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第五章 掌握されていく国…そして…
オトメの過去 4【ジュアンの過去 2】
しおりを挟むジュアン達が城の中に潜入すると全体的に薄暗い室内だが、所々に明かりが灯っている
しかし、足音もしないし誰かいる気配すら感じない
少し不気味に感じながらも警戒を怠らない
自分達がやっている事は間違いなく犯罪だ
見つかって捕まった場合、即処刑台送りだろう
それはわかっているが、小さい村で育ったジュアン達は
村の人達=家族
困っていたら助ける
お互いに助け合いどうにか生きてきた
その村の人達の安否がわかるまでは帝国から離れらない
その一心で行動していた
☆★☆★
仲間達が二つのグループに分かれて別々に行動していたがやがて落ち合う
お互いに報告し合うと同じ内容になる
誰も見当たらない
どの部屋の前にいっても中から物音や声が全く聴こえない
何回か部屋の中に入ってみたがもぬけの殻だった
皆おかしいと考えるが結論はでない
考えるのを止めて探索を再開するがどの場所に行っても誰もいない
ほぼ城内を探索し終え、残るは王が座る玉座がある王の間のみ
最大限の警戒をして音がしないように扉をゆっくりと開ける
「ここもか…」
ジュアンがぽつりと呟く
では一体連れてこられた人は何処に?
地下の収容所も空だった…
んっ?そういえばあの兵士が
地下を作らせて実験
まだ下があるのか?
ジュアンが導き出した答えを仲間達に共有すると仲間達は再び二手に分かれる
一つは地下の収容所の探索
一つは王の間の探索
ジュアン達のグループは地下の収容所に向かい再度探索を開始する
☆★☆★
しばらく探索したが特にこれといったのが無く、一度情報を共有するために王の間に戻る
と探索していたはずの他の仲間がいない
慌てて探し始める
「おい!こっちにさっきまで無かった階段があるぞ!」
仲間が叫ぶ
ジュアン達はその階段前までいくとこの部屋にはそぐわない、鉄でできた無機質な階段が下に向かい続いていた
恐らく仲間達はこの先にいるのだろう
ジュアン達は急いで仲間達の元へ走る
☆★☆★
どのくらい経ったかわからない…
仲間達を探してひたすら下に向かう
終わりが見えない階段をずっと下へ
徐々に階段の角度が緩くなっていく
階段が終わりに近付いている
遂に水平な場所に出る
目の前には三つの扉があり、右の部屋の扉だけ開いていた
他の部屋の扉を開けようと試みたが全く開く気配がない
とりあえず右の部屋へ入ると少し先に仲間達が立っていた
「無事か!良かった」
「……」
ジュアンが声をかけるが反応がない
男の肩に手を乗せこちらに振り向かせると
立っていた男はその場に崩れた
「なっ!?」
ジュアンは驚く
倒れた男の顔が無いのだ
他の仲間も同様に顔が無く、直立するただの屍人形と化していた
一緒にきた仲間達が涙ぐむ中、ジュアンは怒りを抑え考えていた
「後一人足りない…ヤド!?ヤドがいない!」
その発言に他の仲間達もピクリと反応する
「あいつは気配が薄いからもしかするとまだ…」
「あぁ有り得る」
仲間達と遺体の顔に布を被せ、生き残りであるヤドを探しに奥にある部屋に向かう
☆★☆★
仲間達の遺体があった部屋から何部屋か進んだが、ここはなんなんだ?
広く作られた空間には人工的に作られた草に太陽、小さな家まで置いてある
ジュアン達は周りを確認していると家の扉が独りでに開き、ドサッと音をたてて中から倒れてくる人影が見える
「にっ…逃げろ…罠…だ……」
体を扉にぶつけながら引きずりこちらに向かってくる人影は生き残っていたヤドである
ジュアン達は急いで近寄り肩を貸す
「もう…俺は助からない…早く、にげ…」
「何があったんだ!」
「早…く、帝国から…で…ろ!村のみんな…実験材料…にっ!?ゴフッ!」
ヤドは息も絶え絶えに話す
このままではヤドの命も不味い
仲間達はヤドの体を支え来た道を引き返す
仲間の遺体のある部屋に戻る
しかし、そこには仲間達の遺体が無く、代わりに遺体があった場所には見知らぬ男が立っていた
「フフッ。あなた方が残りの侵入者ですか?」
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