181 / 190
第百七十九話 いちゃもん
しおりを挟む
「話を続けさせてもらいますね」
アドニスはそう言うと続ける。
「アルメリアは偏見を持つことなく、ヘンリーと信頼関係を築き、協力してツルス港を守ってきました。その信頼があったからこそ、不仲だった私とヘンリーとの間を取り持つことができたのです。お陰で我々は誤解を解き共闘することができました。そんなアルメリアのこの行いは、国にとって大きな利益をもたらしたといっても過言ではないでしょう」
それを聞いてダチュラは、ため息混じりに残念そうに言った。
「アドニス、貴男は洗脳されてます。だからアルメリアの行いが善行に見えてしまうんです」
アドニスは首を振る。
「いいえ、違いますね。どうにも貴女はアルメリアの素晴らしさを認めたくないようだが、これは事実です。さて、そんな経緯から私はヘンリーと共にロベリア海域において、海賊行為をしているものたちを捕らえました。彼らは最初自身をモーガン一派と名乗り、アンジートランスポートが関係するような供述をしました。そして、船からはその証拠となる書類も出てきました」
それを聞いてダチュラの顔がぱっと明るくなる。
「ほら、やっぱり。それなのになぜアルメリアを擁護しますの?」
「その後の捜査で海賊のアジトに乗り込み、本当はキッド一派とローズクリーン貿易が関与していたことが明らかとなったからです」
「はぁ?」
唖然としているダチュラを無視してアドニスは言った。
「この事実もヘンリーやアルメリアがいなければたどりつけなかったかもしれません。アルメリアのお陰で登録番号からどこの組織の船か知ることができましたし、ヘンリーはキッド一派がコウモリのタトゥを入れていることを知っていたので、それを足掛かりに彼らの正体を暴き、アジトに乗り込むことができたのですからね」
それを受けてヘンリーは歯を見せて笑った。
「いやぁ、アドニスの粘り強い捜査のお陰だ。お前は大した奴だぜ」
アドニスはヘンリーに笑顔を見せると、ダチュラに向きなおった。
「ローズクリーン貿易の正体はキッド一派だった訳ですが、その後ろには思いもよらぬ組織がついていました。この書類を見てください。これはモーガン一派やアンジートランスポートを装い、海賊行為をするよう指示した教会が発行した指示書です」
そう言って書類を掲げる。
「ローズクリーン貿易を陰で指示していたもの、それはチューベローズだったのです」
周囲はざわついたが、スカビオサは眉ひとつ動かさずにその話を聞いていた。
アドニスはムスカリにその指示書を渡し、ダチュラに向きなおる。
「それと、付け加えておきますがアンジーファウンデーションはいたって健全でクリーンな組織です。それは調べていただければすぐに証明できるでしょう。なのになぜ貴女は怪しい組織と言ったのでしょうか。そう証言なさるなら、その証拠を示していただけますか?」
ダチュラはアドニスにそう言われると、微笑み返した。
「無理ですわ、アルメリアはとても悪賢いのです。いくら調べてもぼろをだすはずがありません。だから健全な組織に見えるかもしれませんわね。でも、騙されてはいけませんわ」
それを聞いてヘンリーが失笑した。
「なんだそりゃ、あんためちゃくちゃだな。証拠も証明もできずに怪しいってだけで決めつけてよ、そりゃただのいちゃもんだぜ。偉そうに言っててこれかよ、ふは、こりゃあ傑作だ」
そしてもう我慢ならないとばかりに、声を出して笑いだした。それにつられ、周囲の貴族たちも笑い始める。
「黙りなさい!」
そう叫ぶダチュラの声は、笑い声でかき消された。ようやくその笑いが収まってきたところで、アルメリアが口を開く。
「みなさん、発言してもよろしいかしら?」
そう言ってアルメリアは貴族たちが完全に静まり返るのを待ち口を開いた。
「貿易についてはアドニスが反証してくださったから、私からはなにも言うことはありませんわ。ですから次の事柄についてお話ししたいと思います。ダチュラ、貴女は私が散財していたと言いましたわね」
すると、ムスカリが口を挟んだ。
「それについては、私が説明しよう」
アルメリアは驚いてムスカリの顔を見る。それに答えてムスカリはアルメリアに優しく微笑みかけた。
「アルメリア、私たちは婚約者なのだから君を守るのは私の役目だ、任せてほしい」
そう言うとムスカリは微笑み改まって全員に向かって言った。
「ご存じの通り、私はアルメリアを溺愛している。そうそう、今日の舞踏会最初の婚約破棄の茶番はみんなも気づいているだろうが、あれはちょっとした余興だった」
これに周囲の貴族たちが『どうりで』『まぁそうでしょうね』『なかなか面白かったです』など、感想を述べた。
ムスカリは満足そうに頷くと続ける。
「さて、それでは先ほどクインシー男爵令嬢が提出した領収書について話をしよう。私の溺愛する婚約者は質素・倹約がドレスを着て歩いているような令嬢でね。まぁ、それが魅力なのだが」
そこで笑いが起こる。アルメリアは恥ずかしくて俯いた。ムスカリはそんなアルメリアの横に立つとリアムから件の領収書を受け取り説明し始める。
「この提出された領収書を見てほしい。アルメリアが指示して王宮にお金を請求したように発行されたいかにも偽物の領収書だ。実際は寂しいことに、私の愛する婚約者はこういったものを要求してくれたことは一度もない」
周囲から『そりゃそうだろう』や『そうだろうと思った』などの発言が漏れ聞こえる。ムスカリは構わず続ける。
「なのでこの領収書通りに私から愛しいアルメリアへドレスや装飾品をプレゼントして、領収書を本物とすることにした」
そんなことを言われ、アルメリアは顔から火が出そうなほど恥ずかしくなった。
ムスカリは嬉しそうにアルメリアに言う。
「ほら、恥ずかしがらなくていい顔を上げてごらん婚約者どの」
更に恥ずかしくなったアルメリアは、ムスカリの後ろに隠れた。
周囲からクスクスと笑いが起こる。ムスカリは満足そうに微笑むとダチュラに向かって言った。
「なぜ私がそんな回りくどいことをしたか君はわからないだろう。私はね、こんなちゃちな偽物だとすぐにばれるような代物であれ、少しでもアルメリアを貶められるようなことがあるのが許せなかった。だからこそ、私からプレゼントした形にしてこの馬鹿馬鹿しい領収書をを正当なものにする必要があったわけだ。それに王宮が婚約者に対し、これぐらいの出費で文句を言うとでも思ったのか?」
ダチュラは涙をこぼす。
「酷いですわ、私を騙したんですの?」
「酷いか? 君は潔白で酷いのはこちらだけだと言うのか? ではどちらが本当に酷いのか証明しよう。ファニー! ここへきてくれ」
するとファニーは人混みを掻き分けてこちらへ歩いてくると、アルメリアの横に立った。
「は~い。きたよ~。出番まで長くてくたびれちゃった」
ムスカリはマイペースなファニーに構わず領収書の束の中から一枚取り出すと質問する。
「この領収書のドレス、私がアルメリアのために注文したのを覚えているか?」
「もっちろん! 僕気合い入れてデザインしたしね」
「ではそのドレスは今どこに?」
ファニーはケラケラと笑った。
「うっわ~、今ここでそれ聞いちゃう? やっぱ王子ってば鬼畜だね~。まぁ、僕もアルメリアをイメージしたドレスを他人が着てるのは気にくわないところだったからいいけど」
そう言ってダチュラを指差す。
「あんたさぁ、なんで勝手に人のドレス着てんの?」
アドニスはそう言うと続ける。
「アルメリアは偏見を持つことなく、ヘンリーと信頼関係を築き、協力してツルス港を守ってきました。その信頼があったからこそ、不仲だった私とヘンリーとの間を取り持つことができたのです。お陰で我々は誤解を解き共闘することができました。そんなアルメリアのこの行いは、国にとって大きな利益をもたらしたといっても過言ではないでしょう」
それを聞いてダチュラは、ため息混じりに残念そうに言った。
「アドニス、貴男は洗脳されてます。だからアルメリアの行いが善行に見えてしまうんです」
アドニスは首を振る。
「いいえ、違いますね。どうにも貴女はアルメリアの素晴らしさを認めたくないようだが、これは事実です。さて、そんな経緯から私はヘンリーと共にロベリア海域において、海賊行為をしているものたちを捕らえました。彼らは最初自身をモーガン一派と名乗り、アンジートランスポートが関係するような供述をしました。そして、船からはその証拠となる書類も出てきました」
それを聞いてダチュラの顔がぱっと明るくなる。
「ほら、やっぱり。それなのになぜアルメリアを擁護しますの?」
「その後の捜査で海賊のアジトに乗り込み、本当はキッド一派とローズクリーン貿易が関与していたことが明らかとなったからです」
「はぁ?」
唖然としているダチュラを無視してアドニスは言った。
「この事実もヘンリーやアルメリアがいなければたどりつけなかったかもしれません。アルメリアのお陰で登録番号からどこの組織の船か知ることができましたし、ヘンリーはキッド一派がコウモリのタトゥを入れていることを知っていたので、それを足掛かりに彼らの正体を暴き、アジトに乗り込むことができたのですからね」
それを受けてヘンリーは歯を見せて笑った。
「いやぁ、アドニスの粘り強い捜査のお陰だ。お前は大した奴だぜ」
アドニスはヘンリーに笑顔を見せると、ダチュラに向きなおった。
「ローズクリーン貿易の正体はキッド一派だった訳ですが、その後ろには思いもよらぬ組織がついていました。この書類を見てください。これはモーガン一派やアンジートランスポートを装い、海賊行為をするよう指示した教会が発行した指示書です」
そう言って書類を掲げる。
「ローズクリーン貿易を陰で指示していたもの、それはチューベローズだったのです」
周囲はざわついたが、スカビオサは眉ひとつ動かさずにその話を聞いていた。
アドニスはムスカリにその指示書を渡し、ダチュラに向きなおる。
「それと、付け加えておきますがアンジーファウンデーションはいたって健全でクリーンな組織です。それは調べていただければすぐに証明できるでしょう。なのになぜ貴女は怪しい組織と言ったのでしょうか。そう証言なさるなら、その証拠を示していただけますか?」
ダチュラはアドニスにそう言われると、微笑み返した。
「無理ですわ、アルメリアはとても悪賢いのです。いくら調べてもぼろをだすはずがありません。だから健全な組織に見えるかもしれませんわね。でも、騙されてはいけませんわ」
それを聞いてヘンリーが失笑した。
「なんだそりゃ、あんためちゃくちゃだな。証拠も証明もできずに怪しいってだけで決めつけてよ、そりゃただのいちゃもんだぜ。偉そうに言っててこれかよ、ふは、こりゃあ傑作だ」
そしてもう我慢ならないとばかりに、声を出して笑いだした。それにつられ、周囲の貴族たちも笑い始める。
「黙りなさい!」
そう叫ぶダチュラの声は、笑い声でかき消された。ようやくその笑いが収まってきたところで、アルメリアが口を開く。
「みなさん、発言してもよろしいかしら?」
そう言ってアルメリアは貴族たちが完全に静まり返るのを待ち口を開いた。
「貿易についてはアドニスが反証してくださったから、私からはなにも言うことはありませんわ。ですから次の事柄についてお話ししたいと思います。ダチュラ、貴女は私が散財していたと言いましたわね」
すると、ムスカリが口を挟んだ。
「それについては、私が説明しよう」
アルメリアは驚いてムスカリの顔を見る。それに答えてムスカリはアルメリアに優しく微笑みかけた。
「アルメリア、私たちは婚約者なのだから君を守るのは私の役目だ、任せてほしい」
そう言うとムスカリは微笑み改まって全員に向かって言った。
「ご存じの通り、私はアルメリアを溺愛している。そうそう、今日の舞踏会最初の婚約破棄の茶番はみんなも気づいているだろうが、あれはちょっとした余興だった」
これに周囲の貴族たちが『どうりで』『まぁそうでしょうね』『なかなか面白かったです』など、感想を述べた。
ムスカリは満足そうに頷くと続ける。
「さて、それでは先ほどクインシー男爵令嬢が提出した領収書について話をしよう。私の溺愛する婚約者は質素・倹約がドレスを着て歩いているような令嬢でね。まぁ、それが魅力なのだが」
そこで笑いが起こる。アルメリアは恥ずかしくて俯いた。ムスカリはそんなアルメリアの横に立つとリアムから件の領収書を受け取り説明し始める。
「この提出された領収書を見てほしい。アルメリアが指示して王宮にお金を請求したように発行されたいかにも偽物の領収書だ。実際は寂しいことに、私の愛する婚約者はこういったものを要求してくれたことは一度もない」
周囲から『そりゃそうだろう』や『そうだろうと思った』などの発言が漏れ聞こえる。ムスカリは構わず続ける。
「なのでこの領収書通りに私から愛しいアルメリアへドレスや装飾品をプレゼントして、領収書を本物とすることにした」
そんなことを言われ、アルメリアは顔から火が出そうなほど恥ずかしくなった。
ムスカリは嬉しそうにアルメリアに言う。
「ほら、恥ずかしがらなくていい顔を上げてごらん婚約者どの」
更に恥ずかしくなったアルメリアは、ムスカリの後ろに隠れた。
周囲からクスクスと笑いが起こる。ムスカリは満足そうに微笑むとダチュラに向かって言った。
「なぜ私がそんな回りくどいことをしたか君はわからないだろう。私はね、こんなちゃちな偽物だとすぐにばれるような代物であれ、少しでもアルメリアを貶められるようなことがあるのが許せなかった。だからこそ、私からプレゼントした形にしてこの馬鹿馬鹿しい領収書をを正当なものにする必要があったわけだ。それに王宮が婚約者に対し、これぐらいの出費で文句を言うとでも思ったのか?」
ダチュラは涙をこぼす。
「酷いですわ、私を騙したんですの?」
「酷いか? 君は潔白で酷いのはこちらだけだと言うのか? ではどちらが本当に酷いのか証明しよう。ファニー! ここへきてくれ」
するとファニーは人混みを掻き分けてこちらへ歩いてくると、アルメリアの横に立った。
「は~い。きたよ~。出番まで長くてくたびれちゃった」
ムスカリはマイペースなファニーに構わず領収書の束の中から一枚取り出すと質問する。
「この領収書のドレス、私がアルメリアのために注文したのを覚えているか?」
「もっちろん! 僕気合い入れてデザインしたしね」
「ではそのドレスは今どこに?」
ファニーはケラケラと笑った。
「うっわ~、今ここでそれ聞いちゃう? やっぱ王子ってば鬼畜だね~。まぁ、僕もアルメリアをイメージしたドレスを他人が着てるのは気にくわないところだったからいいけど」
そう言ってダチュラを指差す。
「あんたさぁ、なんで勝手に人のドレス着てんの?」
17
お気に入りに追加
714
あなたにおすすめの小説
転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!
弥生 真由
恋愛
何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった!
せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!
……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです!
※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・
結城芙由奈
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語
母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・?
※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
【完結】処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜
二位関りをん
恋愛
ナターシャは皇太子の妃だったが、数々の悪逆な行為が皇帝と皇太子にバレて火あぶりの刑となった。
処刑後、農民の娘に転生した彼女は山の中をさまよっていると、狼男のリークと出会う。
口数は少ないが親切なリークとのほのぼのスローライフを満喫するナターシャだったが、ナターシャへかつての皇太子で今は皇帝に即位したキムの魔の手が迫り来る…
※表紙はaiartで生成したものを使用しています。
【本編完結】婚約破棄されて嫁いだ先の旦那様は、結婚翌日に私が妻だと気づいたようです
八重
恋愛
社交界で『稀代の歌姫』の名で知られ、王太子の婚約者でもあったエリーヌ・ブランシェ。
皆の憧れの的だった彼女はある夜会の日、親友で同じ歌手だったロラに嫉妬され、彼女の陰謀で歌声を失った──
ロラに婚約者も奪われ、歌声も失い、さらに冤罪をかけられて牢屋に入れられる。
そして王太子の命によりエリーヌは、『毒公爵』と悪名高いアンリ・エマニュエル公爵のもとへと嫁ぐことになる。
仕事を理由に初日の挨拶もすっぽかされるエリーヌ。
婚約者を失ったばかりだったため、そっと夫を支えていけばいい、愛されなくてもそれで構わない。
エリーヌはそう思っていたのに……。
翌日廊下で会った後にアンリの態度が急変!!
「この娘は誰だ?」
「アンリ様の奥様、エリーヌ様でございます」
「僕は、結婚したのか?」
側近の言葉も仕事に夢中で聞き流してしまっていたアンリは、自分が結婚したことに気づいていなかった。
自分にこんなにも魅力的で可愛い奥さんが出来たことを知り、アンリの溺愛と好き好き攻撃が止まらなくなり──?!
■恋愛に初々しい夫婦の溺愛甘々シンデレラストーリー。
親友に騙されて恋人を奪われたエリーヌが、政略結婚をきっかけにベタ甘に溺愛されて幸せになるお話。
※他サイトでも投稿中で、『小説家になろう』先行公開です
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます! ーヘイズ留学 暗躍編ー
愚者 (フール)
恋愛
エテルネルの筆頭公爵令嬢プリムローズ・クラレンスは、周りが誰もが認める才女。
わずか10歳で自国の学業を終えて、孤高の島国ヘイズへ意気揚々留学をしに向かっていた。
彼女には何やらどうも、この国でしたい事があるようだ。
未開の地と他国から呼ばれる土地へお供するのは、専属メイドのメリーとヘイズに出身で訳ありの護衛ギル。
飼い主のプリムローズと別れたくない、ワガママな鷹と愛馬までついて来てしまう。
かなり変わった、賑やかな珍道中になりそう。
その旅路のなかで、運命的な出逢いが待っていた。
留学生活はどうなるのか?!
またまた、波乱が起きそうな予感。
その出会いが、彼女を少しだけ成長させる。
まったりゆったりと進みますが、飽きずにお付き合い下さい。
幼女編 91話
新たなる王族編 75話
こちらが前作になり、この作品だけでも楽しめるようにしております。
気になるかたは、ぜひお読み頂けたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる