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第五章 掌握されていく国…そして…
オトメの過去 5【ジュアンの過去 3】終
しおりを挟む「お前が…お前が仲間達を殺ったのかぁぁぁぁああああ!!」
「やめ…にげ…ろ…」
制止するヤドを無視し現れた男に刃を振り下ろす
ザクッ!
肩から肉を断ち切るように食い込む剣
男の胸の辺りまで切り裂かれるが、そこから先に進まない
ジュアンはおかしいと思った
止まった剣を引き抜くが、斬られた肉から全く血が飛び散らない
「フフッ!残念。もう少し力を入れて切り裂けば良かったんですが」
目の前の男が不敵に笑うと姿が霧となり散っていく
「まぁいいでしょう。実験材料は充分ありますし」
いつの間にか後ろにいた男はジュアンの耳元で囁く
不意をつかれたがすかさず後ろを向き薙ぎ払うが、斬られた体からまた霧になって消える
「グッ!?」
「ヤド!!」
苦痛の声が聞こえそちらを見ると先程までヤドに肩を貸していた仲間達は床に倒れ、ヤドの首を絞めている男がいる
「くっ!人質にするつもりか!?」
「ん~いえいえ、私はあまり暴力が好きではないんですよ。それで取引をしようかと思いまして。対話をまともにするならまずは人質がいないと」
男の腕の中でバタバタと体を動かし藻掻くヤド
ジュアンは武器を床に捨て両手を上げ降参する
「フフッ。良い子ですね。話が分かる人で良かったですよ。先に来たお仲間は全くお話にならなかったですから」
「クッ!」
今は怒りに任せてはダメだ!今はまだ…
ジュアンは拳を握り締め耐える
「では取引をしましょう。あなた方は村の人達の情報が欲しいのでしょう?
サービスで教えてあげますよ。村の人達はここにいますよ」
「やはり!」
ジュアンは握り締める拳に力が入る
「あなた方が取引に応じるなら村の人達を解放、更に他国に逃げるのを見逃してあげましょう」
「なに!?」
「フフッ。良い条件でしょ?私から皇帝様に頼んであげますよ。ですが、私の条件を満たしたらですが…」
ゴクリと喉を鳴らし唾を飲む
「条件とはなんだ」
「フフッ!いいですね~何でもやるというその目!
こほんっ、失礼。では条件ですが…」
☆★☆★
「なぁ~るほどねぇん。他国から代わりに人を集めてこいってわけねぇ…」
「あぁ、週一である程度の人を送らないと足りない分は村の人を殺すと脅された…
冒険者の仕事をやる時間も無くなって金も無い、なら襲うのが手っ取り早い。
街中なら捕まるリスクは高いが森の中なら魔物に殺られたで済むからな」
真面目な顔をして答えるジュアンにオトメも真面目な顔して話を聞く
「次はいつ送るのかしらん?」
「本来なら明後日の夜にアイツの仲間が取りに来る手筈になっていたが、もう俺達が捕まっちまったからな…」
諦めた表情をするジュアン
その心情が伝播したのか他の仲間達は下を向き力なく項垂れる
「ん~ならアタシを送ればウィンウィンじゃなぁ~い?」
「はぁ!?」
「そ・れ・で、アタシが内部からめちゃくちゃにしちゃえば解決よん♡」
意味がわからない発言をしたオトメにジュアン達は疑問しか湧かない
「なぜ俺達の為にそんな事をする?お前にはメリットは全くないぞ?」
「んふっ♡アタシにもメリットはあるわよぉん♡まず、アタシの愛方探し、そんな厳しい状況で生きてきた村の人達ならズッぶとぉ~い精神を持ってそうじゃない?そ・れ・に、アタシの将来の夢の為に人員が欲しいのよ。
その人員にアナタ達を欲しいの。断らないわよね?んふっ♡」
「だが…俺達はもう悪事に手を染めている…」
「ノンノン、確かに人攫い、強盗は悪い事よん、でもそのままではダメよ。罪を償う為にも生きてその罪を清算するような行いをしなさい。その機会はアタシが作ってア・ゲ・ル♡
それにアタシのマイファミリーになったらその罪は家族で共有するものよ。
だからアタシもその分働くわよぉん♡それでお返事わぁ?」
「あっ…ああ!みんな助けてくれるなら俺達は全員アナタに従う!」
ジュアン達は顔を上げ、オトメを強い目で見つめ意志を一つにする
「はぁん♡そんなに見つめられると体の内側から熱くなっちゃうわぁ~ん♡」
クネクネと身をよじらせ興奮する
「アタシだけじゃ足りないわよね?じゃあ、足りない分アタシがツテで集めるわ」
「ツテ?」
「んふっ♡」
次の日、男達はオトメに言われ森の中で待機していた
すると、森の入口がガヤガヤとしているのに気付き隠れて覗くとオトメに負けず劣らずの筋肉を持つ屈強な男達がその場で筋トレを初めていた。それもひらひらな服を着て
筋トレをしている中心にはオトメが立っており、一人一人に声をかけ筋肉を触っていた
「もっと、もっとよ!攻めて、攻めて、責め尽くしなさい!筋肉にとって痛みは歓喜よ!更なる成長が見込めるわ!でも無理はダメよ♡限界を見極められない子はこのマッスルビューティーに要らないわ!!」
「「「「イエスゴッド!!」」」」
「「「「……」」」」
ぼーっと見つめていたジュアン達を見つけるとオトメの歩く道を作るために地面に寝転ぶマッスルガイ達
オトメが歩く度に、んほっ!うほっ!はぁん!と、ある意味ご褒美を受けて言葉を洩らす
たまにオトメがグリグリと履いていたヒールで乳首を弄るとそのガイはビクビクと体を震わせていた
「お・ま・た♡」
「いっいえ!来ていただきありがとうございます」
「あらぁん?急に堅っ苦しくなったじゃな~い?もっとフランクに、楽にしましょ♡」
ジュアン達はオトメの前に並び忠誠を誓う
「我々はアナタ様に全てを捧げます。この命尽きるまで尽くさせていただきます」
「んふっ♡では作戦通りに行きましょ♡」
「「「「ハッ!」」」」
その後、オトメ率いるマッスルビューティーは大人しく帝国に引き渡される
帝国に簡単に侵入できたオトメ達は運ばれた先にいた集められた人達を仲間に加え内部よりありとあらゆる物を破壊尽くした
脱出する途中、ジュアンより聞いていたおそらく皇帝の右腕と呼ばれている紳士そうな優男に襲われたが、迫り来る肉弾戦車には勝てなかったようだ
「素晴らしい筋肉!是非研究ざいりょひゅ!?」
そのセリフを最後にオトメに頭を握り潰され、肉の塊になり絶命した
☆★☆★
「あんたがアイツらから言われていた男か」
「んふっ♡オトメよ!」
「乙女?まぁいい、俺は金さえもらえりゃそれでいい。んで後ろにいる奴らも逃がせばいいんだろ?」
「とりあえず独立国、魔王国、王国に別れてるからよろしくねぇん♡」
オトメの後ろにはマッスルビューティー
マッスルビューティーの仲間達が三つに別れてグループを作っている
「話が早くて助かる。金はあるんだろうな?」
「はぁい♡」
オトメはスペースから金貨がぎっしり詰まった袋を取り出し渡すと男は確認する
「取引完了だ。こっちにこい」
男の後について行くと国境を隔てる壁の前へ
男が鈴を三回鳴らすと地面から男がスッと現れる
「魔道具で隠してるのね~。それにこんな穴を掘ってるだなんてアナタ…ヤるわねっ!」
「帝国が怪しい雰囲気なってから仲間達と少しずつ掘ってな。こいつを取り寄せるのに金と時間はかかったが、いい仕事になりそうだ。さぁ一人ずつ中に入れ!途中、道が別れているが中にいる仲間に行きたい国を言えば正しい道を案内してくれる」
男が入口にいる仲間に耳打ちをし、男の先導でマッスルビューティーが村人達を引き連れて入っていく
最後にオトメが入ると男が鈴を鳴らし、入口に蓋ををする
「アンタは何処に行くんだ?」
「アタシが気になるの~?んふっ♡アタシって罪なオ・ン・ナ♡サ~ビスで教えてあげちゃう!アタシは…」
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