その日の空は蒼かった

龍槍 椀 

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聖女の行進

覚醒

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 怒られたわ…… ええ、それは、それは、たっぷりとね。

 シルフィーにはもちろんの事、獣人族の方々にもガッツリとね。



 大きな体にに心配と困惑と、そして怒りを顕わにするのは、穴熊族のプーイさん。

 もの言いたげな視線を投げかけ、私に必要なお薬を調合している、兎人族のウーカルさん。

 まなじりを上げて、激怒している 森狼族のツェナーさん。

 精霊様に祈りを捧げつつも、御意思に不服を申し立てられている 狐人族のナジールさん。

 普段の活発さが、鳴りを潜め私にくっついたまま、ジト目で居るのは、森猫族のローヌさん。



 それぞれが、それぞれで、とても大きな心配と怒りを顕わにしていたの。

 手渡される、体力回復のお薬。 錬成を担当していたのは、兎人族の皆さん。 用心深く私の様子を確認されながら、調合していらっしゃったわ。 皆さんの非難の視線を受けつつも、お薬を頂くのよ。 苦い飲み薬ね…… もりもりと体力が回復していくのは判る。 たぶん、ぼんやりと身体が発光しているかもねッ!

 その間中、皆さんのお小言を食らい続けていたのよ。 ちょっと、困ってしまうくらいね。 そこには、途轍もない心配と、私が帰って来た安堵と、泣きたくなるくらいの慈悲の心が…… 練り込まれる魔力の様に濃密に、他結っているのよ。 これじゃぁ、反論も出来ないし、言い訳すら出来はしないわ。 すべてを逍遥と受け入れるしか……ね。


 ^^^^^


 一通り、皆さんの苦情を受け付けたわ。 皆の心を頂けた。 きつい言葉も、優しい気な囁きも、すべて、すべて、受け入れたの。


 皆さんの荒ぶる心が ” 収まる ” のを待って、現状を報告してもらったの。 だって、今私が居る場所すら、知らないんだもの。 此処は…… とても、とても、『闇』の魔力が濃厚な場所だし、居るお部屋は埋葬の為の石室の見たいに見えるもの。 えっと…… シャオーラン小聖堂の地下墓地の一画なの?

 私が倒れたのは、ク・ラーシキンの街、シャオーラン小聖堂の最奥部。 ルボンテイゲス司教様に連れられて、病魔に侵された…… と云うよりも、異界の魔力に汚染された 「 聖女 」 キャスター様の御寝所の扉の前だったわ。


 ――― そこまでは覚えているのよ。


 ラムソンさんが、倒れる私を受け止めて…… 大きな声で周囲に異常を知らせていたのもね。 ただし、その後、全く記憶が無いのよ。 ……魂が肉体を離れ、幽界に向かった事も在るし…… そんな状態なら、身体の方は ” 仮死状態 ” に遷移するのは、なんとなくだけど…… たぶん…… お母さまから受け継いだ ” 記憶 ” 。 ただね、それが自動反応って訳だから…… 私には制御出来ないから…… 

 だから、周囲の状況は全くの不明。 皆さんがいらっしゃるから、ここはそんなに悪い場所では無い事は理解しているんだけど、ちょっぴり不安も在るのよ。




「シルフィー。 苦情は受けました。 心配を掛けて事、深く詫びます。 ご免なさい」

「……リーナ様。 貴女は…… 私達の希望でもあるのです。 どうか、どうか、ご自愛ください。 ……それにしても、その御髪と目の色から見ますと、まだ、完全にお戻りに成っていないのでは?」

「そうでもないわ。 シルフィー…… 私、何か変わっていない?」

「……リーナ様はリーナ様です。 どのような外見に成られてもッ!」

「ええ、そうね。 ただ、私を見知っている人々から、どのように見られるのか、知りたいだけ。 どう?」

「……少々、大人びて見受けられます。 寝所の床衣から垣間見られます、お身体はとても十五歳には見えません」

「それだけ?」

「……その…… 御髪と目の色が、リーナ様であるとは云えず……」

「髪は染めますし、目の色も【偏光】術式で前の色に戻します。 目の色だけは今、変えられますよ?」




 手に、光の屈折率を変える術式を編み上げるの。 起動魔方陣は必要ないわ。 私に直結するしね。 目に魔方陣を張り付けて、シルフィーを見るの。 どう? これで、黒い瞳の周囲に紅い縁取りが出来たはずよ? 




「流石といいますか…… 驚くべきと、申し上げましょうか…… まさしくリーナ様の瞳に御座いますね」

「良かった」




 上手く、術式が練り出せたわ。 この術式ってね、「光」属性の魔法なの。 それも、高位の術式。 今までの『リーナ』なら、紡ぐことも出来なかった術式。 「闇」の属性魔法では、こんなにも簡単に術式を練り出せないし、まして稼働させようにも、属性違いの魔力では上手く発動すらしないもの。 

  ――― これで、確信が持てたの。 シュトカーナ様が仰っていた事がね。

 私の魔力の属性が無くなったって仰られた意味。 属性を考えずとも、全ての属性魔法が行使出来るって現実をね。 よく考えれば、かなり特異な現象よ。 だって、闇属性の私が、光属性の魔法を難なく行使出来るんだもの。 髪の色は…… そうね、こちらは内包している私の魔力が、術式を突き破る可能性が大きいから、染める方が良いかもしれないわ。 

 髪染めの薬は…… やっぱり、兎人族の人たちにお願いした方が良いかもね。 その手の薬剤に関しても、相当の手練れだもの。 でね…… やっぱり気に成るのは……



        ――― 耳の形状 ―――


 シルフィーの目にはどう映っているのかそこが知りたかったの。 だって、目を引くのよ? この柳耳は。 横に伸びちゃって、今までの二倍から三倍の長さに成っているのだもの。 おろした髪を突き抜けるように、顔の両側に伸びているのよ……




「そのね…… 私の顔なんだけど……」

「倒れられる前と同様、とても愛らしい御顔に御座いますよ?」

「……いや、そうじゃなくてね。 この…… 耳…… なんだけれど……」

「耳? ……あぁ、そういえば、横に伸びておりますわね」




 拍子抜けするくらいに、あっさりと、そう返されたの。 えぇぇ…… そんな、気に成るモノでは無いのかしら? 頭の中に声が響くの。




 ” リーナ、聞く人が間違っています。 森の民にとって、その ” 柳耳 ” の持ち主は、神聖にして聖なる者の証。 さらに、リーナが彼らの忠誠の対象でも有るのですよ? 自身の忠誠の対象者が、さらに神聖さを顕わそうと、彼らにとって其れは ” 喜ばしい ” 事であり、悪い意味で気に掛ける様な事はありません。 他種族…… 特に人族の目に触れない様になさい ”

 ” 人族の目に触れさせない…… とは?”

 ” 御伽噺の中でも、一頭地を抜く ” 原初の人ハイ・エルフ ” の存在ですのよ? リーナの容姿はまさに、ハイ・エルフそのもの。 輝く白い肌に、見る者に ” 欲心 ” を抱かせるような体形。 そのうえ、貴女生来の美貌に加え、柳耳…… 見る者が見れば、そう確信するでしょうね。 特に貴族や王族に至っては…… まぁ、囲い込もうと、色々とやらかすでしょうね ”

 ” それは、困りますッ! 人目を引くことに成れば、それこそ行動に制約が課されませんものッ! ”

 ” そうね、そう思うわ。 獣人族の方々には、気に成らない事でもね。 気を付けてね ”




 頭の中で高速で交わされる言葉。 そうかぁ…… 問い掛ける相手が彼女達って言う事が間違いなのね。 わかった。 この問題は、後回しにする。 薬師装束だったら、フードもついているし、頭をすっぽり隠せば、簡単には露見しないかな? ……ぁッ! もう、王城コンクエストムには行けないかな? あそこでは、フードとかの被り物は厳禁だもの…… 衛士さん達でさえ、面体は不許可な場所なんだものね。

 まぁ、もう、王城コンクエストムには戻らないつもりだし、別にそこの処は、問題に成りそうも無いわね。 判った。 しばらくは気にしないようにするわ。 気を取り直して、シルフィーに状況を聞くの。 わたしが、生還して最初にやらねば成らない事なんだものね。 状況の把握よッ!




「シルフィー、周辺の状況を。 私は何処に居るの? このお部屋の感じから、どこかの墳墓の一室? それとも、シャオーラン小聖堂の地下墓地? そんな所かしら?」

「いいえ、リーナ様。 少々事情が御座いまして、この場所はシャオーラン小聖堂では御座いません。 ク・ラーシキンの街の中でも、最も闇深き場所に御座います」

「えっ? どういう事?」




 シルフィーが、私の倒れた後の事を教えてくれたの。 ラムソンさんが倒れる私を抱きとめて、様子を見ると、身体のあちこちが欠損し始めていたって。 彼も私と共に長く行動を共にしていたから、彼も妖精の声が聞こえるようになっていたの。 そして、ブラウニーが、「闇」の精霊様である、ノクターナル様の御言葉をラムソンさんに伝えたんだ。


 ” 『愛し子』エスカリーナの魂の器が破れようとしている。 彼の者を『闇』深き場所へ運べ。 此処は、『光』が強い。 偽りの身体の保全【仮死状態】は、リーナにとって毒の光に成る。 闇深き場所へ、光の届かぬ闇の底に ”


 ってね。 ラムソンさんは大慌てでシルフィーに連絡を取って、時間も無かったから、このク・ラーシキンの街の中で、もっとも「闇」深き場所を探し、そこに私を連れて行く事になったんだって。 へぇ…… そんな事に成ってたんだ。 たしかに、「闇」属性が『むき出し』に成っているの私に 光の魔力が接触したら、そりゃ 魔力を内包する臓器なんかは、 ” 相対消滅 ” を、始めるものね。 

 ――― 依頼をうけたシルフィーが、” 闇深き場所 ” を、探して…… 私を連れ込んだのが、この場所だったって事。

 話を聞いて、最も闇深き場所ってどこだろうって考えちゃったの。 光と対極にある様な場所。 聖なるシャオーラン小聖堂の対極に成るような場所…… あまり、思いつかないわ。



「それで…… 此処は?」

「はい、わたくしの知る限り、”  ” と云われる場所として思い浮かぶのは、この場所しかありませんでした。 さらに、リーナ様がお戻りに成った事を鑑み、この場所で間違いは無かったと、そう思います」

「この場所に…… 漂う気配には、” 死の匂い ” が、とても強く感じられるわ。 ちょっと、場所的には怖い場所なのでしょ? 言いたくなければ、それでもいいのだけれども……」

「 ” リーナ様には、指一本触れない事、そして、何も詮索しない事 ” を確約させました。 ただし、対価に差し出したのは、ウーカル達、兎人族の錬成する医薬品と、ナジール達 狐人族が行使する、” 癒し ” の精霊魔法。 この場所を統括するモノに了承され、この部屋をご用意して頂きました。 リーナ様…… ここは、ク・ラーシキンの街 『 暗殺者ギルド 』 の、本拠地の地下。 『闇』のノクターナル様の聖壇の間に隣接した小部屋…… に御座います」



 …………奇しくも、ノクターナル様の聖域の傍なのね。 強く「闇」の魔力が渦巻くのも納得の場所ね。 最も闇深き場所ね…… そうかも…… 死と輪廻を司る精霊様なんだもの、そりゃ暗殺者さん達との親和性も強いわよね。 それに、このク・ラーシキンの街って確か、暗殺者さん達の本拠地があるって、シルフィーも言ってたし……



 でも、そんな所に私が連れ込まれて、大丈夫なのかしら?



 王都に対する連絡も、きっと途絶えているだろうし、ティカ様の配下の影だって、暗殺者ギルドの総本山の奥の間なんて、そんな場所には…… 手は出せないだろうしね。 と、云う事は……

 私、完全に失踪状態って事?

 長距離の通信も、ティカ様からの魔力通信も、鳩便も…… 何もかもが魔力擾乱で不通…… 私についていた王都の暗部の方々も、この場所には手が出せないし、出し手はいけない場所。 シルフィーなんかは、その手の方々から様々な接触を受けていたはずだけど、彼女の上官は…… 第四〇〇特務隊の指揮官は私。 ……私が戻ってくるって信じている以上、私の身体が分解しているなんて報告をする事はないわ。

 そして、どう転んでも、彼女の忠誠は何故か私一人と成っているしね。 

 じゃぁ、王都では、私に関しては…… 薬師錬金術師リーナの足跡は、シャオーラン小聖堂での行動以降、不明って事よね。 この部屋に集っている、第四〇〇特務隊のみんな以外、誰も知らないって事。

 これは…… なんと云うか……


 ―――― 好都合ッ!!


 ティカ様には悪いけれど、王都からの監視は私にっとて不都合以外にないわ。 まして私は【変化】しちゃったものね。 ” もう、人族ではありません ”  なんて、報告上げようものなら、ティカ様が飛んでくる可能性だってあるのだし…… 聖女様の魔力爆発で、あちらは混乱の極みのはず。 いくら、ティカ様でも、容易には状況はつかめない筈よね。 なら……



 ええ、そうよ……


 私は……



   ――― ” 人族 ” であった、『薬師錬金術師リーナ』は、闇の中に消えたのよ。



 失踪したのよ、人族の薬師錬金術師リーナは。 光の中に消えたエスカリーナ同様、今度は薬師錬金術師リーナが闇の中に消えたのよ。 それが…… たとえ一時になる可能性は、排除できないとはいえ、辺境の闇の中に入り込むわ。 私の成すべきを観測したら、ティカ様の事だから、きっと、私だと確信をもって判断を下される。 でも、それまでは…… 静かに、徹底的に。


 そして、私は成すべきを為すの。




 ――― ” 癒し、助け、救え ” ―――




 ね、そうでしょ? 王侯貴族の方々の監視下では出来ない事だってあるのだもの。 そして、それは何よりも大切な ” 成すべき ” 事柄。

 民を救い、この世に生きとし生けるモノ達の安寧に寄与する事は、時として、” 人族 ” の利益とは相反するわ。 なにより…… そうね、人族の生存圏を拡大するために開墾される、古の森とか、古き洞穴とか…… あるもの。 


 その環境を守る事は、人族にとってはとても看過できない、” 裏切り ” とさえいえる事案になるんですもの。


 だけど、私はすべてを救えと、託宣を受けているのよ。 だから、この状況を利用して、出来る限りの手は打つわ。 だって、それが、精霊様の『 愛し子 』としての ” 役割 ” でもあるんですもの。

 私自身も少し戸惑いがある程の考えなの。 でも、『変化』して、人族から『原初の人プリメディアン』となった私にとって、この想いは正しきモノに思えるのだもの。 でしょ? シュトカーナ様。




 ” ……貴女って何時もそうね。 この森の人々もきっと賛同してくれるわ。 貴女の考え方は、この世界の理にも叶うかな。 なにも、人族だけがこの世界の住人じゃないものね。 生きとし生けるモノに対する慈愛は、精霊様が最も欲する事柄でもあるわ。 行きなさい、貴女の心の欲するが道を。 それが精霊様の御意思に叶う限り、貴女への加護は消えはしないから ”




 シュトカーナ様も、そう云って下さった。 

          ――― だから、 私は決めたの。

 今までの薬師錬金術師リーナは、闇に消えたって。 そして、私は私として、この世界を苛むモノに対応していくってね。 さて、その第一歩。 早速だけど、シルフィーにお願いするわ。




「シルフィー。 薬師装束をお願い。 それと、ウーカルさん。 髪を黒に染め上げる、染粉を用意して。 それと、この聖域に居る事に同意して下さった方々にも会いたいわ。 準備は、宜しくて?」

「……承知いたしましたが…… その、お身体はもう大丈夫なのでしょうか?」

「ええ、今までに無く、とても快調よ。 とても…… ね。 ラムソンさん、私の護衛は出来る?」

「勿論だ」

「それは、結構。 ローヌさん、ク・ラーシキンの街の ” 周辺探知 ”は?」

「いつも通り」

「ならば、問題は有り得ないわね。 森猫族の方々が得意とされる、【探知】。 かなり重要な役割をお願いする事に成るわ。 えっと…… 探知範囲は、追って指示するから、広域の探知はよろしくね。 兎人族さん達が錬成している、お薬に一覧も用意できる? ウーカルさん」

「はい、直ぐに」

「ナジールさん達は、聖壇に向かってください。 ノクターナル様に、感謝の祈りを捧げて頂きたいわ。 私が帰って来られたのも、全てはノクターナル様をはじめとする精霊様のおかげだもの。 お願いします。 ナジールさん達の祈りには ” 特別な力 ” が、備わっているのですもの」

「……御意に」

「ツェナーさん、テトさん。 森狼族の方々には、今後、” お願いしたい儀 ” が、在ります。 貴方方の ” 鼻 ” をもって、異界の魔力が強く香る場所の特定をして頂きたいと思います。 とても危険な任務ですが、貴方方の ” 危機回避能力 ” は、その危険を上回れると思いますが、如何?」

「当然だ。 その任を受けよう」

「有難う。 では、この何も記載されていない、西方北部領域、及び 北方西部領域の地図を預けます。 出来るだけ詳しく、そして、貴方達の身に危険の無い方法で、” 異界の魔力 ” の拡散具合を調査してください。 特に、特異点については、詳しく。 生物、無生物、魔法生物の種別も詳細に。 お願いいたします。 ……穴熊族の方々には、かなり特殊な事をお願いしますが、宜しいですか、プーイさん」

「何なりと、御望みがあれば、やるよ」

「私がプーイさんにお渡しする、結界の魔道具を、私の指示する場所に設置して欲しいのです。 荷馬車を幾台が付けます。 私も移動を開始しますので、連絡は【漆黒の鳩便極秘通話】にてお願いします」

「それは…… ええけど…… リーナの護衛は?」

「ラムソンさん御一人で大丈夫ですよ。 シルフィーには、色々と調べてもらう事も在りますから。 私も、これからは、闇に紛れ動きますしね。 盛大な護衛は必要ありませんわ。 それに……」

「それに?」

「……貴方達はご存じ無いかもしれませんが、私は辺境の冒険者ギルドでも、相当に評価されている ” 銀級冒険者 ” なのですよ? 私自身くらいならば、どうとでも……。 お願いしたい儀は、とてもとても大切な事。 プーイさん達、穴熊族の方々にしか出来ない事なのです。 宜しいでしょうか?」

「……そこまで言われたら、” いいよ ” って云うしかないよね。 判った」

「では、皆さん。 よろしくお願いします。 まずは…… 此処から始めましょう。 暗殺者ギルドの方……ね。 私の身体が保全できたのも、彼らのおかげなの。 礼には礼を以て、真摯にね」






 シルフィーの準備は迅速よ。

 あっという間に、薬師装束が整えられて、私はいつもの姿になったの。


 黒のパンツ。 コットンの白シャツ。 濃い灰色の腹部軽装甲アンダーバストコルセット。 腰には山刀、クリスナイフ、それと魔法の杖。 フード付きのコートには、薬師錬金術師と、リーナの紋章入りがしっかりと刺繍されているわ。


 装束を付けて、ベッド側に立つの。


 振り返ると皆が居たわ。

 ニコリと微笑み、みんなに告げるの。







「始めましょう。 予防と治療を。 世界は、 ”  病んで ” いるのですもの」







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