上 下
62 / 121
エルシュタット学園編

王太子殿下・ガルゾキルズ帝国

しおりを挟む

「この件に関してはどうぞご内密にお願いします!」

グレイグが床に額をすりすりしながらブレナンに土下座をする
この生徒が本当に王太子殿下なのか?とユートが考えているといつの間にか隣に来ていたクリスが耳打ちをする

「ユート君!一応あれでも本当にこの王国の王太子だからね
見た目はまさに王太子!って感じでイケメンなんだけどね~中身がかなりぽんこつな残念王太子なんだよ…
ボクも何度か同じ出来事見てるし」

クリスがそう教えてくれている間にブレナンとグレイグの話が進む

「前にも言ったでしょうよ。私達学園の職員は王様から直々に言われてって」

「うっ…それはわかるよ。うん。でもさ、見てない、言わない、聞いてないの三拍子でいけばさ、みんな幸せになれると思うんだよ」

なんだそれ…

ユート苦笑しながら他の生徒を見るとやはりみんなも苦笑いをしながらグレイグを見つめていた

「はぁ…殿下に聞いても埒が明かないのはいつも通り分かってるんで何言っててもいいですよ
とりあえずアイツに話聞きますんで」

「ーーアイツ!?ラシードには聞かないでえぇぇぇぇぇ!!アイツの発言的確過ぎるから、お願いだからああああああああぁぁぁ」

グレイグはブレナンの腰に抱き着きながら引きずられていく
すると壁の向こうからスラッとした生徒が何かを持って現れグレイグの頭を・・・引っぱたいた

スパーン!!

「グレイグ!だから何回も何回も何回も何回も言っただろ!
お前の魔法は威力が高いから、だから!何度も同じ場所に撃ち込なと!もう少し威力を抑えろと!前にも同じ様な事やったよな?なあ?あの時は「宝物庫から魔法剣持ってきたぜ!魔法剣とこの結界どっちが強いか試そうぜ!」とか言い出したから俺はお前から魔法剣を取り上げようとしたらお前は「そんなに言うなら一発だけヤラせて」とか言って急にブースト掛けながら「全魔力…解・放!」の捨て台詞を最後にもの凄い勢いで壁にぶつかって壁割ったよな?更にお前はその反動で気絶するし、魔法剣は粉々になるし、俺は学園長に呼ばれ事情説明し、終わったと思ったら今度は国王様から謝罪したいと城に呼ばれ王国の重鎮達が見守る中で国王様に謝られ、その姿を見ていた重鎮達に睨まれ、止めて下さい!頭をお上げ下さい!と言ってもまた謝られ、また重鎮達に睨まれの負のループよ負のな!」

はぁはぁ…
今までの鬱憤を晴らすかの如く話し続けるラシード
よっぽどストレスがあったのだろう、自分が話した内容、その時の事を思い出したのか胃の辺りを押さえ込みながら顔を青ざめさせている
ブレナンは話し終わったラシードの肩にポンっと手を置きうんうんと頷く・・・目に涙を貯めながら


☆★☆★☆★


「とりあえず授業は終わりだ。もう教室に戻っていいぞ~」

ブレナンは生徒に声を掛けると「じゃあ俺も・・・」といいながら帰ろうとするグレイグを縄でグルグルに縛り引き摺っていく
その後ろからスパーン!!と良い音でグレイグのお尻を叩くラシード
ユートは一応王太子なのにあの対応は大丈夫なのか?と思いながらも教室に戻っていった


☆★☆★☆★


王国から北に向かいモルザミークの山々を超えさらに先にある少し遠い場所
ここは遥か昔より【全ての国は我が国に隷属化するべし!】と主張する国
【ガルゾキルズ帝国】
この国は完全なる人族主義を掲げている
獣人族、魔族は全て奴隷、または広場にて公開処刑にされる
そんな国を少し離れた大木から監視している男がいた

「ふむ。まだ動かぬか…」

男の名はウェイン
エルシュタット王国で【天魔】の位を授かった男である
何故ウェインが帝国を監視しているのか
 
それは一年に一度必ず起こっていた小競り合いがここ数年無いからである
帝国は何故攻めてこないのか?その事に疑問をもった国王がウェインに月に一度、斥候役として帝国の監視を任されたからだ

「変異体オーガの襲撃・・・小竜誘拐による皇炎竜グラウディン国境超え・・・」

ウェインはぶつぶつ呟きながらも違う事を考えていた

(はぁ~最近の王国どうなってんの?そのせいで俺も辞めるに辞めらんないし…早く犯人出てきて捕まんないかな…)

そんな事を考えているとウェインの影が揺れ動く

ギィィーーン!

「ふむ…流石は天魔ですね。私の不意打ちを振り向かずに防御するとは」

影から出てきたローブ姿の男はウェインの薙ぎ払いの力に押され少し後ろに飛ばされるが宙を一回転しスタッと着地する
ウェインはいつの間にか手に握られていた剣を肩に乗せ後ろを振り向く

「貴様は誰だ!」

ウェインの凄まじい殺気の圧力に男の体がブルブルと震える

「フフフッ!!実に素晴らしい殺気ですねぇ~実験体に是非欲しい!
おっと?失礼しました。少し興奮を抑えられなくてええ
自己紹介させて頂きましょう
ワタクシはジャレドと申します。まぁ仲間からは【賢邪(けんじゃ)】ジャレドと呼ばれております。以後お見知り置きを」

男がローブを脱ぐと燕尾服にシルクハット、手にはステッキを持つ細身の老人が現れた

「貴様、ジャレドと言ったな。お前の目的を話してもらおうか」

「そうですねぇ~まぁ単純な事ですよ・・・・・












貴方を消す事です」

そう言い放つとウェインの影、そして木の影から無数の漆黒の槍がウェインに向けて放たれた

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

悪徳領主の息子に転生したから家を出る。泥船からは逃げるんだよォ!

葩垣佐久穂
ファンタジー
王国南部にあるベルネット領。領主による重税、圧政で領民、代官の不満はもはや止めようがない状態へとなっていた。大学生亀山亘はそんな悪徳領主の息子ヴィクターに転生してしまう。反乱、内乱、行き着く先は最悪処刑するか、されるか?そんなの嫌だ。 せっかくのファンタジー世界、楽しく仲間と冒険してみたい!! ヴィクターは魔法と剣の師のもとで力をつけて家から逃げることを決意する。 冒険はどこへ向かうのか、ベルネット領の未来は……

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

処理中です...