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第百八十六話 経緯
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アルメリアはアウルスの顔を見上げると言った。
「私も、ルクを、アズルを愛しています。昔からずっと……。ヒフラで会えなくなってからもずっと思っていましたわ。でも私にはやるべきことがあって、そんな気持ちをずっと抑えてきました」
「アルメリア……、わかっている。私だって父が死に排斥を求められたこともあっても、そうやって頑張っている君の存在があったからこそ、ここまで頑張ってこれたのだから」
そう言うと二人は見つめ合い、そっと唇を重ねた。
そうしたあと、しばらくは抱き合いお互いの存在を感じていたが、少し顔を離すと見つめ合いもう一度口づけた。
そして改めてベンチに座り、静かに夜空を見つめた。アウルスがその沈黙を破って先に口を開いた。
「ところで、君はなぜ私の元から去ろうとしたんだ?」
「アズルはシェフレラを愛してるのをわかってましたから……」
アウルスは改めてアルメリアの顔を覗き込むと言った。
「アルメリア、君はなにか勘違いしているようだからはっきり言っておこう。シェフレラの夫はマニウスだ」
「えっ? じゃあマニとシルが……?」
「そうだ。マニウスは帝国貴族だがシェフレラは知っての通りロベリア国出身の庶民だから、婚姻はかなり親に反対されたようだが」
それを聞いて、アルメリアはアウルスの屋敷でメイドたちが話していたのはマニウスとシェフレラのことだと気づいた。
「では、二人は愛を貫いたということですのね?」
アルメリアはメイドが言っていた言葉をそのまま口にすると、アウルスは苦笑する。
「確かに愛を貫いたというか。まぁ、マニウスの奴がさっさと、父親の望む通り跡継ぎである息子を作ってしまったのだが」
「息子? でも先ほどアズルは娘と……」
「ん? あぁ、この前生まれたのは実は三人目なんだ。上の子どもたちは双子でね」
アルメリアはそれを聞いて驚きを隠せなかった。
「あのシルがもう三人の子どもの母親だなんて……」
アウルスはアルメリアに微笑む。
「そう、だから私たちも負けていられないよ。私は子どもはたくさんほしいからね」
アウルスがそう言ってとろけそうなほど熱いまなざしをアルメリアに向けてきたため、恥ずかしくなったアルメリアは頬を染めると話を反らした。
「そういえば、ヒフラで私と会わなくなってからなにがありましたの?」
アウルスは少し考えたあと答える。
「なにから話せばいいか迷うが……。そうだ、スカビオサは孤児たちの中から特に容姿の美しい子どもたちを集め、貴族たちに売っていたのは君も知っているね?」
「えぇ、私はシルに会って初めてそういう子どもたちがいるのだと知りましたわ」
「シェフレラがそれに選ばれたからからね」
そう答えると、アウルスは前方を見つめながら続ける。
「ヒフラで君と出会い別れたあと、私は連れ去られたシェフレラを探すために、スカビオサのところからシェフレラが捕らえられている場所を記した書類を持ち出し、脱走を図った。そのとき帝国から潜入し、私の奪還を狙っていたエピネとペルシックに助けられ、死を偽装しスカビオサの目を眩ませると帝国へ逃げ延びた」
「ペルシックとエピネは貴男の部下ですの?」
アウルスは首を振る。
「今は違う。帝国へ戻ったあと私はどうしても君のことが気になった。だからペルシックに一年だけ潜入するように命令したのは確かだ。だが、彼は君と過ごすうちに私より君を選んだ」
「そうでしたの」
経緯はどうあれ、ペルシックが本気で自分に使えてくれていることはわかっていたので、この件でペルシックを責める気にはならなかった。
そこでアルメリアは疑問を口にする。
「なぜ帝国へ戻ったあとも、ルキウスが死んだという発表をしたままでしたの?」
「あのときは義理の母親であるジェーンが、皇子を亡きものにしようとしたことなど絶対に表沙汰にするわけにはいかない状況だった。そもそも本妻であった私の母アンをジェーンが暗殺したのではないかという噂があったからね」
「そんな……」
同情するアルメリアにアウルスは微笑む。
「帝国の皇族なんてそんなものだ。そうして派閥が生まれ皇族の内輪揉めで反乱分子が増えつつあったころ、兄のアウルスが死んだ。公式にはまだ私は死んだことになっていたし、父も病に罹っていた。エピネとペルシックが私を無事に奪還したのはそのタイミングだったわけだが、そこでルキウスは生きていました、と発表しても信じて貰えない可能性があった」
「それでアウルスを名乗ったんですのね?」
「そうだ。父は病床からジェーンを病気という名目で幽閉し、ジェーンの権力を奪うと共に兄が死んだことを隠し、顔の似ている私をアウルスに仕立てジェーンの派閥も黙らせた。そもそも兄は病弱だったからあまり顔を知られていなかったし、その点は問題がなかった。そして、アウルスの病気は完治し健康になったと発表した。それで継承問題に終止符をうったわけだ」
「大変でしたのね」
「まぁね、だがこれは私にも都合がよかった。スカビオサを騙すことができたのだから。いつかロベリアに戻り、スカビオサの悪事を暴くことは私の目標のひとつだった。だが、スカビオサを捕らえるのは容易ではなかった。奴は悪事が暴かれた瞬間に、何処かへ隠している孤児たちをすべて処分する恐れがあったからだ。だから彼を追い詰める前に、宝石と呼ばれている子どもたちを何処へ隠しているのか知る必要があったんだ」
「そこまでしますかしら?」
その質問にアウルスはつらそうに答える。
「前にそれで失敗をしている」
「どういうことですの?」
「私がスカビオサの孤児院から逃げ出したときに、書類を持ち出したと言ったね。あの後エピネやペルシックが手をつくしてくれたのだが、宝石として扱われていた子どもたちのそのほとんどは処理された後だったんだ」
それを聞いてアルメリアは息を飲んだ。
「では、この前私たちの計画を反対した理由は……」
「そうだ、奴が何処へ子どもたちを隠しているかわからなかったからだ。しかもスカビオサは今、教皇にまで登り詰めている。どれぐらいの人数を隠しているか考えるだけでも恐ろしかった」
「そうでしたのね、話してくだされば……。いえ、そんな帝国の大切な事情をおいそれと言えるわけありませんわね」
アウルスは答える。
「そうだ、ことの経緯を話すには私の出自も明かさねばならないからな。どうしたものかと悩んでいたときに、君があの箱の大切な書類を私に見せてくれた」
そこでアルメリアははっとした。
「『羊の鼻』や『羊の角』が何処を指すのかアウルスにはわかりましたのね?」
アウルスは頷いた。
「私も、ルクを、アズルを愛しています。昔からずっと……。ヒフラで会えなくなってからもずっと思っていましたわ。でも私にはやるべきことがあって、そんな気持ちをずっと抑えてきました」
「アルメリア……、わかっている。私だって父が死に排斥を求められたこともあっても、そうやって頑張っている君の存在があったからこそ、ここまで頑張ってこれたのだから」
そう言うと二人は見つめ合い、そっと唇を重ねた。
そうしたあと、しばらくは抱き合いお互いの存在を感じていたが、少し顔を離すと見つめ合いもう一度口づけた。
そして改めてベンチに座り、静かに夜空を見つめた。アウルスがその沈黙を破って先に口を開いた。
「ところで、君はなぜ私の元から去ろうとしたんだ?」
「アズルはシェフレラを愛してるのをわかってましたから……」
アウルスは改めてアルメリアの顔を覗き込むと言った。
「アルメリア、君はなにか勘違いしているようだからはっきり言っておこう。シェフレラの夫はマニウスだ」
「えっ? じゃあマニとシルが……?」
「そうだ。マニウスは帝国貴族だがシェフレラは知っての通りロベリア国出身の庶民だから、婚姻はかなり親に反対されたようだが」
それを聞いて、アルメリアはアウルスの屋敷でメイドたちが話していたのはマニウスとシェフレラのことだと気づいた。
「では、二人は愛を貫いたということですのね?」
アルメリアはメイドが言っていた言葉をそのまま口にすると、アウルスは苦笑する。
「確かに愛を貫いたというか。まぁ、マニウスの奴がさっさと、父親の望む通り跡継ぎである息子を作ってしまったのだが」
「息子? でも先ほどアズルは娘と……」
「ん? あぁ、この前生まれたのは実は三人目なんだ。上の子どもたちは双子でね」
アルメリアはそれを聞いて驚きを隠せなかった。
「あのシルがもう三人の子どもの母親だなんて……」
アウルスはアルメリアに微笑む。
「そう、だから私たちも負けていられないよ。私は子どもはたくさんほしいからね」
アウルスがそう言ってとろけそうなほど熱いまなざしをアルメリアに向けてきたため、恥ずかしくなったアルメリアは頬を染めると話を反らした。
「そういえば、ヒフラで私と会わなくなってからなにがありましたの?」
アウルスは少し考えたあと答える。
「なにから話せばいいか迷うが……。そうだ、スカビオサは孤児たちの中から特に容姿の美しい子どもたちを集め、貴族たちに売っていたのは君も知っているね?」
「えぇ、私はシルに会って初めてそういう子どもたちがいるのだと知りましたわ」
「シェフレラがそれに選ばれたからからね」
そう答えると、アウルスは前方を見つめながら続ける。
「ヒフラで君と出会い別れたあと、私は連れ去られたシェフレラを探すために、スカビオサのところからシェフレラが捕らえられている場所を記した書類を持ち出し、脱走を図った。そのとき帝国から潜入し、私の奪還を狙っていたエピネとペルシックに助けられ、死を偽装しスカビオサの目を眩ませると帝国へ逃げ延びた」
「ペルシックとエピネは貴男の部下ですの?」
アウルスは首を振る。
「今は違う。帝国へ戻ったあと私はどうしても君のことが気になった。だからペルシックに一年だけ潜入するように命令したのは確かだ。だが、彼は君と過ごすうちに私より君を選んだ」
「そうでしたの」
経緯はどうあれ、ペルシックが本気で自分に使えてくれていることはわかっていたので、この件でペルシックを責める気にはならなかった。
そこでアルメリアは疑問を口にする。
「なぜ帝国へ戻ったあとも、ルキウスが死んだという発表をしたままでしたの?」
「あのときは義理の母親であるジェーンが、皇子を亡きものにしようとしたことなど絶対に表沙汰にするわけにはいかない状況だった。そもそも本妻であった私の母アンをジェーンが暗殺したのではないかという噂があったからね」
「そんな……」
同情するアルメリアにアウルスは微笑む。
「帝国の皇族なんてそんなものだ。そうして派閥が生まれ皇族の内輪揉めで反乱分子が増えつつあったころ、兄のアウルスが死んだ。公式にはまだ私は死んだことになっていたし、父も病に罹っていた。エピネとペルシックが私を無事に奪還したのはそのタイミングだったわけだが、そこでルキウスは生きていました、と発表しても信じて貰えない可能性があった」
「それでアウルスを名乗ったんですのね?」
「そうだ。父は病床からジェーンを病気という名目で幽閉し、ジェーンの権力を奪うと共に兄が死んだことを隠し、顔の似ている私をアウルスに仕立てジェーンの派閥も黙らせた。そもそも兄は病弱だったからあまり顔を知られていなかったし、その点は問題がなかった。そして、アウルスの病気は完治し健康になったと発表した。それで継承問題に終止符をうったわけだ」
「大変でしたのね」
「まぁね、だがこれは私にも都合がよかった。スカビオサを騙すことができたのだから。いつかロベリアに戻り、スカビオサの悪事を暴くことは私の目標のひとつだった。だが、スカビオサを捕らえるのは容易ではなかった。奴は悪事が暴かれた瞬間に、何処かへ隠している孤児たちをすべて処分する恐れがあったからだ。だから彼を追い詰める前に、宝石と呼ばれている子どもたちを何処へ隠しているのか知る必要があったんだ」
「そこまでしますかしら?」
その質問にアウルスはつらそうに答える。
「前にそれで失敗をしている」
「どういうことですの?」
「私がスカビオサの孤児院から逃げ出したときに、書類を持ち出したと言ったね。あの後エピネやペルシックが手をつくしてくれたのだが、宝石として扱われていた子どもたちのそのほとんどは処理された後だったんだ」
それを聞いてアルメリアは息を飲んだ。
「では、この前私たちの計画を反対した理由は……」
「そうだ、奴が何処へ子どもたちを隠しているかわからなかったからだ。しかもスカビオサは今、教皇にまで登り詰めている。どれぐらいの人数を隠しているか考えるだけでも恐ろしかった」
「そうでしたのね、話してくだされば……。いえ、そんな帝国の大切な事情をおいそれと言えるわけありませんわね」
アウルスは答える。
「そうだ、ことの経緯を話すには私の出自も明かさねばならないからな。どうしたものかと悩んでいたときに、君があの箱の大切な書類を私に見せてくれた」
そこでアルメリアははっとした。
「『羊の鼻』や『羊の角』が何処を指すのかアウルスにはわかりましたのね?」
アウルスは頷いた。
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