前世で眼が見えなかった俺が異世界転生したら・・・

y@siron

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第四章 王都エルシュタット

王城での報告・学園内にて

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「モルザミークに出現したドラゴンが皇炎竜グラウディンだったとはな……」

王の間にて王都ギルドマスターギリアムから報告を受けたエルシュタット王エリオットが顔を青ざめながらため息をついた

「話し合いに応じてくれたそうなので王都を襲うことはないでしょう
むしろユート君はグラウディンに好かれたのか、友好の証としてグラウディンの鱗や爪等の素材とその他にグラウディンの娘まで渡されたそうです」

ギリアムは報告書を捲りながら淡々と会話する
素材と聞いた時エリオットは顔を上げとても嬉しそうな顔をしていたが、娘もと聞いてまた顔を青ざめさせた

「それは良い事なのか・・・何かあったらまずくはないかの?」

「それは大丈夫かと…ユート君が娘を助けた恩もありますし、それにユート君の力を認めた上で預けたそうです
むしろこれを機に【竜山脈アガルアディス】との交易を始めるのも良いかと」

「ふむ…どうやって連絡を取り合うつもりだ?」

「ユート君本人から聞いたのですが、グラウディンから加護を賜ったそうです
その加護で直接やり取りが出来ると
ほぼ毎日グラウディンから娘の自慢話を一方的に話されて毎日疲れると言ってました」

ギリアムは苦笑しながら話す
ギリアムの提案を聞き、宰相ヘイトンがなにやら考えながらエリオットと相談を始める

「王、今を逃せばもうチャンスはないですぞ
ドラゴンの素材が手に入れば国も潤います。冒険者達の質も上がり、我が国の兵力の底上げもできます。そうなれば他国の牽制にもなりますぞ!!」

「ううむ…それはわかるが万が一があっては困る」

ギリアムの提案に乗り気のヘイトン、その提案を中々了承しようとしないエリオット
二人が色々と話し合いをしているとギリアムから新たな提案を出された


「それでは交易の交渉にユート君を使うのはどうでしょう?
グラウディンと直接話した唯一の人物ですし信頼もされているので間違いないかと思います」



「「それだ!!」」



「ではその様に依頼を出してみます」

エリオットとヘイトンは安心した顔をしている
ギリアムは次の報告を始めた

「では次にユート君のSランク昇格の件ですが・・・」

ギリアムが話しを始めるとエリオットが話しに割り込む

「それなら今回の交渉の件で良いではないかの?
実力はグラウディンと戦闘して生きているのが証拠じゃ。ギリアムもその実力は認めているのだろう?」

「実力は間違いなくあります。まだ底がわかりませんが・・・わかりました
では依頼が終わり次第昇格、昇格後に王への謁見の順番にしましょう」

「うむ!頼んだぞ!急を要さないから慎重にの」

「はっ!」

ギリアムは胸に手を当て一礼をし、王の間を出ていく





「それにしても知れば知るほど謎の男よの」

「そうですな。何処でその力を身につけたのか知りたいものです」

「ヘイトンよ。余はユートを学園に推薦入学させようと思うのだが・・・どう思う?」

「エルシュタット学園にですかな・・・なるほど、確かに今の学園は色んな意味で低迷してますから一石投じるには相応しい方ですな」

「年齢的にも丁度いい。入学すれば余の息子にも良い刺激になるじゃろ?」

「それはそうですな!しかし当の本人が受けるかわかりませぬ」

「近しい者にそれとなく話を振ってもらえばと思うが・・・」

「なるほど周りから固めるのですな
ではギリアムにも後ほど連絡しておきます」

「うむ」
















学園の中庭でベンチに座り読書をしている女性がいた
周囲には人はいなく、ここは彼女のお気に入りの場所でもある
心地よい風が吹き、柔らかく暖かい陽射しに包まれる


「レティシアさーーん!レティシアさーーん!」

彼女は声が聞こえると本を閉じ自分を探している女性の方へ向かう

「やっと見つけたよレティシアさん!
魔法講義の先生がいないからって怒ってたよ」

「ごめんなさいなのです……つい本に夢中になって読みふけってたのです」

「もう!いつも何処かの授業でいなくなるんだがら!ほら早く行くよ!先生に謝らないと!」

「わっ!わかったですわかったです!」

女性はレティシアの手を引いて教室に走っていった















「なるほど、中々学園生活を楽しんでるみたいですね……クックック・・・」


彼女がいたベンチの影から誰かの声が聞こえたが人の姿は見えなかった


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