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楽しい料理
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新学期。
つまり夏休み明けの二学期だが、早速千春が問題を起こした。
問題と言ってもたばこ吸ったとか、規律を乱したりというものではないんだけど……。
事の発端は千春がお弁当を作りたい、と言い出したことだった。
母の作る料理に憧れているとかなんとか言っていたし、私はそれだけで信用して安心しきっていた。
新学期最初の三日くらいは午後の授業もなかったので、誰も被害に遭わなくて済んだのだが、翌週になってから千春が持ってきた弁当が問題だった。
「ほお、これ千春が作ったのか?」
「うん、頑張ってみた」
「へぇ……可愛らしいな」
「本当?頑張った甲斐あったなぁ」
手放しに誉める私に、千春はすっかりとご機嫌のご様子だった。
池上もすごいわね、とか言いながら自分の持ってきたパンを食べている。
見た目も匂いも、特に問題はなさそうに見えた。
季節的に、ややお弁当と言うと微妙な時期ではあるが、腐っていたり傷んでいたりという様子もない。
いただきますをして、千春が持ってきてくれた箸を手にする。
どれから食べようかな、と思っていると、千春がこれこれ、ってごはんを指差してきた。
ごはん……?って、研いで炊くだけじゃないの?
まぁ、こだわりのお米!とかだったら話は別かもしれないけど。
しかし、炒めたり加工されているっぽく、白い米ではない様だ。
まぁ、そんなに勧めてくるのであれば、と私はご飯に箸をつける。
「…………」
「どう?」
「……何これ、甘い……。何入れたの?」
物凄く、甘い。
とにかく甘い。
何だろう、おはぎとも違ったこの甘さ。
よくグルメリポーターなんかは、二言目には甘い、とか言うけど、そういうのとも違う。
まだおはぎって言われた方が納得はできる。
もっともおはぎに失礼だ、という気持ちがないわけではないが。
「んとね、チョコレート」
「はい?」
「ミルクチョコレート。テレビでやってたの」
「…………」
ああ、もしかして……私もそれ、ぼんやりと本読みながら見たかもしれない。
というかそれってゲテモノ扱いされてなかったか?
私に食わせる飯なんかゲテモノで十分だってこと?
「お、美味しくなかった……?」
千春は本気で心配そうな顔をしている。
下手なことを言ったら泣かせてしまったりするかもしれない。
だが、ここは正直に言うべきなのでは……。
頭の中で天使と悪魔が戦いを始める。
「おいおい、ちゃんと素直に言ってやるのも愛情だぜ?本人の為なんだから。これから一生こんなマズメシ食わされる人生でいいのか?結婚したいくらい好きなんじゃないのか?」
「ダメよ!正直に言うばかりが優しさではないわ!少しずつ諭してあげないと!!」
どっちの言い分もわかる気がする。
だが、私は敢えてどちらも選ばない。
「池上、あーんして」
「え?」
「ほら、早く」
「あ、あーん」
何顔赤くしてんだよこいつ……このくらいもう、何度もやってんだろうに。
しかし、すぐに池上の顔色は見る見る青くなっていく。
まぁ、そうなるよなぁ……これはさすがに、きつい。
「千春、あーん」
「え?わ、私も?」
「お前、これ味見した?」
「ちょっと急いでたから、味見はできてないかも……」
「そうか、ならあーん」
「あ、あーん……」
千春が目を白黒させる。
こういうとこだけ見てると可愛いのに……やることが最近爆弾みたいでおっかないんだよな。
「千春、悪いことは言わないから、一緒に料理の勉強しよう。何、千春は頑張り屋さんだからすぐできる様になるさ」
私は優しく千春の肩を叩き、励ました。
励ましながら、この兵器みたいな弁当をかっ込んでいく。
味覚と嗅覚を力で封印して、無心で食べる。
幸いにも焼き物や揚げ物は、普通に火加減も間違えずにできている。
だが、味までを確かめる勇気は、私にはなかった。
まずいとわかった弁当を無心でかっこんでいく私を見て、千春は言葉を失っている。
気が触れたとでも思われたか?
「の、乃愛さん……美味しくないのに、そんな無理しないで……」
「大丈夫だよ、腹壊す様なもんでもないと思うし」
「私のパン、食べる?」
「いや、それはそれでお前のなんだからさ。千春、作れるだけでも大したもんだから。だから、絶対私と一緒に料理頑張ろう。絶対だぞ?」
「う、うん……ごめんね乃愛さん……」
すっかり落ち込んでしまった。
確かにウキウキで持ってきた弁当がこれじゃ、そうなってしまうのも頷ける。
「私と一緒にやるなら、千春だって大丈夫だろ?……池上は料理できんの?」
「私は……できるならパンなんか買ってこないわ」
「まぁ、想像通りだな。お前も一緒にやっとく?」
「いいの?」
「お前だって、私たちと長い付き合いになる予定なんじゃないの?なら、やっといてもらった方が後々いいと思うんだけど?」
こうして、うちで母によるお料理教室が始まった。
「なるほどね。池上さんは初めましてだね、乃愛ちゃんのお母さんです、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
礼儀正しく、池上が挨拶をする。
池上も母に気に入られた様だった。
「千春ちゃんは、アレンジ料理が好きなの?」
「ほとんど作ったことはなくて……それで、今日美味しくないお弁当を……」
「あら、そうなんだ。じゃあ、まずは基本から覚えていこうか。アレンジは基本を押さえてから、ってね」
というわけで、まずはチキンライスの作り方を教わることになった。
「簡単に作れるやり方があるけど……最初はやっぱり何するにしても怖いと思うので、私がやってる通りにやってみてね」
「わかりました」
母は玉ねぎと鶏肉……もも肉かな、これは。
二つの食材を取り出して、包丁で刻んでいく。
「みじん切り、って聞いたことあるよね?まぁ、結果として細かくなればいいんだけど、やり方はこうね」
玉ねぎのしっぽみたいな部分を残して半分に切って、筋に沿って切れ目を細く入れていく母。
「ああ、左手はこう……猫の手ってよく言うよね。そうそう、上手だよ。包丁は刃物だから、刃を当てて押すか引くかしないと、切れ味発揮しないの」
母は教え方がうまい。
昔桜子おばさんにもこうして教えていたとか、後で聞いた。
二人は母から聞いたやり方を駆使して、鶏肉も細かく刻んでいく。
「乃愛ちゃん、手が止まってるよ。乃愛ちゃんも一緒にやるんでしょ?」
「あ、ああ」
私も母から聞いた通りにやっていくが、力が入りすぎているのか上手く行かない。
「乃愛ちゃん、包丁は力で使うものじゃないよ?そのやり方だと刃がすぐダメになっちゃう」
「くっ……難しいなこれ……」
私の場合は力加減が主な原因っぽい。
意外にも、この点に関しては非力女子二人の方がやりやすそうではあった。
「じゃあ、この刻んだ玉ねぎと鶏肉を炒めるよ。火使うけど、ちゃんと温度確認しながらやったら大丈夫だから」
玉ねぎを入れ、少し色が変わったところで鶏肉を入れる。
ある程度火が通ったところで、ケチャップと……何だあれ。
「ああ、鶏がらスープの素ね。隠し味的な。入れすぎるとしょっぱくなっちゃうから、大体こんなもんかな」
火を弱めて、材料になじませる。
手際よくやっている母に対して、二人は混ぜ方がぎこちない。
コンロが二口しかないので、千春と池上が二人で母のやり方を見て、見様見真似でやっている。
「底からやっていかないと、焦げ付いちゃうから気を付けてね」
そう言って母は炊飯器の前へ。
ご飯を適量よそってきて、フライパンに投入した。
少しだけ火を強めて、ごはんをへらで切る様に混ぜていく。
「こうすると、ごはんにもまんべんなく味がつくから。やってみて」
二人がやってみるが、これまた加減が難しいのか母がやっていたのと違い、ごはんが潰れたり力が強すぎてへらがフライパンにガコガコ当たっている。
「まぁ、初めてだしできなくても恥ずかしいなんてことはないから」
母が両手にフライパンを持って、器用に振っていく。
曲芸でもやっているかの様だ。
「あ、私みたいにできる様になるとは考えないでね?普通は一個でやるものだし」
ある程度混ざったのを見届けて、塩とコショウを振る。
「味を調えるんだけど、ここは好みが出る部分かな。ニンニク入れてパンチを利かせたりする人もいるけど……お弁当だとちょっと匂い気になるもんね」
二人にフライパンを任せて、母は皿を出しに行く。
人数分の皿を出して、ここにあける様に、と二人に言う。
「じゃあ、次は唐揚げでも作ってみる?難しいって思われがちだけど、案外簡単なんだよ」
これまた鶏もも肉の出番だ。
鶏づくしだな。
醤油、料理酒、塩、コショウ、ニンニク、ショウガ。
これらを密封できる袋に入れる。
「鶏肉を、一口大に切ろう」
母がそう言って、包丁を二人に渡す。
二人が、一口大……とか呟きながら鶏肉を切っていく。
「そうだね、これくらいがお弁当に入れるならちょうどいいかもしれない。そしたら、この袋に入れてね」
二人が、母の用意した袋に鶏肉を入れていく。
「本当なら一晩寝かせたりって手間が入るんだけど……私にかかればほら、この通り」
あ、ズルした。
母が力を使って時間を短縮したのを、私は確かに見た。
鶏肉の色が明らかに変わっている。
「で、この中に片栗粉を入れます。入れたら、ふたをして、よく振る。こう、こんな感じで」
見る見る鶏肉が片栗粉によって白く染まっていく。
「さっき私が火をつけちゃったけど、自分でやるときはある程度準備整えてからやる様にね。熱しすぎてもよくないし」
一八〇度に熱した油に、先ほどの衣をつけた鶏肉と投入。
小気味良い音とともに、鶏肉が熱されていく。
「本当は二度揚げしたいんだけど、初心者には難度高いから……これ揚げてる間でお湯を沸かして、と」
本来なら時間のかかるはずのお湯さえも、一瞬で沸かしてしまう。
「実際には結構時間かかるんだけど、時短しちゃうね。人間には無理だからそれだけ覚えといて」
無茶苦茶言ってるよ、本当……。
「じゃあ、ジャガイモの皮剥こうか。包丁でやってもいいけど、怖いでしょ?扱いに慣れたら各自やってみるといいかもね。これ使って」
ピーラーを二人に手渡す。
うち、こんなにたくさん調理器具あったっけ。
ああ、母が生成したのか。
異常なまでに手際よく、ジャガイモの皮が綺麗に剥けていく。
ああ、やっぱり。
「そしたら、これも一口大に切ってね」
二人が包丁でジャガイモを切っていく。
母がボウルを用意して、その中に水が張られる。
「切ったのこの中に入れていって」
二人がそれに従って切った傍から入れていく。
こうしてみていると、初心者っぽく見えない。
「これまた灰汁抜きが必要なんだけど、今すぐ抜けてもらって、と」
がんがん躊躇なく力を行使する。
そして沸騰した湯の中にジャガイモ投入。
「竹串で刺して、すんなり通る様だったらオッケーだから」
これだけは短縮しない様だ。
茹でている間に、キュウリと玉ねぎをスライスしていく。
なるほど、ポテトサラダか。
「薄切りにするんだけど、あんまり薄すぎても食感が良くなくなっちゃうから気を付けてね」
切ったキュウリと玉ねぎを水に晒す。
この間で、もう一品、と母は考えている様だ。
「やっぱり卵焼きかなぁ。簡単な様で多分一番難しいんだよね」
「え、だって混ぜて焼いて巻くだけじゃないの?」
「そうなんだけど、焼き加減とか間違えると巻くのが大変になっちゃうの」
「へぇ……」
母が卵を二個割って、ボウルで混ぜる。
「ちょっと変わったの作ろうか」
乾燥わかめを水でもどして、長ネギを刻む。
刻んだネギはみじん切りにして、わかめも程よく細かくする。
それらを卵に混ぜた。
「あとは少しだけ、だし入れると美味しいんだよね」
そう言って母は白だしの液体を冷蔵庫から出して卵に少し入れる。
「で、卵焼きはこういうフライパンで……」
棚とかから出すのではなく、手元に生成したフライパンを見て、二人が目を丸くした。
さすがにやりすぎだろ、と思わなくもないが、口を出すと先に進まなくなりそうなので黙って見守る。
「すごいでしょ、絶対焦げ付かないフライパンなんだよ」
「そりゃそうだろうよ……」
四角いフライパンを熱して、油をひく。
「これくらいかな、じゃあ投入するんだけど、ここで気を付けるのは、いっぺんに全部入れないこと」
「そうなの?」
「うん、少しずつ入れて固まったら巻いて、余白に新しく入れて、巻いて、っていうのを繰り返すんだよ」
「ほうほう」
一回目は母が巻いて見せる。
次に、千春。
早速形が崩れて、泣きそうな顔で母を見た。
「大丈夫、形は最後に整えられるから」
「そうなんですか?」
「じゃ、次池上さんどうぞ」
「は、はい……」
緊張の面持ちで池上も卵を巻いていく。
池上は手先が器用なのか、特に崩れたりすることもなく巻けた様だ。
「はいじゃあ乃愛ちゃんね」
「お、おう」
私も見ていたからできるはず、なんて思っていたら薄い部分がぐちゃぐちゃになってしまって、母が笑いながら修正してくれた。
「形はこうやって整えるんだけど、余熱でやった方がいいかな。普通のフライパンだと焦げちゃうから」
母はフライパンを傾けたりしながら、綺麗な形にしていく。
店とかで売ってそうにさえ見える。
「で、綺麗になったらこうやって切って……」
「おお……」
わかめとかネギが入ってるから若干緑がかってはいるが、店で売ってても違和感ない。
タイミングよくジャガイモがちょうどよくゆであがった様だったので、これもお湯からあげて冷ます。
「もちろんズルします」
そう言うのと共にジャガイモから湯気が一瞬で消えて、ちょうど良い温度に冷えてくる。
家電いらずだな。
「簡単なのでいいならマヨネーズと和えて終わりなんだけど、ここでコショウを少し振って……」
母は思い出した様に冷蔵庫からベーコンを取り出して、一センチ間隔で切っていく。
それをさっと炒めてまた冷まして、ポテトサラダに混ぜた。
「お、美味しそう……」
「美味しいと思うよ。じゃ、最後に盛り付けだけど……これでいっか」
四人分の小さな弁当箱を生成して、私たちの前に置いた。
気づけば私、ほとんど何もしてない気がする。
みんなで思い思いの盛り付けをして、それぞれ弁当が完成する。
「これを朝やろうとすると、さすがに早起きしないといけなくなるからね。慣れてる人は寝る前とかに作っておいて、翌朝詰めたりしてるみたいよ」
なるほど、作る側の苦労というものが少しだけわかった様な気がする。
千春は先ほどの工程をスマホにメモっていた。
池上は大体把握できた様で、うんうん、と頷いていた。
「じゃ、食べちゃおうか。それとも持って帰る?」
「あ、じゃあ親にご飯いらないって連絡してきます」
「私もしてくるわ」
二人が電話をしに行っている間に、母は先ほどの材料を簡単に切り分けていた。
袋に詰めて冷蔵庫に入れている様だ。
私は箸を用意して全員の座る位置に置いた。
「お待たせしました」
「さぁ、いただきましょう」
「うん、美味しそうにできたよね」
席についていただきます、と食べ始める。
「おお、おいしい……」
「お弁当なんて何年ぶりかなぁ……」
「学生の頃以来?」
「そうだねぇ。桜子が一回やらかしてくれて、それ以来かな」
「その時桜子おばさんにも料理教室やったんだっけ?」
「だねぇ。今でこそちゃんと作れる様になってるみたいだけど、昔はすごかったなぁ」
「でも、お話聞いてるとお母さんの学生の頃って楽しそうでしたよね」
「まぁ、楽しかったかな。今は子供の教育上の問題もあって離れてるけど、学生の頃は暇さえあれば一緒にいたから」
「それは楽しいはずだわ。人数も多かったみたいだし」
わいわいやりながら先ほど作った弁当をみんなで平らげていく。
考えてみたら、夕飯に手作りの弁当ってのも面白い。
「千春ちゃん、池上さん、どうだった?」
「楽しかったです。今日のことで少し、料理に自信がつきそうです」
「それならよかった。これからも乃愛ちゃんと仲良くしてあげてね」
「こちらこそですよ」
二人が帰る際に、母は先ほど切り分けていた材料を二人に渡していた。
「もし明日も作って学校行くつもりなら、これを使ってね」
二人は本当に作ってきそうだ。
母も今日は賑やかで楽しかったと感想を漏らしていたので、また連れてきてもいいかな、と思う。
その日は父もうちで過ごす日だった様で、今日の出来事を話すと興味深そうに聞いていた。
そして翌日。
お昼になって、二人が私の席にやってくる。
今日は屋上にいかないのだろうか。
「たまには、教室で食べましょ」
池上が、人数分の飲み物まで用意してくれていた様だ。
パシリみたいだな、こいつ。
「そういや二人は作ってきたのか?」
「うん、せっかく材料もらったし」
「昨日の夕飯と同じものになっちゃうけど、それでも今回はちゃんと作れたと思うから」
「なるほどな」
「乃愛さんの分もあるよ」
「え?私も乃愛さんの分が……」
「ま、マジか……よし、池上。お前は二人分食え。私は千春のだけでいいから」
「そ、そんな……」
「乃愛さん、それは可哀想だよ……私も半分食べるから、池上さんのも食べてあげようよ」
千春がこう言うのであれば仕方ない。
まぁ、そう言ってくるであろうことは予想してたけどな。
三人でいただきますをして、それぞれ食事にとりかかる。
一口食べてみると、確かに昨日と同じ様な出来だった。
大したものだ。
そして、呑み込んだ時に不意に頭の中に千春が一生懸命下ごしらえから調理までをやっている様子が、頭の中に流れてきた。
「!?」
「こ、これって……」
「母だな……余計なことを……」
おそらく母が昨日材料を切り分けたときに、何か力を使ったに違いない。
食べたときに、その調理の様子なんかを映像で見せる力。
池上の弁当も、同じ様に池上が悪戦苦闘している様子が頭の中に映し出された。
「お前ら、頑張ったんだなぁ」
「何だか、恥ずかしいねこれ……」
「でも、ちゃんと頑張ったって伝わるのはいいわね。お母さん、粋なことするじゃない」
「余計なことっつーんだよ、こういうのは……」
だが、二人が私の為にと頑張ってくれたことは素直に嬉しかった。
味も申し分ないし、これならあとは応用で何とか幅も広げていけるのではないかと思える。
そう、そう思っていたんだ。
だが二人は翌日も、そのまた翌日も、全く同じ弁当を持ってきた。
さすがに四日目になった時、私は二人に再度母の元で料理教室をやろうと提案する。
幅の広げ方も少し、教えてもらう必要がありそうだ。
つまり夏休み明けの二学期だが、早速千春が問題を起こした。
問題と言ってもたばこ吸ったとか、規律を乱したりというものではないんだけど……。
事の発端は千春がお弁当を作りたい、と言い出したことだった。
母の作る料理に憧れているとかなんとか言っていたし、私はそれだけで信用して安心しきっていた。
新学期最初の三日くらいは午後の授業もなかったので、誰も被害に遭わなくて済んだのだが、翌週になってから千春が持ってきた弁当が問題だった。
「ほお、これ千春が作ったのか?」
「うん、頑張ってみた」
「へぇ……可愛らしいな」
「本当?頑張った甲斐あったなぁ」
手放しに誉める私に、千春はすっかりとご機嫌のご様子だった。
池上もすごいわね、とか言いながら自分の持ってきたパンを食べている。
見た目も匂いも、特に問題はなさそうに見えた。
季節的に、ややお弁当と言うと微妙な時期ではあるが、腐っていたり傷んでいたりという様子もない。
いただきますをして、千春が持ってきてくれた箸を手にする。
どれから食べようかな、と思っていると、千春がこれこれ、ってごはんを指差してきた。
ごはん……?って、研いで炊くだけじゃないの?
まぁ、こだわりのお米!とかだったら話は別かもしれないけど。
しかし、炒めたり加工されているっぽく、白い米ではない様だ。
まぁ、そんなに勧めてくるのであれば、と私はご飯に箸をつける。
「…………」
「どう?」
「……何これ、甘い……。何入れたの?」
物凄く、甘い。
とにかく甘い。
何だろう、おはぎとも違ったこの甘さ。
よくグルメリポーターなんかは、二言目には甘い、とか言うけど、そういうのとも違う。
まだおはぎって言われた方が納得はできる。
もっともおはぎに失礼だ、という気持ちがないわけではないが。
「んとね、チョコレート」
「はい?」
「ミルクチョコレート。テレビでやってたの」
「…………」
ああ、もしかして……私もそれ、ぼんやりと本読みながら見たかもしれない。
というかそれってゲテモノ扱いされてなかったか?
私に食わせる飯なんかゲテモノで十分だってこと?
「お、美味しくなかった……?」
千春は本気で心配そうな顔をしている。
下手なことを言ったら泣かせてしまったりするかもしれない。
だが、ここは正直に言うべきなのでは……。
頭の中で天使と悪魔が戦いを始める。
「おいおい、ちゃんと素直に言ってやるのも愛情だぜ?本人の為なんだから。これから一生こんなマズメシ食わされる人生でいいのか?結婚したいくらい好きなんじゃないのか?」
「ダメよ!正直に言うばかりが優しさではないわ!少しずつ諭してあげないと!!」
どっちの言い分もわかる気がする。
だが、私は敢えてどちらも選ばない。
「池上、あーんして」
「え?」
「ほら、早く」
「あ、あーん」
何顔赤くしてんだよこいつ……このくらいもう、何度もやってんだろうに。
しかし、すぐに池上の顔色は見る見る青くなっていく。
まぁ、そうなるよなぁ……これはさすがに、きつい。
「千春、あーん」
「え?わ、私も?」
「お前、これ味見した?」
「ちょっと急いでたから、味見はできてないかも……」
「そうか、ならあーん」
「あ、あーん……」
千春が目を白黒させる。
こういうとこだけ見てると可愛いのに……やることが最近爆弾みたいでおっかないんだよな。
「千春、悪いことは言わないから、一緒に料理の勉強しよう。何、千春は頑張り屋さんだからすぐできる様になるさ」
私は優しく千春の肩を叩き、励ました。
励ましながら、この兵器みたいな弁当をかっ込んでいく。
味覚と嗅覚を力で封印して、無心で食べる。
幸いにも焼き物や揚げ物は、普通に火加減も間違えずにできている。
だが、味までを確かめる勇気は、私にはなかった。
まずいとわかった弁当を無心でかっこんでいく私を見て、千春は言葉を失っている。
気が触れたとでも思われたか?
「の、乃愛さん……美味しくないのに、そんな無理しないで……」
「大丈夫だよ、腹壊す様なもんでもないと思うし」
「私のパン、食べる?」
「いや、それはそれでお前のなんだからさ。千春、作れるだけでも大したもんだから。だから、絶対私と一緒に料理頑張ろう。絶対だぞ?」
「う、うん……ごめんね乃愛さん……」
すっかり落ち込んでしまった。
確かにウキウキで持ってきた弁当がこれじゃ、そうなってしまうのも頷ける。
「私と一緒にやるなら、千春だって大丈夫だろ?……池上は料理できんの?」
「私は……できるならパンなんか買ってこないわ」
「まぁ、想像通りだな。お前も一緒にやっとく?」
「いいの?」
「お前だって、私たちと長い付き合いになる予定なんじゃないの?なら、やっといてもらった方が後々いいと思うんだけど?」
こうして、うちで母によるお料理教室が始まった。
「なるほどね。池上さんは初めましてだね、乃愛ちゃんのお母さんです、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
礼儀正しく、池上が挨拶をする。
池上も母に気に入られた様だった。
「千春ちゃんは、アレンジ料理が好きなの?」
「ほとんど作ったことはなくて……それで、今日美味しくないお弁当を……」
「あら、そうなんだ。じゃあ、まずは基本から覚えていこうか。アレンジは基本を押さえてから、ってね」
というわけで、まずはチキンライスの作り方を教わることになった。
「簡単に作れるやり方があるけど……最初はやっぱり何するにしても怖いと思うので、私がやってる通りにやってみてね」
「わかりました」
母は玉ねぎと鶏肉……もも肉かな、これは。
二つの食材を取り出して、包丁で刻んでいく。
「みじん切り、って聞いたことあるよね?まぁ、結果として細かくなればいいんだけど、やり方はこうね」
玉ねぎのしっぽみたいな部分を残して半分に切って、筋に沿って切れ目を細く入れていく母。
「ああ、左手はこう……猫の手ってよく言うよね。そうそう、上手だよ。包丁は刃物だから、刃を当てて押すか引くかしないと、切れ味発揮しないの」
母は教え方がうまい。
昔桜子おばさんにもこうして教えていたとか、後で聞いた。
二人は母から聞いたやり方を駆使して、鶏肉も細かく刻んでいく。
「乃愛ちゃん、手が止まってるよ。乃愛ちゃんも一緒にやるんでしょ?」
「あ、ああ」
私も母から聞いた通りにやっていくが、力が入りすぎているのか上手く行かない。
「乃愛ちゃん、包丁は力で使うものじゃないよ?そのやり方だと刃がすぐダメになっちゃう」
「くっ……難しいなこれ……」
私の場合は力加減が主な原因っぽい。
意外にも、この点に関しては非力女子二人の方がやりやすそうではあった。
「じゃあ、この刻んだ玉ねぎと鶏肉を炒めるよ。火使うけど、ちゃんと温度確認しながらやったら大丈夫だから」
玉ねぎを入れ、少し色が変わったところで鶏肉を入れる。
ある程度火が通ったところで、ケチャップと……何だあれ。
「ああ、鶏がらスープの素ね。隠し味的な。入れすぎるとしょっぱくなっちゃうから、大体こんなもんかな」
火を弱めて、材料になじませる。
手際よくやっている母に対して、二人は混ぜ方がぎこちない。
コンロが二口しかないので、千春と池上が二人で母のやり方を見て、見様見真似でやっている。
「底からやっていかないと、焦げ付いちゃうから気を付けてね」
そう言って母は炊飯器の前へ。
ご飯を適量よそってきて、フライパンに投入した。
少しだけ火を強めて、ごはんをへらで切る様に混ぜていく。
「こうすると、ごはんにもまんべんなく味がつくから。やってみて」
二人がやってみるが、これまた加減が難しいのか母がやっていたのと違い、ごはんが潰れたり力が強すぎてへらがフライパンにガコガコ当たっている。
「まぁ、初めてだしできなくても恥ずかしいなんてことはないから」
母が両手にフライパンを持って、器用に振っていく。
曲芸でもやっているかの様だ。
「あ、私みたいにできる様になるとは考えないでね?普通は一個でやるものだし」
ある程度混ざったのを見届けて、塩とコショウを振る。
「味を調えるんだけど、ここは好みが出る部分かな。ニンニク入れてパンチを利かせたりする人もいるけど……お弁当だとちょっと匂い気になるもんね」
二人にフライパンを任せて、母は皿を出しに行く。
人数分の皿を出して、ここにあける様に、と二人に言う。
「じゃあ、次は唐揚げでも作ってみる?難しいって思われがちだけど、案外簡単なんだよ」
これまた鶏もも肉の出番だ。
鶏づくしだな。
醤油、料理酒、塩、コショウ、ニンニク、ショウガ。
これらを密封できる袋に入れる。
「鶏肉を、一口大に切ろう」
母がそう言って、包丁を二人に渡す。
二人が、一口大……とか呟きながら鶏肉を切っていく。
「そうだね、これくらいがお弁当に入れるならちょうどいいかもしれない。そしたら、この袋に入れてね」
二人が、母の用意した袋に鶏肉を入れていく。
「本当なら一晩寝かせたりって手間が入るんだけど……私にかかればほら、この通り」
あ、ズルした。
母が力を使って時間を短縮したのを、私は確かに見た。
鶏肉の色が明らかに変わっている。
「で、この中に片栗粉を入れます。入れたら、ふたをして、よく振る。こう、こんな感じで」
見る見る鶏肉が片栗粉によって白く染まっていく。
「さっき私が火をつけちゃったけど、自分でやるときはある程度準備整えてからやる様にね。熱しすぎてもよくないし」
一八〇度に熱した油に、先ほどの衣をつけた鶏肉と投入。
小気味良い音とともに、鶏肉が熱されていく。
「本当は二度揚げしたいんだけど、初心者には難度高いから……これ揚げてる間でお湯を沸かして、と」
本来なら時間のかかるはずのお湯さえも、一瞬で沸かしてしまう。
「実際には結構時間かかるんだけど、時短しちゃうね。人間には無理だからそれだけ覚えといて」
無茶苦茶言ってるよ、本当……。
「じゃあ、ジャガイモの皮剥こうか。包丁でやってもいいけど、怖いでしょ?扱いに慣れたら各自やってみるといいかもね。これ使って」
ピーラーを二人に手渡す。
うち、こんなにたくさん調理器具あったっけ。
ああ、母が生成したのか。
異常なまでに手際よく、ジャガイモの皮が綺麗に剥けていく。
ああ、やっぱり。
「そしたら、これも一口大に切ってね」
二人が包丁でジャガイモを切っていく。
母がボウルを用意して、その中に水が張られる。
「切ったのこの中に入れていって」
二人がそれに従って切った傍から入れていく。
こうしてみていると、初心者っぽく見えない。
「これまた灰汁抜きが必要なんだけど、今すぐ抜けてもらって、と」
がんがん躊躇なく力を行使する。
そして沸騰した湯の中にジャガイモ投入。
「竹串で刺して、すんなり通る様だったらオッケーだから」
これだけは短縮しない様だ。
茹でている間に、キュウリと玉ねぎをスライスしていく。
なるほど、ポテトサラダか。
「薄切りにするんだけど、あんまり薄すぎても食感が良くなくなっちゃうから気を付けてね」
切ったキュウリと玉ねぎを水に晒す。
この間で、もう一品、と母は考えている様だ。
「やっぱり卵焼きかなぁ。簡単な様で多分一番難しいんだよね」
「え、だって混ぜて焼いて巻くだけじゃないの?」
「そうなんだけど、焼き加減とか間違えると巻くのが大変になっちゃうの」
「へぇ……」
母が卵を二個割って、ボウルで混ぜる。
「ちょっと変わったの作ろうか」
乾燥わかめを水でもどして、長ネギを刻む。
刻んだネギはみじん切りにして、わかめも程よく細かくする。
それらを卵に混ぜた。
「あとは少しだけ、だし入れると美味しいんだよね」
そう言って母は白だしの液体を冷蔵庫から出して卵に少し入れる。
「で、卵焼きはこういうフライパンで……」
棚とかから出すのではなく、手元に生成したフライパンを見て、二人が目を丸くした。
さすがにやりすぎだろ、と思わなくもないが、口を出すと先に進まなくなりそうなので黙って見守る。
「すごいでしょ、絶対焦げ付かないフライパンなんだよ」
「そりゃそうだろうよ……」
四角いフライパンを熱して、油をひく。
「これくらいかな、じゃあ投入するんだけど、ここで気を付けるのは、いっぺんに全部入れないこと」
「そうなの?」
「うん、少しずつ入れて固まったら巻いて、余白に新しく入れて、巻いて、っていうのを繰り返すんだよ」
「ほうほう」
一回目は母が巻いて見せる。
次に、千春。
早速形が崩れて、泣きそうな顔で母を見た。
「大丈夫、形は最後に整えられるから」
「そうなんですか?」
「じゃ、次池上さんどうぞ」
「は、はい……」
緊張の面持ちで池上も卵を巻いていく。
池上は手先が器用なのか、特に崩れたりすることもなく巻けた様だ。
「はいじゃあ乃愛ちゃんね」
「お、おう」
私も見ていたからできるはず、なんて思っていたら薄い部分がぐちゃぐちゃになってしまって、母が笑いながら修正してくれた。
「形はこうやって整えるんだけど、余熱でやった方がいいかな。普通のフライパンだと焦げちゃうから」
母はフライパンを傾けたりしながら、綺麗な形にしていく。
店とかで売ってそうにさえ見える。
「で、綺麗になったらこうやって切って……」
「おお……」
わかめとかネギが入ってるから若干緑がかってはいるが、店で売ってても違和感ない。
タイミングよくジャガイモがちょうどよくゆであがった様だったので、これもお湯からあげて冷ます。
「もちろんズルします」
そう言うのと共にジャガイモから湯気が一瞬で消えて、ちょうど良い温度に冷えてくる。
家電いらずだな。
「簡単なのでいいならマヨネーズと和えて終わりなんだけど、ここでコショウを少し振って……」
母は思い出した様に冷蔵庫からベーコンを取り出して、一センチ間隔で切っていく。
それをさっと炒めてまた冷まして、ポテトサラダに混ぜた。
「お、美味しそう……」
「美味しいと思うよ。じゃ、最後に盛り付けだけど……これでいっか」
四人分の小さな弁当箱を生成して、私たちの前に置いた。
気づけば私、ほとんど何もしてない気がする。
みんなで思い思いの盛り付けをして、それぞれ弁当が完成する。
「これを朝やろうとすると、さすがに早起きしないといけなくなるからね。慣れてる人は寝る前とかに作っておいて、翌朝詰めたりしてるみたいよ」
なるほど、作る側の苦労というものが少しだけわかった様な気がする。
千春は先ほどの工程をスマホにメモっていた。
池上は大体把握できた様で、うんうん、と頷いていた。
「じゃ、食べちゃおうか。それとも持って帰る?」
「あ、じゃあ親にご飯いらないって連絡してきます」
「私もしてくるわ」
二人が電話をしに行っている間に、母は先ほどの材料を簡単に切り分けていた。
袋に詰めて冷蔵庫に入れている様だ。
私は箸を用意して全員の座る位置に置いた。
「お待たせしました」
「さぁ、いただきましょう」
「うん、美味しそうにできたよね」
席についていただきます、と食べ始める。
「おお、おいしい……」
「お弁当なんて何年ぶりかなぁ……」
「学生の頃以来?」
「そうだねぇ。桜子が一回やらかしてくれて、それ以来かな」
「その時桜子おばさんにも料理教室やったんだっけ?」
「だねぇ。今でこそちゃんと作れる様になってるみたいだけど、昔はすごかったなぁ」
「でも、お話聞いてるとお母さんの学生の頃って楽しそうでしたよね」
「まぁ、楽しかったかな。今は子供の教育上の問題もあって離れてるけど、学生の頃は暇さえあれば一緒にいたから」
「それは楽しいはずだわ。人数も多かったみたいだし」
わいわいやりながら先ほど作った弁当をみんなで平らげていく。
考えてみたら、夕飯に手作りの弁当ってのも面白い。
「千春ちゃん、池上さん、どうだった?」
「楽しかったです。今日のことで少し、料理に自信がつきそうです」
「それならよかった。これからも乃愛ちゃんと仲良くしてあげてね」
「こちらこそですよ」
二人が帰る際に、母は先ほど切り分けていた材料を二人に渡していた。
「もし明日も作って学校行くつもりなら、これを使ってね」
二人は本当に作ってきそうだ。
母も今日は賑やかで楽しかったと感想を漏らしていたので、また連れてきてもいいかな、と思う。
その日は父もうちで過ごす日だった様で、今日の出来事を話すと興味深そうに聞いていた。
そして翌日。
お昼になって、二人が私の席にやってくる。
今日は屋上にいかないのだろうか。
「たまには、教室で食べましょ」
池上が、人数分の飲み物まで用意してくれていた様だ。
パシリみたいだな、こいつ。
「そういや二人は作ってきたのか?」
「うん、せっかく材料もらったし」
「昨日の夕飯と同じものになっちゃうけど、それでも今回はちゃんと作れたと思うから」
「なるほどな」
「乃愛さんの分もあるよ」
「え?私も乃愛さんの分が……」
「ま、マジか……よし、池上。お前は二人分食え。私は千春のだけでいいから」
「そ、そんな……」
「乃愛さん、それは可哀想だよ……私も半分食べるから、池上さんのも食べてあげようよ」
千春がこう言うのであれば仕方ない。
まぁ、そう言ってくるであろうことは予想してたけどな。
三人でいただきますをして、それぞれ食事にとりかかる。
一口食べてみると、確かに昨日と同じ様な出来だった。
大したものだ。
そして、呑み込んだ時に不意に頭の中に千春が一生懸命下ごしらえから調理までをやっている様子が、頭の中に流れてきた。
「!?」
「こ、これって……」
「母だな……余計なことを……」
おそらく母が昨日材料を切り分けたときに、何か力を使ったに違いない。
食べたときに、その調理の様子なんかを映像で見せる力。
池上の弁当も、同じ様に池上が悪戦苦闘している様子が頭の中に映し出された。
「お前ら、頑張ったんだなぁ」
「何だか、恥ずかしいねこれ……」
「でも、ちゃんと頑張ったって伝わるのはいいわね。お母さん、粋なことするじゃない」
「余計なことっつーんだよ、こういうのは……」
だが、二人が私の為にと頑張ってくれたことは素直に嬉しかった。
味も申し分ないし、これならあとは応用で何とか幅も広げていけるのではないかと思える。
そう、そう思っていたんだ。
だが二人は翌日も、そのまた翌日も、全く同じ弁当を持ってきた。
さすがに四日目になった時、私は二人に再度母の元で料理教室をやろうと提案する。
幅の広げ方も少し、教えてもらう必要がありそうだ。
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