Trance & R-ZE

二色燕𠀋

文字の大きさ
上 下
9 / 20

8

しおりを挟む
「…今回の丹後について知ってることは」
「そ!丹後先輩も最近良い噂聞かないよね」
「まぁ…」
「急になんか…解散しそうだからかな、と思ってたけど」
「なるほど。
 ちなみに雑談程度で良いんだが、友人の知り合いってのは、どういう?」
「ん~……これぶっちゃけ、事故画像じゃないっすか?なんかみんな気は使ってくれちゃってこっちにはいまいちだったんですが多分…めっちゃ嫌というか何に関しても厄介で、性格に難ありな人というか。でも、あんまり断れないような雰囲気の。結構な先輩で、シルヴェスタさんって人の話が」
「うわぁ…」
「あー…ぜってぇ近寄りたくない雰囲気出してそうな人ね。全然良い噂出てこなくてでも俺たち、会ったことも話したこともなんもないから余計、な感じの人」
「シルヴェスター?映画か?」
「活動名しか知らないくらいの人。バンド持ってますがもう多分…どーなの?解散したの?」
「いや知らない…」
「てくらいの人、付近の人がコミュにいるらしいんすよね。それで俺に言ってきてくれました」
「…なるほどね。バンド名くらいは知ってる?近寄らないなら」
「あー、ジョニーヘルってとこです。浅井あさい健一けんいちの唄かなんかから取ったらしいっすよ。年齢はだから…30?40?くらいの人」
「…ふぅん…宛になりそう?」
「まぁなんか…例えば関係なくても何かしら出てきそうではあるかな…。
 すみませんね、慧の依頼なのに」
「いや、わかったよ。参考にする」

 彼らが言いたいこともわかった。確かにあいつ、そういうのに突っ込んじゃいそうだな。
 …犬ならば、それは有り難い事の筈なのにな。

「まぁ思いやりのある君たちには悪いが、これはさ…俺から加賀谷に直接聞くから、悪いけど」

 彼らは別に非難もなく、あっさり了承してくれた。
 今日、帰ってくるはずだ。聞けば良い。

 三人は切に「よろしくお願いします」と頭を下げるような、良い仲間だった。

 全く、こうともなるとあれは碌でもないが…なるほど、印象は変わった。言われてみればというのも共に暮らしていてわかる。

 あれがMDMAを持ってきたとき、自ら平気な顔でこの画像を持ってきた。
 殺してやろうかと思ったが、この2日で実は2回抜いた。

 元来自分はバイセクシャルだ、気持ちは半分わかる。だがどうやら加賀谷慧のそれはバイセクシャルのその感覚ではないらしい。
 若干わかっていたからこそ少なからず嫌悪に似た物も、なくはなかった。

 なるほどね。

 バイセクシャルには性別という概念が薄い。いや、関係がない。
 だからこそ…自分にはある、友達との強い線引きが。ここは男女、特に、同性に対しては性別がない分、絶対領域なのだ、犯してはならない。

 しかし最初からそれが狂っているとなると、なるほどな、行為や関係に意味などなくなる。
 ある意味バイセクシャルより自由だ。良いご身分だこと。

 そういう仕組みだと解けば彼らの不安はほんの少しだけ変わるだろうかと思ったが、やめておいた。
 博打だ、そんなもの。この玉ばかりは打っても当たりが出ない。

 なんなのか本人がまずわかってないからダメなのだ。せめてと、仲間には「電話でもしてやれ」と言っておいた。

「…多分、そんなヤツはな、察して動くんじゃいつまでたっても君たちのメンタルによくないぞ。子供なんだよ。それでも、大人なんだ。なかなか理解出来ないんだよ」
「…傷付くんじゃないかって」
「人生傷付かないことの方が少ないよ。まぁ、それを伝える君たちも傷付くだろう。だがいま君たちもわかったはずだ、これは命の話だ、甘えてはならない。
 大丈夫、俺が守るよ。それが仕事だ。ただ、少し薄いな…時間が掛かりそうだ。それまでこちらも満足にはいかないし君たちもそうだ。わからせてやれ、それを」
「………」
「それで?真鍋くん。よければその友人の連絡先…いや、SNSアカウントでもいい、教えてくれ。でも、最悪君が危なくなるから何か聞こうとはしなくていい。何かわかれば随時連絡が欲しい」

 …試してやろうか、慧。お前がどんなヤツなのか、知りたくなった。

「わかりました」

 そうして自宅に帰った。

 慧が何食わぬ顔で帰ってきていたので一言、「シルヴェスターというヤツを知ってるか?」と誠一は聞いてみた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天獄

二色燕𠀋
BL
バンドくんとマトリさんとヤクザ屋さん。 ☆UlysseS ButTerflY NigHt に出演中☆ ※別編 stay away Trance & R-ZE

stay away

二色燕𠀋
BL
── 離れろ、近付くな、動くなよ。  神は、ゲイだ。  わからない、わからないよ、どうしよう、どうしようか。── ※天獄別編 Trance & R-ZE

艷夜

二色燕𠀋
BL
若衆茶屋のお話

山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜

ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。 高校生×中学生。 1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。

出産は一番の快楽

及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。 とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。 【注意事項】 *受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。 *寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め *倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意 *軽く出産シーン有り *ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り 続編) *近親相姦・母子相姦要素有り *奇形発言注意 *カニバリズム発言有り

開発される少年たち・家庭教師の淫らな性生活

ありさわ優那
BL
派遣家庭教師として働く三枝は、行く先々で少年の精通をさせてやったり、性的に開発することを趣味としていた。三枝は、勉強を教えながらも次々に派遣先で少年を毒牙にかける。勉強よりも、エッチなことを求めるようになってしまった少年たちの行方は……。 R-18作品です。少し無理矢理(あまり嫌がりません)。 乳首開発描写多めです。 射精管理やアナル開発の描写もありますが、既に開発されちゃってる子も多く出ます。 ※少年ごとにお話を書いていきます。初作品です。よろしくお願いします。

嫌がる繊細くんを連続絶頂させる話

てけてとん
BL
同じクラスの人気者な繊細くんの弱みにつけこんで何度も絶頂させる話です。結構鬼畜です。長すぎたので2話に分割しています。

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

処理中です...