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第三章 ブランの街
冒険者ギルド ブラン支部ギルドマスター
しおりを挟むユートは冒険者ギルド前まできた
ギイッ
ギルドの扉を開け中に入る
(さすがにこの時間は混んでるな)
ユートはキョロキョロしながら周りの様子を窺う
(剣士、戦士、魔法師、狩人…
かなりの人数がいるな…中には強そうな気配もちらほらある)
少し興奮気味に観察する
「おいガキ!入口に突っ立ってんな!邪魔だオラ!」
背後から巨漢の男がユートの肩に手を置き押し退けると、仲間らしき人物が二人その男について行く
「邪魔をしてすみません」
「ふん!!おめぇみてえな弱そうなガキが冒険者ギルドに来てんじゃねえよ!さっさと家に帰りな!」
「「ギャハハハ!!」」
巨漢の男がユートに毒突くとそのまま受付に向かって行った
(ふぅ~粗暴なやつだな
確かに俺が突っ立ってるのも悪いが…)
ユートはそう思いながらギルドの壁に寄りかかっていると自分に視線が集まっているのに気付き、目を閉じて声に集中する
「またオーガンが新人に絡んでんな…」
「あの子目に付けられて可哀想ね…」
「オーガン一度目に付けるとずっと嫌味言ってくるからな~」
と周りからヒソヒソと話し声が聞こえてきた
(なるほどね。あのオーガンって人はある意味有名って事か
あんまり関わらない様に注意しよう)
ユートはそう考え目を開き、空いてきた受付に並ぶ。
数分並んで自分の順番がきた
対応してくれる人は初めての受付嬢だ
(んっ?ネコ耳?あ~獣人っていう種族か
アヴェルに軽く説明は聞いていたが、この世界で初めて会うな)
ユートはそう考えながらうさ耳獣人の受付嬢と話す
「すみません。今日の昼にダネルさんに呼ばれてたユートなんですが……」
「はい!お待ちしてましたよ~!
ダネルさんが解体部屋で待っていますのでそのまま向かって下さい!」
「わかりました。ありがとうございます!」
ユートはお礼を言うと解体部屋に向かった
「おうユート!時間通りだな!」
汗をかいたガチムチのダネルが現れた
「ダネルさんこんにちは!解体は終わってますか?」
「ああ!さっき終わって少し休憩してたとこだ。
ここいらでは滅多に見れないもんだからな。若い奴らの授業を兼ねて解体してたから少し時間がかかったぜ~」
「へぇ。それほど珍しいんですか?」
「当たり前だろ?ここいらの地方ではまずいない魔物だしな。
いるとしたら【魔王領】か【獣王領】らへんだろうな。
近くだと【帝国領】との国境付近の【モルザミーク】の山くらいか?」
「なるほど…勉強になります。」
(魔王領、獣王領、帝国領……この世界は広いって事か)
「まぁ気になるんなら街の図書館にでも行くといい。
それか王都に行く機会があるなら王立図書館で調べるのもいいな。
あそこなら貯蔵している量も多いしな」
(図書館か…時間を作って行ってみるか。
いっそ王都に行くのもアリだな)
「ですね。その内行ってみます」
「おう!んじゃランページボアの精算するか!
こいつの素材は全部買取でいいのか?
欲しい部分があるなら分けるが…」
「いえ、全て買取でお願いします」
「了解だ。んじゃ説明するな。
肉が小金貨8枚
毛皮が小金貨5枚
魔石が大金貨2枚
合計で大金貨3枚と小金貨3枚だな。
少し細かく銀貨に崩しておくか?」
(おお!かなりの値段だな!
って事はウルスの素材を売ったらどうなるんだろうか?
アヴェル曰く、ユニークモンスターは滅多にいないって言ってたから出したら出したでまずいのか?)
「えっと…そうですね。それでよろしくお願いします」
そんな事を考えながらユートはダネルから金額の書かれた用紙を受け取った
「そいつを受付に出せばお金を受け取れるからな。んじゃよろしくな!」
「わかりました。ありがとうございました!」
ユートはお辞儀をして受付に向かった
「すみません。お願いします!」
ユートはダネルから受け取った用紙を渡す
「はい!少々お待ち下さいませ!」
先程のネコ耳獣人の受付嬢が笑顔で接客する
数分後
「ユートさん!大変申し訳ないんですけど…当ギルドのマスターがユートさんにお会いしたいと……時間は空いてます?」
(なんでギルドマスターが?)
「えっ?ギルドマスターですか…俺みたいな新人が会っても大丈夫なのですか?」
ちょっとびっくりした様子で話す
「はい!ギルドマスターからお会いしたいとの事なので問題ないですよ。」
「なるほど。ではお会いします」
「ありがとうございます!ではご案内致します!」
ユートは受付嬢に付いて行き、ギルド二階の一番奥の部屋前に着いた
コンコン
「入れ」
ガチャ
「ギルドマスター。ユートさんをお連れしました」
「ごくろう。仕事に戻ってよいぞ」
「はい。ではユートさんごゆっくりー」
バタン
ユートの目の前にはとてもキレイな顔つきをした耳の長い女性がいた
「初めましてユート君
私は冒険者ギルドブラン支部ギルドマスターのエストレアだ!」
「お初お目にかかります。ギルドマスターエストレア様。私はユートと申します」
ユートは片膝をついて敬意を表す
「ふふっ。そんな堅苦しい事はしなくていいよ。もっと気楽にしてほしい
みんなからはエストと呼ばれているからユート君もそう呼ぶといい」
エストは微笑みながら言った
少し悩んだユートは立ち上がり
「わかりました。ではエストさんとお呼びしても?」
「ん~まだまだ言葉が堅いな。キミとは対等な感じで話して欲しいんだけど……」
エストは両指をツンツンしながら項垂れている
そう言われ、ユートは諦めた様子で
「わかった。じゃあエストでいいか?」
その言葉を聞いたエストは笑顔を浮かべた
「うんうん!それでいい!
他の人がいる時はエストさんかマスターと呼んでくれればいい。」
「了解。それで俺に用事があるのか?」
「そうだね。キミにはいくつか聞きたい事があってね。答えてくれるかな?」
「答えられることならな」
「ふふっ。わかった
答えられない質問は聞かないようにするよ」
エストはユートにいくつか質問した
数十分後
「うむむ…
そういった経緯があったのか…
ユート君は大変な思いをしたんだな……」
ユートは前に作っていたこの世界での設定を話した
「あぁ…だから仲間を捜しながら旅を続けている」
「なるほど。この世界もまたまだ知らない大陸があると言う事だな。
ランページボアを倒せるくらいの力があるのに今までギルド登録が無かったのも頷ける」
関心したのかエストは目を閉じながら頷く
そして手元にあるベルを鳴らす
チリンチリーン
ガチャ
ベルの音が止むと、真面目そうなメガネを掛けた受付嬢が現れた
「ギルドマスターお呼びでしょうか?」
「うむイェーナ。アレックを呼んでくれ」
「わかりました。すぐに連れて参ります」
バタン
イェーナは足早に出て行った
(あの受付の人はイェーナさんって言うのか。
そういえばあのネコ耳獣人の受付嬢も名前も知らないな。
今度本人に聞いておこう)
いつも名前を聞いてないユートであった
数分後
ガチャ
「アレックさんを連れて参りました」
イェーナが連れてきた男性が部屋に入ってくる。
「マスター!この僕をお呼びで?」
ユートより年上で整った顔立ちをした男が話す
「うむ。アレックには頼みたい事がある
ここにいるユート君と試合をしてもらいたい」
エストがそう言うと、ユートとアレックはびっくりした表情でお互いの顔を見る
ユートその眼でアレックの身体を見る
(ほう…魔力はそこまで多くなさそうだが
強そうな気配を感じる
下にいた冒険者よりも段違いだな!
これは戦ってみたい!)
アレックも同じく何かを感じているようだ
「へぇ~ギルドマスターが試合をしろって言うのもわかるな~
ユート君?だっけか。君、結構強いでしょ?
力を隠してるみたいだけどそんな気配がするよ」
アレックもユートの力を認めたようだ
「では地下の闘技場に移動しよう」
そしてユート達はエストに連れられ地下に移動した
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