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第五章 掌握されていく国…そして…
オトメの過去 3 【ジュアンの過去 1】
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「なるほどねぇ……ウッウッ!」
オトメは涙を流しパンツ中に入れていたハンカチで涙を拭き鼻水を嚼む
男達は元ガルゾキルズ帝国の民
数年前から帝国による税が急激に増え住んでいる者達は日に日に痩せていく
一度でも支払えなかった村は税の代わりに村人が何人も帝都に連れていかれる
村は増え続ける税、減っていく村人、その負の連鎖で最後には誰もいなくなり廃村と化す
度重なる税の徴収に耐えきれなくなり帝国から逃げ出そうとする者も現れたが殆どの者は捕まり帝都に連れてかれ奴隷落ちになるか、一家全員を見せしめとし公開処刑する
一部消息不明な者もいるが…
男達の住んでいた村も度重なる税により村が廃村化に向かっていた
どうにかそんな状態を打破する為に体力や力に自信がある者達を連れて冒険者になり、日々依頼を受け続け村に送金していた
そんなある日、仲間の一人がいつものように嫁さんに手紙を送っていた
しかし、嫁さんからの返事がいくら待っても届かない
仕方なく村の知り合いに送っても返事がない
不思議に思った男は一旦村の様子を見に帰る事になる
慌てて帰ってきた男は仲間達に村の状況を話した
男が見た村は…建物は全て焼き焦げて崩壊し、村の畑は荒らされ
そして、村の中心にあった広場には乾いた血が飛び散っていたと
その話を聞いた仲間達は皇帝に話を聞きに城に向かうが兵士達に門前払いされる
それで諦める仲間達ではなく、何人かに分けて情報収集するとある冒険者から
「城に連れていかれた人達が帰ってこないらしい。噂話だが、ある実験をしてるとかなんとか」
と、普通なら冗談半分で流すような話を聞き、真夜中に仲間達を連れ城の壁に張り付き中の様子を窺う
高く厚みのある壁に城全体が覆われ、中の音が全く聴こえない
何か閃いた仲間の一人が兵士に近寄る
手にはお金
兵士が首を何度も横に振る
兵士の手にあるお金が少しずつ増えていく
それに比例して首を振る時間と振る速さが変わっていく
そして遂に頭を縦に振る
兵士からは少しだが帝国の内情を聞けた
「俺から聞いたって言うなよ。バレたら即処刑もんだからな。
今の皇帝の右腕だった総長が死んだの知ってるよな?
前皇帝からも帝国民からも慕われた帝国軍総長だったんだがな…
その後に皇帝の右腕になったやつがヤバいやつなんだよ!
改革とばかりに色んな案を発言、実行したせいで税は上がるし、貧困化が進むし、素性もよくわからんヤツらで作られた【シリアル】ってのもある。
皇帝もソイツを信頼しきっているのか、なんだか城に地下を作って変な実験してるらしい
最近、皇帝もおかしくなってきてるし俺もそろそろこの仕事を辞めて帝国から逃げようか考えてるんだよ。逃げるなら王国か独立国が無難だろうな。
お前達なら俺のツテで帝国から逃がしてやるよ。金次第だがな…逃げたくなったらここに来な」
兵士は悪い顔をして男達に紙を渡す
その日はそこで解散となり、また別の日の夜
あの兵士がいた
兵士は男達を見つけると手で合図を送る
兵士に近寄るとある提案をされた
「お前達、中に入りたいんだろ?あー言わなくても大丈夫。俺は情報には詳しいからな
最近、噂になってるから嫌でも耳に入ってくる。俺達にも警戒しろって命令が出てるんだが、俺はもう帝国なんてどうでもいいからな。金と命がありゃそれでいい」
兵士はまた悪い顔して話すと男達に手を差し出す
男達は黙って残りのお金を全て渡した
「ヘッ!話がわかるじゃねえか。俺も危ない橋渡ってるからな。これくらいは貰わねぇとな~」
「すまない」
ジュアンが頭を下げるとそれに連動して仲間達も頭を下げる
「中に入ったら後は知らんから自分達でどうにかしろよ。
…生きて帰ってきたら前に渡した場所に明日の夜までに来い。サービスで逃がしてやるからよ」
兵士はそういうと仕事を放棄したのか歩き出し街に向かう闇の中に消えていった
オトメは涙を流しパンツ中に入れていたハンカチで涙を拭き鼻水を嚼む
男達は元ガルゾキルズ帝国の民
数年前から帝国による税が急激に増え住んでいる者達は日に日に痩せていく
一度でも支払えなかった村は税の代わりに村人が何人も帝都に連れていかれる
村は増え続ける税、減っていく村人、その負の連鎖で最後には誰もいなくなり廃村と化す
度重なる税の徴収に耐えきれなくなり帝国から逃げ出そうとする者も現れたが殆どの者は捕まり帝都に連れてかれ奴隷落ちになるか、一家全員を見せしめとし公開処刑する
一部消息不明な者もいるが…
男達の住んでいた村も度重なる税により村が廃村化に向かっていた
どうにかそんな状態を打破する為に体力や力に自信がある者達を連れて冒険者になり、日々依頼を受け続け村に送金していた
そんなある日、仲間の一人がいつものように嫁さんに手紙を送っていた
しかし、嫁さんからの返事がいくら待っても届かない
仕方なく村の知り合いに送っても返事がない
不思議に思った男は一旦村の様子を見に帰る事になる
慌てて帰ってきた男は仲間達に村の状況を話した
男が見た村は…建物は全て焼き焦げて崩壊し、村の畑は荒らされ
そして、村の中心にあった広場には乾いた血が飛び散っていたと
その話を聞いた仲間達は皇帝に話を聞きに城に向かうが兵士達に門前払いされる
それで諦める仲間達ではなく、何人かに分けて情報収集するとある冒険者から
「城に連れていかれた人達が帰ってこないらしい。噂話だが、ある実験をしてるとかなんとか」
と、普通なら冗談半分で流すような話を聞き、真夜中に仲間達を連れ城の壁に張り付き中の様子を窺う
高く厚みのある壁に城全体が覆われ、中の音が全く聴こえない
何か閃いた仲間の一人が兵士に近寄る
手にはお金
兵士が首を何度も横に振る
兵士の手にあるお金が少しずつ増えていく
それに比例して首を振る時間と振る速さが変わっていく
そして遂に頭を縦に振る
兵士からは少しだが帝国の内情を聞けた
「俺から聞いたって言うなよ。バレたら即処刑もんだからな。
今の皇帝の右腕だった総長が死んだの知ってるよな?
前皇帝からも帝国民からも慕われた帝国軍総長だったんだがな…
その後に皇帝の右腕になったやつがヤバいやつなんだよ!
改革とばかりに色んな案を発言、実行したせいで税は上がるし、貧困化が進むし、素性もよくわからんヤツらで作られた【シリアル】ってのもある。
皇帝もソイツを信頼しきっているのか、なんだか城に地下を作って変な実験してるらしい
最近、皇帝もおかしくなってきてるし俺もそろそろこの仕事を辞めて帝国から逃げようか考えてるんだよ。逃げるなら王国か独立国が無難だろうな。
お前達なら俺のツテで帝国から逃がしてやるよ。金次第だがな…逃げたくなったらここに来な」
兵士は悪い顔をして男達に紙を渡す
その日はそこで解散となり、また別の日の夜
あの兵士がいた
兵士は男達を見つけると手で合図を送る
兵士に近寄るとある提案をされた
「お前達、中に入りたいんだろ?あー言わなくても大丈夫。俺は情報には詳しいからな
最近、噂になってるから嫌でも耳に入ってくる。俺達にも警戒しろって命令が出てるんだが、俺はもう帝国なんてどうでもいいからな。金と命がありゃそれでいい」
兵士はまた悪い顔して話すと男達に手を差し出す
男達は黙って残りのお金を全て渡した
「ヘッ!話がわかるじゃねえか。俺も危ない橋渡ってるからな。これくらいは貰わねぇとな~」
「すまない」
ジュアンが頭を下げるとそれに連動して仲間達も頭を下げる
「中に入ったら後は知らんから自分達でどうにかしろよ。
…生きて帰ってきたら前に渡した場所に明日の夜までに来い。サービスで逃がしてやるからよ」
兵士はそういうと仕事を放棄したのか歩き出し街に向かう闇の中に消えていった
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