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エルシュタット学園編
【天魔】ウェインvs【賢邪】ジャレド その2
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ドス!
ドゴォン!
戦場の至る所で激しい戦闘音が響く
2ラウンド目が開始して数十分過ぎていた
地面は抉れ、木々は折れ荒地と化している
3匹のウサギ達の戦闘は少しずつ優勢になりつつあるが、ウェイン対ジャレドの戦いはジャレドの方が巧みな戦い方をし、戦闘を優勢に進めている
ジャレドの放つ闇魔法が掠り少しずつウェインの着ているローブが切れていく
「フフフ。そのローブ中々の品でしょうが…そろそろもたなそうですねぇ~
あぁそうそう、そこには予め仕掛けて置いた魔道具がありますよ?そろそろ諦めて死になさい」
そう言いながらジャレドは次々に魔法を放つ
ウェインは仕掛けられていた魔道具を踏むと黒い球体が現れその中に捕えられる
「ふっ。そのようだな」
ウェインは魔法をまともに受ける
ドスドスドスドスドスドス
ジャレドは身体中に黒い槍が突き刺さるのを確認するとウェインは魔道具を解除し死体を回収するために新たに魔法を使う
「ダークプール」
ズズズッ
ウェインの身体が徐々に闇に沈んでいく
「いい素材が手に入りましたが…天魔の実力はこの程度でしたか」
ジャレドは少し残念がりながら後ろを振り返り自分の創り出した魔造物の方を見る
「やれやれ、あの御方の力の一部を与えても劣勢とはなんと嘆かわしい!
さっさと終わらせて新たに創り直しましょう。ついでにあのウサギの研究も…」
ポンっと手を叩き三体の魔造物の戦闘に加わろうと走り出す
「俺との戦いはもう終わりか?」
ふと足下から声が聞こえ足下に顔を向けると自分の左足が切り飛ばされた
ジャレドはバランスを崩し地面を転がる
「…どうやって私の魔法から逃れたのですか?」
ジャレドは切られた足を押さえながら話す
「簡単な事だ。魔道具の解除された後、貴様の魔法を打ち消し即座に自分で同じ魔法を使ったまでだ
後はお前が俺からターゲットを切らしたタイミングでお前の影から出てきた訳だ」
そう言うとウェインは着ていたローブを脱ぎ捨てる
するとローブの下から全身を覆う漆黒のプレートアーマーを着たウェインが現れた
「…なるほど。私の魔法を受けても傷もつかない訳ですか…その鎧は黒竜の物ですね」
「その通りだ。だがただの黒竜ではなく黒獄竜と呼ばれた竜で作られた鎧だ」
ジャレドはピクッと体を動かす
「あのジェノサイドと呼ばれた竜ですか…確かに倒されたとは聞いていましたが…まさか貴方が倒していたとは…
しかし気になります。私の記憶が正しいのであればジェノサイドが倒されたのは10年程前だったと記憶にあります。その頃貴方はまだ天魔では無かったはずでは?そして倒したのはエルシュタット王だと世間には伝わっているハズでは?」
「ああその通りだ。天魔として国を守護する立場になったのはそれから3年後だからな」
ウェインはあの頃を思い出し話す
☆★☆★
10年前、アルサンガルドの大陸全土を襲った竜がいた
最初は魔王の国に属する小さな村から始まった
一夜で3つの村が壊滅し、約500人程の人が亡くなった
生き残った人々が命からがら逃げ延び魔王国首都【シャンデル】に辿り着き村で起こった出来事を魔王の前で話した
ある村人は
暗闇の中から二つの光が見えたと
ある村人は
急に突風が起き、吹き飛ばされ気を失い再び目が冷めると村が跡形もなく消えていたと
ある村人は
翼の生えた山のように大きな魔物がいたと
その話を玉座で魔王が聞いていると慌ただしく扉が開く
「まっ魔王様!獣王国からの使者が参りました!至急魔王様にお繋ぎしなければならない件があるとの事です!」
すると報告している兵士の背後から小柄な獣人が現れ魔王の前まで歩く
「久しいな獣王。また小さくなったんじゃないか?」
「うるせえな!大きなお世話だ!息子にも身長が抜かれて気にしてんだ!」
牙を出しながらガルルっと声を出し反論する獣王
「んな事よりお前に話があんだよ。・・・うちの国の一部地域が滅ぼされた」
魔王はその話を聞き先程聞いた村人の話を獣王に話す
「お前んとこは夜中か。うちは夕方近くだったらしいから生き延びた奴がその姿を見たんだが・・・見た事がない程大きな黒竜だそうだ」
それから数日過ぎ場所は変わってエルシュタット王国
玉座に座る男が頭を抱えている
そう、少し若かりし頃のエリオット・ディ・エルシュタットである
何故頭を抱えているかと言うと
「王よ!早く対処せねば帝国に付け入る隙になりますぞ!!」
「わかった、わかったから!だから調査隊を組んだり冒険者に依頼して各地の防衛に当たらせてるだろ」
エリオットは宰相ヘイトン・ヒューズにここの所毎日のようにガミガミ言われ疲れていた
もういっその事自分も調査に出ようかとと考えている
少し時間が経ち、王の自室にてエリオットとある男が会合していた
「いや~お前と連絡が取れて良かったよ」
「そうか?俺は基本的に王都にいるんだが…」
「いやいや!お前かなりの頻度でいなくなってるだろ!この前も俺の愚痴を聞いてもらいたくて呼びに兵を回したらいなくて、それから一ヶ月後にようやく連絡が取れたんだからよ~」
「愚痴って…まあいい、それで話ってなんだ?また愚痴を聞いてもらいたいのか?」
王、エリオットとタメ口で話す男こそ現在で天魔と呼ばれる男ウェインの若かりし頃である
2人はエルシュタット学園の同級生で
次期王というのもあってプライドが高かったエリオット
何事にも冷静?に対応し孤独を好むウェイン
毎回成績がトップのウェインが気に食わなかったエリオットはことある事にちょっかいを出していた
最初は悪戯心でちょっかいを出していたエリオットだが、時が進むに連れ悪戯から友との絡みに変わっていった
ウェインも自分に興味を持つ変な奴と思っていたがその絡みも存外悪くないと思い現在に至るまで交流がある
そしてウェインの本当の性格を知る唯一の人でもある
「黒竜の変異種?」
「そうそう。お前の性格はよ~く分かってる
そんなとこほんとは行きたくないんだろ?
でもよ、今の王国で頼れるのはお前くらいしかいないんだって現在唯一のSSS【虚無】のウェイン様しかな」
「・・・その二つ名ほんっっっとに恥ずかしいからな!
俺は別にいつも冷静にしてる訳じゃないからな?ただ単に緊張して微動だにしないだけだからな!」
「あ~わかってるわかってるって~だからフルフェイスの兜毎回被ってるんだもんな
その事実を聞いた時吹いたの思い出したわ」
そう、ウェインは極度の緊張持ちのため、家に居る時以外はほぼ頭から足下まで全身ガッチリ装備している
前に自分のファンという女性から告白された際も嬉しさと緊張の余り数分仁王立ちをしてしまい女性がフラれたと思い立ち去っていった
「一応部隊を編成して周囲を取り囲む作戦なんだが…」
「拒否権は無いのか…わかった。だが俺と従魔だけでいい
その部隊はその黒竜が出現した際に周囲の村や街の守護に回してほしい」
「あ~あの可愛いけどヤバいウサギ達か
確かにあの強さの3匹いれば兵士はいらんか
部隊にも見られたくないって感じか?」
「まあな。一応隠密&偵察に使っているからな
世間にバレると行動が制限される事になる」
「わかった。それじゃあ直ぐに行動に移れるか?先程連絡が入って魔王国との国境近くの山で休んでいるらしい」
「了解だ。エリオット後一つ頼みたい事があるんだが…」
「んっ?なんだ?」
その後ウェインと3匹のウサギは黒竜と長時間の激闘の末どうにか黒竜を倒した
が、その倒した功績は王エリオットが倒したと民衆に伝わり、より一層王を認める者が増えたそうだ
☆★☆★
「となると実際は貴方が倒していて功績は王が奪い取ったと?」
ジャレドがそう言い放つとジャレドの身体中に悪寒が走る。その悪寒の発信源は紛れもなく目の前にウェインからである
「貴様がどう思うかは勝手だ。だが俺の前で王を貶す事は死に等しいぞ?」
ウェインはスペースの魔法を使いある武器を取り出す
見た目は剣柄から剣先まで純白で出来た長剣
しかしジャレドはその剣の発する魔力を見て
恐怖なのか歓喜なのか分からないが体を震わせる
「この剣の名は【無白】。昔、刀鍛冶師に無理いって作って貰った両刃剣だ。この剣を俺に使わせるんだ・・・簡単に死ねると思うなよ?」
ウェインは剣を軽く振り久しぶりに感触を確かめると自分の魔力を一気に解放しジャレドに迫った
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