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HalsioN
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しがみつくように寝る春雪より早く目覚めてしまったり、夜勤で時間が合わず、春雪が家を出た後、実は目覚めたままあまり眠れていないだなんて、誰にも言ったことはない。
けれど真っ直ぐ見てくる…あぁ、確かに美少女だった系の顔だなと思う薄目の彼は分かりやすく眉を寄せ「…なんか、泣きそうになるな」と、素直な子供のように、そう言った。
「んなただのノロケ、普通なら「はいはいそうですか」で終わっまうはずなんだけどな。なんで俺に言うんだか…」
「…大人になるとこうやって汚れていくんだよ」
「そうかなぁ……違うと思うよ」
「はは、君もユキの事、ちゃんと好きなんだね」
「あんたもね。決めつけたけど概ね間違ってないでしょ。あんた絶対あの人に言ってあげてないね」
「………さぁ?」
「……母ちゃんはよく、人様の家の事はって言ってた。から、そういう概念なかったけど…初めて思ったな、知りたくなったよ」
「若いなぁ」
「あんたに比べたらね」
やるせなさを感じているのかもしれない、平中は無意識にやはり下を見て、握った拳を見ている。言葉は見つからないらしい。
「……背負わず、ホントに軽く飛んでみたら良いのになぁって思う。死ぬ、て意味じゃなくて、風船くらいで。星座とかみたいなやつじゃなくてさ」
この姿、誰かさんに似てるんだよなと芳明は俯瞰したが、彼はどうやら強い。何度下を見てもまたこちらを見返してくる。
「…関わっていくうちに、わからない、俺はもしかすると、短期なんだ、この事務所。
でもさ、万が一があったら、まぁ本人次第だけど人生何があるかわからんとして。
あんたが先にってなったら、どうする?俺が掴みに行っても良い?」
「…確かに、本人次第だね。絶対その気はないけど、まぁ俺には伝わった。そのときの状況で自分で決めてみたら?風船になれなくなるから。
もしそうなったら墓は俺と一緒ね、君」
「…それ、軽くねぇし。でもムカつくから頭に擦り込んどく」
「…はは、」
そのうち「検査結果が出ました、医師から…」と看護師が言う間に立ち上がり、芳明は早足で病室に向かった。
若さは、当てられる。
意識もはっきりした春雪は医師からの話をうんうん頷いて聞いている。
ぱっと芳明に気付き、「よし」とまで言い、医師が「あぁ、お父」まで言っても構わない。ただ一点、春雪のみを見て進み、ガバッと抱き締めた。
「………!」
「ユキ、よかった」
恐る恐る、という具合で春雪の腕が背にまわされる頃には、唇を食み少し深めにキスをしても、まるで許す、いや、子供をあやすようにゆっくりと芳明の背を撫でる春雪の少し高い体温に、泣きそうになった。
多分、待合室であんな話をしたからだ。
…意外と、墓に入るとか言うだけある。熱い男なんだなと、平中は俯瞰した。
離し、医師を見れば唖然としていたが、芳明は平然な態度で「ウチのはどんな感じで?」とキリッと聞いていた。
「さっきまで点滴もあったんですが…簡単に言うと経口補水液を埋めたようなやつですね。しかし朝ご飯をきっちり食べられていたようなので充分かなと。もう帰れますよ。
症状もあの、あちらにいる…」
後ろを指す。多分、医師は正体をわかっているが、言いにくそう。
「あぁ、平中くんですね」
「はい。
本人へ確認したり救急隊員から聞いた様子だと、軽度の熱中症だと思うのですが……頭を打ったとの事でCTとMRIも撮りまして、血液検査も行いました。急性的に来てしまったのかな…と言う感じです。
救急隊員が行ったときには身体を冷やしていたと聞きましたが、熱かったですかね?頭とか」
「…まあ結構」
…そうだったのか。
「そうですか…」
「まぁ、今日のところは大丈夫ですよ、引き続き水分を取るのを忘れないでくださいね」
「すみませんでした…」
「まぁ、よかったな、ユキ」
ふと、医者が芳明に「ただ、別件ですが…ウチにはちょっと、ないのですが一度どこかの脳神経内科へ受診してください」と言った。
その瞬間、明らかに芳明の表情が少しだけ強張ったように見えた。
平中くんの表情も見える。堅かった。
春雪は、少し前を思い出す。
芳明はすぐにふっと笑い「わかりました」と医師へ対応した。
そうか、…なるほど。
「…芳明…あの、仕事は…」
しどろもどろ、どうしていいかという春雪の気持ちはわかる。
芳明は何も感じさせず、「そんなん置いてきたに決まってんだろ」と言った。
まるで、なんの問題もないかのように。
「あ、動画見たわ、主役くんが押さえてたヤツ。ナイス…本当はあの瞬間「バカユキー!」って叫びそうになったけどでもかっこよかったよ。
いま多分アイドルちゃんとアイドルくんが警視庁で色々話してて…」
言葉が詰まったらしい、一瞬下を向いた芳明を、この場で誰もが気付いただろうに、本人は少し笑い、春雪に平中くんが見えるように身体をよかす。
「…事務所は眞田さんが変態監督を傷害罪で殺るらしいよ。あと旦那も」
「というか実は現犯だから」
平中くんと春雪にてんてんてんが流れたのち、事情を知らない二人は「はぁ!?」とハモった。
「だって出て来ねぇんだもん。パトった、2台で挟み撃ち」
「パクったみたいに言いましたね。それって正しいニホンゴ?」
「わかんないわ」
「多分違うよ平中くん。もしそうでもこの人たちの造語な気がする、意味合ってる気もするし」
「…若者に着いていこうと必死になっただけですー。
そうだ、君も明日は絶対休暇だよね?」
「…あ、考えてなかった。今ニュースになってたらそうかも。うわ、表大丈夫かな」
「まぁいいやどうせ緊急んとこ停めたし。御前山行こっか」
けれど真っ直ぐ見てくる…あぁ、確かに美少女だった系の顔だなと思う薄目の彼は分かりやすく眉を寄せ「…なんか、泣きそうになるな」と、素直な子供のように、そう言った。
「んなただのノロケ、普通なら「はいはいそうですか」で終わっまうはずなんだけどな。なんで俺に言うんだか…」
「…大人になるとこうやって汚れていくんだよ」
「そうかなぁ……違うと思うよ」
「はは、君もユキの事、ちゃんと好きなんだね」
「あんたもね。決めつけたけど概ね間違ってないでしょ。あんた絶対あの人に言ってあげてないね」
「………さぁ?」
「……母ちゃんはよく、人様の家の事はって言ってた。から、そういう概念なかったけど…初めて思ったな、知りたくなったよ」
「若いなぁ」
「あんたに比べたらね」
やるせなさを感じているのかもしれない、平中は無意識にやはり下を見て、握った拳を見ている。言葉は見つからないらしい。
「……背負わず、ホントに軽く飛んでみたら良いのになぁって思う。死ぬ、て意味じゃなくて、風船くらいで。星座とかみたいなやつじゃなくてさ」
この姿、誰かさんに似てるんだよなと芳明は俯瞰したが、彼はどうやら強い。何度下を見てもまたこちらを見返してくる。
「…関わっていくうちに、わからない、俺はもしかすると、短期なんだ、この事務所。
でもさ、万が一があったら、まぁ本人次第だけど人生何があるかわからんとして。
あんたが先にってなったら、どうする?俺が掴みに行っても良い?」
「…確かに、本人次第だね。絶対その気はないけど、まぁ俺には伝わった。そのときの状況で自分で決めてみたら?風船になれなくなるから。
もしそうなったら墓は俺と一緒ね、君」
「…それ、軽くねぇし。でもムカつくから頭に擦り込んどく」
「…はは、」
そのうち「検査結果が出ました、医師から…」と看護師が言う間に立ち上がり、芳明は早足で病室に向かった。
若さは、当てられる。
意識もはっきりした春雪は医師からの話をうんうん頷いて聞いている。
ぱっと芳明に気付き、「よし」とまで言い、医師が「あぁ、お父」まで言っても構わない。ただ一点、春雪のみを見て進み、ガバッと抱き締めた。
「………!」
「ユキ、よかった」
恐る恐る、という具合で春雪の腕が背にまわされる頃には、唇を食み少し深めにキスをしても、まるで許す、いや、子供をあやすようにゆっくりと芳明の背を撫でる春雪の少し高い体温に、泣きそうになった。
多分、待合室であんな話をしたからだ。
…意外と、墓に入るとか言うだけある。熱い男なんだなと、平中は俯瞰した。
離し、医師を見れば唖然としていたが、芳明は平然な態度で「ウチのはどんな感じで?」とキリッと聞いていた。
「さっきまで点滴もあったんですが…簡単に言うと経口補水液を埋めたようなやつですね。しかし朝ご飯をきっちり食べられていたようなので充分かなと。もう帰れますよ。
症状もあの、あちらにいる…」
後ろを指す。多分、医師は正体をわかっているが、言いにくそう。
「あぁ、平中くんですね」
「はい。
本人へ確認したり救急隊員から聞いた様子だと、軽度の熱中症だと思うのですが……頭を打ったとの事でCTとMRIも撮りまして、血液検査も行いました。急性的に来てしまったのかな…と言う感じです。
救急隊員が行ったときには身体を冷やしていたと聞きましたが、熱かったですかね?頭とか」
「…まあ結構」
…そうだったのか。
「そうですか…」
「まぁ、今日のところは大丈夫ですよ、引き続き水分を取るのを忘れないでくださいね」
「すみませんでした…」
「まぁ、よかったな、ユキ」
ふと、医者が芳明に「ただ、別件ですが…ウチにはちょっと、ないのですが一度どこかの脳神経内科へ受診してください」と言った。
その瞬間、明らかに芳明の表情が少しだけ強張ったように見えた。
平中くんの表情も見える。堅かった。
春雪は、少し前を思い出す。
芳明はすぐにふっと笑い「わかりました」と医師へ対応した。
そうか、…なるほど。
「…芳明…あの、仕事は…」
しどろもどろ、どうしていいかという春雪の気持ちはわかる。
芳明は何も感じさせず、「そんなん置いてきたに決まってんだろ」と言った。
まるで、なんの問題もないかのように。
「あ、動画見たわ、主役くんが押さえてたヤツ。ナイス…本当はあの瞬間「バカユキー!」って叫びそうになったけどでもかっこよかったよ。
いま多分アイドルちゃんとアイドルくんが警視庁で色々話してて…」
言葉が詰まったらしい、一瞬下を向いた芳明を、この場で誰もが気付いただろうに、本人は少し笑い、春雪に平中くんが見えるように身体をよかす。
「…事務所は眞田さんが変態監督を傷害罪で殺るらしいよ。あと旦那も」
「というか実は現犯だから」
平中くんと春雪にてんてんてんが流れたのち、事情を知らない二人は「はぁ!?」とハモった。
「だって出て来ねぇんだもん。パトった、2台で挟み撃ち」
「パクったみたいに言いましたね。それって正しいニホンゴ?」
「わかんないわ」
「多分違うよ平中くん。もしそうでもこの人たちの造語な気がする、意味合ってる気もするし」
「…若者に着いていこうと必死になっただけですー。
そうだ、君も明日は絶対休暇だよね?」
「…あ、考えてなかった。今ニュースになってたらそうかも。うわ、表大丈夫かな」
「まぁいいやどうせ緊急んとこ停めたし。御前山行こっか」
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