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The 14th episode

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 俺達はそれから射撃場に行き、行ったはいいが俺は撃ち込みをせず、ただただタバコを吸って座っていた。

 政宗と祥真の背中を見ながら、色々思いを巡らせている。
 俺はどうやら思ったよりダメージを食らっているらしい。

「あんた、なかなか…マトリにしてはいい腕ですね」
あんちゃんも一端の公安にしちゃぁ、なかなかゴッついの使ってんな」

そりゃぁそうだ。
二人とも実は一端の公安じゃないからな。片方は国家公安、片方は国家公安という筋書きのスナイパーだからな。

「てかさ」

 政宗がふと銃を下げた。それに祥真は一瞬、何故かひりついた空気を纏い、しかし特有のニヒルな笑顔で「なんですか?」と政宗に問う。
 そしてタバコを取り出した。それを見て政宗もふと笑い、自分もタバコに火をつける。

「ほらそれ、ポールモールとM19。まさしくだよな」
「あ、わかります?
 実はねぇ、これ、彼に憧れて真似してやったら定着したんですよ」

 空気が一瞬にして解れた。
初聞きなんだけどそれ。

「そうだったの?」
「あれ?話さなかったけ」
「初耳ですけど」
「いやぁだから正直チーム組んでるときねぇ、ユミルはワルサー、君は残鉄剣を使ってたら俺達もっと良い明日が待ってた気がするんだ」
「お前ってそんなこと考えながらあんな」

あんなに人ぶっ殺してたのか。

「怖っ」
「なんでよ。いやぁ俺にとっちゃ流星、君のキレっぷりのほうが怖いよ。
 銃捨てて相手のジャックナイフ一本で敵の懐飛び込もうとか、俺もう毛細血管破けるかと思うくらい興奮したからね」
「それもそれだと思う」
「でも揺るぎないのは君のお節介と優しさだね」
「それって褒めてんのか」
「褒めてる褒めてる。まぁそんな君がまさかこんな風にね」

この胡散臭い軽さ、なんかどっかで覚えがある気がするんだが。

 祥真はまた銃を構えた。そして一発撃つ。
 見事に的の真ん中辺りを撃ち抜き、反動で的は少し崩れて後ろに倒れかかっていた。あれはどっちだ。44スペシャル弾か、.375マグナム弾か。いずれにせよ日本警察のものではない。

「俺は君のことを知らなかった」
「…そうか」
「君も俺のことを知らない」
「そうだな」

 先程の部署での話が甦る。聞きたいことは確かにあった。しかし、こいつに聞くと下手すれば。

「君に少し興味が湧いたよ」

 そう言って再び睨むように見られたその冷たい瞳が。
 戦場の祥真を思い出す。そうだ、彼のその死に飢えたようなその目の異名。

「…お前も変わらないな、ショウ」
「やめようぜ、今は」

ケルベロス。
地獄の番犬。彼のスナイパー界でのコードネーム。

「今日は楽しかったよ。
 君の仲間にはお悔やみ申し上げる。帰りに水でも添えてこようか。乾きには、水がいい」

 それだけ言って祥真は先に立ち去った。

何が言いたい。
お前は一体、何をしに来たんだ。

「流星」

 祥真がいなくなったのを確認して政宗に呼ばれる。

「速見を殺した銃跡なんだが」
「はい」
「恐らく、猟銃かなんか、つまり何が言いたいかって」
「まさか」

.375マグナム弾。

「…ああ」

 あいつ確か、速見長官関係で暗殺された横溝について調べていた。
 そして確か、恭太に会ったときに言っていた、「さっきの、具合は大丈夫?」と。

 今回のヤクは2種服用だ。もしも、もしも祥真が恭太と、恭太がゼウスに行く前に接触していたとしたら。

いや、待った。
意味がわからない。そもそも何故祥真がそんなことをするのか。

「しかし政宗」
「なんだ」
「あいつがそんなことをする意味がよく、わからない、見えない」
「…そうか。
 まぁいまは、てめぇの部下の」
「そうだな」

いまはそう。
恭太の元へ行こう。
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