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エルシュタット学園編
王太子殿下・ガルゾキルズ帝国
しおりを挟む「この件に関してはどうぞご内密にお願いします!」
グレイグが床に額をすりすりしながらブレナンに土下座をする
この生徒が本当に王太子殿下なのか?とユートが考えているといつの間にか隣に来ていたクリスが耳打ちをする
「ユート君!一応あれでも本当にこの王国の王太子だからね
見た目はまさに王太子!って感じでイケメンなんだけどね~中身がかなりぽんこつな残念王太子なんだよ…
ボクも何度か同じ出来事見てるし」
クリスがそう教えてくれている間にブレナンとグレイグの話が進む
「前にも言ったでしょうよ。私達学園の職員は王様から直々に言われてって」
「うっ…それはわかるよ。うん。でもさ、見てない、言わない、聞いてないの三拍子でいけばさ、みんな幸せになれると思うんだよ」
なんだそれ…
ユート苦笑しながら他の生徒を見るとやはりみんなも苦笑いをしながらグレイグを見つめていた
「はぁ…殿下に聞いても埒が明かないのはいつも通り分かってるんで何言っててもいいですよ
とりあえずアイツに話聞きますんで」
「ーーアイツ!?ラシードには聞かないでえぇぇぇぇぇ!!アイツの発言的確過ぎるから、お願いだからああああああああぁぁぁ」
グレイグはブレナンの腰に抱き着きながら引きずられていく
すると壁の向こうからスラッとした生徒が何かを持って現れグレイグの頭を・・・引っぱたいた
スパーン!!
「グレイグ!だから何回も何回も何回も何回も言っただろ!
お前の魔法は威力が高いから、だから!何度も同じ場所に撃ち込なと!もう少し威力を抑えろと!前にも同じ様な事やったよな?なあ?あの時は「宝物庫から魔法剣持ってきたぜ!魔法剣とこの結界どっちが強いか試そうぜ!」とか言い出したから俺はお前から魔法剣を取り上げようとしたらお前は「そんなに言うなら一発だけヤラせて」とか言って急にブースト掛けながら「全魔力…解・放!」の捨て台詞を最後にもの凄い勢いで壁にぶつかって壁割ったよな?更にお前はその反動で気絶するし、魔法剣は粉々になるし、俺は学園長に呼ばれ事情説明し、終わったと思ったら今度は国王様から謝罪したいと城に呼ばれ王国の重鎮達が見守る中で国王様に謝られ、その姿を見ていた重鎮達に睨まれ、止めて下さい!頭をお上げ下さい!と言ってもまた謝られ、また重鎮達に睨まれの負のループよ負のな!」
はぁはぁ…
今までの鬱憤を晴らすかの如く話し続けるラシード
よっぽどストレスがあったのだろう、自分が話した内容、その時の事を思い出したのか胃の辺りを押さえ込みながら顔を青ざめさせている
ブレナンは話し終わったラシードの肩にポンっと手を置きうんうんと頷く・・・目に涙を貯めながら
☆★☆★☆★
「とりあえず授業は終わりだ。もう教室に戻っていいぞ~」
ブレナンは生徒に声を掛けると「じゃあ俺も・・・」といいながら帰ろうとするグレイグを縄でグルグルに縛り引き摺っていく
その後ろからスパーン!!と良い音でグレイグのお尻を叩くラシード
ユートは一応王太子なのにあの対応は大丈夫なのか?と思いながらも教室に戻っていった
☆★☆★☆★
王国から北に向かいモルザミークの山々を超えさらに先にある少し遠い場所
ここは遥か昔より【全ての国は我が国に隷属化するべし!】と主張する国
【ガルゾキルズ帝国】
この国は完全なる人族主義を掲げている
獣人族、魔族は全て奴隷、または広場にて公開処刑にされる
そんな国を少し離れた大木から監視している男がいた
「ふむ。まだ動かぬか…」
男の名はウェイン
エルシュタット王国で【天魔】の位を授かった男である
何故ウェインが帝国を監視しているのか
それは一年に一度必ず起こっていた小競り合いがここ数年無いからである
帝国は何故攻めてこないのか?その事に疑問をもった国王がウェインに月に一度、斥候役として帝国の監視を任されたからだ
「変異体オーガの襲撃・・・小竜誘拐による皇炎竜グラウディン国境超え・・・」
ウェインはぶつぶつ呟きながらも違う事を考えていた
(はぁ~最近の王国どうなってんの?そのせいで俺も辞めるに辞めらんないし…早く犯人出てきて捕まんないかな…)
そんな事を考えているとウェインの影が揺れ動く
ギィィーーン!
「ふむ…流石は天魔ですね。私の不意打ちを振り向かずに防御するとは」
影から出てきたローブ姿の男はウェインの薙ぎ払いの力に押され少し後ろに飛ばされるが宙を一回転しスタッと着地する
ウェインはいつの間にか手に握られていた剣を肩に乗せ後ろを振り向く
「貴様は誰だ!」
ウェインの凄まじい殺気の圧力に男の体がブルブルと震える
「フフフッ!!実に素晴らしい殺気ですねぇ~実験体に是非欲しい!
おっと?失礼しました。少し興奮を抑えられなくてええ
自己紹介させて頂きましょう
ワタクシはジャレドと申します。まぁ仲間からは【賢邪(けんじゃ)】ジャレドと呼ばれております。以後お見知り置きを」
男がローブを脱ぐと燕尾服にシルクハット、手にはステッキを持つ細身の老人が現れた
「貴様、ジャレドと言ったな。お前の目的を話してもらおうか」
「そうですねぇ~まぁ単純な事ですよ・・・・・
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そう言い放つとウェインの影、そして木の影から無数の漆黒の槍がウェインに向けて放たれた
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