その日の空は蒼かった

龍槍 椀 

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光への細い道

光への細い道

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 月日は、矢のように過ぎ去る。




 初月一月更月二月草月三月

    花月四月植月五月水月六月が、過ぎ去り……




 今年も半分が経ったの。 忙しく、あちこちに顔を出して、練成し、診察し、治癒し、採取し、そして、勉強していた、この半年。




 成すべきを成す為に、必要な知識を増やしていった日々。

 達成できた事は少なく、試行錯誤の日々。



 ―――― 強く、強く感じた事は、



 私は周囲の方々に助けられているって事。

 与えられる知識、見識。

 そして、数々の便宜。

 なにより、その方々の、御心。





 ” 私は一人じゃない ” 




 その思いが、強く心に刻み込まれていったの。




^^^^^



 そして、迎える、穂月七月


 学院は、夏季休暇に入り、学生の皆さんは各家に帰る、デビュタントに向けて最後の仕上げをされる。

 秋季大舞踏会まで、二ヶ月を切り、相応に力も入るというもの。

 焔月八月末までは、王都の貴族様方の社交シーズンでもあるわ。


 王都の貴族街では、毎日のように、どこかで茶会や、夜会や、そして、舞踏会が開催される。 貴族間の情報交換の場でもあり、若い貴族の方達の出会いの場でもある。 時に王族も招待されるそんな、社交の場。 今年は特に、マクシミリアン殿下や、アンネテーナ様のデビュタントも控えているため、その活動は活発にもなるわよね。

 成年貴族として…… 王太子妃候補筆頭として……

 顔を売り、繋ぎをつける大切な時期。

 流石に、王宮学習室でのお勉強もお休みに成るわ。

 偶にアンネテーナ様のご診察を、王太子府からの命を受けて実施するだけ。 


 とてもアンネテーナ様を大切に思われている、王太子殿下も、流石にこの時期だけは、彼女をドワイアル大公家の御邸に戻すの。 だから、私の診察も、王城学習室では無く、ドワイアル大公の御邸。 とても…… 懐かしい思いが心の中に湧き上がる。

 アンネテーナ様が、” 秘密よ、わたくしの一番大切なお部屋を見せてあげる ” と、手を引かれて連れて行かれたのが…… エスカリーナの御部屋だった場所。

 何もかも、あの日のままに……

 時間が止まったかのような……


 そんな、お部屋。



 思い出があり過ぎて…… 口数の少なくなった私を、アンネテーナ様が心配してくださったの。 それ程…… 心の中に、湧き上がる、様々な想いがあったわ。 決して、口外出来ない……


 そんな、大切な



      ――― 想い ―――






        ^^^^^^






 私は……


 そんな社交シーズン中は、王都周辺の町や村に向かうの。


 私を必要とされている方々が、沢山いらっしゃるもの。


 精霊様とのお約束を、遵守するための、道なの。


 第十三号棟を拠点として、王城外苑と、ティカ様の鍛錬室、そして、王都周辺の町や村へ……


 夜会や、茶会、舞踏会という、貴族の社交は、今の私には必要ない事。


 王太子府からの呼び出しが無い限り、私は、私の成すべきを成す。

 与えられた、精霊様の加護を、ファンダリアの民へ……




 其れが、私の ” 光への細い道 ”








 ―――― なの。





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