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第四章 王都エルシュタット

教育試験前日の騒動

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「ありがとうございました!またのご来店お待ちしております!」

ユートは次の日、王都の街を見て回っていた
今は教育試験の準備にテントやポーション等を買い物し終わった所だ

(さて、お昼は何処かで食べるか
そういえば小さなひかり亭は昼から営業だったな。行ってみるか)

ユートは小さなひかり亭に向けて歩く







小さなひかり亭の近くまで来ると何やら話し声が聞こえてきた

「何度も言ってますが黄金鳥は夜しかやってないんですよ」

「この私が時間をかけて来てるのに作れないだと!!」

「申し訳ないですが仕込みが今からになるのでお出し出来ません」

「ぐぬぬ!この私の言う事が聞けんのか!馬鹿にしおって!
もういい!おいお前達!コイツらを捕らえろ!抵抗するなら多少怪我をさせてもかまわん!」

「「「「はっ!」」」」

男が合図を出すと護衛達は剣を抜きブレンダの周囲を囲む


(まずい!)


ユートはブレンダの前に飛び込み刀を抜く


キィン


「おい。お前らは武器も持たない市民に危害を加えるのか?
話を聞いていたが食べられないだけでそこまでする程の事か?」

「おいお前!私が誰だか分かっての狼藉か!」

「知らんな。俺は王都に来たばかりだからな」

「ふん!ただの田舎者か
なら教えてやろう!私はリロイ・ディ・ダンブラ男爵だ!」

「貴族様か。なるほどな
しかし貴族だからって市民を勝手に切りつける理由にはならないだろう?」

「ふん!愚民共は貴族の手足だ!言う事を聞かなければ教育も必要だろ!」

「それはこの国の法律なのか?それともお前独自の見解なのか?」

「愚民共が貴族の言う事を聞くのは当たり前じゃないか!
偉いなら下のものに何しても許される」

「なるほどな。お前の考えは分かった」

「ならどけ!退けばお前だけは特別に許してやる!」

ユートは刀を裏返し、リロイに向けて突き出す

「退くわけないだろ?むしろお前が退け
退けば痛い目にあわなくなるぞ」

「きっ貴様!また私に無礼な真似を!もういい!お前ら先にアイツを殺れ!」

「「「「はっ!」」」」

護衛達はユートに剣を向ける

「やれやれ…これはお仕置きが必要だな
命は取らないようにしてやる」

ユートは護衛達に向けて殺気を放つ



「「「「ひっ!」」」」



少しずつ後ろに下がり怯える護衛を見てリロイが声を上げる

「お前達何をしている!早くアイツを仕留めろ!アイツを仕留めたらお前達に小金貨5枚やる!」

その一言を放つと護衛達は一斉にユートに向かってくる

「世の中金か。命が惜しくないのか
まあいい、来るなら倒すまで!」


ユートは護衛達に向けて技を繰り出す




「神崎流刀術:火花」



バシッ!ゴッ!バシッ!ゴッ!バシッ!ゴッ!バシッ!ゴッ!



ユートは護衛達の剣を持つ手を叩き、その後護衛達の首筋を打ち意識を飛ばした

「安心しろ峰打ちだ。暫く寝てろ」

ユートはリロイの前まで歩く

「ひっ!来るな!来るんじゃない!俺に手を出したらどうなるのか分かってるのか!!」

「どうなるのかやってみるといい。大量の死体を見たいのならな」

ユートは刀を突きつけ殺気を放ちながら話す


「・・・」


リロイは泡を吹き気絶していた

「ちょっと殺気を出し過ぎたか
とりあえず終わったけどコイツらどうするかな」

ユートは刀を納めるとブレンダが話し掛けてきた

「ユート君助かったよ!ホントあんたは強いんだね!」

「これくらいならクリスにも出来ますよ
とりあえずこの貴族達はどうしますか?」

倒れてる貴族達を指差す

「今旦那が憲兵を呼んでるはずだから大丈夫だよ!貴族でもこんな事は許されないからね!キッチリ尋問してもらわないと!」

「そうですか。なら起きても逃げない様に縛っておきますね」

ユートは空間から縄を取り出し次々に縛っていく



「おーいブレンダ!大丈夫か!?」

男がブレンダに声を掛ける

「ルック!あたいはこの通り大丈夫さ!ユート君が全部やっつけてくれたからね!」

「ユート君?ああ、この前クリスちゃんが連れてきた子か!」

「ルックさん初めまして。ユートと申します
丁度お店に向かってたのですが、話し声が聞こえた後剣を抜いてブレンダさんに襲い掛かる人達を見掛けたので、ブレンダさんを守る為に相手を無力化させてもらいました」

「おおそうだったのか!ありがとうユート君!このお礼は必ずさせてもらうよ!」

「いえいえ、お気になさらないでください」

「ユート君がいなかったらどうなっていたか…また今度お店に来てくれ!精一杯もてなしさせてもらうよ!」

「わかりました!クリスとまた来させてもらいます」

ユートはリックと力強く握手をする




少し話しをしていると憲兵達がやってきた

「現場はここで間違いないか?」

「はい!妻が襲われていた所をユート君が身を挺して守ってくれたそうです」

ルックは憲兵の質問にそう答える

「君がこの貴族達を取り押さえたのかい?しかも君は無傷じゃないか」

「これでも冒険者をしているのでこの程度なら問題ないです」

ユートは話しながらギルドカードを取り出す

「その若さでCランクとは…それならこの現状も頷ける。しかし貴族が市民に剣を向けるとはな…
とりあえずこの者たちは詰所で預かる!
ブレンダさんとユート君も事情聴取をするからついてきて欲しい」

「わかりました」

ユート達は憲兵につれられお店を後にする







「なるほど。よくわかりました」

ユートは数十分取り調べを受けていた
すると急にドアを開け兵士が入ってきた 

「取り調べ中失礼します!リロイ男爵とその護衛が目を覚ましました!」

「ご苦労。ではリロイ男爵から取り調べを始めよう
ユート君の取り調べはこれで終わりだ。帰っていいぞ」

「ありがとうございます」

ユートが出て行くと縄で繋がれたリロイが騒ぎながらふらふら歩いてくる

「私は無実だ!悪い事など何もしていない!」

ユートはすれ違いざまにリロイの耳元で呟く



「嘘の証言をしたら分かってるな?」

「ひぃぃ!!」


ユートはそのまま詰所を出て宿に帰って行った






「あっ!ご飯食べるの忘れてた・・・」

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