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第三章 ブランの街

街の教会

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翌朝

いつも通りの時間に起きたユートは朝一に街の教会にきていた

コンコン

「すみませーん」

ガチャ

「はい。何か御用ですか?」

教会の中から中から若いシスターが出てきた

「朝早くからすみません。初めましてユートと申します
こちらでステータスボードの発行をしていると聞いたのですが…」

「はい。ステータスボードですね。では中でお待ち下さい」

シスターに勧められ教会の中に進む

(お~中々神秘的だな
前世ではこういう場所に来た事が無かったから新鮮だ。)

ユートは教会内を興味深そうに見渡す

(んっ?あの像は誰だ?)

ふと教会の奥にある像に目が留まる

(教会にあるから神様なんだろうけど誰なんだ?かなり凛々しい顔つきのおじいさんだな)

そんな事を考えていると、小さい透明な板を持ってシスターが戻ってきた

「お待たせしました。こちらがステータスボードになります。小金貨1枚になりますがよろしいでしょうか?」

ユートは昨日貰った袋から小金貨を取り出し、シスターに渡した

「使い方はわかりますか?」

「いえ。初めて使うので」

シスターは小金貨をしまうと説明を始めた

「そちらのボードに魔力を流して下さい
するとボードに文字か浮かびます
そちらの板は一回使うとその人の魔力にしか反応しなくなりますのでご注意下さい」

「なるほど~。わかりました!ありがとうございます」

ユートお礼を言った後、帰ろうと教会を出ようとした時、ある事を思い出して脚が止まる

(あっ!そういえばアヴェルが教会に来れば会えるって言ってたな
多分…お祈りとかすればいいのかな?)

「シスターすみません。お祈りもしたいのですがよろしいでしょうか?」

「お祈りですね。ではこちらの部屋でお祈りができますので」

ユートはシスターに案内され部屋に入る

「私は部屋の外をおりますので終わりましたらお声をお掛けください」

「わかりました」

神像の前で片膝をつき、目を閉じてお祈りを始める

(これで会えるかアヴェル?教会に来たぞ。)

するとユートの意識が遠のく
















「やっほほーい!ユートくん!」

声のする方を見ると変な服(食べ物は飲み物。飲み物は飲み物。甘味こそ至高!と書いてある)を着ているアヴェルがこっちに向かって走ってきた

(あの服は無視だな)
「んっ?アヴェル久しぶりだな」

「ユートくんがきてくれてボクはうれしいよ!」

アヴェルはピョンピョン跳ねながらユートの周りを何回もグルグルと回る



「めがまわる~グルグル~ウッ!」

ちょっと吐き気がしたようだ

「喜んでくれるのは有難いが、ここで吐くなよ!」

「大丈夫大丈夫~ちょっと吐き気しただけだから!」

「ならいいが……」

ユートはそんな話をしながら先程からアヴェルの後ろでずっと土下座している人?に目を向ける

「なぁアヴェル。さっきから後ろで土下座してる人?は誰だ?」

「あ~気づいちゃった?
ちょっと早くこっちにきなよシエナ~」

シエナと呼ばれる人?はユートの前に、それはそれはとてもキレイなジャンピング土下座をしてきた

「ずみまぜんでじだぁ~~もう放置じまぜんがら許してぇ~~!!」

「うんうん♪ちゃんとあやまったね!ヨシヨシ~」

アヴェルはシエナにそう言うとシエナは涙を拭き、顔を上げた

「アヴェルさまあああああああ!ちゃんと謝ったからもうアレはしないですよね?ねっ?」

アヴェルは悪戯顔で

「う~ん。どうしよっかな~?」

「ちょ!ちょっと待って下さいよおおおお!!謝ったらもうしないからって言ってましたよね!」

「おぼえてない!キリッ」

ユートをそっちのけで話す二人

「おい。そんなのどうでもいいからそのシエナ?って人を紹介しろよ」

ちょっと怒った表情で話すユート

「そんなのって!!」

「はいはい。シエナの話は後でするから~
ごめんねユートくん。この神はシエナ
例のミランジュ大森林の監理者の駄女神だよ」

駄女神と言われたシエナはグハッ!と言いながら倒れた

「ボクから  お・し・お・き☆ したからこれからは大丈夫だよ~
まぁまた見つけたら……ぐふふ」

それを聞いたシエナはガバッと立ち上がり、顔を青ざめさせ、土下座しながらビクビクしている

「一応これでも【美神】なんだよ」

「美神?」

「うん。美と愛を司る神シエナ
アルサンガルドでは女性から莫大な人気なんだ~」

「へぇ~。そういう神もいるんだな」

「うん!他にも神達はいるんだけど今はいないから名前だけ教えておくよ。

【武神】バルドール
【魔神】アストウス
【商神】ブランデン
【工神】ゴルドー
【地神】アステファニア
【医神】エルマ
【知神】インファント

そしてその頂点にして最強のボク!
【界神】アヴェルくんだよ!
偉いんだよ!えっへん!!」

アヴェルは褒めて欲しそうに上目遣いでユートを見る

「はいはい。しかし、そんなに神はいるのか?」

ユートはアヴェルの頭を撫でながらそう聞いた

「うん!そのうち招集するからその時にまた紹介するね!」

「わかった。楽しみにしてるよ」

その後ユートは、教会にあった神像について聞いてみた

「あーあれか~
あれはね、ボクって事になってるんだけど
正確にはボクじゃないんだ~
あの像は【魔神】アストウスなんだよ~
ボクじゃ貫禄が無いって【勇者】アークが言い出して、その後に「アストウスでよくね?」って言ったのが発端さ。
ボクなんて貫禄の塊じゃないか!ブーブー!」

ユートは勇者正解!と思った


そこから二人は時間がある限り話しを続けた。
土下座しているシエナを忘れて……










長い時間が経ち、ユートの身体に光の粒子が包み込む

「そろそろ時間だね。
またすぐに会える事を祈ってるよ!」

「ああ。今度は王都に着いた時に来るよ」

「うん!ユートくんの冒険話を楽しみに待ってるね!」

アヴェルの笑顔を見ながらユートは姿を消した








「あっ!ユートくんからおみやげがなかった……」

アヴェルはショックを受けながらも、気を取り直し床に寝転ぶ

「さてと、ユートくんが帰った事だしゴロゴロするかな~」

アヴェルはそう言いながらゴロゴロし始めた




ドンッ!


シエナにぶつかりながら










(戻ってきたか。中々濃い話が聞けてよかった!)

ユートは早足で部屋から出て行き、シスターに声を掛け、袋から大銀貨を一枚取り出し献金した

「またお越しください」

「ありがとうございました。また来ます」

別れの挨拶を済ませたユートは、教会を出てその足で冒険者ギルドに向かった
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