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エルシュタット学園編
暗躍する者・学園襲撃
しおりを挟む爆発が起こる少し前…
王都内の何処かの一室で、ある計画を企てる人物達がいた
「なるほど。お前が調べた内容通りなら三ヶ所襲撃しなければならないようだな」
大柄な男は報告書に目を通し話す
「へぇ~。んじゃ今回は俺も暴れられそうだなっ!ウズウズするぜ!!!!」
大柄の男の隣でワクワクしながらガンガンと拳をぶつける小柄な男がそう話す
すると宿屋の扉前にいる女性がため息を吐く
「はぁ…また残業ですか…遠征手当に特別手当、それに加えて残業手当もいっぱい貰わないと割に合わないですね…」
女性は首に手を当て俯きながら会話に混ざる
「これで本当に全てか?間違ってたら計画が無駄になる。更に失敗した場合警戒態勢が厳しくなるだろう。次の機会が先延ばしになるとあちらの計画が大幅に遅れる」
大柄な男は机を挟んで自分の前で弱々しく震える少女をギロッと睨む
「まっ間違いないのです!毎日機会を待ちながら王都内を少しずつ調べたのです!ただ、どれが本物か私にはわからなかったのです…」
少女は徐々に声を小さくしながら男に話した
「まぁいい。お前にはそこまでの仕事は与えてないからな。見ただけでわかるのはある程度の力が無ければ無理だ。お前はその特殊なスキル以外はただの普通の人でしかないからな」
少女はそう言われると体をビクッとさせ顔を青ざめる
男達は地図を広げ作戦を練り始めた
その地図には建物内まで細かく書かれており
なんとお城の内部まで精密に書かれている
「リゼスは神殿を襲え。後、あいつから渡された魔道具を使って王都内をかき乱せ。
ヴァルは学園に行け。あそこなら土帝が必ず出てくるはず、暴れたいなら多少歯ごたえのある相手と戦いたいだろうお前は
作戦開始時間は夕方過ぎ、魔道具で合図を出す」
大柄な男が襲撃する場所を割り当て指示を出し始める
「わかりました。では早速準備して向かいます」
リゼスと呼ばれた女性は軽く頷き部屋を後にする
「んじゃ俺も行くか!土帝かぁ~どんくらい強いか楽しみでしょうがない!んじゃまた後でな~」
ヴァルと呼ばれた男は腕をグルグル回しながら豪快に扉を開けて出ていく
部屋の中が静かになり長い沈黙が訪れる…
その沈黙を破るように俯いていた少女はゆっくりと話し始めた
「あっあの!今回の件が無事に終わったらあの話を必ず守って欲しいのです!」
少女はオドオドしながらも男に向かってはっきりと言い放つ
「ふっ。わかった。俺からあいつに話を通しておく
だがまだお前には手伝ってもらうぞ。ついてこい!」
男はそう言うとゆっくりと部屋を出ていった
一人になった部屋では少女は顔を上げ笑顔を見せ涙を流す
そして部屋にいたはずの少女の姿がいつの間にか消えていた
☆★☆★
王都内は爆発の影響により建物がいくつか崩れ、火が広がっている
更に大通りにはどこからか出現した魔物達が住民に襲いかかろうとしていた
しかし、
「おうらぁあああ!!」
「死に腐れこのやろぉおお!!」
突如現れた男達は住民を庇いながら魔物を討伐していく
実力はあるようだが見た目が…
「んっふ♡あ・れ・がぁ~アタシの部下よん!アタシがこぉでぃね~とっ♡したのよ~♡ふんっ!!」
走りながら拳で魔物を潰しユート達に話すオトメ
「あはは…確かにオトメちゃんの部下っぽいね」
暴れ回るオトメの部下を横目に見ながら乾いた笑いをするクリス
ユートは無言で赤月を振るい魔物を次々と屠る
「やっぱりユートちゃん達はいい…いいわぁああああああんんん♡
強いしアタシの感性とも通じるし…もぅサイコー!!!! …邪魔よ!オラァァァァァァァ!!」
テンションが上がったのかオトメ急にスピードが上がりまるで矢のように真っ直ぐ突っ込み魔物の群れを蹴散らしていく
ユート達も遅れまいと更にスピードを上げる
☆★☆★
ようやくオトメに追いつくとユートはオトメの強さについて詳しく話を聞く
「んふふ~♡男女(おとめ)のヒ・ミ・ツ♡
って、うそようそ~♡というかアタシ達の事を知らないアナタ達にビックリよ!
アタシ、カタリナ、ファニタはエルシュタット王国で帝の地位についてるのよ~ん♡
アタシは無帝
カタリナちゃんは風帝
ファニタちゃんは水帝って呼ばれてるわ~♡
他には今神殿に向かってる火帝のジャイロちゃんと後はアナタ達の通う学園の長で土帝のランダンちゃんがいるわ
そ・し・てアタシ達をまとめるのが王の剣となり王国の盾ともなる天魔のウェインちゃんがいるわけよ♡」
オトメの話を聞きクリスはポカーンとしている
ユートはこの世界についてまだよく知らないため、どのくらい凄いのか理解ができていなかった
「オトメちゃ…無帝様だったんですか!ボク大分無礼な事をしたような…」
「んっもう!アタシ達の仲に無礼なんてないのよ!むしろうぇるかむよ~ん♡」
少し体をがたがたして話すクリスにフランクに話すオトメ
最後には「オトメちゃん!」「クリスちゃん!」っと言い、熱く抱き合う二人
ユートはその姿を見ながら「結局帝って…何?」と呟いた
☆★☆★
ユート達が学園に着くと激しい戦闘音が聞こえてきた
学舎は半壊し所々から火の手が上がっている
一つ、また一つ大きな音が聞こえる
ユート達は急ぎ音のする場所を目指す
☆★☆★
「ん~そこそこ硬いけどそれだけだな~早く強いの使えよ」
「ぐっ!儂のゴーレムをいとも簡単に破壊するとは、お主何者じゃ!」
「俺に勝ったら教えてやるよ!待っててやるから早く次の準備をしろよ~…もしこれで終わりならすぐに終わらせてやるからさー」
戦闘音がする場所には仮面を着けた男とランダンが立っていた
仮面の男はその場でしゃがみ込みランダンを威圧する
するとしゃがみ込んだ男に向けて魔法が飛んできた
ドガァーン!!
「やっと来よったか!」
ランダンは誰が来たかわかっていたのか声を荒らげる
「遅くなっちゃったわ~♡ランダンちゃん!」
「馬鹿者!もう少し遅かったら儂は死んでたわ!アルバートよ、あいつには気を付けろ」
「もお~♡アタシの事はオ・ト・メって呼びなさいよ~んふっ♡」
二人がそんな話をしていると爆発のあった場所からゆっくりと人影出てくる
「う~ん…殺るならもっと強い魔法を使えよな~避ける気にもならないわ」
仮面の男は何事も無かったかのように腕を振り回し姿を現す
その姿を捉えると男の背後から勢いよくクリスが飛びだし槍を突き出す
ガギッ!
鋭い突きを放ったクリスだが男は手のひらで突きを受け止める
「そこそこ良い突きじゃん。まぁまだまだだけどな~」
男は槍を掴み取ろうとする
「これはどうだ?」
男の上空から声が聞こえ、上に顔を向けると赤月を振り下ろすユートの姿があった
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