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突然豹変した高スペックな幼馴染みと後輩にねらわれてます

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「俺、美緒と付き合うかも」

 山崎美咲のところにそんな内容の電話がかかってきたのは、仕事から帰ってシャワーを浴びて楽しみにしている晩酌をしようとしたときだった。

「そうなんだ、いいんじゃない? なにか問題でもあるの?」

 そう言うと乾いた喉にビールを流し込む。

「問題って言うか、なんか最近誰と付き合ってもなんか違うっていうか……」

 そう言ったのは美咲の幼馴染、山本圭太だった。彼とは通った大学も違っていたし、就職先も違うのにいまだに連絡をとったりご飯を食べに行く仲だった。

 そんな圭太は高身長の爽やかイケメン、しかも高学歴。そして、誰もが知っている企業に就職したという、絵に描いたような高スペックの持ち主である。
 幼馴染でなければ地味な美咲とは口も聞いてもらえなかったかもしれない。

 そんな彼に言い寄る女性は多く、圭太は彼女を切らせたことがなかった。

「なにそれ? そんなの相手にも悪いじゃん」

「そうなんだよな、俺だってもっと本気で恋愛したいと思うよ。それで向こうから好きって言われて、俺だって本気で好きになるように真面目に向き合ってる。でもなにか違うんだよ」

 そう言われ、子どもの頃に初めて会ったときから圭太が好きだった美咲は胸がぎゅっと締め付けられた。

「そっか、じゃあ美緒ちゃんって子とは上手くいくといいね」

「あぁ、うん。それでいつもみたいにお前に相談するかも」

 圭太はいつもなぜか美咲に、自分の付き合っている女性のことを相談していた。その度に美咲は傷ついていたが、圭太は美咲のことを親友だと思っているのでそれは仕方のないことだった。

 だが、今日の美咲は違っていた。

 もうこんな関係は断ち切りたい。一歩前に進まなければいけない。と、決意していたのだ。

「ごめん圭太。実は私も今の職場で、ちょっといい感じになっている同僚がいてさ。幼馴染の親友とはいえ、他の男性としょっちゅう連絡取るのってあんまりよくないじゃん? それに、美緒ちゃんも圭太が他の女と話してるのってよく思わないと思うんだよね」

「は? ちょっとまって。お前いつの間にそんな相手がいたんだよ。ってか、その同僚って信用できる男なんだろうな?」

 美咲は相変わらず圭太が過保護だと思いながら答える。

「心配いらないって、圭太は心配し過ぎ。とにかくそういうわけでしばらく連絡しないでね!」

 そう言って、美咲は一方的に電話を切ると、持っていたビールを呷った。

 圭太には相手がいると言ったが、都合よくそんな相手が現れるはずはなく、これは圭太から離れるための大嘘だった。頻回に会ったり話したりするからいつまでも忘れられないのであって、しばらく距離を置けばきっと忘れられるはずだ。

 会えないのはつらいが、自分にとっても、こんな自分に勝手に好かれている圭太にとっても、これが最善なのだと自分に言い聞かせた。





 次の日、仕事で後輩の宮崎くんと営業に行きそのまま直帰することになった。

「お疲れ様、宮崎くんのナイスアシストでだいぶ助かっちゃった」

「そんなことないっす。先輩がちゃんと資料つくってくれてたんで、僕はそれを覚えただけで……、本当に先輩は凄いです」

 今の自分には仕事しかない。そう思っていた矢先のことだったので、それを認められたのが特に嬉しかった。

「ありがとう! そんなこと言われたら好きになっちゃうかも! って、うそだから怯えないで……」

「はい、いいですよ!」

 宮崎くんが即答したので、美咲は驚いて見つめる。

「宮崎くん……、ありがとう。君は本当に優しいね。でも、無理はしちゃダメだよ」

「無理なんかしてないんですけどね……」

 そう言って苦笑いする宮崎くんを、本当にいい子だと思った。

 そんなことを話しているうちに、気がつくと分かれ道に近づいていた。

「宮崎くんは右? 私は左だからここでね」

 美咲は手を振った。すると、宮崎くんが美咲の腕をぎゅっとつかんだ。

「先輩、家まで送ります。女性一人の夜道は危険ですよ」

「えっ? だって宮崎くんの家って反対方向でしょ?」

「いいんです! 送らせてください」

「う、うん。ありがとう……」

 強引な宮崎くんに圧されて、美咲は思わず頷いてしまった。

 こんな女誰も襲わないと思うんだけどな。

 そんなことを考えつつも、やはり夜道を誰かと一緒に歩けるのは安心感があった。

「先輩、今日は月が綺麗ですね」

 そう言われて空を見上げた。美咲は空に月を見つけると、じっと見つめる。

「本当に綺麗だね、仕事にかまけてばっかりで月をこんなにじっくり見るのって、久しぶりかも」

 言いながら前方に視線を戻すと、圭太と美緒ちゃんらしき人物が正面から歩いてくるのが見えた。
 美咲は思わず宮崎くんの腕をつかんで、自動販売機の横に隠れる。

「どうしたんですか?」

「しー!!」

 訝しむ宮崎くんをよそに、そっと自動販売機の影から通りを覗く。二人はいなくなっていた。

 別に隠れる必要はないのだが、昨日距離をおこうと決めたばかりだったので、思わず咄嗟に隠れてしまったのだ。

「まさか、今のって先輩の彼氏さんですか?」

「違う違う」

「ふーん。じゃあ先輩の好きな人ですか?」

 美咲は図星をつかれて一瞬動きを止めたが、すぐに気を取りなおして答えた。

「まさか! ただの幼馴染み。彼女と一緒っぽかったからさ、なんか気まずいじゃん。へへ」

「なるほど、まぁ、そういうことにしておきますか」

「ありがとう」

 美咲は宮崎くんには絶対にばれてしまっているようだったが、そこを突っ込んで言ってこない優しさにほっとした。

 マンションの前につくと、宮崎くんが言った。

「一緒に歩いてて思ったんですけど、帰り道に結構物騒な場所を通るんですね。明日から僕と一緒に帰りましょう」

「ダメだよ、宮崎くん反対方向だもん」

「あっそうか、先輩には彼氏がいるのか」

 美咲は慌てて答える。

「いない、いないけど……」

「先輩、知らないんですか? さっきの場所この前通り魔があって、犯人捕まってないんですよ?」

「えっ? うそ、ほんと?! 知らなかった、怖い」

 このマンションは、最近引っ越して来たばかりだったので、引っ越し前に十分調べたつもりだったが、そんな事件があったとは気づかなかった。

「だから一緒に帰った方がいいですよ」

「でも……」

「ちなみに、去年は露出狂もでたとか」

「一緒に帰って下さい」

 宮崎くんはその答えに満面の笑みを浮かべる。

「じゃあ明日から一緒に帰りましょうね。先輩が残業でも、僕はいくらでも待てますから」

 とにかく美咲は頷いた。

「じゃあ、今日はこの辺で」

 そう言って宮崎くんは爽やかに帰って行った。その後ろ姿を見つめて美咲は、あの子なんていい子なんだろうと思った。






 その次の日、仕事が早く終わった美咲と宮崎くんは、せっかくなので一緒に晩御飯を食べに行くことにした。

「なんか付き合わせちゃってるみたいでごめん」

「そんなことないです。一人暮らしで食べる相手がいないから、先輩とご飯食べられるなんて嬉しいです」

 そう言われてふと思う。

「考えてみたら、宮崎くん彼女いるでしょ? 大丈夫なの?」

 宮崎くんは入社して一年目だが、めきめきと頭角を表し誰もが将来は出世するだろうと一目おいている存在である。
 もちろんイケメンで彼女がいないわけがなかった。

「彼女? いませんよ。意中の女性はいますけど、僕ははなから相手にされてませんしね」

「こんなにイケメンなのに? 相手が照れてるんじゃないかなぁ」

「そうだといいんですけど、その人好きな人がいるみたいなんで、気長に待ちます」

 そんなことを話しているうちに、結構な時間になってしまった。

「送るから大丈夫ですよ」

「でも今日は遅いし、逆に遅いと宮崎くんが心配。だって、うちの近くって通り魔でるんでしょ?」

 そう言うと、宮崎くんは吹いた。

「どうしたの? 大丈夫?」

「あれは嘘だったんですけどね」

「なに? 聞こえない」

「なんでもありません。僕はそんなに弱くないので大丈夫です。先輩の方がか弱いんですから、人の心配している場合ではないですよ」

 促されて帰路につくと、マンションの前に人影があった。
 美咲は通り魔が出たと思い身構える。そんな美咲を宮崎くんは背中に隠した。

「美咲、こんな時間までなにしてたんだ。それにこいつ誰だよ。こいつがいい感じになっている同僚か?」

 美咲はその声で相手が圭太だと気づいて、宮崎くんの後ろから顔を出して答える。

「ち、ちがっ」

 否定する前に宮崎くんが笑顔で答える。

「はいそうです。先輩とは仲良くさせてもらっています。ところで貴方はどちら様ですか?」

 美咲は驚いて宮崎くんの顔を見あげる。

「宮崎くん、この人は怪しい人じゃなくて私のおさな……」

「俺は美咲の彼氏だよ。送ってくれたみたいでご苦労様」

 その台詞に美咲は驚いて圭太の顔を凝視する。

「ちょっと、いつ私と圭太が……」

「おかしいですね、先輩に彼氏はいないって言ってましたけど? それに昨日彼女連れて歩いていたみたいじゃないですか」

 いい加減我慢ならなくなった美咲は大きな声で言った。

「二人ともストップ! とにかく、ここだと近所迷惑になるしとりあえず場所変えよう」

 仕方がないので、美咲は自分の部屋へ二人を連れていくことにした。部屋へ向かう間、二人に挟まれとても気まずい雰囲気になった。

 とにかくお互いが変な誤解をしているようなので、まずはその誤解を解かなければならなかった。

 厄介なことになった。どうしてこうなっちゃったのか。美咲はそんなことを考えながら、自分の部屋へ向かった。

「先輩の部屋って可愛らしいですね」

「お前あんまり美咲の部屋の中をじろじろ見るな。本当に気に入らないやつだな」

 そんな二人に座布団を渡して座らせると、とりあえず飲み物を出した。

 あー、ビール飲みたかったのに。

 そんなことを考えながら、自分も座ると圭太に向かって説明を始めた。

「まず、圭太は誤解してるの。宮崎くんはただの同僚で、夜道が危ないから送ってもらっただけ。それに、その、いい感じになった同僚ってのは嘘だから」

「なんでそんな嘘ついたんだ?」

 美咲は頭をフル回転させて答える。

「だって、圭太に彼女できるっていうし、そうでも言わないと、圭太ってば私との約束を優先させちゃうときがあるでしょ? 彼女さんに悪いじゃない」

「そんなの、美咲の方が大切だからに決まってるだろ。そんなことで俺はお前を離さないからな。それに、昨日もこいつと歩いていただろ? 好きでもないのに、なんで毎日一緒に帰ってんだ?」

 その質問に宮崎くんが答える。

「そんなの、僕が先輩を送りたいからに決まってます。それになんで先輩の行動をいちいち貴方が把握する必要があるんですか?」

「宮崎くん! ごめんね、圭太ってば過保護で私のこと心配し過ぎちゃうみたいなの。気にしないで」

「気にします。自分の好きな女性のことなんで、気にして当然だと思います」

「はい? えっ?」

「『はい』ってことは付き合ってくれるんですね?」

「いや、ちが……」

「どさくさに紛れて自分の良い方に解釈すんな、美咲は俺のだ。誰にもやらない」

「はい? 圭太なに、どうしたの?」

 すると、圭太は美咲を見つめた。

「美咲、俺この前誰と付き合ってもなんか違うような気がするって言っただろ? その後でお前が他のやつと付き合うって話になったときにやっと気づいた。俺はお前が好きなんだって。いつも彼女ができても、心の中でお前と比べてたんだ。それで今日告白しにきたら」

 そう言って宮崎くんを睨んだ。

「貴方には彼女がいるんでしょう? 今さら先輩に言い寄らないでくださいよ」

「美緒には昨日付き合えないって言った。好きな人がいるからって」

 圭太は熱のこもった目で美咲を見つめる。すると、そのとき宮崎くんが美咲の腕を引っ張り抱き寄せた。

「僕は先輩を渡すつもりはありません。ふられたってなんだって、ずっと振り向いてもらえるまでアタックするつもりでしたし。それに僕たちは同じ職場ですから、貴方よりチャンスもありますしね」

 すると、今度は圭太が美咲の腕を引っ張り抱き寄せるとぎゅっと抱き締めた。

「なにが『渡さない』だ。そもそも美咲はお前のものじゃない。やっと本当に好きな相手がわかったんだ。子どもの頃から美咲しか見てなかった。俺は美咲しか好きになれない。だからお前なんかに渡すつもりはない。職場が同じなら、結婚して仕事を辞めてもらう」

 美咲は二人の話を聞いていて頭がくらくらした。そして、なんとか自分を落ち着かせると圭太の胸から逃れようと必死に抵抗しながら言った。

「二人とも、告白は嬉しいけど私の気持ちは考えてないの?」

「美咲、もちろん考えてるよ。これからは絶対に美咲に尽くすし、美咲に捨てられたら俺はこれから誰も愛せなくて路頭に迷うことになる」

 すると、宮崎くんが美咲と圭太を引き離し自分の背後に美咲を隠した。

「あんたずるいな、先輩が今までどんな気持ちだったかわかるか? 先輩はずっとあんたが好きだったのに」

「宮崎くんだめー!!」

「美咲、それ本当か? そんな……それなのに俺は美咲に彼女の話をしまくってたのか?」

「気にしないで、知らなかったんだし……」

 宮崎くんは振り返り美咲に頭を下げた。

「先輩、すみません。余計なこと言いました。でも僕は我慢できませんでした」

「いいよ……。とりあえず、今日はもう二人とも帰って。しばらく二人と距離おきたい」

 一遍に色々なことがあり混乱し戸惑い、どうしたら良いかわからなくなった。

「返事も何もかも、しばらく考えないとわかんない!」

「美咲、ごめん。俺はいつまでも待ってるし、お前のこと諦めないから」

「先輩、本当にごめんなさい。でも、僕だって先輩のこと絶対に諦めませんから」

 しばらく沈黙したのち美咲は答える。

「二人の気持ちはわかった。とにかく今日は帰って」

 そう言って二人を追い出した。





 それからしばらく圭太と連絡をすることもなければ、職場で宮崎くんとは業務内容以外で会話することもなかった。

 美咲は考えれば考えるほど答えがでず、このまま有耶無耶にしてしまいたい気持ちになりながらも、自分の気持ちを見つめなおした。

 圭太のことは好きだったが、今さら好きだと言われても信じられなかった。いつか『やっぱりなんか違うような気がする』と、離れていってしまうのではないかという不安があったのだ。

 対して宮崎くんは、突然の告白ではあったが、自分を大切に思ってくれていると感じられ、心を動かされた。彼の真っ直ぐな気持ちは正直とても嬉しかったが、圭太に対する美咲の気持ちを本人にばらされたことが少し許せないでいた。

 断るにしても、今後気まずくなるのは間違いないだろうし断れば、美咲は大切な幼馴染みと後輩を失うことになる。

 そんな、ある日。自分のマンションに立て続けに二件も入居があった。

 空いてた部屋、埋まったんだ。変な人でなければいいな。

 そんなことを考えていると、玄関のインターホンが鳴った。慌ててドアの覗き穴を覗くとそこに宮崎くんが立っていた。

 美咲は意を決してドアを空ける。

「よかった、ドア空けてくれて。会ってもらえないかもしれないって思ってました」

 美咲は首を振って答える。

「私こそ、ずっと待たせてごめん。優柔不断でごめんね」

「いいんです。僕も勢いであんなタイミングで告白なんかしちゃって、先輩を困らせるようなことしてごめんなさい」

「いいよ、もしかしてあの告白はなかったことにしたくなった? そりゃそうだよね」

 すると、宮崎くんは慌てた。

「違います! 言ったじゃないですか。僕は先輩を諦めないって、ずっと先輩の気持ちが僕に向くまで待ちますし、努力します」

「それじゃ今日はどうしたの?」

 宮崎くんは微笑むと菓子折りを差し出した。

「これ、引っ越しの挨拶です。下の階に引っ越してきました。前の家は先輩の家から遠かったんで」

 驚いて宮崎くんの顔を見つめる。

「宮崎くん?」

「僕が本気なの伝わりました? 僕は職場で優しくフォローしてくれる先輩がずっと好きでした。でも、先輩は僕には見向きもしてくれませんでしたね。僕を見てもらいたくて、仕事だって頑張ったんですよ? やっといい感じになってこれからってときに、あんな邪魔者が入るなんて納得できませんしね。じゃあ、そう言うことなんで」

 そう言って宮崎くんは下の階に帰って言った。美咲は思わず今あったことが信じられずに玄関に立ち尽くした。

 すると、またインターホンが鳴る。宮崎くんが戻ってきたのかと思いそっとドアを空ける。と、そこには予想していなかった人物が立っていた。

「美咲、ごめん。距離をおきたいって言われたけど、どうしても会いたくて」

「圭太、私もなんかごめん。まだ答えがでなくて……」

「わかってる。しょうがないと思う、俺本当にずっと今までお前を傷つけてたよな。酷いことした、謝って許されることじゃないかもしれないけど、謝りたい。わるかった」

 そう言うと圭太は深々と頭を下げた。

「圭太やめて、謝らなくていいよ。この前も言ったけど、それは圭太のせいじゃないし。ただ、圭太はきっと私と付き合っても何か違うって思うかもしれないでしょ? 私はそれには絶えられそうにないから」

「美咲が俺のこと信じられない気持ちはわかるよ。だから、これからは信じてもらえるように美咲に誠心誠意つくそうと思う」

 美咲が首をかしげると、照れ臭そうに圭太は言った。

「ここの上の階に引っ越してきたんだ。今までだって、お互いに実家をでる前は毎日一緒にいたんだ。これが俺たちは普通の形だと思う。それに俺は毎日美咲と会いたいし、側にいて守りたいんだ。そうしてそばで俺がどう変わったか美咲に判断して欲しい。俺、お前しかいないから、絶対に諦めないよ。あいつを選んだとしても、俺のところに帰ってくるまで待ってる」

 そう言うと上の階に帰っていった。

 こうして美咲の奇妙な生活が始まった。
 朝は早くから二人が迎えにきて、帰りも二人に送られ絶えず三人での行動が普通になった。
 美咲も最初は慣れなかったが、段々とそれが普通となっていった。
 だが、そんな関係は良くないと何度も二人に諦めて欲しいと話すが、どんなに優しくて美咲の言うことを受け入れてくれる二人も、それだけは絶対に受け入れてくれなかった。

 結局、美咲は二人を受け入れ同居することになり、三人は奇妙な関係のまま末長く幸せに暮らしたのでした。


 めでたし、めでたし?



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