107 / 190
第百六話 海賊
しおりを挟む
翌朝、ペルシックからの定時報告で以前軽く調べるよう指示していた、アドニスを悩ませているというモーガン一派についての報告書が上がっていた。
ちょうどルリユ海域の通行許可証を帝国から賜ることになっているアルメリアは、一度アドニスとも話をして海賊対策について知っておかなければならないと思った。
ルリユ海域は帝国の海軍が目を光らせているため、容易に海賊行為を行うことができないだろうが、そこへ行くまでにはモーガン一派のいると言われているロベリア海域を通過せねばならない。
他にもロベリア海域で海賊行為を行うものがいるにはいるが、そこまで大きく目立つ海賊がそこに定着することはなく、いても拿捕されるか他の海域に流れて行く者たちばかりだった。
今まで護衛をつけ対策していたが、今後はそのモーガン一派と対峙しなければならないときが必ずくるはずだ。あのアドニスが手こずっているほどの相手なのだ、この問題に対しては心してかからなければならないだろう。
報告書では、モーガン一派に関して多くのことは語られておらず、彼の出自については不明なことが多かった。
十年ほど前からロベリア海域で海賊行為を行い、ロベリア国と他国との貿易船や旅団を襲い富を得ていた。
多くの海軍を指揮しているスペンサー伯爵と長年に渡る確執があり、一時和解し協力関係にあった時期もあるようだが、三年前より突然その関係が悪化しておりロベリア国としては今では一番手を焼いている海賊であった。
また、スペンサー伯爵は現在表だって海軍の指揮をとっておらず、アドニスがそれに代わり海賊を取り締まり交渉しようと試みているようだと、ざっとそんなことが書かれていた。
この報告の内容からアドニスはかなり重要な役割を任されており、彼がとても有能で国王からも信頼が寄せられている事が伺えた。
それにアドニスとしては、父親であるスペンサー伯爵が成し得なかったことを自身で解決することにより、その実力を証明できるのだから無理をしてでもこの件を自分の力でなんとかしたいに違いなかった。
アルメリアは、ひとまずアドニスが城下にいるうちに海賊の件を詳しく聞くことにしたが、アブセンティーでこの件に関して尋ねても、他の者の目がある手前詳しい話は聞けないかも知れなかったので、アドニスの執務室へ訪ねてよいか使いをだした。
ところが、アドニスはすでに自身の領地へ出発したあとであった。
いずれはアルメリアも、自身の領地にあるツルス港へ行き、いつも護衛を頼んでいる者たちに接触し話を訊かなければならないだろうと思っていたので、アドニスの許可があれば領地まで尋ねることもやぶさかではなかったが、来週帝国から特使が訪れる予定であったため、それまでは城下から離れられなかった。
とりあえず、まずは帝国からの特使を迎える準備とムスカリにその旨を報告することにした。
「帝国から特使、ね」
いつもアブセンティーに一番先に訪れるムスカリに、誰もきていないうちに通行許可証の件を報告すると、ムスカリはなにか物言いたげな顔をしてそう言った。
「帝国と勝手に取引のようなことをしてしまい、大変申し訳ありません」
ムスカリは苦笑する。
「いや、かまわない。あの海域は帝国の船以外はどの国の船も通行できない海域だ。君の行商船だけでも通行できるとなれば、それをロベリア国が有効利用することもできる。でかした、と言うべきだろうな」
その意見を不満に思ったアルメリアは、思わず苦言を呈した。
「恐れながら申し上げます。そのような不義理を働けば、帝国に攻めいられる隙を作ってしまいますわ」
すると、ムスカリは声を出して笑った。
「もちろん、そんなに表だって利用するつもりはない。君がせっかく素晴らしい商品を作り、それを売り込めるほどの信頼を勝ち取った訳だしね。それを台無しにすることはしない。約束しよう」
「良かったですわ」
国にアンジーファウンデーションを利用されれば、なにかあればクンシラン家に責任がのし掛かることになる。アルメリアはほっと胸を撫で下ろす。
「ところで、今日ご報告申し上げた理由ですが……」
「わかっている。帝国から特使がくるのだ、君ひとりで出迎えるというわけにもいかないだろう。スペンサー伯爵を立ち会わせよう。予定は無理矢理にでも空けさせる。特使のくる予定を、あとでスペンサー伯爵に伝達しておけばいい。ところで……」
そう言うと、ムスカリはしばらく無言でじっとアルメリアを見つめた。アルメリアはなんだか恥ずかしくなり、視線を外した。
「あの、なんですの?」
「君といるといつも仕事の話ばかりになってしまうな。本来なら意中の女性とは、いつも楽しく過ごしたいものだが。まぁ、これも君とだからこそ、なのだろうが」
アルメリアは自分が貴族の普通の令嬢ならば、きっともっと気のきいた流行のオペラの話や、演劇の話などをして楽しく過ごせるはずだろうと思い、申し訳なく思った。
「あの、令嬢らしくなくて申し訳ありません」
すると、ムスカリはアルメリアの手をとる。
「違うね、私はそんな君がいいのだから。君は素晴らしい女性だ、君の言うことは私を失望させることは絶対にないだろう。だから、そのままでいい。いや、そのままでいてくれ」
そう言って優しく微笑んだ。アルメリアは恥ずかしくなり、顔を上げることができなくなってしまった。
そこでリカオンが大きく咳払いをする。
「殿下、お戯れはそこまでにしてください」
「戯れてなどいない。本気なのだが? まぁ、いい。もうそろそろ他の邪魔者たちもくる時間だろうしな。それにしても、君とはいつでも二人きりで過ごしたいものだが、これも仕方のないことなのだろうな」
そう言ってリカオンを一瞥した。リカオンはにっこり作り笑顔を返した。
ちょうどルリユ海域の通行許可証を帝国から賜ることになっているアルメリアは、一度アドニスとも話をして海賊対策について知っておかなければならないと思った。
ルリユ海域は帝国の海軍が目を光らせているため、容易に海賊行為を行うことができないだろうが、そこへ行くまでにはモーガン一派のいると言われているロベリア海域を通過せねばならない。
他にもロベリア海域で海賊行為を行うものがいるにはいるが、そこまで大きく目立つ海賊がそこに定着することはなく、いても拿捕されるか他の海域に流れて行く者たちばかりだった。
今まで護衛をつけ対策していたが、今後はそのモーガン一派と対峙しなければならないときが必ずくるはずだ。あのアドニスが手こずっているほどの相手なのだ、この問題に対しては心してかからなければならないだろう。
報告書では、モーガン一派に関して多くのことは語られておらず、彼の出自については不明なことが多かった。
十年ほど前からロベリア海域で海賊行為を行い、ロベリア国と他国との貿易船や旅団を襲い富を得ていた。
多くの海軍を指揮しているスペンサー伯爵と長年に渡る確執があり、一時和解し協力関係にあった時期もあるようだが、三年前より突然その関係が悪化しておりロベリア国としては今では一番手を焼いている海賊であった。
また、スペンサー伯爵は現在表だって海軍の指揮をとっておらず、アドニスがそれに代わり海賊を取り締まり交渉しようと試みているようだと、ざっとそんなことが書かれていた。
この報告の内容からアドニスはかなり重要な役割を任されており、彼がとても有能で国王からも信頼が寄せられている事が伺えた。
それにアドニスとしては、父親であるスペンサー伯爵が成し得なかったことを自身で解決することにより、その実力を証明できるのだから無理をしてでもこの件を自分の力でなんとかしたいに違いなかった。
アルメリアは、ひとまずアドニスが城下にいるうちに海賊の件を詳しく聞くことにしたが、アブセンティーでこの件に関して尋ねても、他の者の目がある手前詳しい話は聞けないかも知れなかったので、アドニスの執務室へ訪ねてよいか使いをだした。
ところが、アドニスはすでに自身の領地へ出発したあとであった。
いずれはアルメリアも、自身の領地にあるツルス港へ行き、いつも護衛を頼んでいる者たちに接触し話を訊かなければならないだろうと思っていたので、アドニスの許可があれば領地まで尋ねることもやぶさかではなかったが、来週帝国から特使が訪れる予定であったため、それまでは城下から離れられなかった。
とりあえず、まずは帝国からの特使を迎える準備とムスカリにその旨を報告することにした。
「帝国から特使、ね」
いつもアブセンティーに一番先に訪れるムスカリに、誰もきていないうちに通行許可証の件を報告すると、ムスカリはなにか物言いたげな顔をしてそう言った。
「帝国と勝手に取引のようなことをしてしまい、大変申し訳ありません」
ムスカリは苦笑する。
「いや、かまわない。あの海域は帝国の船以外はどの国の船も通行できない海域だ。君の行商船だけでも通行できるとなれば、それをロベリア国が有効利用することもできる。でかした、と言うべきだろうな」
その意見を不満に思ったアルメリアは、思わず苦言を呈した。
「恐れながら申し上げます。そのような不義理を働けば、帝国に攻めいられる隙を作ってしまいますわ」
すると、ムスカリは声を出して笑った。
「もちろん、そんなに表だって利用するつもりはない。君がせっかく素晴らしい商品を作り、それを売り込めるほどの信頼を勝ち取った訳だしね。それを台無しにすることはしない。約束しよう」
「良かったですわ」
国にアンジーファウンデーションを利用されれば、なにかあればクンシラン家に責任がのし掛かることになる。アルメリアはほっと胸を撫で下ろす。
「ところで、今日ご報告申し上げた理由ですが……」
「わかっている。帝国から特使がくるのだ、君ひとりで出迎えるというわけにもいかないだろう。スペンサー伯爵を立ち会わせよう。予定は無理矢理にでも空けさせる。特使のくる予定を、あとでスペンサー伯爵に伝達しておけばいい。ところで……」
そう言うと、ムスカリはしばらく無言でじっとアルメリアを見つめた。アルメリアはなんだか恥ずかしくなり、視線を外した。
「あの、なんですの?」
「君といるといつも仕事の話ばかりになってしまうな。本来なら意中の女性とは、いつも楽しく過ごしたいものだが。まぁ、これも君とだからこそ、なのだろうが」
アルメリアは自分が貴族の普通の令嬢ならば、きっともっと気のきいた流行のオペラの話や、演劇の話などをして楽しく過ごせるはずだろうと思い、申し訳なく思った。
「あの、令嬢らしくなくて申し訳ありません」
すると、ムスカリはアルメリアの手をとる。
「違うね、私はそんな君がいいのだから。君は素晴らしい女性だ、君の言うことは私を失望させることは絶対にないだろう。だから、そのままでいい。いや、そのままでいてくれ」
そう言って優しく微笑んだ。アルメリアは恥ずかしくなり、顔を上げることができなくなってしまった。
そこでリカオンが大きく咳払いをする。
「殿下、お戯れはそこまでにしてください」
「戯れてなどいない。本気なのだが? まぁ、いい。もうそろそろ他の邪魔者たちもくる時間だろうしな。それにしても、君とはいつでも二人きりで過ごしたいものだが、これも仕方のないことなのだろうな」
そう言ってリカオンを一瞥した。リカオンはにっこり作り笑顔を返した。
14
お気に入りに追加
712
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢、推しを生かすために転生したようです
みゅー
恋愛
ヴィヴィアンは自分が転生していることに気づくと同時に、前世でもっとも最推しであった婚約者のカーランが死んでしまうことを思い出す。
自分を愛してはくれない、そんな王子でもヴィヴィアンにとって命をかけてでも助けたい相手だった。
それからヴィヴィアンの体を張り命懸でカーランを守る日々が始まった。
王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。
みゅー
恋愛
王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。
いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。
聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。
王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。
ちょっと切ないお話です。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
令嬢戦士と召喚獣〈1〉 〜 ワケあり侯爵令嬢ですがうっかり蛇の使い魔を召喚したところ王子に求婚される羽目になりました 〜
Elin
ファンタジー
【24/4/24 更新再開しました。】
人と召喚獣が共生して生きる国《神国アルゴン》。ブラッドリー侯爵家の令嬢ライラは婿探しのため引き籠もり生活を脱して成人の儀式へと臨む。
私の召喚獣は猫かしら?
それともウサギ?モルモット?
いいえ、蛇です。
しかもこの蛇、しゃべるんですが......。
前代未聞のしゃべる蛇に神殿は大パニック。しかも外で巨大キメラまで出現してもう大混乱。運良くその場にいた第二王子の活躍で事態は一旦収まるものの、後日蛇が強力なスキルの使い手だと判明したことをきっかけに引き籠もり令嬢の日常は一変する。
恋愛ありバトルあり、そして蛇あり。
『令嬢戦士と召喚獣』シリーズの序章、始まりはじまり。
÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷
『令嬢戦士と召喚獣』シリーズ
第一巻(完結済) シリーズ序章
https://www.alphapolis.co.jp/novel/841381876/415807748
第二巻(連載中) ※毎日更新
https://www.alphapolis.co.jp/novel/841381876/627853636
※R15作品ですが、一巻は導入巻となるためライトです。二巻以降で恋愛、バトル共に描写が増えます。少年少女漫画を超える表現はしませんが、苦手な方は閲覧お控えください。
※恋愛ファンタジーですがバトル要素も強く、ヒロイン自身も戦いそれなりに負傷します。一般的な令嬢作品とは異なりますためご注意ください。
÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷
モブの私がなぜかヒロインを押し退けて王太子殿下に選ばれました
みゅー
恋愛
その国では婚約者候補を集め、その中から王太子殿下が自分の婚約者を選ぶ。
ケイトは自分がそんな乙女ゲームの世界に、転生してしまったことを知った。
だが、ケイトはそのゲームには登場しておらず、気にせずそのままその世界で自分の身の丈にあった普通の生活をするつもりでいた。だが、ある日宮廷から使者が訪れ、婚約者候補となってしまい……
そんなお話です。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる