転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清

文字の大きさ
上 下
46 / 47
3章

お誘い

しおりを挟む
精霊も一緒にと提案してからのお兄様たちは早かった。
エル兄様の風魔法で先にお父様に通達をすれば直ぐに返事が返ってきて、いいんじゃないか?とのお声。
もちろん精霊にも選ぶ権利はあるからとそれぞれが契約している精霊に話を通しておくことになった。
私はとりあえず家に着いて、パーティの準備が終わるまで自分の部屋でのんびり過ごす。お兄様達は新鮮な方が美味しいよねとうちの森にお肉の調達にいった。ジュール兄様は温室で装飾用のお花を選ぶんだって。私も何かしようかなと思ったら考えを読まれたらしくお兄様達みんなから部屋にいなさいって言われたんだよね。私のためのものだからってことなので大人しく甘えさせて貰おう。



「とりあえず、呼んでみようかな。……ルア、ステラ。」


ルアは影に呼べば反応するから影に向かって呼んでみる。ステラは呼び方分からないからとりあえずルアと一緒に呼んでみた。契約した精霊ってどうやって呼ぶんだろう?お母様はリーンを呼ぶ時どうしてたっけ?名前を呼んでただけに見えたけど、


『よんだか?』

『早速呼んでくれたのね、フィル!嬉しいわ!』


おぉ、呼んだだけだけど来てくれた。
ブンブンと私の顔の周りを飛び回る黒色の女の子。肌は白いけど、この黒いのは洋服なのかな。
着脱式なら他にも黒い洋服着せてあげたい。せっかく女の子なんだし、名前にも喜んでくれたからキラキラしたものとか好きそう。


「精霊を召喚したい時って呼ぶだけでいいの?お母様は呼ぶだけでリーンが来てくれてたけど、他の使用人達に聞いたら魔力も必要だっていわれたの。どう魔力を使えば召喚できるのかな?」

『あぁ!それはね、魔力を対価に契約してるから契約した精霊の名前を魔力を込めて呼べば呼び出すことができるの。そうして名前を呼ぶ時に使われた魔力は精霊に還元されるから。これが1番多い方法よ。』


あれ?でも


「私は魔力込めてないよ?」

『ふふ、フィルは込めなくても呼べるわ。だって愛しい愛しい大切な子だもの。』


愛護者効果がここにもあった。


『あとは精霊の信頼をどれだけ勝ち取って気に入られてるかよ。』

「信頼?」



お母様はこのケースに当たるらしい。
なんでも基本的に契約した時点で名前を呼ばれたら精霊は気づくようになるらしい。
でも基本的に自由気ままな精霊が対価もなしに人間に従うことはほとんどない。自由を求める精霊らしくあまり使役されるのは好まないらしい。でも契約している以上手を貸さないといけないのは事実だから名前に込められた魔力を対価に力を貸す。
だがまれに契約者のことを凄く気に入ったり、信頼したりすることで魔力無しの呼び掛けに応えるようになる精霊もいるのだとか。



『フィルの魔力はとってもいいしあなたのそばは気持ちよくて頼まれ事も叶えたくなっちゃうから名前呼ばれるだけで嬉しいの。もちろん貰えるなら魔力も欲しいけどね!』

「そうなの?……でもやっぱり魔力は貰ってね?来てくれて嬉しいからそのお礼!」

『ふふ!そうね、フィルはそういう子よね。嬉しいわ!溢れちゃってる魔力も勿体ないしありがたく貰うわね。』


やっぱりいくら大事な人同士でも礼儀は必要だもん。やってもらってばかりじゃなくてちゃんと対価は支払う。そうじゃなきゃ対等にはなれないから。私は主従を結んでたとしてもなるべく対等でありたい。そう思える子達としか契約する気もない。それに大事な子にはなんでもしてあげたくなるから魔力だってあげるし、逆に何か頼み事があれば聞いてあげたい。私のできる範囲になるけど大事にしてもらった以上に大事にしてあげたいんだ。
今回呼んだ分の魔力もしっかりとってもらおう。


『そういえばなにをしてほしくて呼んだの?』

「あ、そうだった。」


いけないいけない。もうパーティーまで時間ないのに忘れるとこだった。


「あのね、今日うちで私の精霊との初契約をお祝いするパーティが開かれるの。家族だけの小さなパーティだから、良ければステラもどうかなと思って。」

『私も?』

「うん。私の家族もそれぞれ声をかけてみるって言ってたし嫌じゃなければどうかな?」

『もちろんいくわ!人間のパーティにお呼ばれだなんてはじめて!!』

「ほんと?嬉しい!そうだ、精霊は人間のご飯も食べられるの?基本は魔力がご飯なんでしょう?」


たまに精霊のイタズラでお菓子を取られたなんて聞くけれど実際に食べてるとこを見たっていう人は居ないらしいんだよね。どうせなら楽しんでもらうためにも食から攻めたい。美味しいものが食べられるだけで幸せな気持ちになれると思うから。


『あら、精霊は人間のご飯大好きよ?特にお菓子。』

「そうなの?精霊が人間のご飯食べるとこ見たことないから知らないって人が多いんだけど。」

『あぁ、それはね、私たちのために作られたものじゃないから頻繁に貰えるわけじゃないし、たまにイタズラで盗む時も大事に取っておいて誰も居ないところでこっそり食べるもの。』



なるほど……なんか、イタズラがバレないようにする小さな子供みたいだ。それに精霊にも味覚があるのか、それなら仲良くなるのも色々方法が取れるな。あれ、でもこの世界のお菓子ってひたすらに甘いけど、あれが好きなの?



『ちがうわよ?』

「え?」

『お菓子といっても主にキャンディやクッキーね。他のものは甘すぎるし、あれなら角砂糖をひとつ食べた方が美味しいもの。』

「精霊の味覚って人間よりなんだねぇ。」


うちでは私が苦手だからと言う理由でお菓子はあまり出て来なくなった。まぁ元々みんなあんまり食べてる訳じゃなかったみたいだけど、頭を沢山使う仕事の時とかは糖分が必要ってことで食べてたらしい。お菓子に関しては早めに何とかしたいな。私も前世で弟達に作ってたから材料さえ揃えば大抵のものはつくれるし、この世界に普及させるためにもルナには材料集めや販売について色々手伝ってもらおう。ついでにネオスに味見してもらってそれを箔付に売り出せば人気商品間違いなしだね!



『そういえば、パーティにはほかの精霊もくるの?』

「うん。今日は身内だけだから両親と3人のお兄様たちと契約してる子かな。誘って来てくれるかは分からないけど。」

『フィルの祝いだ。断らんだろうな。』

『そうね。パーティにお呼ばれなんてそうそうないし、私たちは楽しいことが大好きだもの。ましてや愛しい子のお祝いなんて、何がなんでも参加するわ。フィルの家族と契約できていない子達はさぞ羨ましがるでしょうね。』



そんなに?
んー、それならみんなの精霊も来てくれそうだな。
なんだかんだお母様の精霊のリーン以外会うのは初めてだ。仲良くなれたらいいな。

しおりを挟む
感想 163

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?

藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」 9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。 そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。 幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。 叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。