その日の空は蒼かった

龍槍 椀 

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出逢いと、お別れの日々 (1)

受け止める想い 決意も新たに

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 「ずーん」と、重い気持ちを抱え、腰に有る「山刀」と、何故か左手に格納されてしまった「魔法の杖」を携えて、森を歩いているの。 想いが詰まったこの装備は…… 本当に私が使っていいモノなの?



「「聖域」を抜けたら、転移魔法で店に帰るよ。 リーナ、そんな顔しない」



 へっ? り、リーナって? 私の事? おばば様の言葉にびっくりして目を見開いたの。



「あぁ、そうさね。 魔術師は「名」を尊ぶのさ。 真名を敵対する魔術師に知られると、それだけ危険性は増すしね。 ある程度強く成れば、そんな気を使う必要も無いんだけどね。 駆け出し、ひよっこ「錬金術魔術師」な、あんたには、まだまだ、名前の呪縛が有るんだよ」

「はい…… その為の「名」なのですね」

「そうさ、リーナ。 「錬金魔術師」としてのあんたの「名」さ。 まぁ、男爵さんの御邸じゃぁ、いつも通りエスカリーナでいいさ。 でも、魔術を行使し、何かを生み出す心算なら、「錬金魔術師」としての「名」を使わないといけない。 なにせ作ったモノの中に、あんたの「名」が刻まれるからね。 目端の利く商人とか、王宮の魔術師なんかが、あんたの作ったモノに目を付けたら、調べるよ。 必ずね」

「そ、それじゃぁ…… 今まで作ったモノは……」




 ある程度は予想してたけれど、「お小遣い稼ぎ」で、色んなお薬作って売ったのは…… マズかったのかしら……




「そうさね、今までのあんたの作ったモノは、あんたの錬金魔法陣から生み出された。 当然、あんたの「名」は、刻まれて居るだろうね。 しかし…… そうでもないかね。 あんたの魔術の知識は虫食いだらけだったって云ったろ? 穴の開いていた知識の中に、あんたの「名」の部分が有るんだ」

「知識の穴ですか……」

「無詠唱で、魔方陣を紡ぎ出す時にさ、自身の「名」を媒介に描き出すんだ。 普通はね。 でもあんた、知らなかったろ?」

「はい…… では、何故私が無詠唱で魔方陣を紡ぎ出せたのでしょうか?」

「……推測でしかないのだけどね。 あのバカ娘エリザベートの血の記憶って所かね。 あんたの知識が足りない場所、認識できていない場所を、あの子の血が補っていた…… そう考えると、一番スッキリする。 なにせ、馬鹿みたいに大きい魔力を渡したらね、あの子。 あんたの身を案じて、あんたが魔法の知識を得るまで、護ろうとしたんじゃないか? あの子もそこそこ魔法は使えたからね」

「お母様の血の記憶……」

「そうさね、母の護りってやつさね。 でもね、これからは、あんたの「名」を持って錬金魔法を使うんだよ。 もう、その護りも消耗して消失寸前ってところだからね。 ……いままで、あんたが作って来たモノは…… たぶん、あの子の名が刻まれている可能性も有るんだよ。 ふふふ…… 調べた奴、度肝抜かれるよ。 なにせ、十年近く前に身罷ったあの子の名で作られたってんだからね」




 なにかとても楽しそうな、おばば様。 そうだったのね。 お母様の想いもまた、私を護っていてくれたのね…… 半端な知識しか持たない私が今日まで魔力暴走を起こさなかったのも、お母様が守っていてくれたのね…… 




 エリザベートお母様……




「さて、そんな事言っている間に、「聖域」の端まで来たよ。 ルーケル。 気を付けなよ。 何時までも呆けてるんじゃないよ。 ある程度、離れないと転移魔方陣は展開できないんだからね。 魔物達も「聖域」から出て来るモノを虎視眈々と狙うからね。 さぁ行くよ!」




 おばば様の云う通り、行く時と比べても、高い頻度の魔物との遭遇。 でも、ルーケルさんも遺憾なくその剣技を披露し、私だって、足手まといとは判っているけど、小さいのは叩けるようになったし…… なんなく、おばば様の指定の場所までたどり着けたわ。

 周囲警戒を私とルーケルさんがする中、おばば様は、例の長距離転移魔法を紡ぎ出していたの。 ホントに、何気なく、普段使いしている様に、膨大な魔力を要求するその魔方陣を紡ぎ出した おばば様は、私達に声を掛けて下さったの。




「さて、帰るか。 おいで。 あっちで、待ってる奴がいる筈だから」




 おばば様に手を引かれ、私とルーケルさんは、長距離魔方陣を踏んで「百花繚乱」に帰る事になったの……





 *******************************





 転移の衝撃は限りなく小さいの。 もうホントにね。 まるで隣のお部屋に行くために、扉を抜けたって感じなの。 凄い精度なんだなぁって、思わず呻き声をだしちゃった。 こんな精緻な魔方陣を編めるおばば様に改めて畏怖の念をもってしまう。

 私達が抜けると共に、魔方陣は消失。 人数限定なのかも…… 紡ぎ出すのも、消すのも、とても大変な高度魔方陣をこうもあっさりと…… もうね、比べる事すら驕慢に想えるわ。




「さて、お家に帰って来たよ。 お疲れ様でした。 リーナ、今後、あんたは ” 錬金術師のリーナ ” を、名乗りな。 いいね。 それと、錬金術を使うのは「百花繚乱」の作業場に限る事にするよ。 あんたの為さ。 それと、その「魔法の杖」 早々に各属性を符呪しないとね。 ……それがリーナ、あんたの錬金魔法を高度に高めてくれる ” 錬金釜 ” の、代わりになるのさ。 使い方は追々教えるから、心配しなさんな。 そうだねぇ…… それを使いこなせる様になったら、私からリーナに、「 薬師錬金術士 」の資格を与えるよ。 「錬金術師」にゃ、ギルドなんざないからね。 師匠が弟子に資格を与えるのさ。 師匠の私から弟子のあんたにね」

「はい、おばば様。 精進します」

「うん、良い返事だ。 ルーケル、今日見た事は内密にな」

「御意に、賢女様。 しかし……たとえ私が誰かに漏らしても、到底信じて貰えんでしょうな。 西域の禁忌の森に瞬刻で行って、トレントの長老に会い、そして、瞬刻で帰って来たなんて…… まずは、夢でも見たんじゃないかって、謂われそうですな」

「まぁね。 ほら、リーナ。 あんたのもう一人師匠がいるよ。 行って、お願いしといで、その魔法の杖に符呪をして欲しいってね」

「あっ、はい! おばば様…… 顔色がお悪いですけれど……」

「そうさね、ちょいと魔力を使い過ぎたかもね。 悪いが、休ませてもらうよ。 いいかい」

「はい…… お師匠様…… あの……」

「何だい?」

「我、見習い錬金術師リーナ。 神と精霊の前に真摯な心を持って、 「海道の賢女」ミルラス=エンデバーグ師の慈愛と献身に、至高の感謝を捧げ奉ります。 神と精霊の加護と慈しみをわが師に、与え給え」

「言祝ぎかい。 有難う。 「精霊の愛し子」の言祝ぎは…… 効くねぇ……」




 ボンヤリと、光の粒がおばば様を取り囲んでいるわ。 言祝ぎは…… 届いた……






^^^^^^^^




 おばば様のお店の裏庭。 おばば様を言祝ぎ、そしてその想いが通じた証の、光の粒。 ニコリと微笑まれたおばば様は、私を裏庭の入口へと誘われたの。 そこには、私の馬車の隣に、イグバール様の荷馬車も止まっていたの。 何時の間にご連絡されたのかしら。 私達が大転移魔方陣から出て来るのを、目を見張って見詰めてらしたわ。



「これは、これは、海道の賢女様。 ご機嫌麗しく…… しかし、先程の気配は、高位魔法陣…… なんですかね、アレは」

「あぁ、ちょっと出かけて来た。 西の禁忌の森までな」

「という事は…… 大転移魔法? なんていう物を気軽に使われるのか…… まったく、異常な人だよ、賢女様は」

「まぁ、異常なのは認めるよ。 ” リーナ ” の事もあるしね。 イグバール、ちょいと頼みごとがある」

「リーナ?」

「あぁ、「錬金術師」リーナだよ。 まだ、卵だけどね。 リーナから、頼み事があるんだ。 詳細は、リーナからお聞き。 私は…… ちょっと休ませてもらうよ」




 私が一緒に居る事は、見ればわかるものね。 おばば様は疲れた御顔で、お店の中に入られたんだ。 残されたのは、私と、ルーケルさん、それとイグバール様。




「何があったの? ……って言っても、話せないんだろうけどね。 朝早くブギットの旦那の所に来たろ。 いつもより早かったから、逢えなかったけど…… 旦那もここ最近、鍛冶場でカンカンずっとやってたみたいだし…… アレもエスカリーナ絡みなのかい?」

「……ええ、そうなのです。 おばば様に、「錬金術師」目指すとそう申しました。 それから、色々と考えて下さって…… おばば様から、ブギットさんに山刀を一丁、依頼されました。 わたしに使いなさいって…… それが、コレです」




 腰に装備した、山刀をすらりと抜く。 青黒い鈍色の刀身…… ただものでは無い雰囲気。 オリハルコン製だもんね。 一見古臭い、さびた山刀に見える所がなんとも……


 それを見たイグバール様、一瞬息を止めたの。


 見る人が見れば、わかっちゃうものだしね。 その山刀を凝視するイグバール様。 口から漏れるのは唸り声。




「……それに符呪を? いや、だって、それ、オリハルコンだろ? あの旦那、なんつうモノを鍛えたんだ…… 値が張る処の騒ぎじゃねぇぞそれ…… 海道の賢女様からの依頼だからか…… まぁ、武具じゃねぇしな…… 旦那、あんたって人は…… おおよその察しは付いてたって訳か…… それで、ニヤニヤしながら、鍛えてたんだな…… 喰えねぇ~ 喰えねぇ親父だ。 よし、判った。 それに符呪しようじゃないか。 なにを符呪する?」

「いえ、そうでは有りません。 イグバール師匠にお願いしたいのはこちらです」




 私は、もう一方の手を振り出したの。 あのね、戴いた「魔法の杖」おかしいの。 どうやって持って帰ろうかって思ってたら、左の腕の中にいきなり入り込んで来たの。 出し入れは自由なんだけど、自分の身長程もあるこの杖が、左腕の中に格納されたなんて…… 信じられないわよね。 

 おばば様は、さも当然のような顔をされていたし…… ルーケル様は、異常な事態が次々と起こるもので、そんな私を見ても、 ” またか ” ぐらいな表情でしか無かったもの。


 振り出した左手に握られた「魔法の杖」  トレント族の長老様が私の為に練り出して下さった大切なモノ。


 手の中にあるそれを見たイグバール様。 今度は、完全に固まったの。 そりゃ、人がいきなり何も無い所から、自分の背丈位も有る木の棒を取り出したら、そうなるわよね。 それが普通の反応よね。 よかった、イグバール様が普通の感覚の持ち主で。

 私の周りの人達って、どういう訳かそう言った感覚が薄いの。 道を突詰めた人だからかなぁ…… わたしも、頑張って「錬金術師」になったら、こういう普通の感情って…… 無くなっちゃうのかなぁ……




「エ、エスカリーナ…… この「魔法の杖」は…… 何処から? いや、なんだコレは? 誰から貰った?」

「はい…… 内緒にしていて頂きたいのですが…… おばば様に連れられて行ってきた、西の禁忌の森の「聖域」で……」

「ちょ、ちょっと待った! 禁忌の森の聖域って、アレか? 「あの聖域」なのか?」

「えっ?」

「知識と英知を謳いあげられている、トレント達の住まう場所だぞ? もし、それが本当なら、お、おまえ、トレント達に逢ったのか?」




 驚愕に目を見開かれて、私を見詰めるイグバール様。 さっきからそう言っているじゃない。 おばば様に連れられて行ったって。 おばば様曰く、古い馴染みみたいな事仰ってらしたわ。 結局、イグバール様の問い掛けには、コクリと頷く他無かったんだけど。




「エスカリーナ…… 良くお聞き。 トレント族は人とは関わりを持たない。 そして、その枝は、とても貴重で、幾多の魔術師が小枝一本でも欲しがるんだ。 事実、禁忌の森を焼いて、聖域に突撃しようとした奴等もいる。 ひと昔前の話だが、その事が「海道の賢女」様の逆鱗に触れて…… 高位広域魔法でもって、そいつら吹き飛ばされて文字通り「全滅」させられたと聞く…… 以来、あの森に手出しする馬鹿な奴等は居なくなっていた筈なんだ……」

「ええ、ツードツガ様も、そう仰ってましたわ。 おばば様に大きな恩があると。 ……それで、この杖なのですが」

「ま、まて! 今、お前、なんて言った!」

「はい? ツードツガ様と……」

「その名前は、聖域におわすトレント族の長老の名だぞ!?!? ま、まさか…… 逢ったのか?」

「ええ、おばば様と難しいお話をされておられました。 ね、ルーケルさん」




 ルーケルさん、こくんと頷かれる。 なにか言いたげな表情だったけど、おばば様とのお約束があるから、言葉を飲み込まれていたわ。 イグバール様に視線を戻すと、師匠は私の手に握られている「魔法の杖」を凝視していたの。




「自然に落っこちた「小枝」…… という訳じゃ無いんだな……」

「はい。 ツードツガ様が魔力を込められて、練り出された杖に御座います」

「!!! 自ら意思を持って練り出されてた?! …………これが………… そうなのか……」




 そう言ったまま、イグバール様が固まって、そして無言で凝視されているの。 お願いを聴いてもらわなきゃならないのに…… 息をしないと、死んじゃうわ。 ねぇ、イグバール様! お願い、ちゃんと呼吸をして下さいまし!




「あの…… ツードツガ様も、おばば様も、仰っておいででした。 この杖は形。 私の「闇」の属性も含め、全部で七属性をこの杖に「符呪」しなくてはならないと」

「…………お、俺がか?」

「ツードツガ様も、ご心配の御様子でしたが、おばば様が当てがあると。 そう仰っておいででした。 そして、此処にイグバール様をお呼びになった。 誰がおばば様の「当て」で在るかは、明白で御座いますわよね。 イグバール師匠様、どうぞお願い申し上げます。 この「魔法の杖」に、七属性の符呪を。 わたくしも微力ながらお手伝い致します。 何卒。 ツードツガ様の想いを…… これを練り出す為に、永い眠りに就かざるを得なくなった、あの偉大な御方の為にも……」




 黙り込んじゃったわ…… 師匠…… 眼は魔法の杖に釘付けなんだけど、その瞳に惧れが揺らいでいるの。 やはり、それ程のモノなのよね。 御城の宝物庫にも無いって、おばば様が仰ってらしたし。 じっと手の中の「魔法の杖」を見てみるの。

 優し気な魔力がうねる様に動いているのが判る。 手にしっかりと馴染んでいるし、どんな緻密な高位魔法でも、これを使えば描き切れると、何故か思えるしね。 でも、今はダメ。 まだ、完成体では無いもの。 おばば様も、おいおい使い方を教えて下さるって、そう仰っていたし……ね。




「ダメでしょうか?」




 強く強く、押し込むの。おばば様と、ツードツガ様の想いを無にしたくはないの。 だから、強く強くお願いするの。 目の前がちょっと赤味を帯びた視界に変化するの……




「……そんなに、睨まんでくれ。 眼に魔力が籠っているぞ…… 俺じゃなけりゃ、一発でお前の虜になるぞ…… はぁ、呪具常時展開しててよかったよ…… と云っても、その呪具も限界だな…… 判ったよ…… 師匠として、弟子のお願いは聴かなくてはな。 ただし!」

「はい!」

「エスカリーナも手伝う事! じゃ無けりゃ、お断りだ。 そんな聖具に符呪しろなんて、冗談じゃない。 これでも、身の程を弁えているんだ…… 一体、海道の賢女様は、俺の何処を見ているんだ?」

「……実直なお仕事と、それに、人を想う気持ちでしょうか」

「……まったく、あのばあさんには敵わないよ。 暫く準備が必要だ。 場所は、そうだな、ココ「百花繚乱」でどうだ? 秘匿すべき代物なんだから、丁度いいだろ? 賢女様には許可を取っておくれ」

「はい! お師匠様!!」




 よし、通った! おばば様には、ちゃんと許可を取ろうと思う。 イグバール師匠がそう云ってたし、私も必要な事だと思うもの。 この杖はとても貴重なモノ。 もしどこかで誰かに見とがめられたら、きっと取り上げられる。 そうならない様にもして貰おうと思う。


 それに、誰かの前で使うような事もしない方が良いに決まっている。


 錬金魔法を使ってお薬を作るのは、ここ「百花繚乱」の中でだけ。 だった、私はまだ、「錬金術師」の卵なんだものね。 でも、杖の符呪が終わったら…… 



 ちゃんと使えこなせるようになったら……



 おばば様、約束してくださったもの。




「薬師錬金術士」としての資格を与えるって……




 鍛錬しよう。




 人の役に立てる人になろう。







 その想いが、今の私の全てなんだもの……







*******************************


 それからの私は、御邸で家政のお手伝い。 ブギット様の所から、おばば様の所への「山の水」の運び屋さん、「百花繚乱」でのお手伝いと、「魔法の杖」への符呪と、本当に忙しかったの。 まだまだ、秘密にしとかなきゃならない事も沢山あったし、黙って色々と動くのも難しくなって来た。




  ハンナさんからの圧力は日々増してきて……




 でも、約束だからね。 無理矢理にでも黙っていたの。 頑なな私なの。 でも、そんな私の気性を良く知っているハンナさんは、目に圧力を浮かべながらも、黙っていてくれた。 本当に有難い事ね。


 そうそう、グリュック夫妻に御子がお出来になったの。 双子なんですって。 あの視察の時の子供だと、男爵閣下がそう云われてね……



「エスカリーナのお陰だ。 有難う。 本当にありがとう」

 

 なんて、言われもしたの。 もう苦笑するしかないわ。 結局あのお薬…… 使ったのかしら? まあ、でも、そんな歓び事で、男爵家の方々はとてもお慶びでね。 双子ちゃんの御世話で、ニーナ若奥様と、エルサ奥様が家政の執務室に顔を出し難くなって、その穴埋めに何人かの官吏の方が来て下さったの。

 例によって、最初は訝し気な目で見られたけど、その内、私がしているお手伝いについて、とても関心を持たれてね。 一緒にお仕事する様になったの。 頭の良い、実務優先の官吏の方達だから、飲み込みも早くて、とてもたすかったの。 

 これを機に、彼等は家政の担当になるそうよ。 ニーナ若奥様が復帰した時には、良き片腕となる事が決まったのよ。


    いい事よね。 


 エルサ奥様も、お慶びになっていると思うの。 双子ちゃんがお生まれになってから、ニーナ様も落ち着かれて、なんていうかな、男爵夫人としての威厳? みたいなモノを身に付けられた感じなの。 背負うモノ、護るべき者が出来たなら、女は母になり強く成れるんだなぁ…… って、そう思ったの。



お母様がそうであったようにね……



こうして、忙しくも充実した日々が過ぎ去っていったの……





―――――――




「魔法の杖」を貰った時の私は、八歳と半年。 それから、一年半の歳月をかけて、無事七つの属性を「魔法の杖」に符呪する事が出来たの。




十歳の誕生日……




ついに、私は、おばば様から資格を戴く事が出来た……




  そう…… ついにね。 








おばば様から、 「 薬師錬金術士 」 の資格を授けて貰えたの。








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