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3章

精霊のおひろめ

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無事ステラと契約もできた事だし、空間を閉じる。
この空間では時間の進み具合が分かりずらいから今どのくらい経ったのかわかんないんだよね。授業時間終わってたらどうしよう。今日の授業は召喚と精霊魔法の基礎について学ぶだけだから多めに召喚時間はとってあるし、大丈夫だと思うけど……
すっと周りの闇が消え去り学園の訓練所の風景に戻った。
周りを見渡せばちらほらと精霊と契約できた人や未だ空間に入ってる人達が見えた。私は結構早かったみたいだ。
ちなみにルアには戻ってもらい、ステラは私の肩にのってる。
さて、ルナとネオスはどうなったかな?
ネオスは光の精霊だと思うけど、ルナはどっちかなー。たしか、水と風の属性に好かれてるんだっけ?どっちも商人にはもってこいの属性だって言ってたな。
2人を探していれば今回は見学だったあの黒猫の双子がじっと私のことを見ていた。なんだろう?敵対心がある訳じゃ無さそうだしかといって仲良くしたそうな訳でもない。ただ観察してるって感じだ。んー、ディーに黒猫獣人の知り合い居ないか聞いてみようかな。習性とかあるなら知っときたいし。敵か味方かどちらでもないかは分からないけどまずは相手をよく知らないと。
いつだって情報は何よりも武器になるから。



『フィル。光はあっちにいるわ。』

「分かるの?」

『光と闇は特別なの。互いを何となくどこにいるか認識できる。これは人間たちが使う魔力感知よりも広い範囲でできることなのよ。』



そんなことができるんだ。
確かに、光と闇はほかの四属性より数も少なく希少な属性だ。故に研究もあまり進んでおらず未だほかの四属性に比べて分からないことが多い。まぁ、そもそも精霊についてはまだまだ分からないことだらけなんだけどね。
ステラが示す方向に向かえばやはりネオスがいた。ちゃんと契約できたみたい。光の中級かな?可愛い女の子みたいだ。



「ネオス。」

「フィル!みて!僕の精霊!シャインって名前をつけたんだよ!」

「おめでとう!ネオスは光の使い手だし光の精霊だと思ってたけど ほんとに可愛いね。私もね、闇の精霊のステラと契約出来たんだよ。」



お互い精霊を紹介すれば闇と光とはいえ特に喧嘩するわけでもなく挨拶してた。本来精霊は契約者以外と話すことは滅多にないんだけどまぁそこは私の愛護者パワーでなんとかなる。



「ルナはどうかな?」

「見に行こう。」


訓練所はそんなに広くないしネオスを探す時にこっち側は通ってきたから、あっちのほうかな?
ネオスと並んで訓練所を半分に分けたとして、私たちが今いる反対の方へ向かう。
んー、貴族が多いクラスとはいえみんな下級精霊みたいだ。庶民の子たちはやっぱり実力で入学してるから貴族の子達より早く契約できてる子が多い。
通りすがりに色んな子達の精霊を見るけどやっぱり高ランクの精霊は私とネオスの2人だけみたいだった。



「フィル様ー!」

「ルナ!」



足を進めていれば前の方に私を呼ぶ声がした。
ルナが手を振りながら走って近づいて来てる。
にっこにこだ。かわいい。あまりの可愛さにネオスなんて隣で固まっちゃってるんだから。私たちにこんなに懐いてくれる子なんてそうそう居ないからね。貴族よりももっと尊いとされる王族の血筋の私たちには媚びるか萎縮する人たちしかいないから。


ぎゅっと抱きつかれたので抱きしめ返す。
ん、ひんやりしてる……?ということは、


「水?」

「ふふ!さすがフィルちゃん。そうだよ。私が契約したのは水の精霊。アークっていうの!」


男の子かな?それに、ルナも中位精霊と契約出来たみたい。他にも数人中位精霊と契約した子がいるみたいだし今年の新入生は優秀なのかな?お兄様たちの時はクラスに2人いれば優秀って言われてたみたいだけど。
中位精霊と契約したものは王宮勤めも夢じゃない。貴族ですら簡単にお城での仕事には携われないのだから平民にとっては一生を保証する職場になるのだ。最近実力主義の傾向が強い我が国は平民の雇用も多くなっている。少し前までは平民がお城で働くには実力だけじゃなくて精神面でも負担があったようだけど同じ平民や実力で這い上がる人達が増えたことで身分差別がへってきてるからこそ働きやすい職場にもなってきてるのだ。誰もが羨む高給取り、きっとこの学園に入学した実力主義の子たちはお城で働くことを目標にしてるんだろうな。
そんな場所に勤める私の家族。改めてチート過ぎ。
私くらいはほのぼのとしたいことをやってのんびり過ごしてもいいと思う。魔道具作ってお金にして、生活に困らない程度の暮らしができれば……まぁ、貴族社会から抜けることは出来ないだろうけど。きっと家族が許してくれない。だって愛護者である私を守るには貴族という権力は必要だから。貴族に対抗するには貴族が1番。貴族だからいいこともあるし、逆に悪いこともある。それを上手く使ってこそ私の平凡はうまれるんだろうな。



「さて、3人とも無事に契約出来たし先生に報告に行こう。」

「今日はあとは精霊魔法の基礎を学ぶんだよね?」

「まだ結構時間はあるようだしどうせなら3人で復習でもしとかない?僕らは基礎まではアイシャ叔母様に教わってるしね。」


確かに。結構時間は余っちゃったし契約できた報告したら3人で復習するのもいいかも。せっかく契約後もまだ隣に残ってくれてる精霊達がいるんだし質問しながら復習したらいい勉強になるしね。
そうと決まれば3人で急いで先生に報告に行く。
3人終わったことを伝えれば早いことに驚きながらも残り時間は魔法を使う以外好きにしていいと言われたので3人で端の方によってそれぞれの精霊たちも加えながら復習をしたのだった。

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