものように笑い直し、「はいはい、」と宥めるように言った。
「なんとなくしかわかんないけど、いいかい?潤」
「…うん、ごめん」
「いや、俺もごめん」
なんで謝るんだろう。
でも、確実になった。
「…我が儘言っちゃうけど、俺やっぱこのままがいい。祥ちゃん」
「…うん」
「まぁ、嫌なら」
「うん、まぁ考えるわ。
俺はどこか、もしかすると自分のこと、人のこと、受け入れてないから」
「…わかった」
それから静かに朝食を済ませ、
いつも通り静かに眠りについた。
「…はぁ?」
「自覚なしか~、萌えるねぇ。
はい、あんたのせいなんでもう今日は終わり。けど予定なくなった。はい行くよー」
「なっ、」
「なに、別にヤらんでも良いし。素面だから。けどあんたが悪い」
「なんで、ふざけてんの撃つぞマジ」
「怖っ。ホントにやりそう。
まぁいいよじゃぁ撃って殺して。それでいーよ」
「は?」
「ま、そんくらい好きになった、ちゅーことで、どう?
いいじゃん一回ヤっちゃったんだし、ちゅーしたし。なに?再選不可?」
「うん、普通に不可」
「じゃぁいいや。また後で再選する」
「えっ」
「諦めないよってこと。つか、同姓なんてめんどくさいもん、それ意味わかるよね?俺わりとマジかもなって」
「…ん?」
「ヤりもくじゃねぇって感じ?それも含めて征服してやる」
こいつ。
「…マジなる変態かよ」
「まぁ、それでいーや」
うーん。
「つか、マジで?」
「だからそうだって」
「なんで俺?」
「知りたかったらはい、行こう」
「ヤりもくにしか思えないけど」
「じゃそれでもいいけど。拒否らないんだ」
「いや…」
拒否る。か?
「わりと相性は良かっ」
「一回だったからね」
して、然り気無く俺のケツを鷲掴みしてくるのとかマジで死んどけバカ野郎。
「でもよか」
「わかった、わかった」
ホントに人目が気になるけど、マジで。
でも拒否ったらここでされそうで嫌だわ。
辻井の背中を叩けば離され、にやり。また手を引っ張り「VIP開いてるかな~」と気色悪い。
「そここだわるの!?」
「当たり前じゃん美人連れ込むのにブタ小屋みたいなとことか萌えない」
「ホントに変態」
「まぁね、よく言われる」
とんでもないのに捕まっちまった。
多分日頃の不摂生の賜物だ。笑えるぜバカ俺。祥ちゃんにメールはした。
けど、まぁ。
結局スイート宿泊で息を切らしたわけだけど。この前と違ってヤケに情緒的でもどかしく求められた気がする。
いちいちする辻井の気遣いを感じてもまぁ、鬱陶しいが悪い気はしない。鬱陶しいけど。
ただ、
そうか、こいつも俺もここに存在するんだったな。
と感じたような気がした。
「この前より断然イイし綺麗だねあんた」
とか平気で言いながらがつがつ攻められるのが凄く羞恥。
てか
羞恥と感じた自分にも驚きで。
「も…少し、」とかねだる自分が別人のようでどこか頭は冴えてるが、本能が麻痺していた。
「なぁに?もう少し、なに?」
すげえ互いに息切れして「手前!手前!」とか。
思い出さない日その①認定した。多分思い出したら俺は後で、燃やされて死にたくなる。
最後は互いに寝落ち。何回だったかわからんくらいにヤってしまった。
一人起きて、まだ寝ている辻井を見ては、
まぁ死なねぇけどマジで辛いわ身体。
そう考えてタバコを吸い、それでも辻井は起きないから部屋代一人分を置いて帰ることにした。
丁度休日。
仕方ないから家に帰れば祥ちゃんが朝飯を作っていて。
「ただいま」
と、掠れた声で俺が言えば心配そうな表情で「おかえり…」とだけ祥ちゃんは言ってくれた。
半ば開き直って堂々と紅茶を入れてからリビングのソファに座る。
少ししてから祥ちゃんが何事もない対応で、スクランブルエッグと焼いたパンとサラダを置いた。
「いただきます」
と手を合わせて食べれば「どうぞ」と優しく言ってくれて。
俺なにしてんだろ、と漸く虚しさが現れた。
「旨い、」
「腹減ってた?」
「んー、多分」
「そう。昨日は食べた?」
「うん。飲んだ」
「なるほどね」
少し溜め息を殺すように息を吐いた祥ちゃんは、だけどすぐに「ふっふっふ」と笑う。
「旨そうに食うなぁ潤」
「おいひい」
「そう。よかった」
コーヒーを優雅に飲んで祥ちゃんは言った。
「意外と元気そうだね」
「まぁ…」
「寝れそうかな、最近の忙しさだと」
「んー…」
まぁ。
「素直だなぁ、潤」
「…うん」
「じゃ、まぁ寝れたら寝な。眠ることは大切だ」
「…祥ちゃんさぁ」
祥ちゃんは俺の問いを待った。
暫く言えない俺にも、待ってくれて。
だからより、言葉が詰まる。
「…祥ちゃんは、どうして、俺といるの?」
「…そうだなぁ」
考えた。
それを待ってみる。
「…隠し事なくエゴをぶちまけると、俺が生きていると、感じるからかもしれない」
「…うん」
「生き方とか、…そもそもは、俺を助けようとした君が、理解出来なかったんだけど」
「祥ちゃん…?」
「いまなら少し、まぁ…」
それから祥ちゃんは黙って朝食を口つけた。
少し寂しそうにも見えて。
ダメかもなぁ、俺はもしかすると。
そう考えていれば見透かしたように「そんな目をしないでよ」と言って祥ちゃんは薄く笑って。
「でも…凄く人らしいよね、潤は」
「祥ちゃんだって…」
「いや、」
どうして?
だってあんただって。
こんな俺をほっとけなくて、自分の死とか訴えとか、捨てたんじゃん。
「…祥ちゃんは、多分、ちょっと不器用だ」
「…そうかも」
「俺は多分、ヘタクソだから」
「…うん」
「なに言いたいかわかんないや」
出てこない。
人ってこれが凄くめんどくさい。
祥ちゃんはいつものように笑い直し、「はいはい、」と宥めるように言った。
「なんとなくしかわかんないけど、いいかい?潤」
「…うん、ごめん」
「いや、俺もごめん」
なんで謝るんだろう。
でも、確実になった。
「…我が儘言っちゃうけど、俺やっぱこのままがいい。祥ちゃん」
「…うん」
「まぁ、嫌なら」
「うん、まぁ考えるわ。
俺はどこか、もしかすると自分のこと、人のこと、受け入れてないから」
「…わかった」
それから静かに朝食を済ませ、
いつも通り静かに眠りについた。
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