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第九十ニ話 美しい庭
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帝国は自国へ輸入したものを、自らルリユアイランドまで運搬するという無駄の多い方法を取っていた。それを直接取引ができるならば、かなり便利になるに違いなかった。だがそれには一つ問題がある。
ルリユアイランドは帝国の一部だが、帝国から離れていてとても小さな島だ。もし攻撃されればすぐに占領されてしまうだろう。だからその周囲の領域は他国を入れないよう厳しく取り締まられており、どこにも通行許可は出されていなかったのだ。
「私の船を入れてしまってよろしいのですか?」
アウルスは頷く。
「君なら信用できる。それに、アンジーファウンデーションで売られている品物は、他では絶対に手に入らないものばかりだ。直接取引をしたほうがこちらとしてもメリットは多い。だからアンジーファウンデーションにのみ、通行許可証を発行しようと思っている。受けてくれるか?」
それは願ってもないことであった。取引ができれば儲けが出るのもあるが、許可証があれば今まで迂回していた海域もそのまま通過することができる。これはアルメリアにとっても、とても有益な話しだった。
「もちろんお受け致します」
「良かった。その他にも錆止めのハニーオイルも輸出して欲しい」
ハニーオイルは先日商品化したばかりだったが、それをアウルスが知っていることに驚いた。
「うちの商品をよくご存知ですのね」
「実は先日、君の店にお邪魔させてもらった。君の店の商品は素晴らしいものばかりだから、帝国にも出店して欲しいぐらいだ」
本気で言っているのかその真意がわからず、アルメリアは笑って誤魔化した。
「もちろん君にその気があれば、だが。出店の件は検討しておいて欲しい」
このせりふで本気で言っているのだと気づいたアルメリアは、慌てて頷く。
「はい、よろしくお願いいたします」
そんな会話をしていると、気がつけば窓から朝日が差し込んでいた。客間の大きな窓からよく晴れた空が見えており、その空には雲ひとつなかった。
アウルスは窓から差し込む日差しを眩しそうに見ると、呟くように言った。
「もうそろそろ準備ができたころだろう」
アルメリアはなんのことだろうと思い、アウルスを見つめた。アウルスはそれに気づきアルメリアを見て微笑む。
「君はそんな気分ではないかもしれないが、今回の一件は私の国の者がしでかしたことだ。君には詫びをしたい。少しでも気分転換になればと思って、勝手に色々準備させてもらった」
そう言うと立ち上がり、アルメリアの手を取ると中庭へ続く廊下へ歩き始めた。廊下には薔薇の花びらがまいてあり、それは中庭に誘導するように続いていた。
戸惑いながら歩いていくと、どこからか弦楽四重奏の優雅な調べが聞こえた。そのまま進むと、昨日までは味気ない、ほとんど緑一色だった中庭が色とりどりの花で飾られており、薔薇のアーチとその向こうに、美しいモザイクグラスの細工が施されているアンティークテーブルと椅子がセッティングされていた。楽団はこちらからは姿のみえない位置で、主張し過ぎず耳に心地の良いスローテンポの曲を奏でている。
「これ、どうしましたの?!」
驚いてアウルスの顔を見上げる。アウルスはいたずらっぽく微笑んだ。
「言っただろう? これはほんのお詫びだ。君の家の庭を勝手に借りてしまったことは申し訳なかったが」
アルメリアは慌てて首を振り、感激してアウルスに笑顔を向けた。
「いいえ、ここまでしていただいて本当に有り難う御座います」
「君のその笑顔を見れただけでも、頑張って準備した甲斐があったというものだ。食欲はないかもしれないが、美しい花々に囲まれれば少しは気分が良くなるかもしれない」
そう言って座るように促す。席につくと、テーブルにベーコンやスクランブルエッグやスープが並ぶ。そして最後に焼きたてのクロワッサンが供された。食欲のなかったアルメリアも、その芳ばしい香りに食指が動いた。いつも倹約しているアルメリアにとって、クロワッサンは贅沢品だった。
アウルスはアルメリアに微笑む。
「作法を気にせず、気楽に食事を楽しもう」
「はい」
せっかく用意してくれたのだから、この状況を思う存分楽しむことにした。クロワッサンを口に運ぶと、外はパリパリの食感で中はふわふわ。そして口に入れた瞬間、バターの香りと生地の甘みが口の中に広がった。
「これ、とても美味しいですわ」
お世辞ではなく本当にそう思った。できればコックにレシビを聞きたいぐらいだった。そしてカリカリのベーコンや新鮮な卵で作られたスクランブルエッグ。それらを次々に堪能すると、突然生きていることを実感し涙がこぼれた。アルメリアは泣き笑いをしながら言う。
「ごめんなさい……」
アウルスは優しくアルメリアの頭を撫でた。
「大丈夫、謝らなくていい。泣きたいときは、泣いていい」
しばらく、涙が流れるままにしているとやっと落ち着いてきたので、なんとか微笑む。
「有り難う御座います。大丈夫ですわ。落ち着きました」
アウルスは何も言わずに頷いた。
そして、最後にぶどうとカットされた桃がテーブルに並んだ。
「果物は好きだったかな?」
「もちろんですわ」
笑顔を作ると、カットされたみずみずしい桃を口に運ぶ。とても甘くて美味しい。ぶどうも食べたかったが、いつも朝食を控えめにしているアルメリアには、もうこれ以上は食べれられなかった。
「残りはお昼にいただきますわね」
すると、アウルスはぶどうの乗った皿を手に取って奥を指差す。振り向いて見るとそこには二人がけ用の大きめなハンギングチェアが用意されていた。
「そこでゆっくり過ごしながら食べればいい」
ぶどうを片手にアルメリアの手を取ると、イスの方へエスコートする。ハンギングチェアには、羽毛の詰まった大きめのクッションが幾重にも重ねてあり、座ると身体がすっぽりと包まれた。アルメリアは思わずふふっと笑った。
「気持ちいいだろう? この椅子は私も気に入っている」
そう言って、アウルスもブドウをサイドテーブルに置くと、アルメリアの横に思い切りよく座った。
アルメリアが座ったまま空を見上げると、そこには真っ青な青空が広がっている。そして、甘い花の香りと微かに聞こえる弦楽四重奏、こんな贅沢はいつぶりだろうと思いながらそれらを楽しむ。
不意に横をみると、アウルスが肘をついてアルメリアを見つめていた。アルメリアは驚いてすぐに視線を空にもどす。すると、アウルスはアルメリアの髪に手を伸ばし、指先で弄んだ。
「いつも、勇ましく領地や国について話している君も美しいが、こうして自由に空を見つめるその姿も美しい」
恥ずかしくなったアルメリアは、さっと身体を越して話題を変える。
「それよりも、山賊のリーダーは捕らえることができたのでしょうか?」
アウルスも身体を起こすと、微笑んだ。
「もちろん、君のあの地図のお陰で捕らえることができた。彼は今本国に連行され、これから尋問を受けることになるだろうな」
もう大丈夫と思ってその話題をふったにも関わらず、その話を聞いて胸が締めつけられ突然涙が溢れた。こんなにも情緒が安定しないのはアウルスに対しても失礼だと思い、なんとか涙を止めようとする。が、自分の意思と関係なく涙が溢れてしまいどうにもならなかった。
「も、申し訳ありません!」
アルメリアは涙を拭いながら頭を下げる。そんな状態を見られ呆れられてしまうだろうと思っていたが、アウルスは顔を覗き込むとすぐに抱きしめ、背中を優しく擦ってくれた。
「大丈夫、君は悪くないんだよ。私がついている。大丈夫」
そう言って、アルメリアが落ち着くまでそうしてくれていた。
ルリユアイランドは帝国の一部だが、帝国から離れていてとても小さな島だ。もし攻撃されればすぐに占領されてしまうだろう。だからその周囲の領域は他国を入れないよう厳しく取り締まられており、どこにも通行許可は出されていなかったのだ。
「私の船を入れてしまってよろしいのですか?」
アウルスは頷く。
「君なら信用できる。それに、アンジーファウンデーションで売られている品物は、他では絶対に手に入らないものばかりだ。直接取引をしたほうがこちらとしてもメリットは多い。だからアンジーファウンデーションにのみ、通行許可証を発行しようと思っている。受けてくれるか?」
それは願ってもないことであった。取引ができれば儲けが出るのもあるが、許可証があれば今まで迂回していた海域もそのまま通過することができる。これはアルメリアにとっても、とても有益な話しだった。
「もちろんお受け致します」
「良かった。その他にも錆止めのハニーオイルも輸出して欲しい」
ハニーオイルは先日商品化したばかりだったが、それをアウルスが知っていることに驚いた。
「うちの商品をよくご存知ですのね」
「実は先日、君の店にお邪魔させてもらった。君の店の商品は素晴らしいものばかりだから、帝国にも出店して欲しいぐらいだ」
本気で言っているのかその真意がわからず、アルメリアは笑って誤魔化した。
「もちろん君にその気があれば、だが。出店の件は検討しておいて欲しい」
このせりふで本気で言っているのだと気づいたアルメリアは、慌てて頷く。
「はい、よろしくお願いいたします」
そんな会話をしていると、気がつけば窓から朝日が差し込んでいた。客間の大きな窓からよく晴れた空が見えており、その空には雲ひとつなかった。
アウルスは窓から差し込む日差しを眩しそうに見ると、呟くように言った。
「もうそろそろ準備ができたころだろう」
アルメリアはなんのことだろうと思い、アウルスを見つめた。アウルスはそれに気づきアルメリアを見て微笑む。
「君はそんな気分ではないかもしれないが、今回の一件は私の国の者がしでかしたことだ。君には詫びをしたい。少しでも気分転換になればと思って、勝手に色々準備させてもらった」
そう言うと立ち上がり、アルメリアの手を取ると中庭へ続く廊下へ歩き始めた。廊下には薔薇の花びらがまいてあり、それは中庭に誘導するように続いていた。
戸惑いながら歩いていくと、どこからか弦楽四重奏の優雅な調べが聞こえた。そのまま進むと、昨日までは味気ない、ほとんど緑一色だった中庭が色とりどりの花で飾られており、薔薇のアーチとその向こうに、美しいモザイクグラスの細工が施されているアンティークテーブルと椅子がセッティングされていた。楽団はこちらからは姿のみえない位置で、主張し過ぎず耳に心地の良いスローテンポの曲を奏でている。
「これ、どうしましたの?!」
驚いてアウルスの顔を見上げる。アウルスはいたずらっぽく微笑んだ。
「言っただろう? これはほんのお詫びだ。君の家の庭を勝手に借りてしまったことは申し訳なかったが」
アルメリアは慌てて首を振り、感激してアウルスに笑顔を向けた。
「いいえ、ここまでしていただいて本当に有り難う御座います」
「君のその笑顔を見れただけでも、頑張って準備した甲斐があったというものだ。食欲はないかもしれないが、美しい花々に囲まれれば少しは気分が良くなるかもしれない」
そう言って座るように促す。席につくと、テーブルにベーコンやスクランブルエッグやスープが並ぶ。そして最後に焼きたてのクロワッサンが供された。食欲のなかったアルメリアも、その芳ばしい香りに食指が動いた。いつも倹約しているアルメリアにとって、クロワッサンは贅沢品だった。
アウルスはアルメリアに微笑む。
「作法を気にせず、気楽に食事を楽しもう」
「はい」
せっかく用意してくれたのだから、この状況を思う存分楽しむことにした。クロワッサンを口に運ぶと、外はパリパリの食感で中はふわふわ。そして口に入れた瞬間、バターの香りと生地の甘みが口の中に広がった。
「これ、とても美味しいですわ」
お世辞ではなく本当にそう思った。できればコックにレシビを聞きたいぐらいだった。そしてカリカリのベーコンや新鮮な卵で作られたスクランブルエッグ。それらを次々に堪能すると、突然生きていることを実感し涙がこぼれた。アルメリアは泣き笑いをしながら言う。
「ごめんなさい……」
アウルスは優しくアルメリアの頭を撫でた。
「大丈夫、謝らなくていい。泣きたいときは、泣いていい」
しばらく、涙が流れるままにしているとやっと落ち着いてきたので、なんとか微笑む。
「有り難う御座います。大丈夫ですわ。落ち着きました」
アウルスは何も言わずに頷いた。
そして、最後にぶどうとカットされた桃がテーブルに並んだ。
「果物は好きだったかな?」
「もちろんですわ」
笑顔を作ると、カットされたみずみずしい桃を口に運ぶ。とても甘くて美味しい。ぶどうも食べたかったが、いつも朝食を控えめにしているアルメリアには、もうこれ以上は食べれられなかった。
「残りはお昼にいただきますわね」
すると、アウルスはぶどうの乗った皿を手に取って奥を指差す。振り向いて見るとそこには二人がけ用の大きめなハンギングチェアが用意されていた。
「そこでゆっくり過ごしながら食べればいい」
ぶどうを片手にアルメリアの手を取ると、イスの方へエスコートする。ハンギングチェアには、羽毛の詰まった大きめのクッションが幾重にも重ねてあり、座ると身体がすっぽりと包まれた。アルメリアは思わずふふっと笑った。
「気持ちいいだろう? この椅子は私も気に入っている」
そう言って、アウルスもブドウをサイドテーブルに置くと、アルメリアの横に思い切りよく座った。
アルメリアが座ったまま空を見上げると、そこには真っ青な青空が広がっている。そして、甘い花の香りと微かに聞こえる弦楽四重奏、こんな贅沢はいつぶりだろうと思いながらそれらを楽しむ。
不意に横をみると、アウルスが肘をついてアルメリアを見つめていた。アルメリアは驚いてすぐに視線を空にもどす。すると、アウルスはアルメリアの髪に手を伸ばし、指先で弄んだ。
「いつも、勇ましく領地や国について話している君も美しいが、こうして自由に空を見つめるその姿も美しい」
恥ずかしくなったアルメリアは、さっと身体を越して話題を変える。
「それよりも、山賊のリーダーは捕らえることができたのでしょうか?」
アウルスも身体を起こすと、微笑んだ。
「もちろん、君のあの地図のお陰で捕らえることができた。彼は今本国に連行され、これから尋問を受けることになるだろうな」
もう大丈夫と思ってその話題をふったにも関わらず、その話を聞いて胸が締めつけられ突然涙が溢れた。こんなにも情緒が安定しないのはアウルスに対しても失礼だと思い、なんとか涙を止めようとする。が、自分の意思と関係なく涙が溢れてしまいどうにもならなかった。
「も、申し訳ありません!」
アルメリアは涙を拭いながら頭を下げる。そんな状態を見られ呆れられてしまうだろうと思っていたが、アウルスは顔を覗き込むとすぐに抱きしめ、背中を優しく擦ってくれた。
「大丈夫、君は悪くないんだよ。私がついている。大丈夫」
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