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1章
わたしを離さないで 1
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大学生活が始まり、少し経ったある日。
今日から少し休みの日が続く。俺は、暇を弄びながら目の前の生物を見続ける。
「ゆーご、そんなに見られると恥ずかしいぞ。(テレテレ)」
表面のぬめりが、怪しく光りながら恥ずかしそうに少し赤みがかる。俺の感情はもはや虚無だ。なんで、こいつ照れてんだろう。俺の正気度はけっこう減ってるみたいだ。
「ゆーご、ひまー」
「わかるー、ひまだよなー」
人外の生物とこんな日常会話を繰り広げれるレベルになれるって、存外人間の適応能力は高いのかもしれない。しかし、暇なのは変わらないので適当にポストを確認しに行く。
一枚のチラシが挟まっている。
「なんだこれ?」
「なんだ?ゆーご、なんて書いてある?」
目と人間の口をつけた触手が俺の肩からひょっこり現れながら言った。
「うおっ、それびっくりするから、やめてくれよ」
「別にいいじゃん。で、なんて書いてあるの?」
チラシは、高橋研究所というところから届いていた。詳しく見るとどうやら見学の案内らしい。細胞工学についてや、クローン技術についての話などいろいろ書かれている。少し興味が引かれる。
「見学の案内状みたいだね」
「ほう、なかなか楽しそうじゃないか?」
「まぁ、俺もちょっと興味はあるかな」
「行こう!ゆーご、行こう!」
「どうせ、暇だしな。日付はっと……これ、ちょうど今日やってそうだぞ」
「なら支度してさっさと行くぞ!」
さきほどのだらけて溶けていた姿とは、うって変わり美少女に化けたショゴスが目をキラキラさせて言う。俺も外へ出るための服に着替え、玄関のドアを開けた。
チラシに書いてある地図を頼りに電車を乗り継ぎ、目的の場所に向かう。時間はまだ昼前で少し小腹が空いてくる。
「ゆーご、お腹空いたぞ?」
「ちょうど昼前だしな。でも、もうすぐ着くし、研究所に食堂でもあるんじゃないかな?そこで食おう」
「えー、私お腹空いた!」
「もう少しだから、な?」
お腹が空いて少し不機嫌なショゴスをなだめながら研究所に向かう。駅からしばらく歩くとなんだかそれっぽい建物が見えてきた。入り口のドアをくぐり、受付でチラシを見せると、受付のお姉さんがいろいろと取り合ってくれた。そういや、電話とかでアポイント取るの忘れてたな。ショゴスにせかされてからってのもあるけど、大丈夫かな?
「井上様?どうやら大丈夫みたいです、こちらのカードをお渡ししますね」
「あ、すみません、ありがとうございます」
「ゆーご、ゆーご、ごはんー」
ぐぎゅるるるると、すごい大きなお腹の音がなった。どんだけ腹減ってんだよコイツ。
「すいません、食堂とかってありますか?」
「クスッ、はい、こちらの道を行っていただいて左手側にありますよ」
お姉さんに少し笑われながら、教えてもらった場所へ歩いていく。少し歩くと、胃を刺激する美味しそうな香りがし始め、気が付くといつの間にかショゴスがいなくなっていた。
「おい、ショゴス!」
「ゆーご、ごはんがいっぱい!」
「社員さんに迷惑かけるんじゃないよ、どうもすみません」
慌てて、ショゴスを捕まえて近くにいた社員さんに謝る。あたりを見回すと、券売機があった。券売機で先に食券を買うタイプなんだな。
「ショゴス、ここでは先にこの機械から食べたいものの券を買わないといけないんだ。」
「ふむ、なんて書いてあるんだ?というか何があるんだ?」
「結構種類があるな、オムライス、ラーメン、スタミナ丼、そば……ショゴスどんな感じの食いたいんだ?」
「肉!」
「なら、スタミナ丼にでもするか、俺は、この定食にしよう」
券を買って、並んでいる列に続く、先に注文を受けているためか進むのは早い。これならすぐに食べられそうだ。二人で並んで待っていると、誰かが走ってきた。
「井上くーん!」
白衣をまとった謎の男だ。そして、俺を見つけたのか目が合うとにっこり笑顔になって俺めがけて走ってきた。
「君が井上君だね!」
「えっと、だれですk」
「所長!」
誰ですか?と聞く前に誰かが所長と叫んだ。えっ?この人が所長?
「所長さんですか?」
「いかにも、この研究所の所長である。高橋だ。いやぁ、受付の子に聞いてね会いに来たよ!」
「ゆーご、この変な人間は何だ?」
(しっ、変なとか言わない)
「いや、どこかが壊れているのk」
とっさにショゴスの口を手でふさぐ。
「モガモガ」
「で、えーと、所長さん?私たちに何か用があるんですか?」
「ん?いや?せっかくなので私が案内でもしようかと思って」
「所長さんが?大丈夫なんですか?」
「私も暇でね、全然大丈夫さ!」
所長が暇って、大丈夫なんだろうか。でも、断るのも悪いし、まぁ、いっか。
「ではお願いします」
「任せてよ!で、そこのかわいらしいお嬢さんは?」
「えっと……」
どう説明したものか、これ人間じゃないしなぁ。そのまま、ショゴスっていってもそんな名前の子供なかなかいないし。てか、顔は日本人顔だし。うーん。
「えー、い、妹……的な?」
「妹さんですか、お名前は?」
「しょ、翔子です」
とっさの思い付きで翔子(しょうこ)とつけてしまった。ショゴス、頼むから変なことは言わないでくれよ。
「ん?ゆーご」
まずい、ショゴスって言ったら、ちょっとやばいような気がする。必死に、ショゴスにアイコンタクトを取る。
「ゆーご、そろそろ順番が回ってきたぞ!」
「あぁ、ちょうど昼食でしたか。これは失礼、では、あとで向かいに見えるあそこの部屋に来てください。待ってますのでー」
そう言って、所長さんは戻っていった。なんとか、乗り越えた。食堂のおばちゃんに券を渡し、ごはんを受け取り、近くの席を探して座る。その時に近くに座る社員さんに所長について尋ねてみた。
「あの、すみません、ちょっといいですか?」
「はい、なんですか?」
「あの、所長さんってどういう人なんですか?」
「ああ、あの人ね、結構濃い人ですよね。いつもあんな感じですよ」
「そうなんですね、ちょっと変わってるっていうか」
「アハハ、たしかに変わってますよね。でも、あの人はすごい人ですよ」
社員さんは、遠くを見つめ尊敬のまなざしのような目で所長さんが入っていった部屋を見る。
「どういうことで、すごいんですか?」
「あの人ね、娘さんがいるんだけどね、ちょっと治療が難しい病気になってるらしくてね。その、臓器を交換しないといけないらしくてね、しかも、複数。だから、その娘のためにこの細胞工学やクローン技術を発展させて、国に認めさせてどうにか治そうと頑張っているんですよ。凄いですよね」
「それは、すごいですね。臓器のクローンって難しいんじゃないですか?その、倫理的にも」
「たしかにね、倫理的にも、技術的にもまだ難しいけど、あの人はそれを成し遂げるそんな感じがするんだよ。この間もね、学会で頑張っていてね……。」
という話を聞いた。その間ショゴスはごはんに夢中で静かにしていた。あの所長、破天荒そうな人だと思ったけど、結構すごい人なのかもしれないな。俺も、ご飯を食べ終え、先ほどの社員さんにお礼を言った後、所長さんの部屋に向かった。
今日から少し休みの日が続く。俺は、暇を弄びながら目の前の生物を見続ける。
「ゆーご、そんなに見られると恥ずかしいぞ。(テレテレ)」
表面のぬめりが、怪しく光りながら恥ずかしそうに少し赤みがかる。俺の感情はもはや虚無だ。なんで、こいつ照れてんだろう。俺の正気度はけっこう減ってるみたいだ。
「ゆーご、ひまー」
「わかるー、ひまだよなー」
人外の生物とこんな日常会話を繰り広げれるレベルになれるって、存外人間の適応能力は高いのかもしれない。しかし、暇なのは変わらないので適当にポストを確認しに行く。
一枚のチラシが挟まっている。
「なんだこれ?」
「なんだ?ゆーご、なんて書いてある?」
目と人間の口をつけた触手が俺の肩からひょっこり現れながら言った。
「うおっ、それびっくりするから、やめてくれよ」
「別にいいじゃん。で、なんて書いてあるの?」
チラシは、高橋研究所というところから届いていた。詳しく見るとどうやら見学の案内らしい。細胞工学についてや、クローン技術についての話などいろいろ書かれている。少し興味が引かれる。
「見学の案内状みたいだね」
「ほう、なかなか楽しそうじゃないか?」
「まぁ、俺もちょっと興味はあるかな」
「行こう!ゆーご、行こう!」
「どうせ、暇だしな。日付はっと……これ、ちょうど今日やってそうだぞ」
「なら支度してさっさと行くぞ!」
さきほどのだらけて溶けていた姿とは、うって変わり美少女に化けたショゴスが目をキラキラさせて言う。俺も外へ出るための服に着替え、玄関のドアを開けた。
チラシに書いてある地図を頼りに電車を乗り継ぎ、目的の場所に向かう。時間はまだ昼前で少し小腹が空いてくる。
「ゆーご、お腹空いたぞ?」
「ちょうど昼前だしな。でも、もうすぐ着くし、研究所に食堂でもあるんじゃないかな?そこで食おう」
「えー、私お腹空いた!」
「もう少しだから、な?」
お腹が空いて少し不機嫌なショゴスをなだめながら研究所に向かう。駅からしばらく歩くとなんだかそれっぽい建物が見えてきた。入り口のドアをくぐり、受付でチラシを見せると、受付のお姉さんがいろいろと取り合ってくれた。そういや、電話とかでアポイント取るの忘れてたな。ショゴスにせかされてからってのもあるけど、大丈夫かな?
「井上様?どうやら大丈夫みたいです、こちらのカードをお渡ししますね」
「あ、すみません、ありがとうございます」
「ゆーご、ゆーご、ごはんー」
ぐぎゅるるるると、すごい大きなお腹の音がなった。どんだけ腹減ってんだよコイツ。
「すいません、食堂とかってありますか?」
「クスッ、はい、こちらの道を行っていただいて左手側にありますよ」
お姉さんに少し笑われながら、教えてもらった場所へ歩いていく。少し歩くと、胃を刺激する美味しそうな香りがし始め、気が付くといつの間にかショゴスがいなくなっていた。
「おい、ショゴス!」
「ゆーご、ごはんがいっぱい!」
「社員さんに迷惑かけるんじゃないよ、どうもすみません」
慌てて、ショゴスを捕まえて近くにいた社員さんに謝る。あたりを見回すと、券売機があった。券売機で先に食券を買うタイプなんだな。
「ショゴス、ここでは先にこの機械から食べたいものの券を買わないといけないんだ。」
「ふむ、なんて書いてあるんだ?というか何があるんだ?」
「結構種類があるな、オムライス、ラーメン、スタミナ丼、そば……ショゴスどんな感じの食いたいんだ?」
「肉!」
「なら、スタミナ丼にでもするか、俺は、この定食にしよう」
券を買って、並んでいる列に続く、先に注文を受けているためか進むのは早い。これならすぐに食べられそうだ。二人で並んで待っていると、誰かが走ってきた。
「井上くーん!」
白衣をまとった謎の男だ。そして、俺を見つけたのか目が合うとにっこり笑顔になって俺めがけて走ってきた。
「君が井上君だね!」
「えっと、だれですk」
「所長!」
誰ですか?と聞く前に誰かが所長と叫んだ。えっ?この人が所長?
「所長さんですか?」
「いかにも、この研究所の所長である。高橋だ。いやぁ、受付の子に聞いてね会いに来たよ!」
「ゆーご、この変な人間は何だ?」
(しっ、変なとか言わない)
「いや、どこかが壊れているのk」
とっさにショゴスの口を手でふさぐ。
「モガモガ」
「で、えーと、所長さん?私たちに何か用があるんですか?」
「ん?いや?せっかくなので私が案内でもしようかと思って」
「所長さんが?大丈夫なんですか?」
「私も暇でね、全然大丈夫さ!」
所長が暇って、大丈夫なんだろうか。でも、断るのも悪いし、まぁ、いっか。
「ではお願いします」
「任せてよ!で、そこのかわいらしいお嬢さんは?」
「えっと……」
どう説明したものか、これ人間じゃないしなぁ。そのまま、ショゴスっていってもそんな名前の子供なかなかいないし。てか、顔は日本人顔だし。うーん。
「えー、い、妹……的な?」
「妹さんですか、お名前は?」
「しょ、翔子です」
とっさの思い付きで翔子(しょうこ)とつけてしまった。ショゴス、頼むから変なことは言わないでくれよ。
「ん?ゆーご」
まずい、ショゴスって言ったら、ちょっとやばいような気がする。必死に、ショゴスにアイコンタクトを取る。
「ゆーご、そろそろ順番が回ってきたぞ!」
「あぁ、ちょうど昼食でしたか。これは失礼、では、あとで向かいに見えるあそこの部屋に来てください。待ってますのでー」
そう言って、所長さんは戻っていった。なんとか、乗り越えた。食堂のおばちゃんに券を渡し、ごはんを受け取り、近くの席を探して座る。その時に近くに座る社員さんに所長について尋ねてみた。
「あの、すみません、ちょっといいですか?」
「はい、なんですか?」
「あの、所長さんってどういう人なんですか?」
「ああ、あの人ね、結構濃い人ですよね。いつもあんな感じですよ」
「そうなんですね、ちょっと変わってるっていうか」
「アハハ、たしかに変わってますよね。でも、あの人はすごい人ですよ」
社員さんは、遠くを見つめ尊敬のまなざしのような目で所長さんが入っていった部屋を見る。
「どういうことで、すごいんですか?」
「あの人ね、娘さんがいるんだけどね、ちょっと治療が難しい病気になってるらしくてね。その、臓器を交換しないといけないらしくてね、しかも、複数。だから、その娘のためにこの細胞工学やクローン技術を発展させて、国に認めさせてどうにか治そうと頑張っているんですよ。凄いですよね」
「それは、すごいですね。臓器のクローンって難しいんじゃないですか?その、倫理的にも」
「たしかにね、倫理的にも、技術的にもまだ難しいけど、あの人はそれを成し遂げるそんな感じがするんだよ。この間もね、学会で頑張っていてね……。」
という話を聞いた。その間ショゴスはごはんに夢中で静かにしていた。あの所長、破天荒そうな人だと思ったけど、結構すごい人なのかもしれないな。俺も、ご飯を食べ終え、先ほどの社員さんにお礼を言った後、所長さんの部屋に向かった。
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