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こうしてこの日から、毎日朝から午後まで予定が組まれシーディは学ぶことの多さに忙殺されることになった。
そんなある日、珍しく午後がお休みとなりシーディは久々にゆっくりしようと、真っ直ぐに部屋へ戻った。
部屋へ戻ると、リンが嬉しそうな顔で待ち構えていた。
「どうしたのリン? なんだかとっても楽しそうだけど」
「シーディ様、実はシーディ様がいらっしゃらない間にリューリ様からお菓子の差し入れと、陛下からはお茶の差し入れがあったのです!」
なるほど、食べたくて私の帰りを今か今かと待っていたということね?
シーディはリンを可愛らしく思いながら、リンにお菓子とお茶の準備をお願いした。もちろん二人分である。
リューリは時々こうしてお菓子の差し入れをしてくれていた。望めば用意してもらえるが、ここで出される食事だけで十分足りていたので、あまり要求することのないシーディに気を遣ってくれているようだった。
ユニシスも、時々こうしてお茶やお菓子の差し入れをしてくれていた。これも気遣いからだろう。
唯一シーディがリューリに希望した炬燵に入ると、お菓子を頬張りながらリンはしみじみ言った。
「私、本当にシーディ様のお付きで良かったと思ってます。もちろん、お菓子が食べられるからでも炬燵に入れるからでもありませんよ?」
「ふふふ、わかってるわよ。スエイン様は私も怖いと思うときがあるもの」
「ですよね~。特にスエイン様付きになったニアは、今日お部屋に行くのもつらそうでした。あっ、でもスエイン様は自分がお連れになった使用人がいるので、ほとんどお世話をすることもないみたいで暇そうでしたけど」
「そうなの、使用人を連れてくるなんてやっぱり貴族は違うわね」
「そうなんです。で、お部屋にお伺いしても『下がって良いわ』って冷たくあしらわれてしまうんですって」
「そう、他の子たちもそうなのかしら?」
「そうみたいです。シーディ様みたいに『お部屋で待ってても良い』って言ってくださる方はほとんどいませんから、寒い廊下にいるしかないんですよね~」
シーディは驚く。
「詰所で待っていてはいけないの?」
リンは困ったように微笑む。
「私たちに詰所はありません」
そこでシーディは思い付く。
「だったらここで待ってればいいじゃない! 暖かい炬燵もあるし、私が戻って来たらみんなでお茶もできるわよ?」
「いいんですか?」
「いいに決まってるじゃない。こんなに広いんだもの、大丈夫よ。それにみんなで食べた方が楽しいし。ね?」
この一言でこの日から運命の乙女付きの宮女たちがシーディの部屋で集まりお茶をするようになった。
それを聞き付けたのか、リューリもたくさんお菓子とお茶を差し入れてくれるようになった。
勉強も大変ではあったが、それよりもこんなによい待遇で同じ年代の子たちと集まっておしゃべりできる日常がシーディは楽しかった。
一方、もともとが裕福な出自のスエインたちはこの暮らしに不満を持っているようだった。
何よりシーディが自分たちと同じ待遇なのも気に入らないようで、各々自分の担当の中官に文句を言っているようだった。
なぜそれをシーディが知ったかというと、シーディの部屋に集まった乙女候補付きの宮女たちがそう話していたからだった。
そんなある日、部屋でいつものようにもらったお菓子を囲んで炬燵でダラダラとおしゃべりをしていると、軽く引戸をノックする音がした。
「誰か来たみたい」
きっとまだ来ていない宮女の誰かだろうと思い、引戸の前にいたシーディはみんなに座っているように言うと対応を買って出た。
そうしてシーディは、引戸を勢いよく開けた。
「もうみんな始めてるわよ!」
そう言って出迎えたが、自分の面前に立っていたのは宮女ではなくユニシスだった。
シーディは思わず開け放った引戸を思い切り閉めた。その様子に驚いてリンが声をかける。
「シーディ様? どうしたのですか? 誰が来たのですか?」
ゆっくりと振り向くとシーディは答える。
「陛下が」
「はい?」
「陛下がお見えになられたみたい」
その台詞にそこに集まっていた宮女たちは一瞬固まり、事態を理解すると一斉に上を下への大騒ぎとなった。
シーディはみんなを素早く寝室へ誘導すると、その裏にある戸の鍵を開けそこから外へ出るように促した。
そして、こんなに待たせたのだからきっともうユニシス様は帰られたかもしれないと思いながら、深呼吸して気持ちを落ち着かせると引戸を開けた。
ユニシスは帰らずにそこに立っていた。シーディは処罰も覚悟し素早くそこへ土下座する。
「大変失礼なことをしてしまい、申し訳ありませんでした」
なんの返事もないので相当怒っているのだろうかと思っていると、ユニシスの笑い声がした。
「すまない、こんなことは久々だったのでな。怒っていない。顔を上げよ」
シーディはゆっくり顔を上げ、ユニシスを見つめた。すると、ユニシスはシーディに問いかける。
「中へ入れてくれないのか?」
「も、申し訳ありません。どうぞお入り下さい」
シーディは立ち上がると、炬燵のある部屋ではなく客間へ通そうとしたがユニシスは勝手に炬燵のある部屋へ行くと、そこへ座った。
「リューリからお前が炬燵を欲したと報告を受けた。私も炬燵は好きだ。早くお前も入れ」
シーディは言われるがまま炬燵へ入った。
「お前と会うのはあの村外れの沢で会って以来だな。まさか、今は私が誰だかわかっているな?」
「は、はい。もちろん存じ上げております。竜帝陛下」
すると、ユニシスは微笑む。
「冗談だ、そんなに緊張することはないだろう。ところでここでの生活は? 慣れたのか?」
「はい。大変楽しく過ごしております」
「そのようだな」
シーディは先ほどの騒動を思い出し、恥ずかしくて俯いた。そして話題を逸らそうと質問する。
「ところで、今日はどういったご用件でいらせられたのでしょうか」
「だから、先ほど言ったろう。私は炬燵が嫌いではない」
言っている意味がわからず、シーディは首をかしげた。すると、ユニシスは続けて言った。
そんなある日、珍しく午後がお休みとなりシーディは久々にゆっくりしようと、真っ直ぐに部屋へ戻った。
部屋へ戻ると、リンが嬉しそうな顔で待ち構えていた。
「どうしたのリン? なんだかとっても楽しそうだけど」
「シーディ様、実はシーディ様がいらっしゃらない間にリューリ様からお菓子の差し入れと、陛下からはお茶の差し入れがあったのです!」
なるほど、食べたくて私の帰りを今か今かと待っていたということね?
シーディはリンを可愛らしく思いながら、リンにお菓子とお茶の準備をお願いした。もちろん二人分である。
リューリは時々こうしてお菓子の差し入れをしてくれていた。望めば用意してもらえるが、ここで出される食事だけで十分足りていたので、あまり要求することのないシーディに気を遣ってくれているようだった。
ユニシスも、時々こうしてお茶やお菓子の差し入れをしてくれていた。これも気遣いからだろう。
唯一シーディがリューリに希望した炬燵に入ると、お菓子を頬張りながらリンはしみじみ言った。
「私、本当にシーディ様のお付きで良かったと思ってます。もちろん、お菓子が食べられるからでも炬燵に入れるからでもありませんよ?」
「ふふふ、わかってるわよ。スエイン様は私も怖いと思うときがあるもの」
「ですよね~。特にスエイン様付きになったニアは、今日お部屋に行くのもつらそうでした。あっ、でもスエイン様は自分がお連れになった使用人がいるので、ほとんどお世話をすることもないみたいで暇そうでしたけど」
「そうなの、使用人を連れてくるなんてやっぱり貴族は違うわね」
「そうなんです。で、お部屋にお伺いしても『下がって良いわ』って冷たくあしらわれてしまうんですって」
「そう、他の子たちもそうなのかしら?」
「そうみたいです。シーディ様みたいに『お部屋で待ってても良い』って言ってくださる方はほとんどいませんから、寒い廊下にいるしかないんですよね~」
シーディは驚く。
「詰所で待っていてはいけないの?」
リンは困ったように微笑む。
「私たちに詰所はありません」
そこでシーディは思い付く。
「だったらここで待ってればいいじゃない! 暖かい炬燵もあるし、私が戻って来たらみんなでお茶もできるわよ?」
「いいんですか?」
「いいに決まってるじゃない。こんなに広いんだもの、大丈夫よ。それにみんなで食べた方が楽しいし。ね?」
この一言でこの日から運命の乙女付きの宮女たちがシーディの部屋で集まりお茶をするようになった。
それを聞き付けたのか、リューリもたくさんお菓子とお茶を差し入れてくれるようになった。
勉強も大変ではあったが、それよりもこんなによい待遇で同じ年代の子たちと集まっておしゃべりできる日常がシーディは楽しかった。
一方、もともとが裕福な出自のスエインたちはこの暮らしに不満を持っているようだった。
何よりシーディが自分たちと同じ待遇なのも気に入らないようで、各々自分の担当の中官に文句を言っているようだった。
なぜそれをシーディが知ったかというと、シーディの部屋に集まった乙女候補付きの宮女たちがそう話していたからだった。
そんなある日、部屋でいつものようにもらったお菓子を囲んで炬燵でダラダラとおしゃべりをしていると、軽く引戸をノックする音がした。
「誰か来たみたい」
きっとまだ来ていない宮女の誰かだろうと思い、引戸の前にいたシーディはみんなに座っているように言うと対応を買って出た。
そうしてシーディは、引戸を勢いよく開けた。
「もうみんな始めてるわよ!」
そう言って出迎えたが、自分の面前に立っていたのは宮女ではなくユニシスだった。
シーディは思わず開け放った引戸を思い切り閉めた。その様子に驚いてリンが声をかける。
「シーディ様? どうしたのですか? 誰が来たのですか?」
ゆっくりと振り向くとシーディは答える。
「陛下が」
「はい?」
「陛下がお見えになられたみたい」
その台詞にそこに集まっていた宮女たちは一瞬固まり、事態を理解すると一斉に上を下への大騒ぎとなった。
シーディはみんなを素早く寝室へ誘導すると、その裏にある戸の鍵を開けそこから外へ出るように促した。
そして、こんなに待たせたのだからきっともうユニシス様は帰られたかもしれないと思いながら、深呼吸して気持ちを落ち着かせると引戸を開けた。
ユニシスは帰らずにそこに立っていた。シーディは処罰も覚悟し素早くそこへ土下座する。
「大変失礼なことをしてしまい、申し訳ありませんでした」
なんの返事もないので相当怒っているのだろうかと思っていると、ユニシスの笑い声がした。
「すまない、こんなことは久々だったのでな。怒っていない。顔を上げよ」
シーディはゆっくり顔を上げ、ユニシスを見つめた。すると、ユニシスはシーディに問いかける。
「中へ入れてくれないのか?」
「も、申し訳ありません。どうぞお入り下さい」
シーディは立ち上がると、炬燵のある部屋ではなく客間へ通そうとしたがユニシスは勝手に炬燵のある部屋へ行くと、そこへ座った。
「リューリからお前が炬燵を欲したと報告を受けた。私も炬燵は好きだ。早くお前も入れ」
シーディは言われるがまま炬燵へ入った。
「お前と会うのはあの村外れの沢で会って以来だな。まさか、今は私が誰だかわかっているな?」
「は、はい。もちろん存じ上げております。竜帝陛下」
すると、ユニシスは微笑む。
「冗談だ、そんなに緊張することはないだろう。ところでここでの生活は? 慣れたのか?」
「はい。大変楽しく過ごしております」
「そのようだな」
シーディは先ほどの騒動を思い出し、恥ずかしくて俯いた。そして話題を逸らそうと質問する。
「ところで、今日はどういったご用件でいらせられたのでしょうか」
「だから、先ほど言ったろう。私は炬燵が嫌いではない」
言っている意味がわからず、シーディは首をかしげた。すると、ユニシスは続けて言った。
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