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おまけ ルビーの日常

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 昨夜、久しぶりにジェサイアとゆっくり過ごす時間があったので、ルビーはジェサイアから一晩中求められ疲れはて、深い眠りについていた。

 朝の日の光でゆっくり目覚めるとジェサイアが、ルビーの隣に横たわり、じっとルビーの顔を見つめていた。

「おはよう」

 そう言うとジェサイアは手の甲で、ルビーの頬を下から上へなで、そのまま今度は指先で唇をなでた。ルビーは、ジェサイアのこういった行動にいまだに慣れることができず、顔を真っ赤にした。

「ジェシー様、おはよう…ございます」

 消え入りそうな声でそう言うと、俯いた。するとジェサイアは、ルビーの顎に手をあて上を向かせると、瞳を覗き込んだ。

「以前図書室で見たときも思ったが、君は本当に美しい。忙しくしていてしばらく会っていなかった間にも、その魅力が増したように感じる」

 そう言うと、頬から胸にかけて指先で優しくなぞり、胸に軽くキスをした。そして起き上がり

「今日は先日のデマントイド王国の件の後始末をしなければならない。君は不愉快になる内容だ、手伝わなくてもいい。庭で読書でもして過ごすのもいいんじゃないか? 離れの庭は僕の執務室から見えるから、君の姿をずっと見ていられて楽しいよ」

 そう言うとルビーに口づけし

「言ってくる」

 と、身支度をして部屋を出ていった。

 その後ルビーは遅めの朝食を取ると、庭で読む手頃な本を探すため、廊下に出た。すると曲がり角の向こうからジェサイアと女性の声がした、思わず立ち止まる。そっと廊下から覗き見ると、どこかの令嬢と、ジェサイアが話をしているようだった。こちらからは令嬢の背中しか見えず、誰なのかわからなかった。

 出ていって挨拶をしても良かったのだが、そのタイミングを逸してしまい、そのまましばらく二人の話しに耳をそばだてた。

「王太子殿下、お久しぶりでございます。最近は舞踏会にもお見えにならないから、寂しく思っておりましたの」

 すると、ジェサイアは久しくルビーには見せていない作り笑顔になった。

「私は最近忙しい身の上だからね、舞踏会に出る暇などないんだよ。今も執務中で、貴女にかまけている時間はないんだが」

 そう言われても、令嬢は引く様子はない。

「あら、それでしたら夜でもかまいませんわ。一度わたくしのお部屋においでになって。あの、わたくしは別に側室でもかまわないと思ってますの」

 そう言うとしなをつくった。ルビーがそんな令嬢の行動に驚いて見ていると、ジェサイアがちらりとこちらを見た。ルビーは慌てて隠れて音を立てないよう、じっとしていた。

「やぁ、ここにいたね?」

 ジェサイアに顔を覗かれる。ルビーは慌てた。

「あの、今お庭で読む本を探しに行くところでしたの」

 ジェサイアは笑顔でルビーを引き寄せると、両肩をつかみクルリと令嬢の方に向かせ、令嬢に言った。

「ねぇ、君はこの完璧に美しい、全てがパーフェクトな私の婚約者に勝てるとでも思うの?  その自信はどこからくるの? 悪いが私は君のことを、勝手に家に入ってきた害虫にしか思えない」

 ジェサイアのその台詞に、ルビーは恥ずかしさと驚きのあまり、混乱しながらジェサイアを振り向いて見る。ジェサイアはルビーに優しく微笑み、強く抱き締めた。ルビーもそれに答えジェサイアを抱き締め返した。ジェサイアは、ルビーの頭を撫でながら令嬢に向かって言った。

「まだなにか?」

 するとやっと諦めた令嬢は足早に去って行った。

「フランツに、あの令嬢がどうやって入ったのか調べさせないといけないね」

 と呟くとルビーの顔を覗き込んだ。恥ずかしがるルビーを見てジェサイアはため息をついた。

「今朝は、後始末もあるし痩せ我慢をしてなんとか君のいるベッドから抜けだしたと言うのに。残念だが、君にゆっくり読書をさせて上げる時間はないようだ」

 そう言うと、ルビーを抱き上げ寝室へ向かった。

「あの、ジェシー様、まだわたくし体力が、あの、昨夜が情熱的で、とにかく昼間は無理ですわ!」

 そう叫ぶと、ジェサイアは楽しそうに微笑んだ。

「この離れは、昼夜問わず君を可愛がれるようにたてたのだから、この方が使用方法は間違っていない。夜だとか昼間だとか、そんなことは気にならなくなるようにして上げるから。それに明るければ、君の表情や体の反応をじっくり見ることができて、僕は楽しいよ」

 ルビーはそれを聞いて、慌てて抵抗してジェサイアの胸の中から逃れようとした。

「ルビーそんなに抵抗されると、余計に歯止めがきかなくなる。無抵抗でもそれはそれで楽しめるが。パイロープ王国の国王にアドバイスをもらっている。参考にして君を可愛がるよ」

 結局どうやっても、ジェサイアからの執拗な攻めからは逃れることはできず、ルビーはパイロープ王国の王妃と同じようにぐったりするまで、可愛がられたのだった。

 こうしてルビーの日常は過ぎていく。
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