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Past episode four
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宗教施設の入り口に入ってみると、少女が一人、倒れていた。
「待て」と言うより早く、陸がその少女の元に駆けて行き抱き起こす。
「まだ、生きてますよ!」
陸がそう叫ぶのを見て、潤が流星に視線を寄越した。
面倒そうに流星も陸の元へ行くと少女は、青白い顔をしていて。
「大丈夫ですか!?何がありました!?」
「あの…悪い、人が、やって来て…」
「陸、」
陸が少女の声に耳を傾けようとした時だった。
少女がポケットから小さなナイフを光らせた。
陸もそれには気が付き、まるで少女をぶん投げるようにして飛び退く。
唖然とする陸と、即座に銃を抜いた流星。だが陸はまだ、「流星さん、」と、非難のような声をあげる。
ゆっくりと立ち上がる少女の目は最早、純潔とはほど遠い、焦点が定まってないような、狂気に満ちたものだった。
「そう、こんな悪い人が来たの貴方も悪い人なの?ねぇ、ねぇ!」
ハンマーを引く。
陸は「流星さん待って!」とまだ甘いことを抜かしている。
「何故待つ」
「だって、彼女は、勘違いをしているかもしれない」
「お前はここ数ヶ月何を学んできたんだよ」
「…え?」
「お前にはコカインの臭いすら嗅ぎ取れないのか」
「…でも、」
流星は銃を下げた。
ダルそうにタバコを一本取り出して火をつける。
「じゃぁいい。やってみろ。死んでも葬式なんか出てやらんからな」
「…何シテんのリューセー」
呆れたように声を掛けたルークの方に振り向き、流星は笑った。
「ジャパニーズソウルだよルーク」
「…優しいんだか残酷なんだか」
「トリアエズたまにいい男ダネリューセー」
「で、陸。何分ありゃぁあのガキ救えんの?」
「え?」
話している間も陸は立ち上がることすらままならない。多分結構びびってる。
なんせ本人は現場初デビュー。しかも最初に助けた被害者に刃物を向けられたのだから。
「しゃべぇな」
そうこうしているうちに少女は懐から拳銃を取り出した。
それにもまた、驚愕。
「考えてもみろ。こんな誰もいないところで一人無傷でぶっ倒れてるとか、お前漫画の読みすぎだよ」
「でも」
「まぁ、彼女もある意味被害者だ。宗教とコカインのな。だが中毒者は生きるがいいか死ぬがいいか。お前それ考えたことあるか?」
「…流星さん」
流星が真横に視線を一瞬送り、そちらへ発砲した。
一人、何かの神様の像の影に隠れていたらしい男が姿を表す。
「右に3」
流星に潤は冷静に告げる。
「そんなクソガキに構ってルからだよリューセー」
「ざっと10人くらい?左は?」
「お前は右だけやってくれればいいですよ鉄面皮」
「え、俺左がいい」
「ダメ、ブレるから。練習だと思って」
そう言っているうちに「うらぁぁ!」と、左側から突進してきたジャンキーっぽい男を一人、潤が撃ち殺す。
「うぜぇな女顔」
「はいはいクソ童貞」
「だから何度違うって言ったらわかるんだこの淫乱野郎」
「お褒めに預かり光栄だねこのヘタクソ」
「てめぇほど外さねぇよ」
「俺のお陰だな」
「よく言うよこの野郎」
「はっはっは!ナンテ楽しソウなの二人共!おいクソガキ、邪魔ダから退イてよネ」
再びハンマーを引っ張り完全に潤も戦闘体制へ。ルークはいつの間にやらマシンガンを構えている。
「マシンガンとかズルくないかいルーク」
「アメリカンソウルだよリューセー」
「あーはい。化け物には何言ってもダメだね。はい、じゃぁ行きましょうか。間違えて潤のこと撃つなよ」
「流星のことは撃ってもいいよルーク」
「大丈夫、マシンガンだからカンケーない!」
「怖ぇぇ!」。ハモった。
「待て」と言うより早く、陸がその少女の元に駆けて行き抱き起こす。
「まだ、生きてますよ!」
陸がそう叫ぶのを見て、潤が流星に視線を寄越した。
面倒そうに流星も陸の元へ行くと少女は、青白い顔をしていて。
「大丈夫ですか!?何がありました!?」
「あの…悪い、人が、やって来て…」
「陸、」
陸が少女の声に耳を傾けようとした時だった。
少女がポケットから小さなナイフを光らせた。
陸もそれには気が付き、まるで少女をぶん投げるようにして飛び退く。
唖然とする陸と、即座に銃を抜いた流星。だが陸はまだ、「流星さん、」と、非難のような声をあげる。
ゆっくりと立ち上がる少女の目は最早、純潔とはほど遠い、焦点が定まってないような、狂気に満ちたものだった。
「そう、こんな悪い人が来たの貴方も悪い人なの?ねぇ、ねぇ!」
ハンマーを引く。
陸は「流星さん待って!」とまだ甘いことを抜かしている。
「何故待つ」
「だって、彼女は、勘違いをしているかもしれない」
「お前はここ数ヶ月何を学んできたんだよ」
「…え?」
「お前にはコカインの臭いすら嗅ぎ取れないのか」
「…でも、」
流星は銃を下げた。
ダルそうにタバコを一本取り出して火をつける。
「じゃぁいい。やってみろ。死んでも葬式なんか出てやらんからな」
「…何シテんのリューセー」
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「ジャパニーズソウルだよルーク」
「…優しいんだか残酷なんだか」
「トリアエズたまにいい男ダネリューセー」
「で、陸。何分ありゃぁあのガキ救えんの?」
「え?」
話している間も陸は立ち上がることすらままならない。多分結構びびってる。
なんせ本人は現場初デビュー。しかも最初に助けた被害者に刃物を向けられたのだから。
「しゃべぇな」
そうこうしているうちに少女は懐から拳銃を取り出した。
それにもまた、驚愕。
「考えてもみろ。こんな誰もいないところで一人無傷でぶっ倒れてるとか、お前漫画の読みすぎだよ」
「でも」
「まぁ、彼女もある意味被害者だ。宗教とコカインのな。だが中毒者は生きるがいいか死ぬがいいか。お前それ考えたことあるか?」
「…流星さん」
流星が真横に視線を一瞬送り、そちらへ発砲した。
一人、何かの神様の像の影に隠れていたらしい男が姿を表す。
「右に3」
流星に潤は冷静に告げる。
「そんなクソガキに構ってルからだよリューセー」
「ざっと10人くらい?左は?」
「お前は右だけやってくれればいいですよ鉄面皮」
「え、俺左がいい」
「ダメ、ブレるから。練習だと思って」
そう言っているうちに「うらぁぁ!」と、左側から突進してきたジャンキーっぽい男を一人、潤が撃ち殺す。
「うぜぇな女顔」
「はいはいクソ童貞」
「だから何度違うって言ったらわかるんだこの淫乱野郎」
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「てめぇほど外さねぇよ」
「俺のお陰だな」
「よく言うよこの野郎」
「はっはっは!ナンテ楽しソウなの二人共!おいクソガキ、邪魔ダから退イてよネ」
再びハンマーを引っ張り完全に潤も戦闘体制へ。ルークはいつの間にやらマシンガンを構えている。
「マシンガンとかズルくないかいルーク」
「アメリカンソウルだよリューセー」
「あーはい。化け物には何言ってもダメだね。はい、じゃぁ行きましょうか。間違えて潤のこと撃つなよ」
「流星のことは撃ってもいいよルーク」
「大丈夫、マシンガンだからカンケーない!」
「怖ぇぇ!」。ハモった。
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