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1章
わたしを離さないで 2
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ショゴスを連れて、さっき所長さんが入っていった部屋に入る。部屋では、椅子に座って待っている所長さんがいた。
「さっきぶりだね、井上君」
「はい、えっと、俺は見学で来たんですけど」
「あぁ、わかってるよ。これから私の研究室の一部を紹介しようじゃないか、妹さんにはちょっと難しい話があるかもしれないけど、きっと面白いから一緒に行こうね」
「ん-、ゆーごと一緒!」
「それじゃ、向かおうか」
所長は椅子から立ち上がりながら言った。そのあとは、すぐに笑顔になって案内を始める。
研究室は別の棟にあるらしく、少し離れた建物に移動してから、いろんな部屋を見て回った。
様々な研究室があり面白い、植物に視点を当てたり、実験に使う細胞を培養していたり、めったに目にすることのない機械などもあった。そうして、いろいろなところを案内され、ちょっと疲れてきたころ。差し入れの飲み物をもらった。
疲れからいつの間にか寝てしまっていたのだろうか、目を開けると別の部屋にいた。
この部屋、物がほとんどないな。どういう部屋なんだろう。
てか、ショゴスがいねぇ!あいつ、どこかで迷惑かけてるんじゃないだろうな。やべぇ、不安になってきた。早く探しに行かねぇと。
とっさにドアに手をかける。が、開かない。施錠されているようでガチャガチャと音が鳴るだけだ。
「なんで内側に鍵がないんだ」
よく見ると、何かをかざすような機械が壁に埋め込まれている。自分の貰ったカードを当ててみるが反応しない。どういうことだ。これって、監禁されているってことか?
ひたすらドアをたたき、おーいと声を出す。
すると、誰かの声が聞こえた。
「何かあったんですか?」
どうやら女性の声のようだ。
「すみません?気がついたらこの部屋にいて、しかも鍵が開かないんですけど、どうにかできませんかね?」
「あらあら、それは大変ですね。ちょっとお待ちください」
女性がそう言ってしばらくすると、ピッという高い電子音が響いてから扉が開く。扉が開くと、目の前には白衣をまとった褐色肌の女性がほほ笑んでいた。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、それより大変でしたね。この部屋は研究員のカードじゃないと開かないんですよ」
「あぁ、そうだったんですね。あ、それより、あの、小さくて白髪の女の子見ませんでしたか?」
「女の子ですか?そうですね、所長さんと一緒でしたかね」
「ありがとうございます」
女性に話を聞いて、すぐに所長さんを追いかけようとする。しかし、この場所に見覚えがなかった。
「あのー、ここって高橋研究所のどこですか?」
「ここは、地下ですよ。あ、このカードを渡しておきますね」
女性は、地下だと答え、持っていた一枚のカードを手渡すと、そのまま廊下を歩いてどこかへ行ってしまった。
ショゴスは自分で探しに行くしかないよな。それに、このカード貰ってよかったんだろうか。
まぁ、いいか。とりあえず、手当たり次第に部屋を当たるしかないか。
今いる場所は、ちょうど廊下の突き当りに位置している。
とりあえず隣の部屋に突入してみる。
その部屋は、たくさんの本があり1人、研究者のような人がいた。
「な、誰だ⁉」
「えっと、ちょっと人を探してて」
「おまえ、ここでは見たことないやつだぞ」
なんだろう、急に警戒されている。まったくもって何が起こっているのかわからないのに。
「とりあえず、そこで大人しくしろ!」
「え?俺特に何もしてないですよ?」
なんか、怪しいな。何かがありそうだぞ、この場所。
近づいてくる、研究者の男は懐から手錠のようなものを取り出す。
「え⁉ちょ、やめてください!」
「大人しくしろって言ってるだろ」
「いや、でも、いきなり手錠はおかしいでしょ‼‼」
少し、言い合いになっていると男がさらに腰のあたりから取り出す。よく見るとそれは拳銃であった。
「そ、それ、本物?」
パァンッと乾いた破裂音が響く。
相手に尋ねようとしたら、お返しに鉛玉を食らってしまった。奇跡的に当たらなかったから良かったけど。相手の持ってる、あれは本物だ。まさか、現代日本でお目にかかるとは思いもしなかった。
相手を見ると、あまり撃ち慣れてないように見える。響いた破裂音で耳がやられたのか、必死に押さえている。
その間に俺は、相手との間合いを詰める。
たとえ、拳銃でもしっかり間合いを詰められたら急所には当たりづらいだろう。
相手は、俺に向かってぶつかってこようとしたがとっさに回避する。
その隙をついて、俺は相手に向かって思い切り蹴りこんだ。
キレイにヤクザキックが決まり、相手を置かれていた机にぶつけることに成功した。
その時、ちょうど頭を打ったのか、そのまま相手は気絶してしまった。
「まじで何が起こってんだよ。わけわかんないよ。とにもかくにも情報だ。どうしてこんなことになったかには、理由があるはずだ」
男は、男が持ってた手錠で動けないように縛った。
それから、本棚の中の冊子や机の上に置かれている日誌を見つけた。
詳しく調べてみる。
研究冊子の要約
現在、培養しているショゴスについて。
ショゴスの細胞について遺伝的に解析をしたところ、様々な生物がもつ遺伝子を持ち、絶えず形を変化させる。その際、遺伝子レベルでの変化を起こし姿かたちを変えることがわかった。
つまり、様々な細胞の複製が可能で唯一無二の細胞の遺伝子を丸ごとコピーすることができることがわかった。
これを応用すれば、患者の細胞から患者の遺伝子を持った臓器などの複製が可能ということ。さらに、遺伝的変化がないため、拒絶反応もなく移植が可能になる。
私たちは、それを商用として利用することにした。
日誌の要約
つい最近まで、ショゴスを飼育し培養していたようだが、ある時1匹が研究所から脱走したらしい。取り戻す必要があるため、秘密裏に捜索しないといけない。
そういったことが書かれていた。重要な部分だけを抜き出したが、これって、もしかして、俺の家のショゴスだろうか。だとしたら、俺ってもしかして、結構ヤバい事に首を突っ込んだような気がする。え?大丈夫か?これ、殺されるんじゃ。
ちょっと、慎重に探索する必要がありそうだ。しかも、何がやばいってあのよくわからん奇妙な生物で臓器を作って売ってるってことだろ?絶対に何か副作用とかありそうなんだけど。
俺は、慎重に探索することにした。
「さっきぶりだね、井上君」
「はい、えっと、俺は見学で来たんですけど」
「あぁ、わかってるよ。これから私の研究室の一部を紹介しようじゃないか、妹さんにはちょっと難しい話があるかもしれないけど、きっと面白いから一緒に行こうね」
「ん-、ゆーごと一緒!」
「それじゃ、向かおうか」
所長は椅子から立ち上がりながら言った。そのあとは、すぐに笑顔になって案内を始める。
研究室は別の棟にあるらしく、少し離れた建物に移動してから、いろんな部屋を見て回った。
様々な研究室があり面白い、植物に視点を当てたり、実験に使う細胞を培養していたり、めったに目にすることのない機械などもあった。そうして、いろいろなところを案内され、ちょっと疲れてきたころ。差し入れの飲み物をもらった。
疲れからいつの間にか寝てしまっていたのだろうか、目を開けると別の部屋にいた。
この部屋、物がほとんどないな。どういう部屋なんだろう。
てか、ショゴスがいねぇ!あいつ、どこかで迷惑かけてるんじゃないだろうな。やべぇ、不安になってきた。早く探しに行かねぇと。
とっさにドアに手をかける。が、開かない。施錠されているようでガチャガチャと音が鳴るだけだ。
「なんで内側に鍵がないんだ」
よく見ると、何かをかざすような機械が壁に埋め込まれている。自分の貰ったカードを当ててみるが反応しない。どういうことだ。これって、監禁されているってことか?
ひたすらドアをたたき、おーいと声を出す。
すると、誰かの声が聞こえた。
「何かあったんですか?」
どうやら女性の声のようだ。
「すみません?気がついたらこの部屋にいて、しかも鍵が開かないんですけど、どうにかできませんかね?」
「あらあら、それは大変ですね。ちょっとお待ちください」
女性がそう言ってしばらくすると、ピッという高い電子音が響いてから扉が開く。扉が開くと、目の前には白衣をまとった褐色肌の女性がほほ笑んでいた。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、それより大変でしたね。この部屋は研究員のカードじゃないと開かないんですよ」
「あぁ、そうだったんですね。あ、それより、あの、小さくて白髪の女の子見ませんでしたか?」
「女の子ですか?そうですね、所長さんと一緒でしたかね」
「ありがとうございます」
女性に話を聞いて、すぐに所長さんを追いかけようとする。しかし、この場所に見覚えがなかった。
「あのー、ここって高橋研究所のどこですか?」
「ここは、地下ですよ。あ、このカードを渡しておきますね」
女性は、地下だと答え、持っていた一枚のカードを手渡すと、そのまま廊下を歩いてどこかへ行ってしまった。
ショゴスは自分で探しに行くしかないよな。それに、このカード貰ってよかったんだろうか。
まぁ、いいか。とりあえず、手当たり次第に部屋を当たるしかないか。
今いる場所は、ちょうど廊下の突き当りに位置している。
とりあえず隣の部屋に突入してみる。
その部屋は、たくさんの本があり1人、研究者のような人がいた。
「な、誰だ⁉」
「えっと、ちょっと人を探してて」
「おまえ、ここでは見たことないやつだぞ」
なんだろう、急に警戒されている。まったくもって何が起こっているのかわからないのに。
「とりあえず、そこで大人しくしろ!」
「え?俺特に何もしてないですよ?」
なんか、怪しいな。何かがありそうだぞ、この場所。
近づいてくる、研究者の男は懐から手錠のようなものを取り出す。
「え⁉ちょ、やめてください!」
「大人しくしろって言ってるだろ」
「いや、でも、いきなり手錠はおかしいでしょ‼‼」
少し、言い合いになっていると男がさらに腰のあたりから取り出す。よく見るとそれは拳銃であった。
「そ、それ、本物?」
パァンッと乾いた破裂音が響く。
相手に尋ねようとしたら、お返しに鉛玉を食らってしまった。奇跡的に当たらなかったから良かったけど。相手の持ってる、あれは本物だ。まさか、現代日本でお目にかかるとは思いもしなかった。
相手を見ると、あまり撃ち慣れてないように見える。響いた破裂音で耳がやられたのか、必死に押さえている。
その間に俺は、相手との間合いを詰める。
たとえ、拳銃でもしっかり間合いを詰められたら急所には当たりづらいだろう。
相手は、俺に向かってぶつかってこようとしたがとっさに回避する。
その隙をついて、俺は相手に向かって思い切り蹴りこんだ。
キレイにヤクザキックが決まり、相手を置かれていた机にぶつけることに成功した。
その時、ちょうど頭を打ったのか、そのまま相手は気絶してしまった。
「まじで何が起こってんだよ。わけわかんないよ。とにもかくにも情報だ。どうしてこんなことになったかには、理由があるはずだ」
男は、男が持ってた手錠で動けないように縛った。
それから、本棚の中の冊子や机の上に置かれている日誌を見つけた。
詳しく調べてみる。
研究冊子の要約
現在、培養しているショゴスについて。
ショゴスの細胞について遺伝的に解析をしたところ、様々な生物がもつ遺伝子を持ち、絶えず形を変化させる。その際、遺伝子レベルでの変化を起こし姿かたちを変えることがわかった。
つまり、様々な細胞の複製が可能で唯一無二の細胞の遺伝子を丸ごとコピーすることができることがわかった。
これを応用すれば、患者の細胞から患者の遺伝子を持った臓器などの複製が可能ということ。さらに、遺伝的変化がないため、拒絶反応もなく移植が可能になる。
私たちは、それを商用として利用することにした。
日誌の要約
つい最近まで、ショゴスを飼育し培養していたようだが、ある時1匹が研究所から脱走したらしい。取り戻す必要があるため、秘密裏に捜索しないといけない。
そういったことが書かれていた。重要な部分だけを抜き出したが、これって、もしかして、俺の家のショゴスだろうか。だとしたら、俺ってもしかして、結構ヤバい事に首を突っ込んだような気がする。え?大丈夫か?これ、殺されるんじゃ。
ちょっと、慎重に探索する必要がありそうだ。しかも、何がやばいってあのよくわからん奇妙な生物で臓器を作って売ってるってことだろ?絶対に何か副作用とかありそうなんだけど。
俺は、慎重に探索することにした。
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