上 下
59 / 72
ジャック・ザ・リッパー

二人組に会う前に

しおりを挟む
 イールバランから話を聞き、屋敷を調査したが他に孤児はいなかった。事件に関与していたのであろう証拠として俺が戦った相手、スーが使用していたであろう薬物が見つかった。イールバランたちは身柄を拘束させてもらった、しかし話が本当であった場合、情状酌量で多少だが罪は軽くなると思われる。薬物に関してだが今ばでに見たことのない種類のものだったのでそういったことを中心に研究している研究室に回された。解析には時間がかかるだろう。
 さて、俺たちがやることだ。とりあえず今まで起こったことはギルドに報告する必要があるだろう。すでに知っている可能性は高いと思われるが、もう一つ目的はある。

「おい、ディオン、お前例の二人組やるきか?」
「まだ、情報が不確定だからな。話が通じるならいいんだが、もし話が通じないならその時はやるしかない。」
「まじかよ、相手は付与エンチャントができるんだぞ。付与っつたら魔術錬金を相当極めないとできないやつだぞ。」

 今のまま戦ったらどうなるかわからない。どうしたらいいのか。相手が魔術錬金使うということは、魔術に特化したやつらなのだろうか。しかし、二人なんだよなぁ。これで片方が近接戦闘に特化してたら詰みなんだよなぁ。

「まぁ、付与は無生物にしか掛けれねぇから、近接の素手格闘に持ち込んだら可能性はあるかもな。」

 ん?待てよ、俺が二人を一度に相手にする必要はない。魔術を使うほうはマッスルさんにやってもらえば、一対一なら勝てるかもしれない。

「マッスルさん、勝てるかもしれません。」
「は?まじか!お前いけるのか!」
「いや、マッスルさんにも戦ってもらうつもりですが。」
「お前、俺に死ねってことか?」
「いや、あんた身体能力だけなら化け物並みなんだから、魔術使うほうとなら戦えるでしょ、たぶん。」
「いや、付与使ってくるんだぞ。無理だろ。」

 つまり魔術自体使えないようにすれば良いのでは?ハイル、これって可能かな?
『……可能かと思われます。可能です!』
どうすればいい?
『マジックフロウと呼ばれる症状があります。魔力が勝手に流れ出てしまう症状のことなのですが、その症状を防ぐための術式があります。それを相手に刻み込めれば相手は魔術が使えなくなります。ただし、刻み込んだ場合、相手の魔力量に比例して刻みこむための魔力消費量は高くなります。』
なるほど、だが悪くない案だ。

「マッスルさん、マジックフロウを防ぐ術式を使えば可能では?」
「おいおい、その術式は消費魔力がバカ高いやつだぞ。」
「僕ならできると思うんですよ。」
「そうか、……できるな!だけどよ、お前どうやって刻むんだよ。」

 そういや、術式の使い方知らないや。こういう時は、OKハイル!
『何か御用でしょうか?』
術式の使い方
『基本、魔法陣が書かれた紙を用いて行われます。魔法陣が書かれた紙を相手の体の一部(素肌)に貼り魔力を流すことで完成します。服の上からでも可能ですが失敗する可能性が非常に高まります。』
 なるほど、一瞬の隙をつくしかなさそうだ。

「何とか一瞬の隙をつきます。」
「なるほど、考えがないってことは理解した。だけどよ、まじで頼むぞ、俺はまだ死にたかねぇからよ。」
「わかってますって、ほらギルドに行きましょう!準備もありますから。」
「わかったよ。こりゃ別途で報酬を頂かなきゃな。」

 ギルドに戻り報告を済ませ、もし戦うことになった場合の準備をする。二人組の居場所を知るために見かけた情報を片っ端から集め潜んでいそうな場所を見つけることに成功した。なんとか、話をするだけで済めばいいのだが……。
しおりを挟む
感想 89

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

スキルを極めろ!

アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作 何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める! 神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。 不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。 異世界でジンとして生きていく。

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

処理中です...