92 / 190
第九十一話 初恋のエピソード
しおりを挟む
「お待たせしてしまったようで申し訳ありませんでした」
アルメリアがそう言って室内に入ると、アウルスは駆け寄り言った。
「アンジー、大丈夫なのか?」
先ほどアウルスに甘えてしまったのを思い出し、どういう顔をしてよいかわからず、努めて平静を装った。
「もうなんともありませんわ。先ほどは取り乱してしまって申し訳ありませんでした。今日はゆっくり休んで、色々な報告は後日にいたしましょう」
すると、アウルスはじっとアルメリアを見つめた。
「君がどう言おうと、今は君のそばにいると決めている。君は今日とてもショックを受けていた、そんな精神状態のときに一人になんてできない」
そう言うとアウルスはアルメリアの手を取り、身体を引き寄せ力強く抱きしめた。
アルメリアは気丈に振る舞ってはいたが、山賊が死んだ件に関して自責の念にかられつらく、更に死をとても身近に感じてショックを受けてもいた。そんなときに力強く抱きしめられ、全てを包み込むような温もりに触れて安心感を覚えた。そしてそれを心地よく感じ、思わず素直にアウルスの胸に顔を埋める。そうしていると、また涙が込み上げた。
「アズル……」
アルメリアがアウルスの胸の中で泣いていると、落ち着くまでじっとアルメリアの背中を擦ってくれていた。しばらくして落ち着くと、アウルスの顔を見上げて言った。
「有り難う御座います。もう、大丈夫ですわ」
アウルスはアルメリアの頬に涙で張り付いた髪をかきあげ耳にかけると、優しく微笑みかけた。
「いや、もう少し話をしないか?」
そう言うと、アウルスはアルメリアの手を引いて、ソファに腰掛けた。そして、しばらく見つめ合っていたが、その沈黙を破って先に口を開いたのはアルメリアの方だった。
「あの、その、そういえば結局イーデンはどうなりましたの?」
「彼はこちらに協力的な行動を取ったので、とりあえずは捕らえているものの、今回の件については不問にするかもしれない。だが軍は抜けてもらうことになるだろう」
これは嘘かもしれない。と、アルメリアは思った。なぜなら、アウルスがそんなに甘い判断をするとは思えなかったからだ。今ショックを受けているアルメリアを気遣って、処刑するのを隠しているかもしれなかった。
「イーデンを釈放するなら、会わせてもらいたいのですがよろしいでしょうか?」
アウルスは怪訝な顔をした。
「なぜ? 君は彼と会えば色々思い出してしまうかもしれない。会わない方がよいのではないか?」
「大丈夫ですわ、聞きたいことがありますの」
処刑させないためにも、会う必要があった。甘い考えなのはわかっているが、人の命を奪うようなことはもうたくさんだとアルメリアは思っていた。
「君がそういうのなら、かまわないが」
そう言ったあと苦笑した。
「君は全てにおいて、無駄なことをしない人間だ。彼に会うのにもなにかしらの理由があるのだろう? それを止めるつもりはない」
アルメリアは力なく微笑むと、頭を下げる。
「有り難う御座います。ですが、そんなに大層なことを考えている訳ではありませんの」
その返事にアウルスも微笑んで返した。
「君はずっとヒフラで過ごしていただろう? ここは国境に近いから君の噂は帝国でもよく聞いたものだ。その内容は船乗り病の解決法やインフラ整備、どれを取っても素晴らしいものだった。たがら、君のやること全てに無駄がないことを私は知っているんだよ。それに、実は君は私のお手本でもある」
アルメリアは驚いて答える。
「とんでもないことでございます。私がアズルのお手本だなんて」
するとアウルスは、優しく微笑み返した。
「いや、本当のことなんだ。これは私的な話なのだが、幼少のころ近所に大きな貴族の屋敷があってね。その屋敷の前を毎日通っていたらあることに気がついた」
「なんですの?」
照れくさそうにアウルスは言った。
「美しい令嬢がいつもこちらを見ていた。思えばあれが初恋だろう。私は彼女に恋い焦がれた」
アルメリアはそれを聞いたとき、胸がギュッと締め付けられるような感じがした。だが、その原因はわからなかった。とにかく、平静を装って無理に笑顔を作る。
「そうなんですの、素敵ですわね」
アウルスは頷く。
「私は彼女に恥じぬよう生きると決めた。そんなときだ、隣国から君の話をよく耳にするようになった。君の行うことは全て素晴らしかったからね、君を手本に自分も頑張ろうと思ったものだ」
アルメリアは褒められて恥ずかしくなり、顔を赤くして俯いた。すると、それを見ていたアウルスがアルメリアの顔を覗き込む。
「他の令嬢は褒めると、さも当然のことといった顔をするが、照れて俯く君は本当に愛らしい」
その台詞に思わずびっくりして、アウルスの顔をまじまじ見つめ、更に顔を赤くした。
「そ、そんなことは、ありません……」
そう返すと、恥ずかしすぎて思わず俯いた。
「君は?」
そう問われて、なんのことかと顔を上げアウルスを見つめ次の言葉を待つ。
「君の初恋は?」
アウルスにそう質問されると、初恋相手本人から聞かれているようで余計に恥ずかしくなった。
「あの、私の話は、大したことではありませんから」
「そんなことはないだろう? 私も話したのだから、君も話してくれないと不公平と言うものだ」
イタズラっぽく笑うと、アウルスはアルメリアが話すのを待っている。その圧に負け、仕方なくアルメリアは話し始めた。
「私の初恋相手は、近所に住んでいた男の子ですわ。せっかく仲良くなりましたのに、それを恋だと自覚するまもなく相手の行方がわからなくなってしまって」
それから忘れられない。という言葉をアルメリアは飲み込んだ。
「そうか、悲しい思い出なのだね」
「いいえ、素敵な思い出をたくさんもらいましたから」
そう言って微笑んだ。アウルスも微笑み返すと言った。
「きっといつか会えるだろう」
「えぇ、そうだといいですわね」
お互い見つめ合って、しばらく沈黙した。
そして、アウルスは突然なにかを思い出したように言った。
「そうだ、話が変わるのだが、君にお願いしたいことがある」
皇帝からのお願いとは何事かと、アルメリアは少し緊張した。
「なんでしょうか」
「なに、そんなに難しいことではない。君の領地は港を保有しているね?」
アルメリアは黙って頷く。
「では輸出も請け負っているか?」
「はい。特に発酵塩レモンは注文が多く、他国とも取引は多いですわ」
「東の海域にある、ルリユアイランドに発酵塩レモンを届けて欲しい。もちろん只でとは言わない、正式な取引だ」
ルリユアイランドは帝国の港からは離れたところにある領土であり、距離的にはクンシラン領の港からの方が近い位置にあった。
だがルリユアイランドに行商に行くには、帝国の海域に入るための許可証が必要となる。そんな理由から、アルメリアはルリユアイランドと直接の取引はしていなかった。
アルメリアがそう言って室内に入ると、アウルスは駆け寄り言った。
「アンジー、大丈夫なのか?」
先ほどアウルスに甘えてしまったのを思い出し、どういう顔をしてよいかわからず、努めて平静を装った。
「もうなんともありませんわ。先ほどは取り乱してしまって申し訳ありませんでした。今日はゆっくり休んで、色々な報告は後日にいたしましょう」
すると、アウルスはじっとアルメリアを見つめた。
「君がどう言おうと、今は君のそばにいると決めている。君は今日とてもショックを受けていた、そんな精神状態のときに一人になんてできない」
そう言うとアウルスはアルメリアの手を取り、身体を引き寄せ力強く抱きしめた。
アルメリアは気丈に振る舞ってはいたが、山賊が死んだ件に関して自責の念にかられつらく、更に死をとても身近に感じてショックを受けてもいた。そんなときに力強く抱きしめられ、全てを包み込むような温もりに触れて安心感を覚えた。そしてそれを心地よく感じ、思わず素直にアウルスの胸に顔を埋める。そうしていると、また涙が込み上げた。
「アズル……」
アルメリアがアウルスの胸の中で泣いていると、落ち着くまでじっとアルメリアの背中を擦ってくれていた。しばらくして落ち着くと、アウルスの顔を見上げて言った。
「有り難う御座います。もう、大丈夫ですわ」
アウルスはアルメリアの頬に涙で張り付いた髪をかきあげ耳にかけると、優しく微笑みかけた。
「いや、もう少し話をしないか?」
そう言うと、アウルスはアルメリアの手を引いて、ソファに腰掛けた。そして、しばらく見つめ合っていたが、その沈黙を破って先に口を開いたのはアルメリアの方だった。
「あの、その、そういえば結局イーデンはどうなりましたの?」
「彼はこちらに協力的な行動を取ったので、とりあえずは捕らえているものの、今回の件については不問にするかもしれない。だが軍は抜けてもらうことになるだろう」
これは嘘かもしれない。と、アルメリアは思った。なぜなら、アウルスがそんなに甘い判断をするとは思えなかったからだ。今ショックを受けているアルメリアを気遣って、処刑するのを隠しているかもしれなかった。
「イーデンを釈放するなら、会わせてもらいたいのですがよろしいでしょうか?」
アウルスは怪訝な顔をした。
「なぜ? 君は彼と会えば色々思い出してしまうかもしれない。会わない方がよいのではないか?」
「大丈夫ですわ、聞きたいことがありますの」
処刑させないためにも、会う必要があった。甘い考えなのはわかっているが、人の命を奪うようなことはもうたくさんだとアルメリアは思っていた。
「君がそういうのなら、かまわないが」
そう言ったあと苦笑した。
「君は全てにおいて、無駄なことをしない人間だ。彼に会うのにもなにかしらの理由があるのだろう? それを止めるつもりはない」
アルメリアは力なく微笑むと、頭を下げる。
「有り難う御座います。ですが、そんなに大層なことを考えている訳ではありませんの」
その返事にアウルスも微笑んで返した。
「君はずっとヒフラで過ごしていただろう? ここは国境に近いから君の噂は帝国でもよく聞いたものだ。その内容は船乗り病の解決法やインフラ整備、どれを取っても素晴らしいものだった。たがら、君のやること全てに無駄がないことを私は知っているんだよ。それに、実は君は私のお手本でもある」
アルメリアは驚いて答える。
「とんでもないことでございます。私がアズルのお手本だなんて」
するとアウルスは、優しく微笑み返した。
「いや、本当のことなんだ。これは私的な話なのだが、幼少のころ近所に大きな貴族の屋敷があってね。その屋敷の前を毎日通っていたらあることに気がついた」
「なんですの?」
照れくさそうにアウルスは言った。
「美しい令嬢がいつもこちらを見ていた。思えばあれが初恋だろう。私は彼女に恋い焦がれた」
アルメリアはそれを聞いたとき、胸がギュッと締め付けられるような感じがした。だが、その原因はわからなかった。とにかく、平静を装って無理に笑顔を作る。
「そうなんですの、素敵ですわね」
アウルスは頷く。
「私は彼女に恥じぬよう生きると決めた。そんなときだ、隣国から君の話をよく耳にするようになった。君の行うことは全て素晴らしかったからね、君を手本に自分も頑張ろうと思ったものだ」
アルメリアは褒められて恥ずかしくなり、顔を赤くして俯いた。すると、それを見ていたアウルスがアルメリアの顔を覗き込む。
「他の令嬢は褒めると、さも当然のことといった顔をするが、照れて俯く君は本当に愛らしい」
その台詞に思わずびっくりして、アウルスの顔をまじまじ見つめ、更に顔を赤くした。
「そ、そんなことは、ありません……」
そう返すと、恥ずかしすぎて思わず俯いた。
「君は?」
そう問われて、なんのことかと顔を上げアウルスを見つめ次の言葉を待つ。
「君の初恋は?」
アウルスにそう質問されると、初恋相手本人から聞かれているようで余計に恥ずかしくなった。
「あの、私の話は、大したことではありませんから」
「そんなことはないだろう? 私も話したのだから、君も話してくれないと不公平と言うものだ」
イタズラっぽく笑うと、アウルスはアルメリアが話すのを待っている。その圧に負け、仕方なくアルメリアは話し始めた。
「私の初恋相手は、近所に住んでいた男の子ですわ。せっかく仲良くなりましたのに、それを恋だと自覚するまもなく相手の行方がわからなくなってしまって」
それから忘れられない。という言葉をアルメリアは飲み込んだ。
「そうか、悲しい思い出なのだね」
「いいえ、素敵な思い出をたくさんもらいましたから」
そう言って微笑んだ。アウルスも微笑み返すと言った。
「きっといつか会えるだろう」
「えぇ、そうだといいですわね」
お互い見つめ合って、しばらく沈黙した。
そして、アウルスは突然なにかを思い出したように言った。
「そうだ、話が変わるのだが、君にお願いしたいことがある」
皇帝からのお願いとは何事かと、アルメリアは少し緊張した。
「なんでしょうか」
「なに、そんなに難しいことではない。君の領地は港を保有しているね?」
アルメリアは黙って頷く。
「では輸出も請け負っているか?」
「はい。特に発酵塩レモンは注文が多く、他国とも取引は多いですわ」
「東の海域にある、ルリユアイランドに発酵塩レモンを届けて欲しい。もちろん只でとは言わない、正式な取引だ」
ルリユアイランドは帝国の港からは離れたところにある領土であり、距離的にはクンシラン領の港からの方が近い位置にあった。
だがルリユアイランドに行商に行くには、帝国の海域に入るための許可証が必要となる。そんな理由から、アルメリアはルリユアイランドと直接の取引はしていなかった。
24
お気に入りに追加
728
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる